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投稿コメント一覧 (2020コメント)

  • 株主通信届きました。会長と関社長の2枚看板が並んで写っておりました。

  • No.703 強く買いたい

    2021.12.09 06:0…

    2021/12/09 16:53

    2021.12.09 06:05
    企業・業界
    日本電産、工作機械メーカーを次々に買収…業界へ殴り込み、狙うトップの座
    biz-journal
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     日本電産が工作機械事業に本腰を入れる。三菱重工工作機械(現・日本電産マシンツール)を8月に買収したのに続き、中堅工作機械メーカーで創立100年あまりの老舗OKKを買収する。OKKが実施する第三者割当増資を引き受ける。株式の取得額は54億円で、出資比率は67%となる。2022年1月をめどに子会社にする。OKKは調達した資金で老朽化した兵庫県伊丹市の工場を建て替える。

     OKKは自動車関連向けの中小型マシニングセンター(MC)を主力とする。日本電産マシンツールは大型工作機械に強みがあり、両社を傘下に置くことで、中小型の汎用機の製品のラインナップに厚みを増し、総合的な提案力で勝負できるようになると説明する。

     大手工作機械メーカーが海外で売り上げを伸ばすなか、OKKは国内が中心で、これが結果的に業績の悪化を招いた。OKKは最盛期には売上高436億円(1991年3月期)、営業利益58億円(07年3月期)をあげたが、グローバル化に失敗し、売り上げは急減。新型コロナ前の20年3月期の売り上げは213億円、営業利益は1億円、最終損益は91億円の赤字に転落した。

     新型コロナ禍の影響が色濃く出た21年3月期には、棚卸資産の過大計上による不適切会計が判明し、決算発表と有価証券報告書の提出が大幅に遅れた。9月、東京証券取引所はOKKを監理銘柄に指定。10月12日までに有報を提出できなければ上場廃止になる可能性があった。10月6日に発表したOKKの21年3月期連結決算は、売上高が前期比43%減の120億円、営業損益段階で27億円の赤字に転落、最終損益は引き続き24億円の赤字だった。

  • 死ぬほど働かないと運はめぐってこない
     ――「運が7割」とも書かれています。

     この話をすると「人生は運」だとバカなことを言う人がいるが、7割の運に近づくのに絶壁がある。死ぬほど働かないと運はめぐってこない。逆に3割ものすごく努力をしたら、運やチャンスが次々とくる。だから困難に近づいていかないといけない。

     ところがたいていの人は困難から逃げてしまうから、運がこない。困難はみんな近づきたがらないが、困難のなかに運がある。

     世の中はよくできている。悪いことがあったら、いいことは2回あると言っているが、それが私の真理だ。私のように波瀾万丈な人生はものすごくいいこともあれば、死ぬほど苦しいこともある。でも多くの人は大きな困難もなかった代わりに大きないいこともない。

     よく調べればいいことと悪いことはみんなプラスマイナスゼロだが、「私の人生は悪いことばかり」という人は大きな喜びがない分、悪いイメージしかないということだ。

     ――75歳を迎えた一昨年に125歳まで生きる決意をして、新50年計画を立てましたが、今でも永守さんは困難にぶつかっていますか。

     毎日困難がありますよ。もともと「〝兆円企業〟」が目標だったが、新50年計画で次は100兆円を目指す夢をもっている。そこまで生きられるかどうかは神様がお決めになることだが、足元でコロナ禍がやってきたりといろんな問題が起きている。ただ私は「足元悲観、将来楽観」と言っている。先にものすごく明るいものがみえているとそう思わないとできない。

     これから会社を大きくするために人を集めなければいけないが、人材は不足している。もっと会社が大きくなるはずだが、ものすごい数の人を集めないといけない。中途入社もいるが、私が京都先端科学大学を運営するようになったのは10年先の人を自ら育てていきたいと思ったからだ。

    (インタビュー後編に続く、12月10日配信予定)

