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806(最新)
「雇用統計は、すごくよかったよね?」
「パーフェクトに強かった」
「でも…」
「ドル円のことを言いたいのですね?」
「うん」
「あれは色々とあるんで、先週初めにベッセントが『日本は円高にするはずだ』とか言い始めたよね」
「その話ならば、1か月前の為替の日米協調介入から始まっていますよね」
「確かに。
長期債の金利が切羽詰まっていたアメリカは、絶対に米国債を売られたくない。
でも、日本は手持ちの米国債を売らなければ為替介入資金を得られず、資金が得られないとベッセントが嫌う円安ドル高が続いてしまう。
そこで、米国が協調介入をしました。
あの時、米国は日本に利上げをするように迫ったはずだと言われていましたよね」
「アメリカは、日銀会合が迫った先週『利上げで円高にしろ』と露骨に迫りました」
「日本側は、日銀の高田委員が『複数回利上げもありえる』と言いました。
ここから、円が買われましたよね」
「その後ADP雇用統計が悪めに出たので、ドル売りがさらに加速しました」
「おそらく、日本側ではOB指導のようなことがあったのでしょう。
GPIFや銀行などもステルス的にドル売りに協力したのかもしれないです。
ドルの落ち方が異常に早くて変でしたから。
それと、アメリカではレイトチェックが行われたようだとも言われました」
「でも、雇用統計はものすごく良かったけれど…」
「国策的に勢いをつけていたときは、そのまま行くしかないんだよ」
「今度の日銀会合では利上げが行われる可能性が高いと言われています。
それまで、『顔を立てる』必要があると思います」
「じゃあ、このまま円高になるのかな?」
「それは違うと思う。
しるふぃーは、経済が強い国の通貨を売れると思う?」
「それってかなり怖い行動だよね」
「うん。
経済状態がよい国の通貨は、普通は売れないものだよね」
「金利差も考慮する必要がありますね。
日米欧英スイスで金利差を比べると次のようになります。
日米 2.63%
米欧 1.50%
米英 ー0.12%
米豪 ー0.40%
米瑞 3.30%
日銀が0.25%利上げを2回連続して行ったとしてさえも、日米金利差はまだ2.13%あります。
経済規模が大きくて政治も安定していて通貨量の多い国の中で、これほどまでに低金利の国はありません。
しかも、アメリカでは、イラン関連で原油価格が上がったために、再びインフレが加速しようとしています。
そのため、日米金利差が大きく縮まる事は、まだ当分、ありえないと思います」
「あれって、トランプが『対米貿易黒字のすべての国と取引停止だ!』とか怒鳴りまくっていたことへの一つの対処法だったと思えるんだ。
ベッセントは、前々からトランプにそう言われていたんだと思う」
「じゃあ、このまま円高になるってことはないんだよね?」
「日本側だって、さらに円高になると輸出企業の業績が一挙に悪くなるから、わざわざ人為的にそうするわけないよ。
ドルが崩れる時っていうのは、アメリカ経済が不況に入るときだから、それまでは安心って言うか」
「このまま、日銀会合までドル円レートがそれほど動かなければ、両国ともありがたいのではないですか」
「そう言えば、雇用統計がすごく良くなったりすごく悪くなったりする時って、その前にドルが大きく逆に動くことがありますよね。
今回もそうなったけど、これって、これ以上ドルが動くとまずいって時に予め逆方向に動かして、緩衝地帯を作ってるんじゃないかなとか…」
「内部の事情は、私達には分からないです」
「まあ、それもそうですね」
「今週の見通しはどうなるの?」
「雇用はすごく良かった。
だから、FRBとしては、9月中旬の次回会合で金利を決めるとき、物価だけを考慮すればよくなった」
「そういう意味では、今週はPPIとCPIが大きな意味を持つはずですね」
「FRBは、CPIよりPCEの方を気にするものだけど、会合の迫った今はCPIを強く参考にすると思う。
CPIの結果がどうなるかは、分からないけどね」
「イラン情勢の悪化による原油高のため、PPIは上がるのでしょう。
CPIは、夏場に農産物が大量にとれたりする関係で安くなることもあります。
どちらになるのでしょうか」
「どっちにしても、今週は物価に気を配ればいいってことだよね」
「そんな感じかな」
「そうですね」 -
805
「先週は、新築住宅販売件数がかなり落ち込んでいましたが…」
「ああ、あれね。
だけど、この時期は、結構、住宅建設関係が落ち込むものでしょ。
だから、ギリギリ、季節的変動の下限だって言い張るくらいはできるんじゃないの?
あれより悪くなると、危なそうだけどね」
「そうですか」
「PCEの方は落ち着きましたよね」
「落ち着いたって言うのは、予想通り下げた時じゃないかな。
今回は、前々回に比べて原油価格が少し落ちて来てたのに、予想に反して下がってなかったでしょ。
だから、インフレ懸念がまた復活してると思うんだけど」
「日本のCPIの方も少し上がり気味でしたよね。
9月には、史上最多の食品数について値上げがされるようなので、心配ですね」
「原油価格については、当分、下がりそうもないですよね…」
「先週初めにベッセント長官が『史上最大の経済制裁をイランに科す予定だ』などと言っていましたから、当分続きそうですね」
「だから、ウォーシュFRB理事も、引き締め的な発言をされたのでしょうか」
「まあ、当分、解決しそうにない情勢になってしまったよね。
しかも、アメリカのCIA長官がモスクワに行って、ロシアにヨーロッパ侵攻をしないように釘を刺していたそうだから、そっちでもきな臭くなっているしね」
「なぜ、ロシアがヨーロッパに侵攻する必要があるのですか?」
「なんでも、ウクライナイを応援しているNATOが、どのくらい団結しているか見てみたいんだとか。
バルト三国の国境から侵入してみて、他のNATO諸国がちゃんと反撃してくるのか見過ごすのかってね。
見過ごすようなら、もっと脅しをかければNATO諸国からウクライナへの支援を止めさせられるとか考えてるみたいだけど」
「そうでなくても、世界中混乱している時ですから、いい加減にして欲しいですね」
「先週は、悪いことばかりではなかったと思います。
アメリカがベネズエラの大きな石油権益を獲得したそうですから、原油価格が下がる可能性があるのではないでしょうか?」
「だけどさあ、それってずっとの先のことだよ。
掘削して採掘して精製してって、すぐにできるの?」
「それは、そうですね…。
ですが、エヌビディアの決算が予想以上に良かった点は、明るい材料ですよね」
「エヌビディア1社についてならば、そう言えるのかもしれないですね。
まだ、対抗するハードウェアーメーカーが現れていないと言えますから。
でも、いずれ多くのメーカーが追随してくるのでしょう」
「意外にも、ソフトウェア関係の企業が持ち直していましたよね。
一時はAIによりソフトウェア企業が食べられてしまうなどと言われていましたが、決算がよかったために持ち直しているといいますか」
「今のAIが雇用を食いソフトウェアの分野を圧迫しているのは事実ですが、逆に、まだAIはそこまで利口ではないという事なのでしょう。
AIを使った業務の効率化と人間との共存ができるのかも知れませんね」
「それならば、いいですね。
問題は、先ほど先生もおっしゃられたように物価ということになりますね。
次回FRBでの利上げ確率が増えていますし」
「日本でも9月に利上げしそうだなどと言われ始めました」
「どうなっちゃうんだろうねえ。
小売売上高とか雇用とか、落ちて来てるみたいだし…。
ああ、そう言えば、来週は雇用統計だったよね。
その前のJOLTSとかADPとかで揺れるんだろうねえ、また。
もっとも、雇用が少しだけ悪くなってくれれば、利上げ観測は遠のくんだけどね。
でも、雇用はつるべ落としのように落ちるから、そういうのも怖いし」
「今週も、難しい週になりそうですね」
「確かにね」
「今週も用心しながら市場について行くことになりそうですね」
「新学期も始まりましたから、気を引き締めて行こうではないですか」
「まあ、そんな感じかな」 -
804
「先週は、日本のCPIが問題になるかと思っていましたが、日本のGDPの方が気になりました」
「そうですね。
CPIは政府が各種補助金を出して抑えていますから、あまり変動しなかったと思います」
「そうなの。
じゃあ、GDPの問題って?」
「それは、支出側が実質でー0.2%で、生産側がー0.7%とマイナスであったのに、分配側だけが2.8%と伸びていた点です」
「じゃあ、みんな貯金してしまったってこと?」
「そうなると思います」
「おそらく、大企業の富裕層だけに収入の伸びが偏ったのではないでしょうか?
