掲示板のコメントはすべて投稿者の個人的な判断を表すものであり、
当社が投資の勧誘を目的としているものではありません。
-
227(最新)
12月10日終値
ブレント $62.65バレル、+$/0.71バレル、+1.15%(EST4:59PM)
WTI $58.96/バレル、+$0.71/バレル、+1.22%(EST4:59PM)
① アメリカ沿岸警備隊、ベネズエラ沖で石油タンカー拿捕
② アメリカ・エネルギー情報局在庫統計発表
③ アメリカFRB金利0.25%引き下げ
④ その他
① アメリカ沿岸警備隊、ベネズエラ沖で石油タンカー拿捕
▶ アメリカ沿岸警備隊によるタンカー拿捕のニュースで、過剰供給懸念から一転してベネズエラ原油途絶懸念に市場の関心は移った。その結果原油価格は下落から上昇に転じた。
▶ 拿捕されたのは一隻でアメリカ側関係者は船名や拿捕理由などは明かさなかった。トランプ大統領は時間を置いて拿捕したことは認めたが、それ以外の事は何も語らなかった。
▶ ベネズエラ側からすると、海運関係者に原油輸出へのためらいが生じ、輸出に支障が出るのではないかとされている。
▶ またベネズエラ原油の輸出は殆ど重質油、中国向けであり、通常仲介社を通した形である。制裁リスクからディスカウント幅は大きい。中国がベネズエラ原油、就中重質油の調達に支障を来せば、代替品にドバイ購入に向かうのではないか?
② アメリカ・エネルギー情報局在庫統計発表
▶ 12月5日の商用原油在庫は前週末比181万バレル減、4億2,569万バレル。この時期の過去5年間平均の値に比べ4%低い。原油生産量は1,385万バレル/日で前週比4万バレル/日多い。輸出は400万バレル/日(+40万バレル/日)、輸入は658万バレル/日(+60万バレル/日)。
▶ 自動車用ガソリンは前週末比639万バレル増、2億2,081万バレル。この時期の過去5年間平均の値に比べ1%低い。
③ アメリカFRB金利0.25%引き下げ
▶ 米FRBは10日政策金利0.25%引下げを決定。
▶ FRB内の投票では利下げに9人が賛成、3人が反対。スティーブン・ミラン理事は0.5%の下げを支持。据置を支持したのはカンザスシティー連銀ジェフリー・シュミット総裁、シカゴ連銀オースタン・グールズビー総裁など。
▶ 市場は早くも来年の利下げに関心を移す。CMEフェド・ウォッチ・ツールによると2回以上の利下げの確率は77%以上。
④ その他
▶ シェブロン、ベネズエラ石油で米政府と協議
トランプ政権とベネズエラでのオペレーションについて話し合いをしていると報道。先週には同社は社員ベネズエラ原油生産現場派遣を行った。この派遣にはアメリカ連邦航空局からの見合わせ要請があったとされるが同社は否定している。
シェブロンは3,000人をベネズエラで雇用し、100年以上操業している。
同社は自らの操業を現地規制とアメリカによる制裁双方に合致したものだと言う。
同社は、ベネズエラで公式に操業を認められたアメリカ・メジャー石油企業。4か月の間の生産見合わせを経て、8月にはベネズエラからアメリカへ平均10万バレル/日を上回る程度で出荷再開。生産量は24万バレル/日程度。生産も輸出もほとんど重質油。
▶ 2023年には380万バレル/日だった中国国内原油生産量430万バレル/日(日本の原油消費量が約400万バレル/日と言われる)に達しそう。
ここ10年間は外国企業が主だった川上部門のブームから締め出されていたと、不満の声もある。
このように高い生産水準にあっても、中国原油需要の70~75%は輸入に頼っている。
▶ ロスネフチとルクオイルへの制裁でロシア原油購入を減らしたインドではあるが、ロシア原油がベンチマーク原油に対し大きなディスカウントとなっている現状を前に、バーラト・ペトロリアム・コーポレーション・リミテッド(BPCL)とインディアン・オイル・コーポレーション(IndianOil)は、制裁対象外の企業からロシア原油(1月渡し)を買っている。
ブレントに対するディスカウントは6~7ドルとされる。
また別の国営精油企業ヒンドゥスタン・ペトローリアムも1月渡しの制裁除外ロシア原油を探していると言う。
▶ ブラジルのペトロブラスが12月15日からストライキ。労働協約で揉めている模様。労働者側は退職年金に赤字が生じているとして報酬制度の改革を要求。ただ操業や生産に影響は出ないとも言われる。 -
12月8日終値
ブレント $62.18バレル、▲$/0.55バレル、▲0.88%(EST4:59PM)
WTI $58.25/バレル、▲$0.63/バレル、▲1.07%(EST4:59PM)
① イラク政府ルクオイルのWest Qurna2油田生産回復。
▶ 輸出用パイプから原油が漏れ生産に支障が出ていた。同地は46万バレル/日と世界原油供給の0.5%を占め、生産量は世界第2位の産油国イランの生産量の9%を占めるだけに影響が大きかった。しかし9日までにはフル操業に戻れる見込み。
▶ West Qurna2油田には露ルクオイル社が75%の操業権益を持っており、同社にとっては最大の海外資産。但し、アメリカによる同社制裁により同油田への権益を売却すると見込まれ、エクソン・モビルやシェブロン、カーライル(米系プライベート・エクィティ・ファンド)、HIC(アブダビ・コンギロマリット・アラブ首長国連邦王族系)が購入意欲を示しているとされる。
② ウクライナ
▶ ゼレンスキー大統領は8日にロンドンでイギリス・スターマー首相、フランス・マクロン大統領、ドイツ・メルツ首相と会談。
▶ 当会談で20項目からなる和平案が作成されたと発表。モスクワのごり押す領土割譲について合意は何もできなかった、とゼレンスキー大統領は語った。
▶ 「一般的にアメリカのムードは妥協を見つけたいと言うもの」「もちろん領土が絡んだ複雑な問題も複数ある。その分野では妥協は見出されていない」とゼレンスキー大統領は語った。
▶ このロンドンでの会談の後、ゼレンスキー大統領はブリュッセルでフォンデアライエン欧州委員長、アントニオ・コスタ欧州理事会議長と会った。今後アメリカにも提示されることとなる。
▶ 和平合意ができればロシア原油市場復帰で供給が溢れ、原油価格は下落と言う将来の構図は変わらない。
③ アメリカ石油協会(API)民間原油在庫予想発表
▶ 先週末(12月5日)原油在庫480万バレル減。ただしAPIの算定では今年に入ってからの原油在庫は12万1千バレル増加。
▶ 今週に入って米政府からは12月5日の政府政策備蓄在庫が20万バレル増加し、4億1,190万バレルと発表。トランプ政権は使った分だけ補充した模様。
④ アメリカFOMC
▶ 市場は概ね0.25%の利下げを確信しているが、一部では、ブレントが60~65ドル程度では(十分下落しているので)その効果は短期間に過ぎないかもしれないとするとも言われる。
▶ むしろ利下げ効果による需要拡大も、規模的には2026年過剰供給問題の方が大きいとも言われる。 -
<誤>12月5日終値
<正>12月7日終値 -
12月5日終値
ブレント $62.18バレル、▶$/1.27バレル、▶1.99%(EST4:59PM)
WTI $58.85/バレル、▶$1.23/バレル、▶2.05%(EST4:59PM)
5日は11月18日以来となる高値で原油市場は退けた。
しかし8日のアメリカ市場はウクライナ和平進展の進行への関心が高まり(ロシア原油市場復帰で過剰供給⇒原油価格下落・・)、今週行われるFRBの会合で利下げが行わるか(景気刺激⇒原油価格上昇)に注目が集まる。
① ウクライナ和平
② 新ロシア制裁案浮上
③ アメリカ利下げ
④ 中国、イラン原油購入
① ウクライナ和平
▶ 前回の通り、ケロッグ特使は合意まで10メートルと言ったが、そう簡単ではないようだ・・
▶ 7日晩、トランプ大統領は「ゼレンスキー大統領がまだ提案を読んでいないことに失望した。数時間前の話だ」「彼のスタッフは提案を気に入ったけど、ゼレンスキー自身はまだなんだ」と報道陣に言った。「ロシアはこの提案で大丈夫だと信じる。でもゼレンスキーがどう思うかは分からない」とトランプ大統領は言う。
