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株価動向予想の掲示板

日本株が騰勢を強めた背景要因は、主に3つ挙げられる。そして、そのうち2つは関連づけて議論されている。

1つは、4月10日の植田和男・日本銀行総裁の記者会見だ。総裁は注目されている「イールドカーブコントロール」(長短金利操作)の今後について、諸環境を踏まえると「継続が適当」であると述べた。

日本のエコノミストの間では「4月27~28日の金融政策決定会合ではイールドカーブコントロールの変更はないだろう。もし修正するとすれば、もっと先だ」との見解がもともと主流であり、総裁の発言は驚くことではない。

しかし、海外投機筋の間では「すぐにでもイールドカーブコントロールの修正、あるいは撤廃に動くだろう。それは日本の長期金利が上がるということだから、株安・円高に賭ける」と判断した向きもいたようだ。

そのため植田発言を受けて、ドタバタと株の買い戻しや円の売り戻しが行われたと推察される。とすれば、植田発言による株高は短期買い戻しの色合いが濃く、持続性が乏しいと判断できる。

2つ目は、来日していたウォーレン・バフェット氏が、4月11日に日本経済新聞の単独インタビューに答え、日本株への追加投資について前向きな姿勢を語ったことだ。

確かにバフェット氏は高名な投資家で、その投資手法などを称賛する向きが多いことから、「バフェット氏が日本株をもっと買おうというのなら、何か自分が見落としている日本株の買い要因があるのかもしれない」と、自身の投資戦略を再検討する向きがいてもおかしくはない。

しかし、バフェット氏といえども一投資家にすぎず、その言動ばかりで日本株全般が大きく動くのはやりすぎ感が強い。

このバフェット氏の発言は、3つ目の要因と結び付けられており、そのため日本株の押し上げが進んだ感がある。その3つ目の要因とは、低PBR(株価純資産倍率)企業について、経営改革が行われ、その結果、PBRが押し上がるとの期待だ。

PBRが低いことは、株主から預かった資金(純資産=総資産-負債)に対し、株価が低迷していることを意味する。また、純資産は企業の解散価値を示すので、PBRが1倍を割り込んでいる企業に対して、株式市場が「お前の企業は解散価値ほどの値打ちもない」と告げていることに等しい。

日米で比較すると、日本市場ではPBRが1倍を下回る企業は全体の半数弱に達する。一方、アメリカのS&P500採用企業では1倍割れは15%ほどで、かなり差が大きい。

別の形で述べると、「PBR=ROE(自己資本利益率)×PER(株価収益率)」と分解できる。ROEはその企業の現在の収益性を示す。PERは企業の先行きの収益成長力が高いと見込まれれば高くなる。すなわち、「日本企業のPBRが低い」ということは「日本企業は現在も将来も収益力がない」と市場が判断しているわけだ。