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日経平均株価【998407】の掲示板 2024/05/25

弾道ミサイル発射の脅威

2022年末、岸田文雄政権は外交・安全保障政策の根幹となる「国家安全保障戦略」など3文書を決定した。注目されたのは、敵の弾道ミサイル攻撃に対処するため発射基地を攻撃する「反撃能力」の保有を明記したことだ。国家安全保障戦略は「我が国は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面している」と位置づけ、中国やロシア、北朝鮮の動向を警戒する。

防衛の基本方針とされたのは「スタンド・オフ防衛能力等を活用した反撃能力」だった。日本周辺では質・量ともにミサイル戦力が著しく増強され、ミサイル攻撃が現実の脅威となっていると指摘した上で「この脅威に対し、既存のミサイル防衛網だけで完全に対応することは難しくなりつつある」と説明している。

低高度・高速・変則軌道という極超音速ミサイルや、大量の弾道ミサイルが撃ち込まれる「飽和攻撃」に対処するためには、迎撃による防衛だけでは対応が難しいことを意味する。政府は敵の射程圏外から攻撃できる「スタンド・オフ・ミサイル」を保有し、防衛費は2027年度に11兆円程度にまで増額されることになった。

ここで「おや?」と思った人もいるかもしれない。それは「これまで日本は弾道ミサイルを撃ち落とせる国ではなかったということか」という疑問のはずだ。我が国は2004年度からミサイル防衛(MD)システムを整備し、(1)イージス艦が海上から迎撃ミサイルを発射し、撃ち落とす、(2)それで撃墜できない場合は地上の地対空誘導弾ペトリオットミサイル(PAC3)が迎撃するという二段構えで対処してきた。