▶ 和平に関するドラフトは複数あり、トランプの話がどのバージョンを指しているのか不明確だが、この発言の一日前にはマイアミで会議を米ウ間で行っている。参加者はウクライナ側からは大統領チーフ・ニゴシエーターのRustem Umerov、ミリタリー・チーフ・オブ・ゼネラル・スタッフのAndriy Hnatov将軍、米側からはスティーブ・ウィトコフ特使、義理の息子ジャレッド・クシュナーが参加した。
▶ しかし、この会議は和平プラン草案最終バージョンに明確な合意を作れず終えた。ゼレンスキーは「建設的であったけど、簡単なものではない」と評した。
▶ ロシアとウクライナはアメリカの仲介を通しても交渉の細部で合意を見ることができず、特にロシア側の求める領土割譲やウクライナ側の求める安全保障では厳しいものがある。
▶ 8日にはゼレンスキー大統領はロンドンに赴き、ロシア寄りに偏重した和平案を押し付けてきたアメリカに、ウクライナ領土の保全と(ヨーロッパ全体も含め)将来の安全保障で妥協しないことをヨーロッパ同盟国と確認した。
▶ 5日にはトランプの最新国安全戦略がリリースされた。この文面ではヨーロッパが危険を冒して「文明の消去作業」をしており、ヨーロッパ各国がアメリカの「信頼し得る同盟国として留まる」か「全く分からない」としている。またワシントンは戦略上の安定性をロシアとの間に再構築すべきだともしている。それだけにヨーロッパ首脳たちがアメリカがロシアの要求に易々と応じるのではないかと今迄以上に神経を尖らせている。
▶ クレムリンは7日にこのアメリカの新戦略を歓迎し、ロシアの「ヴィジョン」に概ね即していると評価。
▶ 結局、和平の進展は進んでいないとの評価も出ている。キーフの安全保障とロシアの求める領土割譲と相いれない対立が残るため。
② 新ロシア制裁案浮上
▶ G7各国とEUは制裁方法の刷新を考えている。ロシアからの輸出原油に現在課しているプライス・キャップ制度を、海上輸送サービス全面禁止措置へ移行すると言われる。
③ アメリカ利下げ
▶ 12月9、10日のFOMCで0.25%の利下げを行う確率は CME・FEDウォッチツールでは約89%と、LSEGでは84%としている。一ヶ月前は67%(CME)だった。
5日にはモルガンスタンレーが0.25%利下げ予想に転じ、JPモルガンやバンク・オブ・アメリカもこれに続いている。
▶ ただし、FRBメンバーのコメントからは、今回の会議では過去何年も見られなかったような意見の相違がメンバー内に出ると見られる。
④ 中国、イラン原油購入
▶ 中国独立系精油業者達は政府から新たに輸入割当を受け、制裁下にあるイランの陸上備蓄分の原油を輸入するとしている。 -
アメリカのウクライナ・ロシア担当キース・ケロッグ特使は「和平条約」はすぐそこと発言。
解消すべき点は、ドンバス地方の領有権とザポリージャ原子力発電所の扱いと言う。
特使によれば、この戦争でロシアとウクライナの双方合わせて200万人の罹災者が出たと言う。
八年間ロシアの加勢を受けた独立派とウクライナ軍がドネツク、ルハンスク両地域からなるドンバス地方で衝突した後の2022年2月、ロシアはウクライナに侵略を始めた。第二次世界大戦以降ウクライナ戦争はヨーロッパにおける最も死傷者を出した戦争であり、冷戦終了で一旦は消滅したロシアと西側の最大級の衝突となった。
来年1月には退任予定のキース・ケロッグ特使はレーガン・ナショナル・ディフェンス・フォーラムで紛争を解決する努力は「最後の10メートル」まで来ているとし、いつでもそこが最も骨が折れると評した。
特使によれば、残されている二つの問題は領土絡みで、一つはドンバス地方の将来であり、もう一つはヨーロッパ最大級のザポリージャ原発の将来である。同原発は現在現在ロシアの統制下にある。
6日カルフォルニアのロナルド・レーガン・プレジデント・ライブラリー・アンド・ミュージアムでケロッグ特使は「仮にこの二つを解消し得たら、他の事は公正に巧く行くと思う」「もうすぐだ」と語った。
ケロッグ特使は、ウクライナ戦争での死傷者規模は地域戦争の範疇では「そら恐ろしい程」大きく、過去にも前例がない程だと評し、具体的には死傷者を含め被害を受けた人数は双方合わせて200万人と言う。
モスクワもキーフも互いに相手は損害を課題に言っていると言う。
現在ロシア側はウクライナの19.2%を支配下に置いている。具体的には特使2014年に併合したクリミア半島、ルハンスク全土、ドネツクの80%以上、ケルソン並びザポリージャの約75%、他にも占領領域の差はあれどもハルキウ、スームィ、ムィコラーイウ、ドニプロペトロウシクもロシアによる占領支配を受けている。
先月28項目からなるアメリカの手による和平案が漏れ出たが、ウクライナやNATO加盟国政府関係者はこれをモスクワのNATOに対する主だった要求に屈したものであり、ウクライナ国土五分の一のロシア割譲とウクライナ軍隊の縮小を飲めというものだと評した。
ロシアはアメリカの和平提案は27項目からなると言うが、彼らに言わせれば四つの部分に分けられると言う。正確な内容は領有権にはないと言う。
最初のアメリカの原案では、現在冷停状態にあるザポリージャ原発は国際原子力機関の下で再稼働し、発電電力はロシア・ウクライナ間で同じ量の配分を行うとしている。
6日、ゼレンスキー大統領はトランプ大統領、ウィトコフ特使、トランプ大統領の義理の息子ジャレッド・クシュナーと電話でじっくりと実のある話をしたと語った。
クレムリンは5日、クシュナーに実現性のあるディールの草案作りに中心的働きをしてくれることを期待していると発表した。 -
12月1日の投稿で、前回のOPEC+月次会合(11月30日)で加盟各国の最大生産能力(maximum sustainable capacity 以下 MSC)決定の仕組みを見直す事が決まったと書いた。
前回(11月30日)の会合では、あくまでもMSCを評価する仕方を決められたにすぎず、具体的な評価は2026年に始まる。2027年には新たな各国のMSCが決められ、2027年の生産ベースラインとして用いられる。
MSC評価は2027年以降毎年見直す計画だ。
減産や減産巻戻し時には、この生産ベースラインによってその時々の生産量割当(output quotas)が見直される。
従ってこの制度は、加盟各国にとって原油歳入を左右する形となる。
今回はこの制度の詳細と見直しの背景について。
① MSCとは・・
▶ OPECまたはOPEC+が減産や減産巻戻しを行う時に90日以内に稼働し得る最大原油生産量の平均値であり、全ての定例メンテナンス期を含め一年間を通して継続的に維持できる量と定義される。
② MSC評価は2026年1~9月に原則外部コンサルによって実施
▶ OPEC+加盟22カ国中19カ国はアメリカ系監査法人が評価に当たり、アメリカから制裁を受けるロシアとベネズエラはアメリカ以外の監査法人を使う。
▶ イランに関しては、2027年の生産ベースラインは、OPECの選定したセカンダリー・ソースが評価する2026年8、9、10月の生産量平均値で決められる。
③ 生産量割当を巡るOPEC+内での論争の過去
▶ 過去には生産量割当を巡ってOPEC脱退した国もある。過去にアンゴラとナイジェリアは新たなフィールドへの投資不足や油田の老朽化が原因で、何年も割当量に達する生産ができなかった。これが祟り、2023年にはOPEC+のアグリーメントに従い両国は原油生産量割当量を減らされた。
その結果、アンゴラは他加盟国と論争の末16年間苦楽を共にしたOPECを24年1月に離れた。
▶ 一方で、イラク、アラブ首長国連邦、クウェートと言ったOPEC大規模産油国は今後数年で生産キャパ拡張工事が完了するので、その分を生産ベースラインに上乗せするべきだと主張してきた。実際、アラブ首長国連邦は2025~26年のベースライン設定時にこの主張を反映させることに成功している。
④ 得をするのはサウジアラビアやペルシャ湾岸産油大国?
