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貼っていくスレ
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米国人の運転好きは変わりつつあり、それに伴って都市の在り方も変化している。過去3年、1人当たりの平均運転距離は年9800マイル(約1万5800キロ)とピークを付けた2004年から約2%減っている。カリフォルニアやニューヨークなどの大都市のある州のほか、ワイオミングやバーモントなどの地方の一部の州でも運転量は減少している。

 急成長する広大な砂漠の大都市で車社会のここフェニックスでさえも状況は同じだ。アリゾナ州交通当局のデータによると、フェニックスのあるマリコパ郡の1人当たりの運転距離は06年から約7%減っている。州全体では11%の減少だ。

 全米で運転量が減少している要因には、人口密度の高い都市部への人口移動、職場に近い場所に住むことや別の輸送手段を好む若者の増加、テレワークやネット通販・ストリーミングの台頭、通勤が不要な年金生活者の増加などが挙げられる。

米国の運転傾向は何十年も経済と同調してきた。好景気のときには運転が増え、リセッション(景気後退)で失職者が増えると運転は減った。

 しかし今は10年以上も景気拡大が続いているにもかかわらず、国民は以前よりも運転しなくなっている。

「 根本的な変化」

 カリフォルニア大学ロサンゼルス校で都市計画について教えるブライアン・テーラー教授は「かなりの景気回復が続いていた09~17年の間も個人の移動量は減少している。これは米国で根本的な変化が起こっていることを示すものだ」と述べた。

1人当たりの運転距離の伸びは、経済が力強く成長していた90年代半ばから既に失速し始めていた。景気拡大まっただ中の00年代半ば、恐らく当時のガソリン価格の上昇が原因で運転距離が減少した。景気後退後の14~16年にやや持ち直したものの、その後は04年の水準を毎年下回っている。

 自動車が依然、米国の圧倒的な交通手段であることに変わりはない。4分の3強の米国人が通勤に車を使用している。国全体では人口増加に伴って総運転距離は増加し続けている。ウーバーやリフトなどの配車サービスは爆発的に普及した。自動車の年間販売台数も近年、過去最高を記録している。
それでも多くのデータからは、米国人の移動手段が変化しつつあることが見て取れる。

 若者は運転免許を取る年齢が以前よりも高くなり、車の利用も減っている。運輸省の調査によると、16~19歳の若者の運転距離が2017年は2001年と比較して24%減少している。20~34歳では22%の減少だ。

 また国民はあまり自宅から出なくなっている。運輸省の調査によると、17年の1世帯当たりの平均通勤回数は90年以降で最低となった。買い物や社交、娯楽活動のための移動回数も減少している。

 国勢調査によると、在宅勤務を毎日する労働者の割合は10年の4.3%から18年には5.3%に上昇している。労働省によると、終日の在宅勤務を時々する人の割合も約15%と以前から増えている。

テレワークやネット通販の台頭

 大手医療サービス会社バナーヘルス(本社・フェニックス)の幹部アン・フォルジャーさんは、在宅勤務のおかげで毎日約3時間かけて通勤する必要がなくなり、運転量が大幅に減ったと話す。買い物もネットでしているため、車で過ごす時間は一段と減っているという。

 「仕事をしていないときは、運動をしたり、家族の行事をしたり、友人を訪ねたりしている」とフォルジャーさんは話す。「ライフスタイルがはるかに豊かになった。雑貨屋で1つの商品を探すために出掛けなくて済むのは便利だ」
バナーヘルスの従業員5万1000人のうち約2200人が毎日テレワークをしており、その他の人も不定期に在宅で働いている。アリゾナ州最大の民間雇用主である同社は、本社も公共交通機関に近い町の中心部に移転し、従業員が通勤しやすくした。人事責任者のナオミ・クレイマー氏によると、移転は人材の確保に役立っているという。

 「当社では週休3日なども検討している」と同氏は話す。「かなり多くの人が手を挙げている」
エネルギー省の予測はこうした傾向が続く可能性を示唆している。全米の運転距離の伸び率は年0.6%と控え目なペースになる見通しで、これは09年の1.5%という伸び率予測から低下している。

移動パターンの変化を受け、都市プランナーは数年前には考えられなかった措置を取っている。都市の道路の車線を減らし、交通を意図的に減速させ、自転車や歩行者、公共交通機関のための空間を作っている。新たに建設される建物に駐車場の設置を義務づけることもやめ、自転車や電動キックボードのシェアサービスの普及を促している。