富裕層ならば、収入が増えても貧困層のように手から口にすぐに消費しませんから」
「ああ、そういうこと」
「景気対策のためには、手から口の貧民層を使うべきなのですが…」
「それって、ちょっと物騒な言い方じゃない?」
「ですが、事実です」
「それに、ここまで円安にしたのにGDPが年率で1.1%しか伸びていない事も、気になりました。
国内では、安易に価格転嫁すればよいというように、賃金スパイラルに陥りそうな気がして。
マンション価格なども急騰していましたから…」
「うーん、そういう細かい話は俺にはよくわからないんだけど、そうなのかも知れないね。
それはそうと、アメリカ経済とかはどうなってるの?
先週の初めにトランプが『停戦の延長はしない』とか言ったから、市場が下げてたでしょ。
イランが、中間選挙の近いトランプの足元を見てさ」
「ええ、そのために国債金利が上がり、AIや半導体などの大規模投資の必要な分野の株が下げました」
「そのため、すぐにベッセント大臣が米国債の買い入れを増やしました。
でも、あれは一時的効果しかなく、逆にマネーストックを増やしてインフレにマイナスに働きそうな気もして…」
「米国30年債の金利が5.3%を超えましたから、なりふり構っていられなかったのでしょう。
5.3%くらいを超えると、建設や住宅やその他投資などの金利が上がって一挙に経済に悪影響が出ますから」
「ああ、だからこの間の日本の為替介入の時も『絶対に米国債を売るな』と強くけん制していたんだね。
介入もユーロでやったし。
まあ、大臣も色々と大変なんだろうね。
トランプには物を言えないみたいでもあるしね(笑)」
「そう言えば、アメリカの住宅関係が落ち込んでいましたが…。
国債の買戻しには、予防策としての景気対策の意味もあるのでしょうか?」
「アメリカは新学期が始まる前から住宅需要が落ち込み始め、それに少しだけ遅れて建設計画なども冬の影響を考えて落ち込みますから、あのくらいの下げではあまり心配する必要はないと思いますが」
「それならばよいのですが」
「それよりも、ブロードコムやエヌビデアなどのAI関係で循環投資がされているようだと言う話の方が気になります」
「もう無理だと言う勢力と、まだ適正価格帯だという勢力がぶつかっていますよね」
「もしも無理な水準に来ているのだとしたら、将来暗くなりそうですね」
「あのさあ、それって、今はまだ分からないの?」
「まだ二つの勢力が言い争っている状態なので…」
「ああ、そう。
ところで、今週はどうなるのかな?」
「今週は、新築住宅販売件数の発表が週初にあります。
これが少しではなく大きく落ち込むならば、将来について考える必要があります」
「その後は、何と言ってもPCEですね。
まだ石油が安くなっていた頃のデータですから、おそらく、インフレが少し収まったという発表になると思います。
これが上がっているようならば非常にまずいですが、その可能性は低いはずです」
「あとは、GDP改定値とジャクソンホールでのFRB議長発言に注意する必要があると思います」
「今年も、もう、そういう大きな会議の季節になってたんだね。
ああいう大きな会議があるんだったら、ちょっと様子見かな」
「そのくらい慎重な方がいいと思います」
「けっこう夏枯れしている時期でもありますしね」
「わかった。
じゃあ、そういうことで」 -
803
「先週の米CPI、まあ予想どおりだったわよね。
これと言ってあまり問題がないって言うか」
「いや、それは…」
「どうしたのよ?」
「7月は石油がまた上がりかけていたのであるが、それが反映されず逆に落ちていたのが気になるというか…。
少し、景気が悪くなりかけているのではないだろうか?」
「ほぼ予想どおりだったんだから、問題ないでしょ?」
「しかし、膨らみそうなものが、わずかとは言え逆に予想などより萎んでいた。
それに小売売上高は、もっとその傾向を反映していたような気がしてしまい…」
「確かに、小売売上高は落ち込んでいましたよね」
「うむ。
特に、自動車とガソリンの売り上げが落ちていた。
家や自動車などの高価な買い物は、景気が悪くなり始めると庶民が買いづらくなる。
ガソリンは、行楽シーズンの夏場ならば売り上げが増えるはずだ。
しかし、逆に少し落ちていた。
衣服なども、熱くなる夏場は買い替えるものなのに、あまりよくなかった。
庶民が物価高などについて行けなくなって来ているのではないだろうか?」
「でも、今年の7月のアメリカって物凄い猛暑だったわよね。
首都ワシントンで独立記念日に始めて40度を超えたとかって。
そんな中でみんな出かけるわけないわよ。
私なら、干上がっちゃうと思う。
それに、ワールドカップが開かれてたから、TVとかで見てた人も多かったはずだし」
「アメリカ人が、サッカーなど見るでしょうか?」
「けっこう、見ていたのではないだろうか?
まあ、それはよいとして、経済にとって少し気になることが現れたような気がして仕方ない」
「キュイ」
「何々、今週の見通しはどうなるのかと?
市場ではCPIが予想よりマイルドだったことを喜んで、かなり明るい雰囲気になっているようだ。
日本も、お盆が開けて買い向かう勢力が現れるのかもしれない。
だが、小売売上高は落ちていたし、基本は夏枯れ相場であるから、けっこう用心すべきなのだろうと思う。
今週は、FOMC議事録や日本のCPIなどが発表されるから、注意深く見ていく必要があると思う。
また、先ほど話した家関係についても、今週は住宅・建設関係の発表があるから、将来を読むために注意しておくべきであろうな。
そうそう、そういう意味でこのところ少し低調な設備稼働率などに注意しておくのもよいだろう」
「アメリカ市場はみんなが明るくなってるし、日本はお盆が明けたんだから、パッと景気よく行きそうな気がするんだけど」
「確かにそういう面もあるが、今の背景は『夏枯れ相場』という事を忘れられるな。
AIなども落ち込みから回復してはいるが、一時の『萌え萌え』の状態にまでは戻らないであろうからな。
また、イラン関係が改善されそうもなくなったから、そういう意味での先読みもしておく必要がある。
今週は、いつでも用心しておくことが大事だろう」
「わかったわ」
「わかりました」
「キュイ―」 -
802
「先週は、何をおいても雇用統計のインパクトがすごかったけど…」
「はっはっは。
あれは見かけだけで大したことはなかろう」
「マイナスになっていましたが、ホントに大丈夫なのですか?」
「マイナスになったのは、政府の雇用関係が落ち込んでいたからだ。
夏休みになる前に、教師や用務員などの学校関係者などを大量に一旦首にする。
そういう事情もあって、毎年夏になると雇用関係が突如として落ち込むことがよくあるのだ」
「じゃあ、雇用関係は心配する必要はないってこと?」
「あ、いや、それは少し早計と言うか。
夏に伸びるべきレジャー関係の雇用が今回はマイナスになっていた。
レジャーと言ういわば『ぜいたく品』は、経済が苦しくなり始めた時に真っ先に切られるもの。
しかも、小売関係の雇用も落ちていたから、経済に少し陰りが見え始めていると言えるはずだ。
だから、今回の雇用統計は、手放しで安心できるとまでは言えないのだろうな」
「では、それほど心配する必要もないが、やはり用心しておくべきということね?」
「まあ、そんなところだ。
特に、雇用は一旦落ち始めるとつるべ落としのように急落するから、いつでも用心しておく必要がある」
「キュイ」
「なになに、アメリカが公務員数をわざと削減したのではないか? と。
トランプ政権については、前にも利下げを行いたいがために、そのようなことをしたのではないかと言われたことがあった。
高くなり過ぎていたドルを安くしたいという思惑などがあったのやも知れぬな。
それで、追撃介入をしなかったのかも知れないしな(笑)」
「そういう安心したことを言っている時こそ、追撃で介入があるものですが」
「それもそうだな。
そう言えば、前回、為替介入について間違えたことを言ってしまった。
日本は4,5月頃の為替介入で米国債を売らずに外貨準備金から出したと言ってしまったが、その後調べたら、ほとんどが米国債を売った金で賄っていた。
しかし、今回はそうではなかったようだ。
これは、ベッセントなどに『米国債を売るな』と死ぬほど釘を刺されたのだろう」
「アメリカは、なぜ、米国債売りにそれほど神経質になっているのかしら?」
「国債金利が上がってしまうことと、物価が上がってしまうことが困るのだろうよ。
だから、米国債を売らなくともそれを担保として日本にドルを貸せる制度の拡充をした。
また、アメリカは強調介入をしたが、ドルで行わずにユーロで行った。
アメリカとしては、下手に米国債金利と物価高を刺激したくないのだろう」
「それならば、日本政府が新たな資金でもっと介入することはないのですか?」
「それは、為替市場を当分押さえつけるための脅しであるな。
ベッセントもそう脅していたが、おそらくアメリカ側の大手にも日本の『OB指導』のようなことが行われたのだろう.