▶ 新たな評価方法では、高い生産水準を維持すること、或いは能力拡張することにインセンティブが働きがち。強いものに優しく弱いものに厳しい。
▶ 大抵のペルシャ湾岸産油国にはキャパ拡張計画がある。サウジは1,200万バレル/日の生産キャパを持ち、現在の余裕キャパは200万バレル/日とされる。更には44ギガワットの再生可能エネルギー生産能力まで備えると言う。世界的エネルギーセキュリティに責任を持ち、原油生産能力のポテンシャルを維持していくとサウジは言うが・・。
▶ アラブ首長国連邦の現在のキャパは480万バレル/日とされるが、2027年には500万バレル/日まで拡張すると言う。市場が求めるなら600万バレル/日も視野に入れるとも・・。
▶ 現在400万バレル/日とOPEC生産量第2位のイラクも2029年までに600万バレル/日以上までキャパを拡げ、その5年後以内に700万バレル/日まで拡張する計画だ。但し、イラクはOPEC+アグリーメントを破って上限以上の生産を続けた過去があり、その清算のために生産を抑えているのが現状。
▶ MSC新評価方法で2027年割当量が決まるようになれば、OPEC+内でも、キャパと生産量ベースラインが高い産油国は益々有利となり、加盟国間の格差の問題は出るかもしれない。
また全世界的には上流部門投資は停滞おり、長期的にはOPEC+は生産能力面で世界シェアを高めることだろう。販売面でもOPEC+は世界シェアも高め、ここ数年でシェアを奪われたアメリカ原油へのリベンジも見えてくるだろう。 -
12月5日終値
ブレント $63.75バレル、+$0.49/バレル、+0.77%(ICE)
WTI $60.08/バレル、+$0.41/バレル、+0.69%(NY)
原油価格は1%近く上げ、過去二週間の高値を付ける。週間レベルでも陽線引け。
来週のFRB利下げ期待、ロシア、ベネズエラの地政学リスクから両国産原油が市場から消えると言う思惑が上昇要因。
アウトライン
① FRB利下げ
② ベネズエラ情勢
③ アジア市場動向
④ その他
① FRB利下げ
▶ 12月9~10日のFRB会合で利下げが行われるとの観測から、景気回復・エネルギー需要拡大が期待される。
▶ 9月の米個人支出は穏やかな伸びを見せたが、それまでの三か月間は堅調な上昇と比べると第3四半期は経済に陰りが出始めたと見られる。
▶ 11月28日~12月4日までロイターがエコノミストを対象にサーベイを採ったところ、82%が次回FRB会合で0.25%利下げが期待できると回答。
② ベネズエラ事情
▶ 報道にもあるとおり、トランプはベネズエラへの陸上攻撃も辞さない態度でマヅーロ大統領体制崩壊を迫っている。
▶ 隣国トリニダード・トバゴ政府はトバコ空港に米軍運用を見据えてレーダーシステムを設置しており、ベネズエラへの軍事作戦実施は近いと言われる。
▶ ベネズエラは世界最大の原油埋蔵量(3,000億バレル超)を有すると言われるが、産出量は24年で97.5万バレル/日と全世界生産量の1%程度。内訳は軽質油が11.6万バレル/日、中質油が20万1千バレル/日、重質油が65.7万バレル/日。生産量の67%が重質油であるが同国重質油は生産量で世界シェア4.5%となる。
▶ 歴史的に言えば、ベネズエラの油田開発はその埋蔵量が確認されてから外国(中国、ロシア、イラン、アメリカ)からの投資で行われてきた。しかし、解消しがたい技術的問題や投資不足から2010年代前半から生産量は下落し始める。一時生産量は300万バレル/日に達したが、政権交代や事業国有化もあり2020年には62.4万バレル/日まで下がった。国内精油所が補修整備をまともに受けられないことも一因だ。
▶ だが、PDVSA (The Petróleos de Venezuela, S.A)が海外の精油利権保有を維持できた(子会社を通じてアメリカ三精油所の他カリブやヨーロッパに拠点を持つ)こともあり、2025年生産量は111万バレル/日を達成しそうだ。
▶ しかし、その回復傾向も今年のアメリカによる制裁で反転し、2030年末には90.1万バレル/日まで生産量は下落すると言われる。事実、2025年第3四半期にはベネズエラの輸出の81%を占めていた対中原油輸出が激減している。
▶ 一方でベネズエラ制裁は他国重質油市場へ影響を及ぼし始めている。アメリカは重質油向け精油施設が多いこともあり、ベネズエラからの原油輸入規制を緩和していた。しかし規制を厳格化すれば世界的に重質油価格が上昇するのは必至と言われる。
▶ 重質油価格上昇となれば、トランス・マウンテン・パイプラインでアジアへ供給されるカナダ産重質油へも影響が出るだろう。ドバイ油種も重質油であり、影響がでるかも。。
③ アジア市場動向
▶ 最近のドバイは国際指標油種ブレントを上回っている(図)。2024年にOPEC+が減産に入った事の影響、ロシアへの制裁で露産原油調達に難が出た事など要因は色々。
▶ アジアでのボラティリティは近い将来まで続くと見られ、地政学リスクからの価格上昇リスクは残るとされる。
④ その他
▶ 12月5日、米中間で電話会議。貿易戦争過熱化回避合意実施を含め貿易に関する話し合いが行われた。
▶ 12月5日、2026年サッカーワルドカップ抽選会がワシントンで行われるが、その場を用いトランプ大統領はメキシコ大統領やカナダ首相と会い、通商協議をすると見られる。通商上の緊張が緩和されれば経済成長やエネルギ-需要にはポジティブ。 -
12月4日終値
ブレント $63.26/バレル、+$0.59/バレル、+0.94%(ICE)
WTI $59.67/バレル、+$0.72/バレル、+1.22%(NY)
① ウクライナ和平の行き詰まりで、ロシア原油復帰による供給過剰懸念後退
② FRB利下げへの期待高まる
③ アメリカ・ベネズエラ間緊張高揚でベネズエラ原油供給に懸念
④ ウクライナ、ロシア石油インフラ攻撃継続
⑤ サウジ、アジア向けアラビアンライト1月輸出価格発表。
⑥ プーチン、インド訪問
⑦ その他
① ウクライナ和平の行き詰まりで、ロシア原油復帰による供給過剰懸念後退
▶ 12月4日は二日連続の上昇。ウクライナ和平が成功しロスネフチなどへの制裁解でロシア原油が市場に溢れ、原油価格が下落するのではないかとの懸念が遠のいた。
▶ 但し、アメリカ在庫上昇があったなど原油供給過剰感などの原油価格上昇の足かせは残っている。
② アメリカ利下げ⇒景気回復⇒需要拡大への期待
▶ 12月9~10にFOMC開催。 CME Fedウォッチ・ツールによれば、FRBが0.25%の利下げを行う確率は90%。雇用が芳しくないことも影響している。