  • 当たり前のことを当たり前にやる
     ――永守さんは経営不振に陥った会社などを買収して何社も再生させてきました。

     今年の8月に買収完了した三菱重工工作機械(現日本電産マシンツール)も赤字が続いていたが、買収して2カ月目の9月には黒字化した。「永守3大経営手法」というものがあり、『成しとげる力』の中では「千切り経営」「家計簿経営」「井戸堀り経営」として紹介しているが、それをそのとおりにやらせただけだ。

     当たり前のことを当たり前にやっている。例えば、ある大企業は経営不振に陥ったときでも部長クラスは全員グリーン車に乗って出張し、タクシーチケットも毎月3冊もらったりして、それだけで何億円もかかっている。まずはそういうところから切らないといけない。

     日本電産はリーマンショックが来たときにまだ数百億円の利益をあげていたが上場企業で最初に賃金カットをした。そして、真っ先に利益を回復させて賃金カット分をあとから利息をつけて従業員に返した。

     ――経営不振に陥る大企業は派閥の権力闘争を繰り返しているケースがあります。

     敵(競合)とけんかしないで、社内でばかりけんかして調整に難儀する企業が多い。力がある人が多くてもマイナスベクトルに働いている。そこに私みたいな狼がいくと、とても厳しいから派閥でけんかしたら両方ともクビにしてしまう。

     大企業では狼が出てこない。狼の社員がいると敵になってしまうから上が辞めさせてしまう。だから大きな組織の中であがる人は狼が羊化したり、逆に狼はつぶされてしまったりする。

     ――人間が何かを成しとげるには高い意識を持つことが大事だということを『成しとげる力』では伝えていると思いました。一方で、「どうせ自分なんて」と卑屈に考えて心が折れてしまう人もいます。

     世の中には過大評価と過小評価が多く、両方とも問題だ。自分の力が100%以上あると過大評価している人は育てにくいし、「私はそんな高い地位に向きません」と過小評価しているのも育てにくい。中庸がいちばんで、素直で謙虚な集団は会社も成長する。

     私は失敗や挫折を経験した人間が好きだ。年齢を重ねた人にはそれまで働いてきた会社では燃焼しつくしていない人やもっとやりたい人がいる。もう燃え尽きた人ではなく、燃え尽きられなかった人を呼ぶといい。

  • だから日本電産でも部下や従業員に「まずは真似しろ」と言っている。プライドがあって真似しない人がいるからだ。

     日本企業の99.9%が三低企業という低成長、低株価、低収益で営業利益5%以下のようなところだ。一方で私が「3K企業」と呼ぶ高成長、高収益、高株価の企業が日本の時価総額ランキング30位以内に入っている場合もある。よく「永守さんは経営幹部の首を切っている」と言われるが、切っているのではなくついてこられないだけだ。学んできた人が上に来ているわけで、「一生懸命学べ」と伝えている。

    リーダーは狼になれ
     ――経営者やリーダーは夢が必要だということですが、いちばんになれるリーダーの条件は?

     リーダーは狼にならないといけない。リーダーは人を引っ張り、たくさん集め、自分の考えているとおりに動かせることが基本だ。部下は全員が羊でも、トップが狼であれば勝てる。

     それも自らが率先して集団の先頭に立っていかなければいけない。歴史においても第2次世界大戦中にアメリカの戦車部隊を率いたジョージ・パットン将軍はいつも先頭に立った。日露戦争中の激戦、二〇三高地の戦いでは乃木希典将軍は前線を知らずにずっと後方で指揮をしていたが、児玉源太郎将軍は戦場の前線まで行って指揮して勝ったという。

     ――会社で言えば、経営者が会議室にこもって鉛筆なめなめしているだけではダメだと。

     それは最悪だ。これまで名だたる名門校の出身の社長候補を見てきたが、経営学は学んだといっても彼らは全然現場に行かないし、泥の中に手を入れない。経営学部の教授が会社の経営をすれば成功できるかといえばできない。

     だから現場を知っていないと戦いには勝てない。現場を知るということは誰が活躍して、何をやっているかわかるということだ。またご飯を食べさせてくれるところに人は集まる。会社で言えば、利益が上がって待遇がいい会社には人が集まる。ご飯を食べさせてあげられないところに人は集まらない。

  • ――やりたいことを絞り込むことや夢を目指して歩み出すのはかなり勇気がいることです。力の源泉は何でしょうか?