しかし、日本の輸出大企業の今年の想定為替レートは153円くらいだ。
だから、先週頭に155円くらいに下げた途端、日本株はかなり下落をした。
さらにここからドル円を急激に下げれば、企業の収益見通しにも響き、株価は大暴落をすることだろう。
そういう無謀な変動は、政府としてもやりたくないはずだ(笑)」
「まあ、確かにそうですね」
「ちょっと待って。
余りも舐めたこと言ってると、そういう奴らをぶん殴るのが為替介入の鉄則よね。
だから、そういうこと言ってると、お盆休みなんかに追撃で狙われない?」
「それは確かにある。
だから、我らがこのように話すのも、控えるべきだな(笑)」
「ところで、今週の見通しはどうなるのですか?」
「先週までの流れて、AI関係の『萌え萌え』は吹き飛んでしまった。
今週は、FRBが気にしている物価がどうなるかという事に注目するべきだろう。
だから、CPIと小売売上に注意しておくべきだと思う。
特に、アメリカは夏休みで夏枯れ、日本もお盆で垂れやすいから、少し暗い週になるのやも知れぬ。
そういう中でさらなる悪材料とならないか注意するべきだな。
イラン関係も、まとまらない情勢になっていることでもあるし」
「わかったわ」
「そうですね」
「キュイ」 -
800
「マスター、そうならなかったら大変ですね」
「そうならなかったら、10月頃にまた金利上げとかして持たせるんだろう」
「早く円安が終わってくれればよいのだが」
「そっちの方がまずいんじゃないか?」
「そうなのか?
円安になり過ぎると輸入企業などが困るはずだが」
「円安でも日本はもう稼げない、などと言われていますよね?」
「それは絶対に違う。
たとえば、去年、日本は110兆円強を輸出して113兆円を輸入した。
円高になれば、110:113が100:102くらいになるのかもしれない。
でも、この110兆円分の輸出を100に減らすという事は、その場だけは良くても、将来的に『金の卵を産むガチョウ』を殺してしまうことになる。
『3兆円の赤字』とか強調して、水面下で110兆円分が頑張っていることを無視したら、将来、その付けが帰って来ることになる。
実際、2010年頃の円高は日本経済全体を極度に弱らせたじゃないか」
「だが、あまりにも円安になると、国民生活が苦しくなってしまう」
「ちょっと考えて見ろ。
昨年、トランプが日本に15%の関税をかけた時は、1ドル140円くらいだった。
それから15%分円安になると、大体160円くらいだ。
つまり、輸出企業にとっては、今でやっと昔と同じというレベルだ」
「だからと言って、あまりにも国民生活を絞るのは酷いです」
「これくらい仕方ないとも思えるけどな。
たとえば、日本は80年代の初めごろからバブルが始まり、91,2年ごろまで給料がどんどん上がった。
でも、その後、給料が減ったか?」
「バブルがあったのだから、減ったに決まっている」
「会社がいくつも倒産し、お金を払える余裕なんかなかったと思います」
「じゃあ、実際にデータを見てみろ。
民間でも公務員でも、給与の推移を見てみればわかることだ。
給料は、ほとんど減っていないぞ」
「そ、それは、GDPが減っていなかったのだから…」
「GDPは、給料分を大きくカウントするよな」
「それって、どういうことですか?」
「つまり、マスターは、こう言いたいのですね。
会社が苦しくなっても、会社員たちは給料を会社からむしり取った。
その結果、見せかのGDPは、健全に維持されているように見えた」
「言い方は悪いが、そんな感じだったろ。
バブルが弾けて苦しくなった会社側は賃下げを求めたが、会社員たちは頑として受け入れなかった。
だから、弱った経済の所にバブル時代の超高給が上乗せになり、いつまでも経済が立て直せなかった。
しかも、そういう時に低賃金を売りとする中国などが台頭し、繊維や家電や一般消費財などの『レッドオーシャン』での競争で徹底的に差を付けられた。
高給をもらいながら、高級な『ブルーオーシャン』だけで勝負すればいいなんて言ってたために、結局、世界の多くの市場を全部中国製品により占領されてますます苦しくなった。
そして、多くの日本企業は、低賃金を求めて外国に行ってしまった。
そんな状態から、今やっと、正常な状態に戻って来たってとこだろ」
「だが、やはり国民生活は苦しくなるのであって…」
「今が、普通なんだ。
給料が高くて円も高くて、そこらの八百屋のおばちゃんが、フランスとかに行ってティファニーとかカルティエとかのブランド品を大量に買えていたころの方がおかしいんだ。
給料を下げるべきだった分が、自分たちで散々弱らせた日本経済を反映した『為替の力』で調整されただけだ。
アメリカとしても、本心は『中国が弱り日本が強くなる』のだから、経済侵略的に日本が貪らなければ歓迎するしな。
あまりにも行き過ぎた円安は、少しは止めなければいけないかもしれないけどな」
「何か頭に来る」
「ですよね」
「ですが、マスターの言っていることにも一理あるかと。
まあ、過度の円安は、是正するべきだとは思いますが」
「まあ、いい。
その話はおいておいて、今週の見通しはどうなるんだ?」
「今週は、雇用統計があるよな。
前の1,2回は、雇用が回復しかけているような傾向が出たけど、それが本当の傾向なのか見定める必要がある。
インフレが進んでいるから、ISMについても気にかけながらな。
あと、やはり、テック系企業の決算をもう少し確認する必要があるだろ。
たとえば、今週は、パランティア、AMD、スペースXなんかを」
「分かった。
何か、釈然としない話もあったが」
「少し思い当たる節もありますが…。
まあ、わかったとします」 -
799
「先週までのAI関連の下落は、米国テック企業の決算で止まったようだが」
「マイクロソフトただ一社がよかったから持ち直したんだ。
特に、サブスクリプション関係の良さが、『AI投資で行ける』という雰囲気を作ってな」
「マイクロソフト、メタ、アップル、アマゾン、みんな売り上げも伸びもよかったですが、マイクロソフトだけが投資の拡大をしませんでした。
他は大型投資をさらに広げる予定で、しかも、キャッシュフローがマイナスになったりしていました」
「だから一旦下げたんだろう。
AI関連はどこの企業が生き残るか分からない中で過当競争をしてるからな。
マイクロソフトのサブスクリプションの好調を見て、AI企業全体が行けると勘違いしたんだろうな。
PCEとかも無駄に良くなっていたし」
「PCEは、イラン関係が一時改善したように見えたため、見せかけの原油安により下げました。
しかし、また、イラン関係が悪化して、原油が再び上げかけています」
「あの、それなら、AI関連企業は下げてしまうのでしょうか?」
「それは、わからない。
一旦回復したように見えると飛び乗る奴もいるし、やっぱり将来を厳しく評価して降りる奴もいるし」
「韓国のSKハイニクスや日本のキオクシアなども、再び『行けそうだ』となり、買われました。
市場の見通しも30倍程度の利益増を見込んで、PERが6倍くらいに割安になるなどと言う意見も出ていますが」
「キオクシアのこれまでのPERは45,6倍だよな。
それが6倍になるとか、ホントにそれだけ売り上げや利益が伸びるのか疑問だけどな」
「そういう中で為替介入があり、円が上げたが、大丈夫なのか?」
「AI関係の好調が本物なら、為替に関係なく強いと思う。
トヨタとかの既存の輸出企業は困るんだろうけどな」
「為替介入は、いきなりでしたよね?」
「朝方のFOMCで予想通り『利上げしない』ことが分かり、少しドルが下げた。
このチャンスを利用して、その日の日銀会合で『利上げ無し』になるのが分かっていたから、円安になる動きを事前に徹底的に止めに行ったんじゃないか?
