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ノキア【NOK】の掲示板

フィンランドの通信設備大手ノキアのペッカ・ルンドマルク最高経営責任者(CEO)は日本経済新聞の取材に応じた。次世代高速通信「6G」について「2030年に実用化されるだろう」と述べ、医療応用などに期待を示した。

ノキアは基地局インフラの世界シェアでスウェーデンのエリクソン、中国の華為技術(ファーウェイ)と3強を占める。5月には場所を限定して使う「ローカル5G」の実証設備を日本で研究施設に導入した。製造業やエネルギー業界向けに人工知能(AI)と高速通信を組み合わせ、生産性を高める提案などにつなげる。

次世代通信の開発も進める。6Gの具体的な使用例としてルンドマルクCEOは「センサーを使って体から様々なデータを取り出して活用し、医療が劇的に改善する。人はユーザーではなくインターネットの一部になる」との見方を示した。

次世代通信では超高周波の電波「テラヘルツ」や「マッシブマイモ」という通信基地局を効率化する技術も注目を集める。「機械の振動をセンサーでナノ(10億分の1)秒以内に検出すればロボットやドローン、自動運転車の高度な制御が可能になる」と指摘した。

脱炭素化も急ぐ。ノキアは高速処理を可能にする新しい半導体を載せた製品のほか、水冷式の基地局の廃熱を建物の暖房に再利用する開発をKDDIなどと進める。基地局の通信負荷が低いときに消費電力を自動で減らす技術も開発している。「基地局の二酸化炭素(CO2)排出量を80%削減できる」と自信をみせる。

通信基地局事業ではウクライナ侵攻に伴いロシアから撤退した。ルンドマルクCEOは「ノキアは(企業として)民主主義や法の支配を重視している。侵攻当初から事業の継続が不可能なのは明らかだった」と話した。

ウクライナでは通信を維持する取り組みを続ける。「多くの有志のノキア社員がおり、戦争で通信ネットワークがダメージを受けた際には現地に行って修理し、顧客の通信事業者とともに維持してきた」と明かした。

ウクライナ侵攻の影響について、ルンドマルクCEOは「通信ネットワークは国家の安全保障に関する戦略的なインフラだ。政治的な分断が進んでおり、受け入れなければならない」と述べた。

これまで新しい通信技術の規格づくりや標準化は世界で協調していた。「国際通貨基金(IMF)は技術の断片化によって多くの国で国内総生産(GDP)が5%減ると推定する。国際協力や共通のルール、法の支配の重要性や価値は高まるばかりだ。世界的な標準規格の細分化につながらないように願っている」と話した。