     やはり理想と夢と希望があることだ。

     私は28歳で独立して社長になった。社長になろうという最初の動機は子どもの頃に友人にお金持ちの家の子どもがいて、その子の家に行くと彼らはおいしいものを食べていた。私は貧しく汚い服を着ているのに、友人はステーキやチーズケーキを食べて、詰襟の服を着ていた。「お父さんは何しているの?」と聞いたら「社長だ」と答えてくれた。そこで「将来は社長になる」という思いが芽生えた。

     その後、「君のお父さんに会わせてほしい」とその友人にお願いして、社長を務めているというお父さんに会って話を聞くことができた。彼はいかに「簡単じゃないか」という、社長としての苦労を教えてくれた。荷車を引いていた昔の写真を見せてもらいながら「よっぽど今からよく頑張っていかないと無理だぞ」と。

     そういう苦労をあまり知らずに簡単に独立する人もいるが、会社が大きくなってこない。それは基礎ができてないからだ。

     私は中学、高校にいたときから自分は将来独立したいと人生計画を作っていた。逆に言えば、自分の将来の姿が見えているわけだ。働いて独立するんだから別に一流大学に入る必要はないという考えがあった。そして会社を創業したときに社員3人に「1兆円企業をつくる」と訓示して、1人が「社長、1億円の間違いなんじゃないですか?」と聞かれたぐらいびっくりされた。それも50年後を目標にしていたが、41年で実現した。

     ――永守さんが23年ぶりに上梓した著書『成しとげる力』のなかでは先輩経営者としてオムロン創業者の立石一真氏や京セラ創業者の稲盛和夫氏の名前を挙げています。永守さんも彼らから学んだのでしょうか。

     彼らは完全な狼だ。学ぶというより、最初は真似をして学んでいった。「この場合はどうしたらいいか」と聞いても教えてくれない。「考えてこい」と言ってきて、私が「どういう方法でやるのか決めた」と話せば、「それやったらいいだろうくらいは言うよ、でも答えは教えられない」と。

  • 永守重信「理想と夢なくしては成しとげられない」 日本電産創業者が説く生き方・経営・運のつかみ方
    2021/12/07 08:00
    東洋経済
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    永守重信氏が率いる日本電産は創業からおよそ半世紀、売上高1兆6000億円以上、世界に300を超えるグループ企業と従業員11万人以上を抱える世界一の総合モーターメーカーだ。

    1973年に自宅の六畳間で、たった4人で立ち上げた会社を「〝兆円企業〟をめざす」「精密小型モータの分野で世界一になる」との宣言どおりに発展させた永守氏は生き方や経営についてどのような考えをもっているのか。

    11月に23年ぶりの書き下ろし著書である『成しとげる力』(サンマーク出版)を上梓した永守氏に話を聞いた。前後編にわたってお届けする。

    いろんなことを捨ててやることを絞り込んできた
     ――『成しとげる力』のタイトルのように永守会長は多くの目標を実現しました。

     成しとげるというのは、自分の抱いている夢を実現させることだ。そして物事を成しとげるには、ものすごい苦労の道を行く必要がある。世界一の山、エベレストに登ろうと思ったら、日頃からものすごく訓練していくしかない。

     私がどういう生活をしてきたかといえば、いろんなことを捨ててやることを絞り込んできた。例えば「会社も大きくしたい」「ゴルフもしたい」「飲み屋も行きたい」などたくさん考えてもやることはできない。健康であるためには大酒を飲むことやたばこを吸うのも良くない。5つやりたいことあったら、4つは捨てないといけない。何を優先するか絞り込む必要がある。

