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大容量電池の充電時間を短縮

独ポルシェが2020年にEV「タイカン」を発売したのを皮切りに、同アウディや韓国・現代自動車、米ゼネラル・モーターズ(GM)が相次いで800V対応EVの投入を発表した。独ダイムラーも検討しており、高級車の標準になる勢いだ。

日本勢ではドイツ高級車と競合する「レクサス」を抱えるトヨタ自動車が、800V化への対応は避けられないとの見方が強まっている。

さらなる高電圧化が進む可能性もある。ポルシェは21年9月、900Vまで高めたEV競技車を開発すると公表した。中国では1キロ(k)V超まで高めた「キロボルトカー」の議論も飛び出す。

EVに搭載するリチウムイオン電池の電圧は通常400V前後である。2倍以上に高める最大の狙いは、EVの課題である充電時間を短縮することだ。電池容量の拡大競争が激しくなっていることが背景にある。

高級車では、容量100kワット時(Wh)超の電池を搭載するEVが登場し始めた。独ボッシュの予測によると、75k~100kWhの大容量電池を搭載したEVの比率が25年に20%に達し、28年には32%に拡大する。

大容量化で航続距離を伸ばせる一方、充電時間は長くなる。ユーザーの不満を抑えるのに800V化が必須というわけだ。

充電インフラも800Vに対応する必要はあるが、充電時の電流量を増やさないで急速充電器の出力を高められ、充電時間を短縮できる。ポルシェは800Vにして出力を350kWに高めた「超急速充電」によって、4分の充電時間で100キロメートル走行できるとうたう。

欧州では800V対応急速充電器の設置が進み始めた。米中にも広がる流れである。調査会社ブルームバーグNEFは、欧州と米国、中国における急速充電器のうち、800V対応比率は21年に1%のところ、25年に28%、30年に52%まで増えると予測する。

800V化の利点は、充電時間の短縮にとどまらない。インバーターや駆動モーターといった中核のパワートレーン部品の小型化と高出力化に貢献する。ドイツのメガサプライヤーが、800V対応パワートレーン部品の量産計画を続々と明かし始めた。