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胆力の掲示板

日経平均一時700円安 「円安・株安論」が台頭-越智小夏

2024/04/25 11:54  日経速報ニュース    1258文字  画像有  


 25日午前の東京株式市場で日経平均株価は急反落し、前日比の下げ幅は一時700円を超えた。前日に4日ぶりに心理的節目の3万8000円を回復していたが、1日しか持たなかった。下げの発端となったのは、前日に決算を発表した米メタの株価の急落だ。日米ともにさえない主力企業の決算が相次ぎ、相場の重荷になっている。円相場が1ドル=155円台に下落するなかで株安が進行し、市場では「円安・株安論」も出始めた。
 午前終値は641円(1.67%)安の3万7818円だった。400円安で始まり、じわじわと下げ幅を広げた。きっかけになったのは米メタの弱気な業績見通しだ。24日の決算発表で人工知能(AI)開発の投資負担が増加すると発表し、市場は嫌気した。時間外取引で一時2割下落した。
 メタを発端に、日米市場に弱気が広がった。前日に発表した決算で25年3月期の連結純利益が前期比19%減になりそうとの見通しを発表したファナックは、一時6%下落した。24年1〜3月期に営業利益が5%減ったキヤノンは7%、24年3月期の純利益を下方修正したパナソニックホールディングスは4%それぞれ下落した。
 ファナック株安の連想でコマツも一時4%下げるなど、悪材料による売りが連鎖している。ニデック株安の影響をテスラ株高が抑え、強気姿勢で日経平均が900円高を付けた前日から様相は変わった。

1ドル=155円台と歴史的な水準となった円安も、買い材料にならなかった。外需銘柄でも下げが目立ち、トヨタ自動車は一時3%安、ホンダは2%安を付けた。りそなアセットマネジメントの黒瀬浩一チーフ・ストラテジストは「介入ラインといわれていた1ドル152円を超えて円安が進み、介入がいつ入るか読めなくなってしまった。日銀による利上げ時期の前倒しの可能性もあり、円安恩恵だけでは買いにくい」と話す。
 過度な円安はそれ自体が日本株にマイナスだとの指摘もある。JPモルガン証券の西原里江チーフ株式ストラテジストは4月17日付のレポートで、「157円を超える過度な円安は日本株のマイナス要因になりうる」と指摘する。消費の下押し圧力が加速するほか、為替ヘッジのないドル建ての日本株投資のリターンが低下するためだ。
 実際、キヤノンの浅田稔専務は「昔ほど円安のメリットは出にくくなっている」と指摘。海外からの原材料輸入コストなどの上昇要因になるためだ。
 日経平均は、前日の米株式市場の強弱に連動する相場が続いている。フィデリティ投信の重見吉徳マクロストラテジストは「業績相場から金融相場への巻き戻しが起きている。米金利が意識される状況では、日本株は円安による業績押し上げ効果よりも米株の強弱に連動しやすい」と指摘する。
 市場は週内の円買い介入を強く意識し始めた。25日の1〜3月期の米実質国内総生産(GDP)速報値や、26日の3月の米個人消費支出(PCE)物価指数など、米利下げ動向にかかわる主要指標の発表も控える。大型連休が明けるまでは、積極的な買いには動けなさそうだ。(越智小夏)

胆力 日経平均一時700円安 「円安・株安論」が台頭-越智小夏  2024/04/25 11:54  日経速報ニュース    1258文字  画像有      25日午前の東京株式市場で日経平均株価は急反落し、前日比の下げ幅は一時700円を超えた。前日に4日ぶりに心理的節目の3万8000円を回復していたが、1日しか持たなかった。下げの発端となったのは、前日に決算を発表した米メタの株価の急落だ。日米ともにさえない主力企業の決算が相次ぎ、相場の重荷になっている。円相場が1ドル=155円台に下落するなかで株安が進行し、市場では「円安・株安論」も出始めた。  午前終値は641円(1.67%)安の3万7818円だった。400円安で始まり、じわじわと下げ幅を広げた。きっかけになったのは米メタの弱気な業績見通しだ。24日の決算発表で人工知能(AI)開発の投資負担が増加すると発表し、市場は嫌気した。時間外取引で一時2割下落した。  メタを発端に、日米市場に弱気が広がった。前日に発表した決算で25年3月期の連結純利益が前期比19%減になりそうとの見通しを発表したファナックは、一時6%下落した。24年1〜3月期に営業利益が5%減ったキヤノンは7%、24年3月期の純利益を下方修正したパナソニックホールディングスは4%それぞれ下落した。  ファナック株安の連想でコマツも一時4%下げるなど、悪材料による売りが連鎖している。ニデック株安の影響をテスラ株高が抑え、強気姿勢で日経平均が900円高を付けた前日から様相は変わった。  1ドル=155円台と歴史的な水準となった円安も、買い材料にならなかった。外需銘柄でも下げが目立ち、トヨタ自動車は一時3%安、ホンダは2%安を付けた。りそなアセットマネジメントの黒瀬浩一チーフ・ストラテジストは「介入ラインといわれていた1ドル152円を超えて円安が進み、介入がいつ入るか読めなくなってしまった。日銀による利上げ時期の前倒しの可能性もあり、円安恩恵だけでは買いにくい」と話す。  過度な円安はそれ自体が日本株にマイナスだとの指摘もある。JPモルガン証券の西原里江チーフ株式ストラテジストは4月17日付のレポートで、「157円を超える過度な円安は日本株のマイナス要因になりうる」と指摘する。消費の下押し圧力が加速するほか、為替ヘッジのないドル建ての日本株投資のリターンが低下するためだ。  実際、キヤノンの浅田稔専務は「昔ほど円安のメリットは出にくくなっている」と指摘。海外からの原材料輸入コストなどの上昇要因になるためだ。  日経平均は、前日の米株式市場の強弱に連動する相場が続いている。フィデリティ投信の重見吉徳マクロストラテジストは「業績相場から金融相場への巻き戻しが起きている。米金利が意識される状況では、日本株は円安による業績押し上げ効果よりも米株の強弱に連動しやすい」と指摘する。  市場は週内の円買い介入を強く意識し始めた。25日の1〜3月期の米実質国内総生産(GDP)速報値や、26日の3月の米個人消費支出(PCE)物価指数など、米利下げ動向にかかわる主要指標の発表も控える。大型連休が明けるまでは、積極的な買いには動けなさそうだ。(越智小夏)