  • 金力永磁、日本電産のEVモーターにレアアース磁石を供給へ
    サーチナ
    2021年12月9日 13:12
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    中国のネオジム磁石メーカー、金力永磁(300748)は6日、電気自動車(EV)用モーターの開発を進める日本電産からレアアース磁石のサプライヤーに選ばれたことを明らかにした。
     
     金力永磁は公告の中で、4日に日本電産の車載事業本部からレアアース磁石材料サプライヤーの指定通知書を受け取ったとした。そして、日本電産について「世界で高い実力を持つ総合モーターメーカー」と評するとともに、同社がEV用モーターの開発に取り組んでおり、2019年4月にはモーター、インバーター、減速機を一体化したEV用トラクションモーターシステム「E−Axle」の量産を開始、20年12月までにおよそ10万台のEVに同システムが搭載されていると紹介した。
     
     その上で、今回、日本電産の車載事業部門からサプライヤー指定を受け、高性能なレアアース磁石製品を同社に供給するようになることで、金力永磁が新エネルギー自動車分野を始めとする関連市場をさらに開拓する上で、ポジティブな影響を産むことになるだろうと述べている。
      金力永磁は江西省贛州市に本社を置くネオジム磁石の製造、販売企業で、2008年に創設された。15年に中国の店頭株式市場「新三板」に上場、18年には深セン証券取引所に上場。今年8月には香港証券取引所に上場申請を行っており、現在認可待ちとなっている。

  • 工作機械市場は有望、安い買い物
    日本電産や日本電産マシンツールの社員のうち、工作機械の使用経験がある技術者は皆一様に、「OKK(の製品)はものが良い」と評価するという。たとえ赤字会社でも、高い技術力とそれを支える人材がそろったOKKをわずか約55億円で手中に収められるなら、永守会長にとっては「安い買い物」ということだろう。

    同会長は工作機械市場を有望視している。日本の大手工作機械メーカーは世界的に高い競争力を誇る。実際、DMG森精機やヤマザキマザック、オークマ、牧野フライス製作所は、国内市場にとどまらずグローバル市場でも成功を収めており、その強さは韓国や台湾・中国メーカーを寄せ付けない。しかも、これら4強の顔ぶれはもう数十年変わらない。

    かなりの強敵だが、それでも永守会長は勝機があるとみているようだ。「当社の強みであるコスト競争力をもってすれば、他の大手工作機械メーカーに十分対抗できる自信がある」(日本電産)。

    果たして永守会長の思い通りにいくか。工作機械は息の長い製品であり、アフターサービスを含めて顧客との信頼関係が大きく物を言う。ラインアップを拡充しただけで、簡単に信頼関係を構築できるわけではない。永守会長の野望を実現するには、持ち前のコスト競争力に加えて、顧客との間で信頼関係をいかに構築するかが課題になる。

  • 2021/11/29 13:12

    OKKを取り込んで営業力強化
    その理由は、製品ラインアップを補完するためだ。大手工作機械メーカーの一角に食い込むには、今の日本電産には足りないものがある。それが、幅広い製品ラインアップである。

    先の通り、日本電産は三菱重工工作機械をグループに取り込んで日本電産マシンツールを立ち上げた。ところが、同社の製品ラインアップには偏りがある。

    大型MC(門形五面加工機)や横中ぐりフライス盤などの大型機や、歯車工作機械などの専用機、レーザー加工機や金属3Dプリンターといった先端技術の工作機械を持つものの、小型・中型の汎用機(小型・中型MC)のラインアップがない。

    これは、日本電産マシンツールの前身である三菱重工工作機械が、生き残るために付加価値の高い製品にシフトしたことによるもの。小型・中型MCはいわゆるレッドオーシャン(過当競争)の領域にあり、価格競争が激しく利幅が薄いからである。

    一方、それが業績を苦しめた一因でもあったが、OKKの主力製品は小型・中型のMCである。すなわち、今の日本電産マシンツールがそろえる製品群に、OKKが持つ製品群を補完すれば、他の大手工作機械メーカー並みの「フルラインアップ企業」に限りなく近づけるのである。これにより、日本電産は営業力を強化する考えだ。

