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リニア・テクノロジー【LLTC】の掲示板

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13年には研究者らにより「技術設計報告書」がまとまり、東北地方の北上山地が建設候補地になっている。科学的な成果に加え、2兆円を超す経済効果が生まれるとの試算もある。数千人規模の科学者が世界から集う研究拠点が形成され、東日本大震災で被災した東北の復興にも貢献するとの期待が強い。

このため東北の自治体などがILC誘致を強く要望。文科相も務めた河村建夫元官房長官ら政界にも計画を推進する関係者は多く、産業界にも待望論がある。こうした強い期待と費用負担などを巡る懸念の声の間で板挟みの状態にあるのが、政府が置かれた立場だ。

政府内でも「科学界の支持がない中では積極的に誘致には動けない」との声が聞かれる一方で「推進論も無視はできない」という意見もある。文科省は関係省庁などと協議し政府としての対応を検討する考えだが、すんなり合意形成できるとは考えにくい。

では今後、どう検討が進むのか。柴山文科相は1月25日の会見で「マスタープラン」と呼ぶ計画に言及した。同プランは日本学術会議が科学界の総意を踏まえてまとめる大型研究プロジェクトの推進計画だ。通常、ILCのような巨大な事業はこの計画に盛り込まれた後に国の政策に反映されるプロセスをたどる。

柴山文科相は誘致の前提として、マスタープランを策定する中でILCについて議論すべきだとの認識を示した。計画の次期のとりまとめは20年で、検討には時間を要する。文科相は現時点では誘致の是非には踏み込まず、着地点を探るための環境整備を進める意向のようだ。

霞が関によくある「玉虫色」の対応ともいえるが、拙速な判断はやはり避けるべきだろう。

ILCは測定機器などを含む建設費が7000億~8000億円に及び、上振れする可能性も指摘されている。年間の運転費用も400億円近くかかる。米欧などと協力し日本の負担が全体の半分程度に収まるとしても、決して軽くはない。建設開始から研究終了まで30年かかり、影響は将来世代にも及ぶ。