トランプがイランを叩きそうだから、インフレとドル高が進む可能性があり、その前にレンジを変えに行ったみたいな面もあるし」
「最初の介入の後、また、ずるずると円安に戻りかけましたよね?」
「だから、何度か、また頭を叩きに行っただろ。
その後も叩いてたし」
「それだけの資金がよくあるものだな」
「日本は為替関係で190兆円くらいのお金を持っています。
今回、最初に6兆円くらい使ったと言われていますから、まだ余裕があると思われます」
「それは違うだろ。
190兆円持ってるとか言っても、そのうちのほとんどは米国債として金庫に収まってる。
自由に使うことができる金は、20数兆円くらいだと言われている。
前回介入時に12兆円弱使ったから、残りは10数兆円、そして今回初日に6兆円強使ったようだと言われていて、金曜日の夜にもそれとは別に金を使ったから、残りは数兆円くらいしかないだろ」
「ですが、日本は困って米国債を資金に変えたようだとも言われていますよね」
「そんなにバンバン売れるわけがない。
米国債の売りをやったら、米国債金利が跳ね上がるからな。
さらに、イラン情勢が悪化してインフレ懸念が再燃しているところにドルをばら撒くような効果もあるし」
「それならば、米国も協調介入をするのではないですか?」
「人の国のためにやるとは思えないけどな。
それに、通貨価値の弱くなっている国を支えると、損をするし」
「では、またずるずると円安になってしまうのだろうか?」
「そこは、ガンガン頭をひっぱたくつもりなんじゃないか?」
「だが、それでは元の木阿弥になるのではないか?
政策金利を上げない限り、根本問題は解決しないだろう」
「あいつらは、急な円安になって行くのを遅らせることができればいいだけだろ、おそらく。
5月に介入をやってなければ、今頃170円弱とかになってただろうからな」
「それでは、単なる先延ばしではないですか?」
「そうやってれば、そのうちアメリカ経済が垂れ出すとか思ってるんじゃないか?
再びイランともめ始めたし、消費や雇用やAI関連もそんなにいつまでも好調が続かないだろ。
だから、それまでの『つなぎ』のつもりなんじゃないか?」
「マスター、そうならなかったら大変ですね」 -
798
「先週は、大した指標はなかった。
PMIなどは結構よかったが…」
「先週は、指標どころじゃなかっただろ」
「確かにそうでしたよね。
イラク関係が再びすごく悪化してしまいましたから」
「それもあるが、もっと大事なのはテック系の決算の後に株価が下がったことなんじゃないか」
「株価が下がって、『俺はもうダメだー』とか、マスターが喚いていましたが」
「うるせえ」
「イラン関係の方はまずくないのか?
これから物価が上がりそうだが」
「それもやばいんだろうが、テック系の決算の方もやばい状況だっただろ。
二つヤバイって言うか」
「イラン関係が悪化したので、原油価格が一挙に74ドルくらいから90ドルを超えてしまいました。
せっかく、事態の収束期待で、6月の消費者物価が下がって来ていたのに」
「このままの状態が続くと、中期の見通しがすごく悪くなりそうだな」
「これから暗くなってしまうのでしょうか…」
「だが、そういう先のことより、テック関係のたれの方がもっと怖いだろ。
先週は、アルファベットやテスラの発表があった。
どっちも売上高や利益は出ていたが、AIデータセンター向けの投資などが多くなって行くことを受けて株が売られた。
皆が、AI関連の大型投資に対し、将来それだけの利益を出せるのかを心配してる。
インテルなんかも、ファウンドリーの部分でうまく行かなかったから、一旦上がった後で売られた。
市場全体が『AI関係に大型投資をしても、その企業が生き残れるのか分からない』ってことに敏感になっていると言えるよな」
「つまり、手短に言えば『AI・半導体関係のバブルが崩れ始めたのではないか』という事ですね。
マスターのいつも外れている予想が、今回だけは当たりそうな感もありますね」
「だから、うるせえって!」
「なるほどな。
市場の期待だけが膨らんで株価を押し上げて来たから、よっぽどよい決算を出さない限り、すぐに失望売りになるということか…。
夏枯れ相場で市場をけん引する要素についての懐疑論が広がると、株とかの頭が重くなりそうだな」
「それが先ほど言われていた直近の危なさなのですね。
中期のインフレ進行と、短期の夏枯れ下でのハイテクバブルの心配と、少し軟調になりそうですね」
「だから、今週以降も多くのハイテク企業の決算があるから、市場がどう動くか見ていく必要があると思うんだ。
それに加えて、やはり物価も大事だけどな。
そう言えば今週はPCEがあったよな」
「雇用統計は再来週にずれましたが、PCEはありますね。
ただし、先月のイラン関係の収束期待のために原油価格がすごく下がりましたから、あまり当てにはなりませんけどね」
「だよなあ。
やっぱり、決算とかの方にみんなの目が行くよな」
「では、今週は物価もそうだが、決算関係に注意していくべき1週間になるのだな」
「物価を知るために、今まで通りイラン関係にも注意していく必要もありますよね」
「まあ、そんなところなんだろうな。
イラン関係と物価に注意しながら、マイクロソフト、メタ、アップル、アマゾンの決算とかにも注意するって展開かな。
ああ、あと、日本企業のアドバンテスト、東京エレクトロン、キオクシア、ルネサスエレクトロニクスなんかの決算にも注意する必要があるよな」
「わかった」
「わかりました」
「マスター、当たるといいですね」
「いちいちトゲがあるよな、お〇えは!」
「そうでしょうか。
私はただ希望を述べただけです。
たとえば、『イラン紛争が明日にでも収束してほしい』とか『ハイテクバルではなく一時のスラックで、株価がどんどん2倍3倍になって行きますように』とか」
「お〇え、やっぱり、ほとんど実現しそうもないとか思ってるだろ!」
「バレましたか」 -
797
「せっかく、CPIもPPIも下がったのに、またイラン関係が復活した。
これじゃあ、元の木阿弥だろうが」
「住宅関係とかも、やっと紛争が終わって持ち直しそうだったのに」
「でも、小売売上高はあまりぱっとしなかった。
そのためにも、物価が下がって欲しかったんだけど、逆にイラン関係が再発してしまった」
「先週は、イランとアメリカの紛争が復活してしまった。
初めは『また話し合いに戻るだろう』と思っていたが、だんだん攻撃がエスカレートし、トランプが『和平は終わった』と言っていただけではなくイランも報復を言い、週末には米兵二人が殺されて紛争が激化しそうだ。
それを受け、原油は74ドルくらいから82ドルくらいまで跳ね上がった。
米国10年物国債利回りも、4.5%前後で高止まりしたままだ。
インフレを見込んだ動きになっている。
また、見通しが暗くなりそうだな」
「せっかく回復しそうだったのに、紛争を再開するなんてないよ。
しかも、トランプは『20%の通行料を取る』とか言い出しちゃうし」
「それって、撤回になっただろ?!」
「でも、そういう事、一回でも言い出すなんて酷いよ」
「でもよお、今、日本で足りなくなっている石油の大部分をアメリカが代替して輸出してんだろ?