    同社によれば、大手の顧客は複数の工作機械を1社からセットで購入することが多いという。そのため、製品のラインアップが乏しいと、フルラインアップメーカーである他の大手工作機械メーカーに売り負けてしまう。そうした事態を回避するために、永守会長は、日本電産マシンツールの製品ラインアップを補完できるOKKの買収に踏み切ったというわけだ。

  • 2021/11/29 13:11

    グローバル化に失敗したOKK
    日本電産が今回買収を決めたOKKは、日本の中規模工作機械メーカーだ。小型から中型のマシニングセンター(MC)をメインに、加工品質や安定性の高さで顧客ニーズを満たしてきた。だが、肝心の営業面でつまずいた。主因はグローバル展開の遅れだ。

    大手工作機械メーカーが海外市場での売り上げを伸ばす中、OKKは国内市場中心の販売から脱せず、海外市場の受注を増やせなかった。

    おまけに国内の顧客が生産の海外シフトを加速させたため、OKKの国内市場の売り上げは縮小。たまらず在庫の削減や損益分岐点の引き下げ、製造部門からサービス部門への人員の配置転換による営業力の強化といった施策に取り組んだが、追いつかなかった。

    結果、19年3月期に6億3100万円だった営業利益は、20年3月期には1億4100万円と大きく落ち込んだ。さらに翌21年3月期には新型コロナ禍の影響が加わり、27億5500万円の営業赤字に転落している。22年3月期も3億4000万円の営業赤字の予想だ。

    売上高も新型コロナ禍前の213億円(20年3月期)から、22年3月期には157億円にまで落ち込む見込みとなっている。売り上げが大幅に落ちた赤字会社であるOKKを、なぜ永守会長は買収したのか。

  • 「1番以外はビリ」日本電産、工作機械最大手への挑戦
    コラム
    2021年11月29日 5:00 nikkei
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    日本の大手工作機械メーカーの一角に食い込む──。日本電産の永守重信会長が、大胆な「次の一手」を打った。8月に傘下に収めた三菱重工工作機械(現日本電産マシンツール)に続き、11月18日にOKKの買収を決めた。大正4年(1915)年生まれ、創業106年目の老舗の中堅工作機械メーカーを約55億円で傘下に収める。

    DMG森精機を脅かす存在になるか
    永守会長は10月、工作機械事業の売上高を2026年3月期に1000億円に伸ばす目標を打ち出した。この数字に今回の「OKKの買収の分は含まれていない。同社の売り上げを回復させ、さらに伸ばせば、早い段階で売上高1000億円は楽に超える」(日本電産)。

    永守会長はさらにその先を狙う。同会長は11月18日、工作機械事業の売上高の目標を2倍以上に引き上げたもようだ。これを実現すれば、業界3位のオークマと4位の牧野フライス製作所を抜く可能性が出てくる(業界2位のヤマザキマザックは非上場のため、売上高は不明)。

    永守会長の打ち出した「売上高の新たな目標は、恐らく(オークマを抜いて)トップ3に浮上することを意識したものだろう」(日本電産)。

    ただし、これも永守会長にとっては次のステップに過ぎない可能性がある。「1番以外は皆ビリや」というのが同会長の口癖だからだ。工作機械業界のトップはDMG森精機だ。「まだ社内で明言こそしていないが、会長の頭の中には当然、それ(DMG森精機を抜いて1番になるという目標)があると思う」(日本電産)。

    DMG森精機は、18年12月期に売上高が5000億円を超えてピークに達したが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で19年12月期は3282億円に落ち込んだ。回復基調にはあるものの、21年12月期の売上高は3800億円の見込みとなっている。

    日本電産が持つ買収企業の再生・成長力と、一層のM&A(合併・買収)力を駆使すれば、近い将来に工作機械業界の最大手であり世界一でもあるDMG森精機の座を脅かす存在にまでのし上がる可能性も否定できない。

