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社歴65年、あっけない最後 印刷会社を襲った連鎖倒産

周囲に高層マンションが立ち並ぶ東京・東池袋の一角に本社を構える東京スガキ印刷(東京・豊島)が4月4日に東京地裁へ自己破産を申請した。一族経営で60年以上にわたり事業を続けてきたが、今年に入り相次いで取引先が倒産したことで多額の焦げ付きが発生。事業継続を断念した。

新型コロナで外食向け需要減少、赤字に

同社は1959年3月に設立された。初代代表には都内で印刷事業などを手がけていた堀内一族の堀内豊規氏が就いたが、同年10月に同氏が死去したため妻が代表に就任。62年には長男が継いだ。ただ、厳しい経営状態が続いていたようで、64年8月に資金ショートを起こしてしまう。そのため堀内一族による経営を断念し、代わって須垣一族が新役員に就くこととなり、代表に須垣久作氏が就任した。

この時期は高度経済成長期の真っただ中で、国内の印刷市場は急拡大を続け、技術も進化を遂げていった。業績を拡大させるなかで、須垣家2代目となる須垣久三氏が67年に代表に就任。79年には大手印刷会社から雑誌の表紙や帯の受注などに対応するための関連会社を設立。さらに85年には埼玉県三芳町に「三芳工場」を完成させた。

現在の本店社屋は2008年に新築され、近年の事業内容は、カタログやポスター、パンフレットを中心にメニュー、ステッカー、カレンダーなどの商業印刷をはじめ、化粧品・健康食品の化粧箱などのパッケージのほか、店頭ディスプレー・広告の印刷、書籍・雑誌、フィルムなどの印刷も手がけ、それらを企画からデザイン、組み立て、配送に至るまでワンストップで請け負っていた。

判明している08年から23年までの16期分の年売上高の推移をみると、09年に20億円、17年には25億円を突破し、18年は28億4600万円を計上していた。

一方、純利益は19年まで一貫して黒字だったものの、同業者間の競争激化に伴う価格抑制などの影響もあってか、その額は毎期数百万円程度で、ほとんど採算いっぱいの状態だったとみられる。

  • >>6842

    20年に入ると新型コロナウイルスの感染拡大が追い打ちをかける。コロナ禍では緊急事態宣言が発出されるなど人流が大きく制限され、各飲食店が長期間にわたり休業や時間短縮営業を余儀なくされた。これにより当社の主力取引先となっていた大手外食チェーン企業をはじめとする飲食関連の受注が大きく減少したほか、その他の業界においてもイベントの中止・延期や広告の自粛が続いたことや値下げ要請も相まって20年7月期に最終赤字になった。22年同期、23年同期も最終赤字で、帝国データバンクへの信用照会も徐々に増えていった。

    この間、22年9月に須垣家4代目となる須垣正英氏が代表に就任して若返りを図るも業績を好転させるには難しい状況となっていた。23年秋ごろからは資金繰りに窮し、同社株式の一部を保有する株主企業から複数回にわたって総額約3億円を調達することで資金繰りを維持していた。

  • >>6842

    取引先倒産で焦げ付き発生

    こうした厳しい状況のなか、24年に入り取引先2社が相次いで倒産した。1月10日に印刷業の明和ベンディクス(埼玉県川口市)がさいたま地裁より破産手続きの開始決定を受けたことで、約4800万円の焦げ付きが発生。さらに3月1日に大手新聞社の販促グッズの企画・製作を手がけるスピンドル(東京・千代田)が東京地裁より破産手続き開始決定を受け、約640万円が焦げ付いた。

    ぎりぎりの資金繰りがさらに逼迫したため、株主企業に更なる資金支援を要請するとともに事業スポンサーへの就任を打診したものの、いずれも断られ、4月5日期日の支払手形の決済が難しくなってしまったという。

    4月5日の朝、帝国データバンクに「倒産したようだ」との一報が入り、東池袋の本社に向かうと4日付で東京地裁へ自己破産を申し立てたことが記載された破産手続開始通知書が事務所の入り口に貼られ、複数の取引先の担当者が心配そうな様子でそれをみつめていた。申し立て時点の負債は債権者184名に対し17億713万円だった。

    印刷業の倒産、2年間で2倍に

    帝国データバンクの調査によると、23年度の印刷業者の倒産は全国で98件発生し、22年度(59件)から1.6倍、21年度(46件)から2.1倍に増えた。今回の東京スガキ印刷の倒産は社歴や負債規模から24年度を代表する印刷業者の倒産となるだろう。印刷業者の多くは経営者の高齢化と同時に取引先のデジタルトランスフォーメーション(DX)化が進むことで、事業領域の拡大や新たな取引先の発掘を続けないと業績維持が難しい状況になっている。そうしたなかで発生する倒産は、取引先を巻き込む連鎖倒産につながる可能性が高く注意が必要だ。