だったら、日本はアメリカにあまり文句を言えねえんじゃないか?」
「そういう面はあってもさあ、でも、原油価格が上がると日本経済にとってすごくつらいよね。
それに、紛争が長引いたら、東南アジアとか中国とか、そういうところの需要をアメリカだけで賄いきれないはずだし、結局、世界中の物価が上がるからみんな困ると思う」
「まあ、そういうのはあるよな、たしかに」
「そういうときに半導体関係の落ち込みが加わり、株価が振るわなかったわけだ」
「先々週はAIチップ関係だったけど、先週のメモリー関係は、なんで落ちたんだろう?」
「AI関係の急速な発展のおかげで、1,2年はメモリー市場全体の需要も膨らむと言われていたが、データセンター建設の収益性に疑問が持たれ始め、急に『実際には来年後半辺りから供給が余り始めるのではないか』などと言われ出した。
だから、大型投資をするSKハイニクスやそれに準ずるキオクシア、また、中国企業などによるメモリーの増産が『将来の安売り合戦の火種』になるのではないかと懸念され始めた。
実際に、半導体関連株の売りを推奨するファンドなども現れた。
テック関係で大型IPOが続き資金が吸い上げられていた上に、夏枯れ相場の時にそういうことが言われ始めたから、長期的傾向に重ねて需給の関係も発生し、大きく株価を下げたのだろう。
特に、韓国株はメモリー半導体企業によって支えられているが、高レバレッジのETFなどが多くあり、一旦下げるとそれを加速するようにそれらの商品に追証が発生し坂を転げ落ちるように株価が下落する。
上がるときはいいが、下がるときもそれなりに急落するから、その影響が東京市場に波及し、それらがまたアメリカ市場に影響した可能性が高い。
そういう理由により、株価が下げているようだ。
ただし、減った分の何割かが中小型株などに回り、NT倍率が改善した点などは評価されるが」
「キオクシアって、市場予想では収益が何倍にもなる直線になってますよね」
「市場は、そこまでの成長に疑問を持ったのだろう。
しかも、時期が悪いことに、キオクシアは特許問題で一審敗訴になったからな」
「イナゴタワーみたいになるんじゃね?」
「どうなるか、まだ、分からないんじゃないかな?」
「そうだよね、きっとまた上がるよ」
「どの地点かわからないが、大きく下落した後は、デッドキャットバウンスが起こるだろう。
しかし、その後、今まで通りにAI系やテック系が上げて行くかというと、今の段階では分からない。
特に、インフレと雇用がどうなるかが、秋口以降の株価を決めるのだろう。
私は暗そうだと思うが…。
それまでは軟調なレンジ相場を作りそうで、見通しが難しいだろうな」
「そういう事なんですね」
「市場全体を引っ張って来たテック系に曇りが出ている。
今週は大した指標はないが、テック系企業の決算が始まる。
だから、動くにしても、十分用心して動くように」
「もしかしたら、決算とガイダンスがよくて、また上げるかもな」
「そうしたら、買いかな?」
「でも、用心してって先生が言っているよ」
「それは分かってるって」
「うんうん」 -
796
「もう、指標がどうこうとかじゃねえ!!!!!!!!」
「まったくだよ。
せっかく収まったと思ったイラン情勢、また始めちゃうんだもん」
「でも、前ほどエスカレーションしないと思うよ。
どっちも、攻撃を抑えているから。
始まったときはビックリしたけどね」
「だが、原油高による物価圧力は続くことになるだろう。
せっかく、原油価格が紛争前の64ドルくらいに落ちて来ていたのに、また74ドルくらいでうろうろすることになってしまう。
残念としか言いようがない」
「そういう事じゃなくて、トランプの『レッドカードでも出場させろ』とか言うのは、ぜってー無しだろうが!!!」
「ああ、あれって酷かったよね!!!
私も、絶対、許せないって思った!!!」
「あんな事ばっかりやってるから、『トランプは外交をいじって株価を上下させ、今年だけで数百億円も稼いだ』とか言われるんだ!
ふざけんなって!」
「ほんとだよね!
だから、イランによる暗殺指令とか、出されちゃうんだよ!
一体全体、何様って感じ?!!!」
「まあまあ。
結局、レッドカードの選手を出しても、アメリカは負けたんだし」
「でも、頭に来るよ!」
「そうだ、そうだ!」
「ワールドカップでは色々あったけど、私としては、ノルウェーがイングランド戦でノルウェージャン・ローイングのパフォーマンスをするのかが気になっていた。
結局、イングランドに負けてしまったけれどね」
「あのローイングのパフォーマンスって、昔ノルマン人たちがイギリス北部を毎年いいように侵略しまくって『収穫』を奪っていたころを思い出させるよね」
「あれでノルウェーが勝ってたら、もろにイギリスのフーリガンの出動だっただろうぜ」
「君たち、話が脱線しているよ」
「はーい。
でも、先週は大した指標がなかったですよね。
だから、イラン関係がまた話題になってましたけど」
「まだ、交渉継続だよ、どうせ」
「今回は、ちょっとわからないところもあるだろ。
アメリカが本格的に爆撃をしたからな」
「トランプの暗殺計画があるって、イスラエルのネタニヤフがチクったから、トランプが切れたんだよ。
『アメリカとイランに和平を、ネタニヤフに死を』とか言いたくなる」
「それって、過激すぎるだろ」
「アメリカが、イランに対し『ホルムズ海峡を開放すると公開で言え』と高飛車な要求をした。
そのことにイランが切れて暴発し、民間の商船を攻撃した。
それにアメリカが報復したのだろう。
アメリカは、11日中にイランが『海峡を開放する』と言わなければ、大規模攻撃をするとも言っていた。
そして、今回はかなり規模が大きな攻撃をしているから、もしかしたら交渉自体がご破算になるかもしれないぞ」
「そうなったら、大変ですよ。
また、原油高になってしまうから」
「先週発表の企業物価指数とか、7.1%とかになってたんだよな。
上流がそうなってんだから、小売の下流にいずれ押し寄せて来るだろ。
7%超えの物価高なんて、とてもじゃないけど受け止められないぜ」
「景気が一挙に悪くなる可能性があるってことだよね。
エネルギー関係に弱い日本のアキレス腱がむきだしになったみたいだ。
企業が吸収して耐えてくれればいいのだけど」
「君たちも、いい所に気が付いたようだ。
今は、日本だけでなく、世界全体の物価が気になるところだ。
だから、先週言ったように、今週はCPIとPPIと小売売上高などに注意していく必要がある。
イラン情勢の一旦の落ち着きを織り込み、少し落ち着く値になることが期待されているが、実際のデータを見てみるまでは分からない。
また、垂れかけたテック関係が持ち直すかどうかも、正念場だ。
例年ならば、そろそろ夏枯れ相場になることでもあるし。
(ただし、今年は春先に大きな落ち込みがあったから、どうなるか分からないが)。
だから、今週は十分に注意して行動するように」
「はーい」
「わかったぜ」
「わかりました」 -
795
「どうだ。
俺の言った通りになっただろう。
半導体関係は、かなり下がったよなあ」
「まだ、それほど下がっていません」
「1週間という約束だっただろうが」
「それは…」
「あれは、メタとアップルの良くない発表がたまたま重なった。
だから、SMHが50日移動平均性を割っていなかったりして、まだわからないです」
「SOXLは割っているぞ」
「でも、メタとアップルの突発事項をカウントに入れるのは、ずるいです。
メタがデータセンターの計算資源を小売りし始めた。
だから、その分、有象無象の弱小データセンター企業が被害を受けることになり、GPUやNPUなどの全体の出荷が減る可能性が出て来た。
しかも、そこにアップルが『メモリーを中国から仕入れる』とか言い始めたから、さらに半導体関係の企業の株が落ちた。
そういう突発事項までカウントに入れるのは、話の本質を外しています」
「まあ、確かに突発事項とも言えるだろう。
特にレバレッジを利かせた韓国のKOSPI関係が影響したしな。
しかし、そうでないとも言えるはずだ。
なぜ、メタは計算資源の外販を始めたんだ?