▶ 主要通貨バスケットに対しドルは10日連続で下げ、米ドル通貨以外の国々には原油が買いやすい環境下にあることも原油価格の支え。
③ アメリカ・ベネズエラ間緊張高揚でベネズエラ原油供給に懸念
▶ 12月3日にトランプ大統領は麻薬カルテルがある(と言われる)ベネズエラの国土への攻撃を始めると相変わらず発言。
▶ 実施されればベネズエラからの原油輸出は減るするので、原油価格上昇に繋がる。
④ ウクライナ、ロシア石油インフラ攻撃継続
▶ 12月3日のウクライナ陸軍情報局の発表によると、ロシアのタンボフ州中央ドルジバの石油パイプラインを攻撃。同パイプライン攻撃は5回目。同パイプラインはハンガリーやスロベニアへ原油を送っているが、ハンガリーの石油・ガス会社は供給に支障はでていないとしている。
▶ 11月ロシア黒海ターミナルからの原油輸出量は減少。計画値を下回る。ウクライナからの攻撃の他、悪天候も影響。
⑤ サウジ、アジア向けアラビアンライト1月輸出価格発表。
▶ アジア向け1月アラブライト公式価格をオマーン/ドバイに対し0.60ドル/バレルプレミアムと決定。価格水準としては2021年以来の低い水準。
⑥ プーチン、インド訪問
▶ プーチン、12月4~5日インド訪問。この訪問の間で両国は多くの取り決めに署名する。プーチン側からの一方的交渉とも言われる。
▶ インドは10億人を超える人口と8%を超える経済成長率誇り、ロシア原油の最大級輸入国でもある。
▶ 現在インドのロシア原油依存率は35%だが、ウクライナ侵略以前2.5%でしかなかった。モスクワが制裁を受け、ロシア原油が欧州市場から締め出され、インドはそれを買い叩いた歴史がある。
▶ トランプはロシア原油輸入を理由にインドへ25%制裁関税を課し、インドはロシア原油輸入を減らした。原油購入継続を望むプーチンとしてはインドに頭を下げざるを得ない。
▶ モスクワは原油に次いでインドへ売り込みたいのは、取引がソ連時代から続く武器である。インドは最新鋭ジェット戦闘機と防空システム購入を計画している。
⑦ その他
▶ 石油タンカー運賃が467%と急騰。出荷は増えるが、一部の重要航路が閉ざされていたり制裁対象となっている。例年ならば年末はコモディティ需要が少ないシーズンだが、今年の年末は異なり、原油のみならず、LNGや鉄鉱石、小麦などでも船舶運賃に弱さは見られていない。
▶ ウクライナの攻撃がロシア以外の国々にも影響が出ている模様。顕著なのがカザフスタン。ロシアのパイプラインが精油工程に組み込まれており、当該パイプラインが損傷すると生産が落ちる。
▶ 日本がロシア原油・ガスを買っていることが、海外サイトでは話題になっている。 -
① ロシア、米和平案に妥協せず
② ロシアタンカー攻撃へのプーチンの反応
③ アメリカ商用原油在庫増加
④ ロシア、11月石油及ガス歳入前年同月比35%減
① ロシア、米和平案に妥協せず
▶ プーチンとウィトコフ米特使の間での会談は5時間かかったが、合意には至らず。
▶ プーチン側近ユーリー・ウシャコフは、会談はアメリカ側の和平草案にフォーカスし「非常に有意義、建設的、かつ情報性が高い」と評価。しかし「いくつかの点で合意はできるが、それ以外では批判が生じる。プーチン大統領は提案の多くに包み隠さず批判や否定的態度を示した。しかし大事な事は有意義なディスカッションができた事だ」と言う。
▶ ロシア側に提示されたのが最初の28項目案なのか、或は後に修正された19項目案なのかははっきりしない。しかしウシャコフは12月2日のディスカッションでは27項目案について話し合ったとし、アメリカからついか資料も受け取ったと言う。但し、資料内容については明らかにしなかった。またウシャコフは米露間で会談内容については明かさないことで合意ができているとも付け加えた。
▶ ペスコフ大統領報道官は「12月2日のディスカッションで初めて直接見解を交えることができた。「幾つかは受け入れられる。幾つかは受け入れがたいとせざるを得ない。妥協点を見出す上では通常のプロセスだ」と語った。
▶ 原油市場は会談の成果次第ではロシア原油の市場復帰(=原油供給過剰で価格下落)もあり得るので固唾をのんで見守ってきた。
② ロシアタンカー攻撃へのプーチンの反応
▶ ウクライナによる黒海ロシア影の船団攻撃が続き、プーチンが12月2日にウクライナに加勢する国にタンカーに対して、ロシアは何らかの対応をすると発言。
③ アメリカ商用原油在庫増加
▶ 米エネルギー情報省によると11月28日の商用原油在庫は4億2,750万3千バレルと前週末比60万バレル増加。それでも過去5年間の同じ時期の平均に比べれば3%低い。
▶ ガソリン在庫は2億1,442万2千バレルと前週末比451万8千バレル増加。過去5年間平均に比べ2%低い。
▶ 中間蒸溜物在庫は1億1,428万6千バレルと前週末比205万9千バレル増加。過去5年間平均に比べ7%低い。生産量が5万3千バレル増加していることが要因。
④ ロシア、11月石油及ガス歳入前年同月比35%減
▶ 連邦予算を石油ガスの生み出すキャッシュフローに頼り切るロシアにとっては、11月石油及ガス歳入35%急減は国家財政直撃となる。
▶ 考えられる理由は・・
1.世界的原油価格低迷
2.代表油種ウラルのブレント比ディスカウント率拡大
3.ルーブル高でドル⇒ルーブル寒山額が減ること
▶ 戦費拡大が続く現状での歳入減で、ロシアは国家財政上の蓄え維持と現在の歳出へのコミットメントのバランスをどう取るのかに直面してる。 -
ロシア・・
和平、妥協できないと言ったそうだ。
原油価格も1%以上上昇。 -
12月2日終値
ブレント $62.45/バレル、▲$0.72/バレル、▲1.14%
WTI $58.64/バレル、▲$0.68/バレル、▲1.15%
アウトライン:12月2日の市場を動かした要因他
① プーチン、3日米中東特使スティーブ・ウィトコフと会談
② プーチン、インドへ原油など売込へ
③ ウクライナによるロシア石油インフラ攻撃続く
④ サウジの混迷する財政と原油価格スランプ
① プーチン、3日米中東特使スティーブ・ウィトコフと会談
▶ プーチン大統領は3日に米中東特使スティーブ・ウィトコフ、トランプの義理の息子ジャレッド・クシュナーとウクライナ和平に関し会談する。
▶ しかし、プーチン達の考える和平は市場の期待するものとは距離があると見られる。
▶ 会談に先立ち、プーチンはヨーロッパがロシアと開戦するなら、モスクワはすでに準備が整っていると発言。
▶ ウクライナによる黒海のロシア影の船団に対するドローン攻撃に対し、プーチンはウクラインの海上封鎖をすると脅した。
② プーチン、インドへ原油など売込へ