 フェニックスの都市プランナーは運転しない人たちのために労力をそそぐようになった。同市のマリオ・パニアグア副市政管理官は、代替交通手段を提供すれば渋滞で都市機能がまひすることがなくなり、市を継続的に成長させられると話す。

同市では住民が1日約100人のペースで増えているにもかかわらず、一部の幹線道路で車線を減らし、自転車専用道路を設けている。また、総延長32キロに及ぶ地域ライトレールシステムが08年に開通。以来、その距離は13キロ延長され、50年までにさらに68キロ追加される予定だ。バスシステムの拡大も計画されている。

 夏はかなり暑くなるにもかかわらず、市内での自転車の利用は増えている。市の自転車シェアリング制度の利用者は2年で倍増した。

 「フェニックスは車向けにつくられた町だ。それを変えるのには時間がかかるだろう」。自転車の利用を提唱する地元住民のアニー・エルドンさんはこう話す。

 エルドンさんはこの町に引っ越してきてから数年間、車の購入を延期した。今でも車はあまり使わず、自転車を好んでいる。「何日も自家用車を使わずに過ごしている。それが一般的になりつつある」

幹線道路沿いの店には打撃

 変化の一部は、あまり好意的に受け止められていない。タイヤショップやディスカウント店が立ち並ぶサウスセントラル通りでは、ライトレールの延長で車線が4本から2本に削減されることに店の経営者らが警戒感を抱いている。

 車の窓にサンシェードを貼るサービスを手掛けるセリア・コントレラスさんは、車線が減れば交通量も減少し、通りを通過する車に商売を依存している店には打撃だと話す。

 コントレラスさんは、既存のライトレールの路線沿いに、小売店が1階に入った複数の新しい住居ビルが立つのを目にし、自分の近所でも同じことが起こることを懸念している。こうした1階にある店はドライバーではなく歩行者向けのものであり、「うちのような商売は求められていない」と話す。

