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米国株を楽しむ!の掲示板

米欧でインフレ加速 原油高の追い打ちで株価暴落も
1/30(日) 17:00配信
サンデー毎日×週刊エコノミストOnline

「買い物に行ったとき、急激な値上がりを強く意識し始めたのが昨年の夏ごろだった」と話すのは米オレゴン州在住のジャーナリスト・岩田太郎氏。340㌘のベーコンが4㌦くらいから、8~9㌦(約900~1000円)に跳ね上がったという。品不足の半導体を使用したパソコンの価格も高止まりしており、買い替えがしにくい状況だ。散髪料金も15㌦くらいだったのが、25㌦まで値上がりしている。「これだけ急激な高騰は記憶にない」(岩田氏)。

 西海岸ロサンゼルス(カリフォルニア州)在住のジャーナリスト・土方細秩子氏も「地元スーパーでは店頭の棚がスカスカ。商品の値段も驚くほど上がっていて欲しいものが手に入らない」と困惑する。ロス港近郊ではコンテナ内の商品を狙った略奪事件も頻発。米市民の不満が高まっている。

 ◇日本でも物価上昇へ

 米国ではインフレの指標とされる消費者物価指数(CPI)の上昇率が2021年12月に前年同月比7%上昇と、第2次オイルショック後の混乱が続いた1982年夏以来39年ぶりの伸びを記録した。原油高を受けたガソリン価格もこの1年間で50%上昇、中古車は37%も値上がりした。

 車社会の米国にとっては市民生活への影響が特に大きい。原油高は衣服、肉や野菜・果物などあらゆるモノの生産コストを上げた。そこにコロナ禍による人手不足や物流停滞、住宅高騰といった要因が加わり、物価上昇圧力は当面弱まりそうもない。

 ドイツやフランスなどユーロ圏19カ国のCPI(21年12月)も同5%上昇と統計をさかのぼることができる1997年以降、最も高い伸びとなった。英国も同5・4%上昇で30年ぶりの上昇幅だった。新興国のブラジルでは同10%以上の物価上昇が続く。

 日本も、昨年12月のCPIは同0・8%上昇で4カ月連続。生鮮食品を除いたコアCPIも0・5%上昇した。携帯電話料金の値下げ効果がなくなる4月以降は「コアCPIは1%台半ばに加速するだろう」(斎藤太郎・ニッセイ基礎研究所経済調査部長)。

◇スタグフレーションも

 インフレの局面では、将来的に価値が希薄化する現金よりも、株式や不動産、商品といった投資対象が「インフレ耐性」が高いといわれる。カネ余りを背景に資金流入が続く米株市場では関係者が、インフレ、それに伴う金利上昇が相場に与える影響を注視する。

 株価に対して、成長率はプラス要因、金利とインフレ率はマイナス要因である。ここで金利は住宅ローン金利などさまざまな金利の基準となる長期金利を考える。足元の米長期金利は1・7%(1月25日時点)。これにFRBが目標とするインフレ率2%(一定期間の平均)を足すと3・7%程度になる。これはOECDが予想する今年の米国の成長率3・7%と同水準だ。

 だが、このままインフレがさらに進み、金利も上がった時、成長率がそれより弱ければ、株価に逆風が吹く可能性がある。加えて、年前半の米株のリスクはインフレ要因でもある原油高だ。増産に慎重な産油国と中東の地政学リスクが意識され、ニューヨークWTI原油価格は1月19日に1バレル=86㌦台と7年ぶりの高値をつけた。

 原油が100㌦の水準に近付けば、インフレと景気悪化が同時進行する「スタグフレーション」懸念が強まり、マクロ経済への弱気な見方が台頭しかねない。それを好機と見た投機筋が「空売り」を仕掛ければ、株価暴落もありうる。

 日本株もインフレに左右される。足元は企業が物価上昇を最終価格に転嫁せずに持ちこたえているが、この先も耐え切れるかは不透明だ。