▶ 4日~5日、プーチンはインドへ赴き、自国原油の他、ミサイルシステムやジェット戦闘機の拡販プロモーションを行う。インドとのエネルギー・防衛関係を回復する狙いが見える。
▶ プーチンのレトリックは少し原油の押し売りのようにも見えるが、ろしあとしては少なくとも原油供給には自信があるとインドの認識を維持してもらう事が狙いと言われる。
③ ウクライナによるロシア石油インフラ攻撃
▶ 先週末に攻撃を受けたノヴォシビルスク施設を運営するCaspian・パイプライン・コンソーシアム(以下CPC)は12月1日に、三つある係留地の一つから石油出荷を再開し始めたと発表。
▶ 一方、2日ひまわり油を積んだとされるロシア船籍タンカーがやトルコ沿岸で攻撃を受けたとされる。
▶ また、1日にはセネガル沿岸で、農機具や建設機材、発電機用の燃料を積んだタンカー一隻が攻撃を受け爆発炎上。その後この船は安定し係留されたとされる。死傷者はなかった模様。
▶ 最近数週間、ウクライナ海軍ドローンは制裁対象となっているロシア船舶を黒海で攻撃。ロシア石油業界へ打撃を与える。先週もノヴォシビルスクへ向かうタンカー二隻(船名は「Kairos」と「Virat」)に攻撃があり、後に米CNNにウクライナのSBUセキュリティ・サービスは海軍と共同でドローンを使って攻撃した、と話した。尚、両船は広範囲に損害を受け運用から離脱している。
▶ ロシア影の船団が侵略の財源となる石器油輸出を担っていることから、ウクライナは再三再四、西側に具体的行動を起こすよう働きかけている。
④ サウジの混迷する財政と原油価格スランプ
▶ 12月2日にサウジアラビアの2026年予算概要が発表。2026年は1.3兆リヤル(約3,500億ドル)の歳出を予算化し、27年も同程度としている。2026年財政赤字は対GDP比3.3%程度。
▶ サウジ財務相は、ツーリズムやロジスティック、製造業、AIイニシアチブ、或はヴィジョン2030プロジェクトに定められた多くの案件に投資してきた、そのリターンは借入コストを上回っており、財政赤字は心配する迄もない、とする。また、国家債務のGDPに対する割合もグローバル基準である40%を下回っているので、投資家に警報を発することもなくまだ債務を増やす余地はあると言う。
▶ 一方で原油価格ブレント価格60ドル強ではサウジ政府の予算想定の遥か下で、アナリスト達も予算均衡には程遠いとする。4月のトランプ関税騒ぎの時から比べれば石油収入少しはマシになったが、それでも過去5年平均には及ばない。サウジは新興国の中では最もアクティブな借手となり、今年の国際債務残高は200億ドルに迫る。
▶ だが、サウジの非石油セクターは実質GDPの50%以上を占め、政府は観光業と新興製造業が経済を牽引し、2026、27年の成長率を4.6%、3.7%と見込む。 -
12月1日現地終値
ブレント $63.17/バレル、+$0.79/バレル、+1.27%
WTI $59.32/バレル、+$0.77/バレル、+1.32%
① アウトライン
▶ 以下の要因で上昇
・ウクライナによるロシアへのドローン攻撃
・OPEC+、2026年第1四半期増産見合わせ変わらず
・アメリカによるベネズエラ上空閉鎖
② ウクライナ・ドローン攻撃
▶ 世界中の石油1%の搬送を担うCaspian・パイプライン・コンソーシアム(以下CPC)によると、ロシア・ノヴォシビルスクのターミナルにあるCPCの係留地に攻撃があり、オペが止まったと言う。
▶ 一方、11月30日にCPCのの株主のシェブロンは、同地での作業は続いていると言う。三つの係留地のうち二つは積み下ろし作業に、もう一つはバックアップに用いられると言う。(CPCやノヴォシビルスクやシェブロンはカザフスタンと関連がある。この話については別途書きたい)
▶ ウクライナは黒海での軍事活動をステップアップしており、ノヴォシビルスクに向かう2隻の石油タンカーに損傷を与えたところだった。
▶ UBSアナリストはこの攻撃が原油価格上昇に貢献したとする。
② OPEC+来年第1四半期増産見送り継続
▶ 来年第1四半期増産は前回の月次会合で見送られたが、今回の会合で見送りを再合意。OPEC+も供給過剰を意識し始め、シェア防衛へ徐々に戦略転換し始めていると言われる。
▶ LSEGアナリスト「OPEC+が供給過剰を意識し、これを発言の中心に据えるようになった。OPEC+が目標生産量据え置いたことに市場は一安心したし、今後数か月は供給過剰への懸念も和らぐと思う」
③ トランプ政権vsベネズエラ
▶ 11月29日、トランプ大統領は「ベネズエラ上空とその周辺」を閉鎖するべきと発言。ベネズエラはOPEC加盟国でもあり主要産油国でもあるので、新たに不安定要素を業界に持ち込んだ格好。
▶ 11月30日、トランプ大統領はニコラス・マズーロ ベネズエラ大統領と会談したが、詳細は明らかにされていない。
④ その他
▶ 前インド外務相がニューデリで現地メディアにロシアからの原油輸入量を50%削減する可能性があると発言。ただ、インド・ロシアともアメリカによる制裁を避けながら、ある程度の原油の流れは確保したいとしている。 -
30日OPEC+月例会合で決まった主だった事
① 加盟国2026年の産出割当量は従来のままで維持。
② 加盟各国の最大生産量を評価する仕組について合意がなされた。
③ 2026年第1四半期増産を見合わせるとした前回会合の決定を変更しない。
上記②項が今回の会合で最も注目される。
(1) 「最大生産能力」の意義
▶ アラブ首長国連邦のGulf Newsによれば、OPEC+加盟国の最大生産能力(maximum sustainable capacity)とは、その国が自国埋蔵石油に打撃を与えることなく継続的に生産できる量)を意味する。
▶ この最大生産能力の評価方法については、公式にOPEC+内で議論の的とされ、数年に渡り討議されてきたと言われる。各国最大生産能力はその国の生産割当量に直接影響を及ぼすもので、加盟各国にとっては死活問題になりかねない。
▶ 今年5月28日に開催された第39回OPEC+閣僚級会合では、決定事項第6項としてOPEC事務局に最大生産能力評価方法を確立し、2027年の生産量ベースラインのリファレンスとして使えるように求めていた。今回その評価方法をどうするか、が出たわけで、まだ具体的に各国の能力を算出したわけではない。
▶ 上述のように評価の仕方次第で一国の将来が左右されるとあって、OPEC+事務局が各国生産能力を評価する上で客観的である事が問われてきた。OPEC+は評価再設定に当たり独立したコンサルタントを雇ったとされる。
(2) 評価の実施時期、各国や市場の反応