それは、『採算が取れなくて、困って来た』からだろうが。
アップルの発表も、前回話したインフレの影響が出て来たからだよなあ。
ということは、これからかなりやばいことになる可能性が出て来たってことだ」
「でも、それは…」
「やはり、一時的な突発的な影響が強いと言えます。
突発的な影響を中期の傾向と言い張っても、通用しません。
また、インフレは回復していきそうです」
「イランとアメリカが揉めていてもか?!」
「先週初めにイランとアメリカは相互に攻撃し合いましたが、双方とも交渉のテーブルを離れていません。
それを反映して、原油価格は落ちて来ています」
「なるほど。
だが、雇用統計はどう説明する?
雇用がかなり萎んできていたよな。
前回までの削減分も含めて」
「ですが、失業率は改善していました」
「失業率の改善は、労働参加率の低下という最悪の形が反映されただけだ。
小売関係の雇用が落ち、レジャーや接客業の雇用も減っていた。
これは、庶民的なところでの景気の減速傾向を表しているよなあ。
将来の雇用の危険性を表しているだろうが」
「それは…」
「まあ、今すぐとは限らねえが、物価高などでアメリカの景気は苦しくなっているはずだ。
特に、庶民の暮らしがな。
そういうところに、既に高い所に来ているAI・半導体関係で躓きが起こった。
ということは、何かのきっかけで崩れれば、そのまま地獄行きってことだ。
幸い、7月の独立記念日前後は、米国株は上げの傾向が強く出るから、今回は持ち直すのかもしれねえがな」
「きっと、持ち直します!」
「僕もそう思います」
「希望的観測だけ言ってんじゃねえぜ。
今週は、ISM非製造業とFOMC議事録が発表されるよな。
その後再来週は、問題のCPIとPPIと小売売上だな。
『突発事項』などと言われては寝覚めが悪いから、まあ、そのくらいまでは、結論は待ってやるぜ」
「そちらに泣きが入らないことを祈っています!」
「(えるふぃー、言い切っちゃって大丈夫?)」
「(うん。
まだ平気だと思う。
崩れるとしても、8月とか9月とかそれ以降になると思うから。
中間選挙とインフレの進行が絡んでくるから、詳しくは読めないけどね)」
「(わかった。
それなら、安心だね)」
「(でも、やっぱり、用心しておくことは大事だよ)」
「(分かってる)」 -
794
「でも…」
「でも、なんだ?
たとえば、AIデータセンターに巨額の投資をみんながしているだろう。
だから、GPU、HBM、MLCC、電線、光ファイバーなどの関連企業の業績がよくなっている。
果ては、AIデータセンター用の建設関係なんかもな。
だが、AI産業が発展しても、それらの末端企業、特にデータセンターなんかは超過当競争の世界だ。
投資に乗り遅れれば負ける。
だから、みんな必死になって巨額の投資をしているが、その中で生き残れるのは1,2社程度だろう。
ということは、今AIデータセンターを建設している多くの企業が、やがて倒れて白骨をさらすということだ」
「ですが、それはまだ先の話です!
今は、まだ、建設ラッシュで景気はすこぶるいいです!」
「今はな。
というか、今まではな。
投資競争をしなければ負けてしまうから、みんな必死になって競争して降りることが出来ねえ。
そういう連中にハードを売っているエヌビディアなんかの半導体産業は、調子よく行くだろう。
アルファベットのTPUやアマゾンのトレニアム、ファーウェイのAscend 910Cなんかが出た時は『これでエヌビディアは終わりか』とか思ったが、まだそれほどの能力かシェアかを獲得していない。
だから、AI関係のハードウェアの好況は、当分もつんだろうな。
だが、それらのハードを買い必死になって競争している末端の企業に対し、投資家たちは『果たして、自分が投資した企業が利益を出せるのか?生き残れるのか?』と心配し始めている。
そんなめちゃくちゃな投資というか、もはやギャンブルだな、そんなやり方がいつまで通用するわけねえだろうが」
「確かにそういう面もあるのでしょう。
でも、まだ今崩れるということは起こらないはずです」
「今回下げたのは、世界中の年金などがポートフォリを6月末でリバランスするための利益確定のためもあった。
だから、それらが『まだ行ける』と判断して、再び投資する可能性もある」
「崩れた時に、ひどい事になるぜ。
特に、また、イラン関係で火が点いたからな。
皆がおびえているところに、さらに水をぶっかけるみたいなことにならなければいいがな」
「それは、今週の動きを見てみなければわかりません」
「今まで、スラックはいい買い場になった。
いずれ崩れるのだろうけど、今崩れるとは限らない」
「じゃあ、今週どうなるか、見てみようじゃねえか」
「今週は、米国の雇用関係の指標発表が各種あります。
また、FRB議長の発言や住宅関係の指標、日銀短観、ヨーロッパの物価を表すHICPなどの発表もあります。
それらと市場の動きを見た上で、結論を出すべきです」
「週初はイラン関係で下げるのだろうけど、1週間を見てみなければ、まだ、結果は分からない」
「いいだろう。
せいぜい吠えてろ。
1週間後に泣くんじゃねえぜ」
「望むところです!」 -
793
「先週は、PCEが予想通りに上がっていた。
やっぱり、物価高の影響が出そうだよね」
「うん。
前回FRBのドットプロットが今年1回の利上げになっていたけど、ホントにそうなりそう。
せっかく、イラン和平で市場が活気づいて来たのに」
「活気づいて来ただと?
