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バベルの塔
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ケベック州大停電

1989年の磁気嵐の間に、GOES 7によって観測された各物理量の時間変化。モスクワの中性子観測によると、CMEの通過は、フォーブッシュ減少と呼ばれる線量の減少として記録されている。
地磁気の変動によって、カナダのハイドロ・ケベック電力公社の電力網全体が停電した。復興には数ヶ月もかかった。

送電線の大変な長さと、ケベック州のほとんどがカナダ楯状地に位置していた事が、電流が地中に流れることを妨げた。そして、行き先を失った電流は、より抵抗の低い、735kVの送電線に流れ込んだ。続いて変圧器鉄心が飽和し高調波が発生、高調波により調相設備の保護装置が作動、送電停止した。これにより全系の半分の発電能力を失い全系崩壊に至った。

ジェームズ湾の送電網は、90秒以内に非接続状態になり、ケベック州に2度目の大停電を引き起こした。電源消失は9時間続き、のちに電力公社に様々な被害緩和策を実行させる事になった。これらの緩和策には、トリップ電圧の上昇、特別高圧線での直列補償の実装、多様なモニタリング観測と操作手順の更新、が含まれた。他の高緯度地域(北アメリカ、やイギリス、北ヨーロッパなど)の電力会社では、地電流に関連したリスクを軽減するための方策が実行されていた。