  • マザーマシンとも呼ばれる工作機械は精度や品質を特に重視する傾向が強く、日本勢やドイツ勢などが高い世界シェアを持つ。ただ、精度の重要性が高すぎるあまり、コストや納期に対する意識の面で「少し弱くても生き残れた」(工作機械関係者)。

    競合相手となる工作機械大手のオークマの21年3月期の売上高営業利益率は4%、DMG森精機は3%(20年12月期)。日本電産の10%に比べて見劣りする。「工作機械メーカーの低い利益率が不思議でたまらない。我々がやればもっともうかる」と永守氏は強調する。日本電産がコスト競争力を武器に、大手のシェアを浸食する可能性がある。

    ただ、OKKの21年3月期の売上高は120億円でマシンツールと合わせても300億円強にすぎない。3000億円を超えるDMG森精機や1000億円超のオークマなど大手に規模では及ばない。

    日本電産は26年3月期までに工作機械分野などの設備投資やM&A(合併・買収)に1千億円を投じる計画を掲げる。M&A手法に定評のある日本電産がOKK買収で工作機械業界にどのような変化をもたらすのか注目される。

    (福冨隼太郎)

  • 「殴り込めば必ず勝てる」日本電産、OKK買収の胸算用
    2021年11月18日 15:49
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    三菱重工工作機械の買収で工作機械事業に参入した(滋賀県栗東市の日本電産マシンツールの工場)
    日本電産が工作機械事業に本腰を入れ始めた。18日、OKKを買収すると発表した。8月に買収した三菱重工業の工作機械事業と合わせて製品群の幅を広げ、工作機械市場に攻勢をかける。「この業界に殴り込めば必ず勝てる」と意気込む永守重信会長が率いる日本電産が台風の目となる可能性もある。

    OKKが実施する第三者割当増資を日本電産が引き受ける。取得額は約54億円。増資引き受け後の持ち株比率は約67%となる。OKKは自動車部品向けなどに中小型の工作機械を手がける。加工能力の高さや研削加工ができるマシニングセンターなどの技術が評価を得てきた。

    三菱重工から買収した日本電産マシンツール(滋賀県栗東市)は大型工作機械が強みで、OKKは中小型の工作機械を得意とする。両社を傘下に置くことで「総合的な提案力が格段に増す」(日本電産)と説明する。

    「1番になれると自信を持つようになった」と永守氏が工作機械事業で手応えを感じるきっかけになったのが、マシンツール買収後に自身が乗り込んだPMI(統合作業)の成果だ。

    当初はマシンツールの歯車関連技術に着目し、日本電産が主力事業として投資を集中させている電気自動車(EV)向けの部品を内製化したり技術を獲得したりすることを狙いとしていた。

    だが、日本電産流の徹底したコスト管理手法を導入すると、赤字だったマシンツールは買収から数カ月で黒字化。永守氏は「工作機械そのものにビジネスチャンスがある」と直感。欧州やアジアなどに生産拠点を増やし、2026年3月期には1000億円の売上高(21年3月期は約200億円)を目指す計画を進めている。

    OKKは海外展開が遅れており、「海外需要の高まりに追随できず事業規模が縮小した」(日本電産)。今後は、マシンツールの海外工場を活用して海外生産の比率を高める考えだ。

  • 2021/11/18 11:04

    日本電産、OKK買収を発表 出資比率約67%に
    2021年11月18日 10:49
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    日本電産は18日、工作機械のOKKを買収すると発表した。OKKが実施する第三者割当増資を引き受ける。株式の取得額は約54億円で、株式所有割合は約67%となる見込み。OKKは中小型の工作機械が強みで、日本電産は三菱重工業から買収した工作機械事業との相乗効果を狙う。

    OKKは増資完了後も上場を維持する見通し。日本電産は2022年1~6月に株式の取得金額を払い込む。

    OKKは調達資金を、老朽化している兵庫県伊丹市の工場建て替えなどに充てる。同社は海外展開の遅れなどで業績が悪化し、22年3月期は3期連続の最終赤字となる見通し。不適切会計が発覚し9月に東京証券取引所が監理銘柄に指定。10月に解除されたが、経営再建が急務だ。