はっ、笑わせるぜ。
実際は、半導体関係が崩れてダダ下がりだったじぇねえか」
「それは、アップルが値上げをしたからです」
「それまでは、マイクロンの利益が15倍に増えたりして、半導体関係は確かに活気づいていた」
「活気づいていたよな、無・駄・にな。
イラン関係で原油が爆上げしてた中で、そうそういつまでも歯車が回るわけねえだろが。
しかも、AI関係の半導体っつう『偏った需要』が幅を利かせてな。
アップルが値上げをしなけりゃいけなくなったのは、市場の道理だぜ。
AI関係に全振りしたせいで、普通のメモリーなどが品薄になり値上がりした。
値上げが起これば、AI用じゃなく普通のPC用のメモリーなどを生産している関連企業の業績が悪くなる。
AI関係の半導体企業は潤っていてもな」
「それはそうですが…」
「アップルだけじゃねえ、その他の企業もこれから値上げをせざるを得なくなる。
そうなれば、先週のSOXショックどころじゃなくなるよな。
半導体関連に限らず、いろんな産業のいろんな企業が苦しくなっていくぜ」
「だから、物価高はイラン関係で原油が上がっていたからで、今は下落し始めている」
「『し始め』てなくなるだろうが。
また、相互に攻撃を始めやがったぜ、イランとアメリカはよお」
「それは…」
「そうじゃなくても、半導体関係の株価は高い所に来てただろ。
しかも、テック系全体で、『これから儲かる』とか言って、たとえばSPCXの過大なIPOとかがもてはやされたりしてな。
しかし、SPCXは上場直後は値を上げたが、その後、下げたよな。
だから、OpenAIは、テック系の投資資金がやばいと見て、IPOを先送りした。
世の中そんなに甘くねえんで、『まだまだ利益は出そうもねえ』と皆が気づけば、あっという間にAI関係や半導体関係でも、地獄行きだぜ」
「ですが、AI関係の発展は本物です!」
「ああ、それはそうだろうよ。
AI産業は、将来絶対に発展していくだろうな。
多くのAI関連企業の屍の上にな」
「でも、AI産業は発展する!」
「だーかーらー、どの企業に投資すればいいのかが分からねえよな。
AI産業は発展する。
しかし、多くの企業が過当競争をやり、一将成って万骨枯るっつー状態になるわけだ」
「でも…」 -
792
「先週は、大した指標はなくて、やはりイラン情勢がメインになったけど」
「住宅・建設関係が垂れ気味で、設備稼働率が縮小範囲にあることが少し気になった。
でも、まあ、そんなことより、主役はイラン情勢だったのは確かだ」
「一応、調印したから、ホルムズ海峡も解放されて、一安心と言ったところだったんだけど。
株価も上げたし」
「あそこまでアメリカが譲歩するとは思わなかった。
イラン復興のために45兆円分を投資するとかな」
「凍結資産も戻って来るだろ。
だったら、ホルムズ海峡を開放することに合意したのも当たり前だよな」
「トランプとしては、原油高が何より怖かったんだろう。
中間選挙に向け、とにかくそれを元に戻す必要があった。
だから、45兆円ものイランへの投資も認めたし、凍結資産の解除も認めた。
レバノンなどを含むすべての地域で互いに攻撃しないことも約束した。
トランプは、よほどせっぱ詰まっていたんだろう」
「でも、アメリカ国民向けには『アメリカが投資することはない』とか言ってるけど」
「『企業やどこか他の国がやってくれ』と言うことなのだろう。
日本や韓国、ヨーロッパなどが負担させられないといいけどな。
あるいは、今は甘い甘い飴玉を見せておいて、後で仕返しする気かもな」
「イランは、核の開発を諦めたみたいだけど」
「表向きはな。
60日間の話し合いをして決めていくことになっているから、その間に色々と揉めるんだろう。
もしも、核開発放棄の合意がまとまったとしても、イランはそのうちその合意をこっそりと破るだろう、今までみたいに。
また、トランプとしても、今回の大きな譲歩を共和党重鎮たちに突き上げられて腸が煮えくり返っているから、中間選挙までは頭を下げて臥薪嘗胆しても、その後はまた、イランと地上戦さえやるつもりなんじゃないか?
CNNの言うように『トランプは自分が作った問題を自分で解決しただけ』で、結局、それまでと何も変わらない元の木阿弥状態だからな。
トランプの内心は、イランに対し『(そうは問屋が卸さない#)』ってところだろ」
「まあ、いずれにしても『これでやっと安心できる』とか思ったんだけど」
「ああ。
ところが、また今日、レバノンでイスラエルとヒズボラが戦闘状態になり、イランが『合意違反だからホルムズ海峡を開放しない』とか言い始めたよな」
「また、揉めるのかな」
「イランとしては、戦闘状態にならずに海上封鎖を続けられれば、トランプには大打撃になるから、口実があるなら強気に出るだろう。
ネタニヤフはどうしてもアメリカを巻き込んでイランに打撃を与えたいようだから、トランプの言うことを無視して突っ走りそうだしな」
「でも、イランだってメチャクチャ苦しいはずだよな」
「まあ、それはそうなんだろう。
情勢は、どうなるか、分からないな…」
「せっかく先週、原油価格が下がったのにな」
「イラン情勢によっては、また、原油価格が上がるのかもしれない。
そうなると、また、物価が問題になって来るから、今週はイラン情勢とPCEなんかに注意することが必要だ」
「イランがブラフとして警告程度に海峡封鎖を言っているのか、話がこじれて本当に再び封鎖になるのか、僕たちにはわからないし」
「再封鎖の可能性は低いと思うけど、交渉関係者のみが知るところだ。
何があってもいいように、特にまたイラン情勢に注意すべき1週間になりそうだな」 -
791
「先週のCPI、かなり上がってた。
PPIなんか、6.5%とかにもなってたし」
「だけど、イランとの停戦の話が出て、すべてが吹き飛んだ。
考えるだけ無駄だったろ」
「そう言われると、身も蓋も無いけど…。
でも、日本の企業物価指数も、前年度比で6.3%に跳ね上がってた。
これって、そのうち、小売部門でもすごい物価高になるってことだろ?」
「それは、原油価格が高止まりすればって話だ」
「イラン情勢が収まりそうもないんだから、原油価格は高止まりしそうだろ」
「でも、トランプは今日6月14日中にイランとの停戦に向けた覚書に署名できるとか言ってるぞ」
「トランプは、今まで散々『和平はもうすぐだ』とか言ってた。
でも、実現しなかった。
CNNとかは、『トランプは37回、和平が成り立つと嘘をついた』とか書いてた。
今度もまた、和平なんか成り立つわけがないよ」
「ま、そうかもな。
でも、話が煮詰まって来ているのは事実みたいだ。
ホントかどうか分からないけど、核濃縮施設を一つだけ平和利用の目的で認めるとか言ってるし」
「だけど、イラン側は核保有に口を出すことはイランの主権を侵害することだとか言ってるけど」
「(イランとしては、『君だけ核を持つな。私は持つが』とか言われたら頭に来ない?)」
「(来るに決まってるけど、今トランプと表立って揉めるのは得策じゃないだろ)」
「何か言った?」
「別に。
ちょっと咳込んだだけ」
「イランが核開発を諦めるとか、ありえないよ。
特に、革命防衛隊が。
イランの報道でも『核については何も触らせない』とか言ってるし」
「それはイラン国民に向けたポーズだろ。
裏では、けっこう、核開発を諦めるみたいな事が言われてるみたいだ。
第一、オバマと合意した時は、イランは核開発を諦めたんだから。
そうやって事態を収めておいて、後でまた開発すればいいとか考えてるんだろう」
「でも、今回はIAEAの査察とかもっと厳しくなるはずだし、米軍が濃縮ウランを運び出すとか言ってるけど。
しかも、その後のイラン国内の調査で隅々まで調べつくされるし」
「さすがにそこは、イランも受け入れないだろ。
前みたい誤魔化すだけだ」、
「それなら、元の木阿弥だ」
「だから、トランプがそう批判されてる」
「じゃあ、大筋で合意しても、そのあと当分は揉めるってことじゃないか」
「そうなるだろうな。
だから、石油価格は高止まりしそうかな、やっぱり…」
「先が暗いな…。
先週のスペースXみたいに、一挙に上昇とかなればよかったんだけど…」
「スペースXも、ロケットアップってほどじゃなかったろ(笑)。
世の中、そんなものさ。
でも、今週も『和平』で上げて行くんだろうから、それならそれでいいんじゃないか」
「今週は、日銀会合とかFOMCとかがあるはずだよな?」
「日銀は金利上げ、FOMCは金利据え置きに決まってる。
ドル円とかはけっこう揺れて日経とかが影響を受けるかも知れないけど、まあ、大丈夫なんじゃないか?
