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「初」の敵対的TOB 光と影 (一目均衡)
編集委員 松崎雄典

2019/3/18 17:5

伊藤忠商事によるデサントへの敵対的TOB(株式公開買い付け)が成立した。外資や小規模の企業が買い手となった成功例はあったものの、大手企業同士では初めて成立した案件になった。

伊藤忠のデサント株の保有比率は4割に高まった
株主には期待と不安が入り交じる。ある英系運用会社はTOBに応募して保有株の一部を現金化したうえで、株主として残るという。卸を経由した販売から自社店舗販売に比重を移して株価が大幅高となったゴールドウインのような改革を望んでいる。一方で「経営の混乱が続けば追加売却に動く」と話す。
日本市場で敵対的な買収が成立する機運が途絶えたのは2006年、旧王子製紙による旧北越製紙の敵対的TOBだった。三菱商事が北越の第三者割当増資を引き受け、旧日本製紙は北越株を市場で買い集めてTOBを阻止した。資本の論理より業界の秩序の維持が優先された。
あれから13年。市場環境は変わった。他社を守ろうと持ち合い株を買い増せば資金の無駄遣いと自身の株主に問われる。社外取締役は株主の利益につながる買収提案なら賛成しなければならない。社会的にも買収を「乗っ取り」と受け止める風潮が和らいだ。