▶ 評価対象となるのはOPEC+22ケ国のうち19ケ国。制裁を受けている加盟国には特別な配慮が払われる。実際に評価を行うのは2026年1~9月に行われると言う。
▶ この評価方法に最も神経質だったのはアラブ首長国連邦。生産キャパを拡張したにも拘らず、現行の最大生産能力に適切に反映されていないと主張していた。
▶ サウジ・アラビアのエネルギー相「第一に透明性に気を使った。何かやり残されたものがないか、適切に実行されているか、世界は注視するだろう。だから透明性のある行動で誰が見ても理解できる結果を出さねばならない」
▶ マーケットの反応は弱めだがポジティブ。原油価格もアジア時間の早い内は上昇。市場は今回の会合では変化がないと予想していた。供給過剰の兆候が出ている時期だけに、増産がOPEC+から出されなかったことからも救われた観がある。 -
OPEC+月次会合
・2026年第1四半期までの増産見合わせはそのまま。
・各国の最大生産能力評価方法についても承認。この評価で27年以降の各国生産割当が決まる。
寝起きで描いたのでごめんなさい。明日真面目にやります。 -
今週見かけた話を幾つか・・・
① アメリカ大手証券による原油価格見通し
▶ JPモルガン 2027年にはブレント価格は30ドル/バレル台まで落ちる可能性があるとする。
▶ ゴールドマン・サックス 原油供給は拡大傾向にあり、2026年は平均で200万バレル/日の生産過剰となると言う。価格下落の結果、2026年平均価格はWTIで53ドル/バレルとする。先週のCNBC番組で同社は投資家に今すぐショートすることを呼びかけた。
▶ 一方で、同社は供給が需要を大きく上回るのは2026年迄で、2027年にはリバランスすると見ている。
▶ その他の金融機関やアナリストからは、OPEC+内外で増産の動きは続き、原油がダブつくことは予想し得るが40ドル割れはないだろうとされる。ウクライナ・ロシア和平ができればロシアエネルギーの市場復帰でエネルギー価格を下押すことにもなるとされる。
② 28日ロシア・サラトフ地域にあるロスネフチの精油施設をウクライナ攻撃
▶ ウクライナ軍幕僚によれば、同精油所への攻撃は8月に続き二度目。8月の時は精油所の原油受入が止まったほどだった。
▶ 同精油所ではガソリン、燃料油、軽油、硫黄を含む20種類以上の石油化学製品を製造し、ロシアのウクライナ駐留部隊の必要物資も供給している。
▶ ウクライナ側は「連続した爆発音と、それに続いて標的地域での炎上も確認された。戦果があったのは確実だ」と言う。
▶ 二週間前の11月15~16日にもロシア第4位のリャザン精油所(ロスネフチ資産)がウクライナからドローン攻撃を受け、先週いっぱい精油工程の稼働を止めたと言われる。
▶ ここ数週間ウクライナはロシア・エネルギー・インフラへの攻撃を強めているが、それはロシア側も同じで、冬が近づくにつれウクライナのガス製造施設や電力・ガス供給網への攻撃を強化している。
▶ 一方で、今週一週間、トランプ政権が両国和平に力を入れ、今週前半にはウクライナも和平案に概ね賛意を表したと伝えられた。来週にはアメリカからウィトコフ特使がモスクワを訪れ政府首脳と和平案を協議すると言う。しかし27日、プーチン大統領は、ロシアが占領した地域からウクライナ軍が撤退しない限り戦争を止めることは無い、と言う強い要求を振りかざしてきた。
③ ウクライナによるドローン攻撃、ロシア経済に打撃
▶ ウクライナは長距離ドローンをロシア石油・ガス製造施設を目標として飛ばし、全精油施設の10%に打撃を与えている。
▶ 秘密とされる発射地点から爆発物を積んで2,000キロは飛ぶとされる長距離攻撃ドローン「リュティ」はその一つである。搭載されたカメラからの映像をリアルタイムで確認しながら操縦するドローン(FPVドローン)を用いてターゲットの飽和を最大化する戦術(swarming target)を、ウクライナ・ドローン部隊はこれまでの経験を通じ身に着けてきた。テクノロジーの進歩でウクライナはロシアの石油・ガス資源の主だった所はほぼ毎日攻撃できる能力を身に着けた。また同一標的への反復攻撃も行っているが、ロシア側もすかさず損害回復、再建に当たっている。
▶ ウクライナ政府の発表では、38あるロシア側の主要石油ガス関連生産基地の内、少なくとも半分は大きく被害を受け、7月には540万バレル日だったロシアの精油量も翌月には500万バレル/日内外まで落ちたと言う。
▶ アメリカの研究者によれば、ロシアは世界第3位の精油能力を誇る。目に見える形になるのはまだ数年先かもしれないが、スペア・キャパシティ建設にも取り掛かっている。だからロシア精油業の物理的崩壊が目の前に迫っている訳でもない。それでもロシアの持つポテンシャルは既に消耗の域に入っている・・と言う。
▶ ロシアはガソリン輸出を禁止しており、国民はガソリン不足や配給制に痛みを感じ始めている。ロシアは原油輸出増と石油製品輸出減を行っており、その結果受取代金は減少していると言われる。現在のロシアの化石燃料輸出年間収入は1,000億ドルだが、前年比では20%減だ。四年間続くウクライナ侵略は、経済的にも軍事的にも石油・ガス産業の輸出収入に大きく依存しいる。国民性として資源が足りない時は陸軍優先となる傾向があるだけに、戦況次第で国民への影響も大きくなるかもしれない。
▶ 更にゼレンスキー自身、ロシア精油施設への打撃こそ最大の制裁と考え行動に移している。 -
11月28日現地終値
ブレント $63.20/バレル、▲$0.14/バレル、▲0.22%
WTI $58.55/バレル、▲$0.10/バレル、▲0.17%
① 2025年11月、一か月間の原油価格
▶ 月足では両油種とも4か月連続の下落。2023年以来の長さ。世界的に供給過多が見込まれ価格を下押す。
▶ とは言え、今週は終わってみれば1%上昇だったが、その背景には燃料油精製の粗利率の上昇から原油需要が高まったことがある。とは言え、市場はまだ弱気ムードに覆われている。
▶ ロイターによる35人のエコノミストへの聞き取りでは、2026年ブレントの平均価格は62.23ドル/バレルだった。LSEGによる2025年の平均価格への調査結果では68.80ドル/バレルだった。
② シカゴ・マーカンタイル取引所で一時取引停止
▶ 28日、27日夜から生じたシカゴ・マーカンタイル取引所CyrusOneデータセンターで冷却システムトラブルが発生。影響が28日早くとも午前中まで出ていた。このためWTI先物取引量が減ったと言われる。ブレントはインターコンチネンタル取引所での取引なので左記トラブルの影響は受けなかった。
③ ウクライナ和平進展なし?