    日本電産は8月に三菱重工工作機械(現日本電産マシンツール)を買収し、工作機械事業に参入した。OKKの製品を加えることで「切削除去加工に対する総合的な提案力が格段に増す。マシンツールの製造拠点を活用した効率化や生産能力の拡大も見込める」としている。

  • 自動車メーカーを下請けに
     2020年11月に開催された「世界経営者会議」で、永守会長から飛び出した言葉は刺激に満ちていた。

    「自動車産業は日本の基幹産業であり、世界的な競争に勝ってもらいたい。系列取引から脱却してもらわないといけない。2030年以降に自動車の過半数がEVになると(価格競争が起きて)自動車価格は現在の5分の1程度になるだろう」

    「自動車メーカーがハードで競争する時代は終わり、自動運転などソフトでの競争になる。ハード部分は我々のような専業メーカーに任せてもらいたい」

     立教大学ビジネススクールの田中道昭教授前出の田中教授はこう読み解く。

    「『自動車価格は5分の1になる』のが現実的かどうかはともかく、自動車がコモディティ化(機能や品質に差がなくなり、一般的な商品になること)することを示唆しています。こうした今の流れを意識して戦略を立てることができるのかが今後の生き残りのカギとなりますが、同社にはそれがあると思います」

     日本電産社長の関潤氏(元日産自動車副社長)は4月の決算発表会見で、駆動ユニットやパーツの標準化が進むと、自分たちがメーカーの仕様に合わせるのではなく「我々が作るモーターに対して顧客が合わせてくるのではないか」と述べていた。

     日本電産の躍進は、これまでピラミッドのトップにあった大手自動車メーカーからすると“下克上”と映るかもしれない。EV開発に携わった経験のある白方雅人・東北大学未来科学技術共同研究センター特任教授がいう。

    「モーターに合わせてクルマを設計、開発するとなれば、既存の自動車メーカーとしては面白くないでしょう。今まではエンジンを自社で開発し、それに合わせてクルマを設計していたわけですから、日本電産のモーターで車を設計、開発するとなれば、自動車メーカーが一種の“下請け”のような立場になるので、逆転したように感じるかもしれません」

     しかし、新興EVメーカーが続々と登場するようになれば、既存の自動車メーカーも価格破壊の波に巻き込まれていく。コストダウンのために日本電産の駆動ユニットを購入せざるをえなくなるかもしれない。

  • 日本電産がトヨタの最大のライバルに モーターメーカーが狙う下克上
    2021/11/05 07:15
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    自動車産業に「100年に1度」といわれる大変革期が訪れている。EV(電気自動車)化の波が押し寄せるなかで、エンジンからモーターへの変化をチャンスと捉え、大いなる野望を叶えようとしているのが日本電産だ。

     世界のEV市場が急拡大するなかで、日本電産の動きは日本の大手自動車メーカーを尻目に頭一つ抜けていた。永守重信会長(77)は早くからEVの時代を予見して、大波を受け止める体制を築いてきた。

     いま同社が中核事業の一つに位置づけているのがEV用駆動モーターで、2030年には世界シェア40~45%を目指すとしている。EVシフトの大波にうまく乗れば、永守会長が掲げる「2030年に売上高10兆円」も決して夢ではないという。

  • 日本電産・永守氏「会社の後継、野心家でないと難しい」
    2021年10月15日 20:15
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    日本電産の永守重信会長は15日、京都市内で開かれた西日本経済同友会の懇談会で講演した。永守氏は後継者の育成について「簡単ではない。大きな目標を持った野心家でないと難しい」と指摘。自身が日本電産を成長させた経験や京セラ創業者の稲盛和夫氏を例に「大きな会社をつくる人は働き方が違う」などと語った。

    懇談会は教育をテーマに、関西や九州などの会員企業の経営者らを集めて国立京都国際会館(京都市)で開かれた。会場で400人以上、オンラインで200人以上が参加した。2020年は大阪で開催予定だったが新型コロナウイルス感染拡大のため中止していた。

