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エイベックス(株)【7860】の掲示板 2015/04/16〜2016/11/17

5月にスタートし、7月8~10日に国立代々木競技場第一体育館で東京公演、7月16~18日に大阪城ホールで大阪公演(18日にファイナル)を迎える、浜崎あゆみの全国ツアー「ayumi hamasaki ARENA TOUR 2016 A~MADE IN JAPAN~」。このツアーでは、一部の楽曲で、観客自らのスマホでの撮影が解禁(静止画のみ)となった。解禁を決めた理由を担当者に伺った。

今回お話を伺ったのは、avex所属アーティスト・それ以外のアーティストも含めて数々のライブを手がけるエイベックス・ライヴ・クリエイティヴ株式会社 制作事業本部 第4制作事業部 事業部長 小川貴詩氏だ。

--まずは、撮影解禁とした経緯を教えて頂けますか?

小川:浜崎自身も海外のアーティストのライブを観に行く機会が多いのですが、今の時代、ライブは基本的に撮影OKになりつつありますよね。そういった海外のライブ事情を踏まえて浜崎本人から「解禁したい」と提案してきてくれました。僕らも海外のライブのその点は良いなと思っていたので、ではやってみようと。
浜崎は視察もそうですが、特に演出に関しては“職人“なので本当に色々調べています。僕らよりも詳しい時もありますからね。衣装もダンサーやバンドメンバー含めて自らコーディネートしていますし。

--ライブでのオペレーションについてついてお聞かせ下さい。

小川:当初は全編OKにしちゃおうという話もありました。ただ、まだ日本国内では「撮影OK」が他国と比べて浸透していない中で、純粋にライブを観たいという方もいらっしゃいますし、時間を区切ってOKにしようということにしました。
いきなり係員が「今からダメ」と言い出すのも不自然ですし、事前に映像で想起させたり、サイトでも事前の段階から告知したりするなど、しっかりと情報が周知されるように気をつけました。

--実際にお客さんの動きはいかがでしたか?

小川:撮れるタイミングをちゃんと区切ると、OK以外の時間では撮影されないですね。(シャッター音が出ることについては)特に気にしていないです。逆手にとってそれが「今のライブ」っぽいといいますか。
SNSでも反響が大きくて、元々OKにしていた曲が3曲だけだったのが、浜崎も「増やしたい」と言ってくれて、今は10曲くらいになりました。(編注:浜崎あゆみ公式Twitterでも撮影解禁に関しての告知を積極的に行っている)

--撮影を解禁したことによるライブ演出面の変化はありましたか?

小川:大きくはありませんが、やはり多くのファンの方に撮られるということで、演者としてのボルテージがまた上がるようです。
撮って頂いた写真がSNSでハッシュタグつきでアップされて、それを彼女が目にしたり、特設サイトに掲載させて頂いたりと、双方向の感覚も生まれています。
ツアーがスタート後も、新たに関心を持ってくれる人が増えている

--撮影解禁、そしてSNSなどで拡散されることの効果は感じますか?

小川:ライブに足を運べない方もいらっしゃるなかで、SNS上に各個人が撮った写真がアップされると、メディアを通しての写真とはまた違う臨場感がありますよね。
また、ツアー中盤になっても新たにツアーに行ってみたいという方が増えているようで、それは数字に確実に現れています。

--今後、撮影解禁となるライブも増えていくと思いますが、留意すべきだと感じた点はありますか?

小川:やはり撮影したい方と、曲をじっくり聴きたい方、両方の方がいますから、その点への配慮ですね。例えばバラードを聴きながら泣きたい、という方もいらっしゃいますから。撮影OKにした曲を決めたのはそのためです。数年後には撮影OKがスタンダードになると思いますから、今回をきっかけにどんどんトライしていきたいですね。

--小川さんは15年間現在の職種をご担当されているとのことですが、ライブ市場の変化は感じますか?

小川:15年前の当時は、ライブはあくまでCDを売る為のプロモーションでした。CDはまだミリオンが当たり前に出る時代だったので、その延長でライブをやるような。それが2000年代中盤頃からCDセールスよりも、ライブが重視されるようになったという印象があります。
またこの数年で日本のライブのスキルもどんどん上がってきて、「日本が一番緻密にやっているんじゃないか」と言われることもある程です。やはりライブに関する進歩は著しいと思います。



取材:市來孝人
SENSORS Web副編集長