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【エクストラ・ヴァージンオイル】
損切りの苦しみを癒す効能をもった“聖女の涙”。
この聖遺物が祀られた聖エクストラ寺院には
遠方からの参拝者が後を絶たない。

23年の6月末、ヴァージン・ギャラクティック社は「初の商業宇宙旅行の成功」という“約束の日”を迎えたにも関わらず、皮肉にも株価は上場来の安値へ向かうことになった。
教義の根幹たる預言が成就しなかったショックは大きく、女司祭エクストラは大勢のホルダーを引き連れて宇宙平和教会を離反することになる。

司祭が損切りする際、彼女は自身よりもホルダー達の苦しみを想って大粒の涙を流したとされているが、この涙には損切りの苦しみを癒す効能があったために小瓶で保管され、後に建立される聖エクストラ寺院の本尊《エクストラ・ヴァージンオイル》として大切に祀られることとなった。

余談だが、著名な社会心理学者マック＝デ・モスは足繁く聖エクストラ寺院に通い、延べ 62人の参拝者に取材を重ねた。その様子を収めたドキュメンタリー映画『To The Moon？』は《ヴァージン二世問題》の火付け役となり、その年のヴァチカン映画祭で金熊賞を受賞している。