    基調講演した永守氏は「夢をかたちにしようと真剣に考えている。物事はすべて理想から始まる」と、日本電産が30年に売上高10兆円を目指していることに触れ、「50年後には100兆円を目指したい。その坂を上っていくのが楽しい」と語った。そのうえで「経営で一番大事なのは従業員。目先の教育だけでなくロングタームでやらなければならない」と強調した。

    自身が運営法人の理事長を務める京都先端科学大学についても言及し、「日本電産でクリエーティブな製品を作る人は必ずしもブランド大学出身ではなかった」と大学経営に乗り出した理由を語った。22年春に開校するビジネススクールについては「少人数授業で本当の経営ができる人材を育てる」と述べた。

    懇談会では京都大学の山極寿一前総長、堀場製作所の堀場厚会長兼グループ最高経営責任者(CEO)らによるパネルディスカッションも実施した。

  • また、現在ピラミッドの頂点に立つ大手メーカーは強力な立場を維持する。ブランドが認知されているだけではなく、追随が困難な技術と経験もある。

    伊藤忠総研の深尾三四郎上席主任研究員は「自動車大手には全体をまとめて安全を保証する力がある。鴻海は有力な供給業者を集めることがそれに代わると思っているのかもしれないが、正しくない」と話す。

    コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーのパートナー、レイモンド・ツァン氏は、自動車が多くのオプションを提供している点を指摘する。色、内装、後付け機能を指定でき、製造ラインは1台ごとの仕様で車を作る。標準化されたスマホの組み立てとは異質なものだ。

    もちろん、劉氏が行った多数の提携、特にステランティス、吉利、フィスカーとの合意は、鴻海が自動車製造の経験を積み、規模の経済を獲得し、電池などの部品を確保するのに役立つだろうとカウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチのアナリスト、ソーメン・マンダル氏は指摘する。ただ、「鴻海は信用を得るために、世界最高レベルの製品を作る必要がある」と付け加えた。

  • 従来のピラミッド構造に挑戦する取り組みも主導している。20年10月、「開放的なEV同盟」と呼ぶ取り組みを始めた。「モビリティー・イン・ハーモニー」を意味するMIHコンソーシアムは、業界標準を策定し、新車開発の時間と費用を大幅に削減できる「キット」の開発を目指す。

    コンソーシアムには米クアルコム、マイクロソフト、世界最大の車載電池メーカーである中国の寧徳時代新能源科技(CATL)など1800社以上が集まった。キットは年内に自動車メーカーへの出荷を始める計画だ。鴻海と裕隆汽車の合弁会社フォックストロンは、MIHを台湾南部で22年から走行する電動バスの試作車設計にも使う。

    コンソーシアムの主要メンバーで、自動運転システム開発のティアフォー(名古屋市)創業者である加藤真平氏は「MIHがやろうとしているのは、従来のサプライチェーンのようなパートナーの連携を作ることだ」と説明する。「EVに関して言えば、世界の巨大自動車会社はもはや必要でないかもしれない」

    ただし、こうした連携が鴻海のメリットになるかどうかは疑問が残る。

    台湾経済研究院(TIER)のアナリストで長年鴻海をみてきたチュー・シーファン氏は「部品供給業者はMIHを通じてEVの供給網に参入できるが、MIHが機能するかどうかは技術力次第だ」と語る。

    日本電産は鴻海と合弁企業を作る交渉中だと発表したが、自動車業界での役割は、はるかに大きい。同社のモーターはコンピューター、スマホから家電まであらゆる分野で使われているが、30年にはEVの駆動モーターの45%の供給を目指すと公言している。

    台湾の広達電脳(クアンタ)や和碩聯合科技(ペガトロン)は、多くの自動車メーカーに電子制御装置(ECU)を供給している。電源管理の台達電子工業(デルタ電子)は、EVの電源やモーターまわりに10年以上注力してきた。

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