▶ 交渉は進んでいないようで、原油価格も直近三営業日はそれまでの急落から上昇へ。
▶ 或る種の和平合意に対して期待があって原油先物価格も下押し圧力を受けていた。それでも今回は漏れ伝わるものも少なく、何らかのアグリーメントができないとなれば、ロシア原油輸出には更なる制裁が待ち受けることを意味するのではないか?との声もある
④ OPEC+月次会合など
▶ 30日の会合では生産レベルの据置と、加盟各国の最大生産量の評価メカニズムについて合意を行う、とされる。主要八ヶ国の生産割当量に変化はないともされる。
▶ サウジは1月のアジア顧客向け公式価格を下げるとしている。価格水準としては過去5年で最低。
⑤ アメリカ在庫動向(エネルギー情報省26日発表)
▶ 原油在庫 11月21日現在 4億2,690万バレル(11月14日 4億2,420万バレル)、280万バレル増加。過去5年平均に比して4%低い水準。
▶ ガソリン在庫 11月21日現在 2億990万バレル(11月14日 2億740万バレル)、250万バレル増加。過去5年平均に比して3%低い水準。
▶ 中間蒸溜物燃料 11月21日現在 1億1,220万バレル(11月14日 1億1,110万バレル)、250万バレル増加。過去5年平均に比して5%低い水準。
⑥ イラク・クルジスタン自治区へのロケット弾攻撃
▶ クルジスタン自治区最大のガス田にロケット弾攻撃があったと27日報道された。液体貯蔵庫が損傷を受け、火災消化のため生産停止となったが人的被害はないとされる。被害を受けたのはガス田なので、石油生産や輸出に影響はない。但し、クルジスタン自治区に停電を齎し、自治区外への電力供給にも影響を出したそうだ。
▶ クルジスタン自治区への攻撃は三日間続いた7月のドローン攻撃以来のもの。それ以前からこの種の攻撃はあったとされる。
▶ 犯人はイラン寄りの在イラク軍事勢力が疑われているようだ。
⑦ その他
▶ ロシアのガスプロンが2025年第3四半期17億2,000万ドル黒字計上。過去二年は・・。2023年はヨーロッパでのでのガス販売忌避で創業来初の赤字。2024年は約148億ドルの黒字。しかしこの年の第3四半期は一時的税負担で6億8,000万ドル赤字。
▶ 今年1~9月、偽の国旗を掲げ操業したロシア影の船団タンカーは113隻あるとされ、9月時点では90隻とされる。2024年末と比べると6倍程度とされる。同船団による原油輸出量は前年47億ユーロから54億ユーロへ増加したそうだ。搬送対象となったロシア原油全体の13%に当たる量を担ったともされる。
▶ ブラジルのペトロブラスが原油価格低迷で今後5年間(2026~30年)の設備投資計画を前回の数値から2%程度縮小し1,090億ドル。2026年のブレント平均価格を63ドル/バレルと想定(前回計画では77ドルバレルを想定)。また普通配当見通しも2030年迄の5年間で最大550億ドルとしていたものを450~500億ドルと下方修正。今回更新された計画には特別配の類は含まれない。 -
訂正:
日付けが間違っておりました。
正しくは11月27日です。
>各市場11月28日終値
>ブレント $63.34/バレル、+$0.21/バレル、+0.33%
>WTI $59.10/バレル、+$0.45/バレル、+0.77% -
各市場11月28日終値
ブレント $63.34/バレル、+$0.21/バレル、+0.33%
WTI $59.10/バレル、+$0.45/バレル、+0.77%
① ウクライナ和平への見通し
▶ サンクス・ギビング・デイでアメリカの取引は少な目だったがウクライナ和平への努力に対しては期待と会議が入り混じり、マーケットは上下に振れる。
▶ トランプ大統領が最初に提示した28項目の和平案よりも新たに出された19項目案の方がウクライナには有利であり、クリティカルな修正箇所としてはドンバス地方の無条件割譲はない事、ウクライナの将来NATO加盟に対する自動拒否権をロシアに認めない事、ロシアが将来ウクライナに侵略をするようであればアメリカが仲裁に入る旨を定めた5か条から成るウクライナ防衛条項が含まれることである。最初の案に含まれていた戦争犯罪人への恩赦は削除されている。
▶ アメリカとウクライナはトランプ和平案に対するギャップを狭めようとしているが、ウクライナ政府は領土割譲などロシア側の要求に大きく偏った取り決めを飲み込むことに未だ躊躇いを感じている。
▶ プーチン大統領は米ウ間で協議された和平プラン・ドラフト版は、大枠として戦争終結合意のベースとなり得るかもしれないと発言。
▶ 一方でプーチン大統領は、ウクライナ軍の主要地域からの撤退、戦闘行為停止を求め、これら条件が達成できない場合は自らの目標を力で達成するとも言った。
② OPEC+月次会合
▶ 11月30日に月次会合。生産予定量は変更されないと見られる。加盟国の最大生産能力評価を行うとも伝えられる。
▶ 2025年は徐々に生産量を増やしてきたが、2026年第1四半期増産見合わせの方針も変わらなそう。尚、見合わせの期間を延長するのではないかとする見方もあるようだ。
③ アメリカ利下げ期待
▶ アメリカ利下げへの期待は高まり、原油価格の支持要因となる。
▶ OANDAのシニア・マーケット・アナリスト、Kelvin Wongは「FRBが12月10日のFOMCでタカ派的ガイダンスを出さない限り、原油価格を支える他の因子は市場になく年末にかかけての取引も激減するだろう」「そうなれば、WTIの価格レンジも年末までは56.80~60.40ドル/バレルのレンジ相場となると思う。」
③ 中国政策原油在庫形成
▶ 中国のロシア原油輸入量が増えたとの報がオイルプライスドットコムにあった。過去2ヶ月でロシア原油輸入量は27万5,600バレル/日増加し、215万バレル/日輸入したそうだ。中国の原油輸入総量も86万6000バレル/日増加し、1,144万バーレル/日となった。
▶ ここ数か月中国は一日当たり100万バレル/日在庫を積み上げ、1~9月の間で1億6,000万バレル溜め込んだと言う。少なくとも2026年内は中国は備蓄継続すると見られる。
④ ベネズエラ情勢
▶ トランプ政権はマズーロ ベネズエラ大統領が指揮しているとするカルテル・デ・ロス・ソレスを外国テロリスト集団と指定した。アメリカは南米の麻薬カルテルを標的とする新作戦“Operation SOUTHERN SPEAR(南方の槍)”として、麻薬取引をしていると疑われる船舶を標的にしている。一方、ベネズエラは原油埋蔵量が3,030億バレルと世界一とされており、アメリカの動きを原油と関連させる向きもある。
▶ ベネズエラは金融市場へのアクセスを禁じられる制裁を幾つも受け、2017年以降原油生産量が急減している。しかし、ここ最近は生産量が伸び、2020年には36万バレル/日だったが、現在は100万バレル/日程度まで緩やかに回復している。