 ライトレール延長に反対する活動家は今年8月、将来の建設計画を全て中止し、その資金を道路・バス関連のプロジェクトに回すかどうかを住民投票にかけることに成功した。

 投票は、自動車は今後もフェニックスで議論の余地のない影響力を持ち続けるのかという根本的な疑問に答えを出すものでもあった。

 投票の結果、投票者の約3分の2がライトレールの延長を支持した。

貼っていくスレ 米国人の運転好きは変わりつつあり、それに伴って都市の在り方も変化している。過去3年、1人当たりの平均運転距離は年9800マイル(約1万5800キロ)とピークを付けた2004年から約2%減っている。カリフォルニアやニューヨークなどの大都市のある州のほか、ワイオミングやバーモントなどの地方の一部の州でも運転量は減少している。   急成長する広大な砂漠の大都市で車社会のここフェニックスでさえも状況は同じだ。アリゾナ州交通当局のデータによると、フェニックスのあるマリコパ郡の1人当たりの運転距離は06年から約7%減っている。州全体では11%の減少だ。   全米で運転量が減少している要因には、人口密度の高い都市部への人口移動、職場に近い場所に住むことや別の輸送手段を好む若者の増加、テレワークやネット通販・ストリーミングの台頭、通勤が不要な年金生活者の増加などが挙げられる。  米国の運転傾向は何十年も経済と同調してきた。好景気のときには運転が増え、リセッション(景気後退)で失職者が増えると運転は減った。   しかし今は10年以上も景気拡大が続いているにもかかわらず、国民は以前よりも運転しなくなっている。  「 根本的な変化」   カリフォルニア大学ロサンゼルス校で都市計画について教えるブライアン・テーラー教授は「かなりの景気回復が続いていた09~17年の間も個人の移動量は減少している。これは米国で根本的な変化が起こっていることを示すものだ」と述べた。  1人当たりの運転距離の伸びは、経済が力強く成長していた90年代半ばから既に失速し始めていた。景気拡大まっただ中の00年代半ば、恐らく当時のガソリン価格の上昇が原因で運転距離が減少した。景気後退後の14~16年にやや持ち直したものの、その後は04年の水準を毎年下回っている。   自動車が依然、米国の圧倒的な交通手段であることに変わりはない。4分の3強の米国人が通勤に車を使用している。国全体では人口増加に伴って総運転距離は増加し続けている。ウーバーやリフトなどの配車サービスは爆発的に普及した。自動車の年間販売台数も近年、過去最高を記録している。 それでも多くのデータからは、米国人の移動手段が変化しつつあることが見て取れる。   若者は運転免許を取る年齢が以前よりも高くなり、車の利用も減っている。運輸省の調査によると、16~19歳の若者の運転距離が2017年は2001年と比較して24%減少している。20~34歳では22%の減少だ。   また国民はあまり自宅から出なくなっている。運輸省の調査によると、17年の1世帯当たりの平均通勤回数は90年以降で最低となった。買い物や社交、娯楽活動のための移動回数も減少している。   国勢調査によると、在宅勤務を毎日する労働者の割合は10年の4.3%から18年には5.3%に上昇している。労働省によると、終日の在宅勤務を時々する人の割合も約15%と以前から増えている。  テレワークやネット通販の台頭   大手医療サービス会社バナーヘルス(本社・フェニックス)の幹部アン・フォルジャーさんは、在宅勤務のおかげで毎日約3時間かけて通勤する必要がなくなり、運転量が大幅に減ったと話す。買い物もネットでしているため、車で過ごす時間は一段と減っているという。   「仕事をしていないときは、運動をしたり、家族の行事をしたり、友人を訪ねたりしている」とフォルジャーさんは話す。「ライフスタイルがはるかに豊かになった。雑貨屋で1つの商品を探すために出掛けなくて済むのは便利だ」 バナーヘルスの従業員5万1000人のうち約2200人が毎日テレワークをしており、その他の人も不定期に在宅で働いている。アリゾナ州最大の民間雇用主である同社は、本社も公共交通機関に近い町の中心部に移転し、従業員が通勤しやすくした。人事責任者のナオミ・クレイマー氏によると、移転は人材の確保に役立っているという。   「当社では週休3日なども検討している」と同氏は話す。「かなり多くの人が手を挙げている」 エネルギー省の予測はこうした傾向が続く可能性を示唆している。全米の運転距離の伸び率は年0.6%と控え目なペースになる見通しで、これは09年の1.5%という伸び率予測から低下している。  移動パターンの変化を受け、都市プランナーは数年前には考えられなかった措置を取っている。都市の道路の車線を減らし、交通を意図的に減速させ、自転車や歩行者、公共交通機関のための空間を作っている。新たに建設される建物に駐車場の設置を義務づけることもやめ、自転車や電動キックボードのシェアサービスの普及を促している。   フェニックスの都市プランナーは運転しない人たちのために労力をそそぐようになった。同市のマリオ・パニアグア副市政管理官は、代替交通手段を提供すれば渋滞で都市機能がまひすることがなくなり、市を継続的に成長させられると話す。  同市では住民が1日約100人のペースで増えているにもかかわらず、一部の幹線道路で車線を減らし、自転車専用道路を設けている。また、総延長32キロに及ぶ地域ライトレールシステムが08年に開通。以来、その距離は13キロ延長され、50年までにさらに68キロ追加される予定だ。バスシステムの拡大も計画されている。   夏はかなり暑くなるにもかかわらず、市内での自転車の利用は増えている。市の自転車シェアリング制度の利用者は2年で倍増した。   「フェニックスは車向けにつくられた町だ。それを変えるのには時間がかかるだろう」。自転車の利用を提唱する地元住民のアニー・エルドンさんはこう話す。   エルドンさんはこの町に引っ越してきてから数年間、車の購入を延期した。今でも車はあまり使わず、自転車を好んでいる。「何日も自家用車を使わずに過ごしている。それが一般的になりつつある」  幹線道路沿いの店には打撃   変化の一部は、あまり好意的に受け止められていない。タイヤショップやディスカウント店が立ち並ぶサウスセントラル通りでは、ライトレールの延長で車線が4本から2本に削減されることに店の経営者らが警戒感を抱いている。   車の窓にサンシェードを貼るサービスを手掛けるセリア・コントレラスさんは、車線が減れば交通量も減少し、通りを通過する車に商売を依存している店には打撃だと話す。   コントレラスさんは、既存のライトレールの路線沿いに、小売店が1階に入った複数の新しい住居ビルが立つのを目にし、自分の近所でも同じことが起こることを懸念している。こうした1階にある店はドライバーではなく歩行者向けのものであり、「うちのような商売は求められていない」と話す。   ライトレール延長に反対する活動家は今年8月、将来の建設計画を全て中止し、その資金を道路・バス関連のプロジェクトに回すかどうかを住民投票にかけることに成功した。   投票は、自動車は今後もフェニックスで議論の余地のない影響力を持ち続けるのかという根本的な疑問に答えを出すものでもあった。   投票の結果、投票者の約3分の2がライトレールの延長を支持した。