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<正しいのはどちらか>
今は失業率が非常に低水準になっていることや、物価上昇率の低さ、債券市場が逆イールド寸前、世界経済はさえないといった点でも1998年を彷彿させる。
当時の方が世界経済と金融市場の緊迫度は高く、米経済への悪影響の波及具合も明白だ。しかし国際通貨基金(IMF)などは最近、今年は世界的に経済見通しが「脆弱」だと警鐘を鳴らし、金融市場はリセッションの可能性に対する警戒感を強めていることが分かる。
こうした環境であれば、一段の弱気サインが出てくれば、FRBがそれに対応して景気拡大を途切れさせないために利下げするというシナリオは容易に想定できる。
もちろん米経済が一時的なソフトパッチを乗り越え、今年後半には潜在成長率を上回る成長ペースが続き、来年に物価が押し上げられるリスクが生じてFRBに再び利上げを促す事態もあり得る。
米国と中国が貿易協議で合意に達すれば、株式投資家や企業経営者を覆っていた不透明感の重要な原因の1つが取り除かれる。急減速していた欧州とアジアの経済が持ち直すとともに、世界的に貿易はまた加速してもおかしくない。
また原油価格が上昇基調に戻るかもしれない。消費が増え、石油輸出国機構(OPEC)の減産に伴って需給が引き締まるからで、それは世界的な物価上昇圧力をもたらすことになる。
こうした展開になれば、ダドリー氏の正しさが証明される。つまりFRBはまだ利上げを打ち止めにしないだろう。
現在の米景気拡大は既に117カ月に達しており、今後1991─001年に記録した過去最長の120カ月を超える可能性はある。しかし全体的に見て、多くの投資家はFRBがしばらく政策金利を据え置き、今年終盤か来年に景気の弱くなるのを踏まえて利下げすると考えている。