▶ しかし、過去の投資不足や掘削経験不足から、ピーク期である2011~15年につけた250万バレル/日まで生産量を戻すには、まだ複数の年月を要すると見られる。
▶ またベネズエラは外国資本の石油投資物件国有化の波の中でココノフィリップスの資産を2007年に没収したことがある。ココノフィリップスは国際仲裁に80億ドルの補償を訴え、ベネズエラは反論に失敗した。ココノフィリップ社は裁定の執行とベネズエラ政府保有海外資産からの回収を行っている。 -
日本時間12:38現在
ブレント $62.86/バレル、▲$0.27/バレル、▲0.43%
WTI $58.37/バレル、▲$0.89/バレル、▲0.48%
① ウクライナ戦争はロシア次第
▶ ウクライナ和平次第で原油市場は大きく変わると見られている。25日、ウクライナ・ゼレンスキー大統領はヨーロッパ各国首脳に対し、アメリカが提示した和平案フレームワークには幾つか相いれない点はあるものの、これを進める腹積もりはできていると言った。
▶ 25~26日にかけて、ゼレンスキー大統領:アメリカが作成した和平案フレームワークを進めることを示唆。幾つか合意できない点はあるともされる。あるウクライナ関係者は今後数日中にゼレンスキー大統領はアメリカに赴き最終合意をするとも言う。
▶ 一方のトランプ大統領は、当初修正案の28項目を書き直しが必要だったものを19項目迄減らし、ウクライナの大筋合意を得られたと伝えられる。代表団を送ってプーチン大統領、ウクライナ首脳と個別に会合し和平合意を纏めたいともされる。
▶ ロシアは修正案を「単なる一つの案」と述べ曖昧な態度を示す。
▶ 11月21日以降適用されるロスネフチとルクオイルへの制裁で、インドや中国の精油業者によるロシア原油購入大幅減に至っている。他方和平合意に対する楽観的見通しが広がり、制裁による原油価格上昇効果にも陰りが出始めている。
② 市場参加者の反応
▶ リポウ・オイル・アソシエイツ社長アンドリュー・リポウ氏は「まだ和平条約はないし、関係各国が全て一つのテーブルに就いて満足を以てサインするのはとても難しい」
▶ IGE証券マーケット・アナリスト、Tony Sycamore氏は「和平合意ができた途端、ロシア製エネルギー輸出に対する西側制裁は急速に崩壊する。」とし、WTIで55ドル/バレル程度まで下落すると予想する。「市場は更なる透明性を欲しがっている。話合いがとん挫しない限り、価格下落リスクは残る」
▶ ヘッジファンドはWTIにショートポジションを積み上げ、商品トレーディング・アドバイザーたちもブレント、WTI如何に関わらず売りに向かっている。
③ アメリカ利下げ
▶ 需要拡大~原油価格上昇の因子として期待される。
④ 次の日曜日はOPEC+月次会合
▶ 12月の137,000バレル/日増産を決めた前回の会合から変更はないと見られる。しかし、今後の生産方針の変化や生産割当について示唆する発言が出れば原油価格に影響は出ると思われる。 -
各市場時間11月25日終値
ブレント $62.48/バレル、▲$0.89/バレル、▲1.40%
WTI $57.95/バレル、▲$0.89/バレル、▲1.51%
① ウクライナ戦争、和平へ向けた動き
▶ ABCニュースやCBSニュースによると、アメリカ政府関係者の発言としてウクライナが和平協議に合意したとされる。原油価格は下落。
▶ 25日ジュネーブで行われたアメリカ側との協議の後、ウクライナ政府関係者はロイターに同政府が和平協定のフレームワークのエッセンスを指示すると語った。しかし、フレームワークにおけるもっとも神経質な複数の問題についてはアメリカ・ウクライナ両大統領間で協議継続が続くともされた。
▶ ウクライナ政府国家安全員会長官Rustem Umerovは、今後数日でゼレンスキー大統領は訪米し、戦争終結に向けトランプ大統領と協定の最終決定を行うことになるだろうと語った。
▶ ウクライナ・ロシア間で和平協定ができれば、モスクワに対する制裁は解除され、それまで締め出されていた原油が市場に戻ってくることになり、原油価格は下がることは必至。但し、その前にロシア側が和平案に合意するかは別問題。
② ロシア関連
▶ ロシアの石油大手ロスネフチやルクオイルに対する新たな制裁でロシア原油を使った最終製品をヨーロッパへ販売する事は禁じられたので、リライアンス社を始めとするインド精油業者はロシア原油購入を大きく減らしている。
▶ ロシアとしては歳入確保のためのオプションは限られており、25日ロシア副首相アレクサンダー・ノバクは中国に赴き中区に原油輸出拡大に関し協議を行った。
▶ 他方、25日、露ノバク副首相は北京で、原油需要は伸び続けるが、不効率な投資が不均衡なファンダメンタルズに繋がりかねないと語った。今年の世界需要は1億460万バレル/日に達するとノバクはタス通信を通じて言ったが、OPECの需要予想1億514万バレル/日に比べると若干少ない。新規掘削拠点に対する投資は極めて緩慢だが、自然環境下で設備損耗に追いつくのが負担となっているようだ。
③ 2026年世界需給予想
▶ 2026年の原油市場について、数多くの予想が需要を上回った供給がなされるとしており、来年の原油需給バランスは緩んだものとなりそうだ。既にここのところは、過剰供給懸念から市場のセンチメントは下向きだ。
▶ ドイツ銀行は2026年の世界原油過剰供給量を200万バレル/日と予想し、27年での解消も分らないとする。
④アメリカ関連
▶ 原油価格上昇の期待を持たせるのは12月9~10日のFRB政策決定会合である。メンバーの中には利下げを示唆する人も居る。低金利となれば経済成長を促し、石油需要も旺盛となる。
▶ アメリカ石油協会の石油統計が出た。11月21日現在全米商用原油在庫は190万バレル減。ガソリン在庫は50万バレル増。中間蒸溜物在庫は80万バレル増加。
⓹ 中国・イランの話題
▶ 中国からの需要減でイラン原油洋上タンカー在庫が520万バレルと過去二年半で最高となった(日本の原油消費量が400万バレル/日と言われるので、規模がどれ程か想像し得ると思う)。一月時点の洋上在庫量は5~100万バレル。
▶ 今迄イラン原油輸出は旺盛と言われていたが、その相手国は中国が中心。輸出量の90%を占めると言われる。
中国側が輸入を控える理由は①.山東省中小精油企業群が輸入原油の割当を受けられないでいる事、②.最近アメリカがイラン原油を購入した中国企業に制裁を課したことから買い控えが生じていること。
▶ 現在イラン・ライト・ブレンドのICEブレントに対するディスカウントは8ドル/バレル。8月時点では4ドル/バレル
▶ 制裁があるにもかかわらず、中国はイランやロシア原油の購入の完全停止をしようとしていない。サプライチェーン再整備に時間がかかること、積載船を途中で替えることで実効的な制裁逃れを再開している事が理由。
読み込みエラーが発生しました
再読み込み
I am idiot