逆に、日銀の利上げの足元を見て、ドル高株高とかになるかも知れないし」
「でも、揺れてる相場だから、けっこう気を付けるべきなんだよな?」
「それはそうだろ。
イラン関係には、常に警戒しておくことが重要だ」
「(そういう用心は、特に今は大事だよね)」
「(それが分かってるなら、いいんだよ)」 -
790
「先週の雇用統計はすごかった。
遥かに予想の上を行った」
「だったら、株とか、上がるんだろ?」
「逆よ。
雇用が悪くならないんだったら、FEDは当分それについて手当てをする必要がなくなる。
そして、今、インフレが起こりかけている。
だから、FEDはむしろ利上げをする可能性さえ出て来た。
これって、企業活動にとってはマイナス。
特に、半導体やAIなどの大型投資が必要な成長企業にとってはね」
「だけど、インフレにならなければいいんだよな?」
「イラン関係で原油価格が上がっているから、その可能性は低いと思う」
「なんでそんなに揉めてんだよ、イランとアメリカは」
「アメリカはイランに核開発を放棄するように言っている。
イラン革命防衛隊にとっては、これだは飲めない。
だから、イラン政府関係者がアメリカと核合意しそうになっても、また、話が元に戻っている。
しかも、イランはホルムズ海峡の通行料を要求していたりするけれど、アメリカは認めない。
だから、話が当分かみ合いそうにないわ」
「まあ、イランとしては、いきなり攻撃されて政府関係者が何十人も標的にされ、さらに国民も千人単位で死んだんだから、頭に来てるんだろうな。
しかも、核開発を手放したら、その後はもうアメリカの言いなりになるしかないしな。
北朝鮮とかがかろうじて持ってるのは、核のおかげだよな。
だいたい、イランとしては『アメリカが核を持っているのに、なぜ、自分たちは持ってはいけないのか』とか思うよな、普通」
「そうね。
しかも、いきなり戦線布告もなく大損害を受けたから、『その分を返せ』とかも思っているはずよ。
だから、『せめて、ホルムズ海峡の通行料くらいは認めろ』と言っている。
でも、アメリカはそれを否定している。
トランプは認めかけたみたいだけど、共和党重鎮たちが反対したようね。
さらに、ここ1、2日の情報では、イランが攻撃した湾岸諸国の被害について、イランの資産を使って復興させるなどと、アメリカは言い始めた」
「それって、通行料どころの話じゃないだろ。
逆って言うか」
「ええ、飲めるわけがない案ね。
交渉が決裂して双方がまた攻撃を始めてるから、イランに対してブラフをかませているのかもしれないけど」
「収まりそうもないってことか。
当分、ごたごたが続くんだろうな」
「だから、原油価格の見通しが立たない。
フェルメールのデルフトの『永遠の平穏』みたいになればいいんだけど」
「今は、印象派みたいに視界がぼやけてるってことか、マネやモネみたいに」
「それを言うなら、クリムトでしょ。
イランの内部は、政府関係者の穏健・和平派と革命防衛隊の強硬派に分かれているから」
「じゃあ、アメリカもそんな感じか…。
レンブラントみたいな写実派の世界観がしっかりとしていた頃のアメリカが懐かしいよな」
「今のアメリカは違うわね。
トランプは、ピカソのキュービズムの世界だから」
「ああ、そういうことか。
それより、今週の見通しはどうなるんだ?」
「金曜日の雇用統計を受けて、ダウや日経先物が大幅に下げた。
だから、今週は暗いスタートになると思う。
市場では、3、4月に下げたから今年はセルインメイが来ないとか言ってたけど、それも怪しくなってきたんじゃない?」
「じゃあ、けっこう用心しながらってことだよな」
「そう。
指標では、米国CPIと欧州中銀の政策金利、日本では国内物価指数などに注意しながら、やはり、イラン情勢を見ていく必要があると思う」
「イラン関係、早く解決してくれるといいんだけどな。
まあ、不可能か…」
「何事も不可能はないから、期待しましょ。
貴方が日本画科だったのに油絵を専攻できたように」
「それって…」 -
789
「先週は、話題がイラン情勢に戻ってしまったわね。
先週初めにトランプが『イランとの和平がもうすぐ実現する』とか言ったから、株がどんどん上げた。
でも、その後、和平がぜんぜん進展していない。
これって、詐欺ね」
「どうでもいいだろ」
「良くない!
和平が実現しなくて原油価格が高止まりすれば、インフレが進み、アメリカ国民の暮らしも苦しくなる。
FEDは、利下げどころか利上げしなければいけなくなる可能性さえある。
そうなると、株価が下がるっていう問題より、私達のような自由職業的な人たちがもろに影響を受けることになるから」
「そうなのか。
でも、それって先だろ。
良くかわらないけど、今は『株高』とか言ってるぜ」
「今はね。
まだ影響が出てないし、『もしかしたらすぐに収まるんじゃない』とか、みんなが考えてるから。
でも、このまま原油高が続いたら、すごくまずいわよ」
「ふーん。
データとか出てんのかよ?」
「この間のPPIはすごく上がった。
でも、先週のPCEは、それほど上がらなかった。
だから、株とかが上げたけど、これってあくまで『和平できる』っていう思惑で動いてるだけ。
今は負担を流通の上流部門がせき止めて耐えているだけだから。
このままだったら、そのうち、上流から下流にインフレが押し寄せて、小売レベルでの売上高が落ちて来る。
そうなったら、雇用も企業業績も悪くなる。
だから、そんなに喜んでられないんだけど」
「でも、『今は大丈夫』ってことだろ?」
「みんなが考えているほど、インフレって甘くない。
だから、米国債とかは上げて来てる。
しかも、雇用の方も、少し前に比べれば、垂れかけて来てる。
こういう状況では、楽観はできないわよ。
まあ、株式市場の方はAIの上げもあって、『イケイケ』になってるけど」
「じゃあ、いいんじゃね?」
「後で泣くことになるわよ」
「それより、今週はどうなってんだよ?
株とか市場とかってのは」
「今週は雇用関係の指標がいくつも発表される。
どれも大事よ。
でも、やっぱり、一番気にかけておくべきなのは、イラン情勢ね」
「今はまだメチャクチャ下げるとかの心配はないってことだよな?」
「でも、いつでも用心しておくことが大事。
日銀の金利上げなんかも控えてる時期だし。
AI関係の上げとかも、もしかしたら、鈍化するかも知れない。
特に、AI関係以外が伸びていないからNT倍率はどんどん上がってる。
だから、市場としても原油価格は結構気にしていながら、行けそうなAIでどんどん勝負しようって言う雰囲気になってる。
これって、はじけた時にやばいわよ、可能性は低いけど」
「興味がない話だけど、一応の感じはわかった」 -
788
「トランプが、何やら朝早くから騒いでいたが」
「イランとの和平合意が出来そうだということではなかったか。
今度は、だいぶ煮詰まっていてうまく行きそうだということだったが」
「和平が本当にまとまれば、すごいことだな」
「まとまるわけがないですよ。
毎回、『今度はまとまる』と言っていたのに、まとまらなかったじゃないですか」
「だが、『今回こそはまとまりそうだ』と言うニュアンスを出していたそうだが」
「だから、それが毎度なんですよ。
ウソップ物語のgulf少年みたいになってしまわなければいいですね」
「だが、和平がまとまったときのために用意しておくことも大事だろうな。
一気に爆上げが起こるからのう」
「そうなったら、かなり上げるのだろうな。
先週の市場は、先々週のPPIの跳ね上がりが物価高を連想させ、嫌な感じで始まった。
だが、エヌビディアやテック系の業績などが良く、また、日本のCPIが収まったために、特に日本株が上げた。
そして、4月のへこみがあったために『今年はセルインメイは起こらない』などとも言われ出した。
もしもここで和平が成り立てば、そういう流れを一挙に押し上げることになり、株は爆発的に上がるだろう。
そういう激変に備えておくことも大事だと思うが」
「そうなればですけどね。
でも、毎回、『なーんだ』となって期待が裏切られてきました。
ですから、下手に株で勝負買いをすると、外れた時に酷いことになりますよ」
「それはそうなのだろうが…。
だが、ある程度は備えておく必要があるだろう…」
「損しても構わない額で打診買い程度にするべきではないですか。
もしも和平が本当に決まったのならば、その時から全力買いをすればいいのですから。
今週はPCEデフレーターの発表などがあります。
イラン情勢についての発表に常に注意を払いながら、インフレの動きを見て行く必要があると思いますよ」
「確かに今はブレの大きな時であるから、勇み足は気を付けるべきものか。
乗り遅れないように注意しながら、事態がよくわかるまでは全力買いは避けるべきなのだろうな」
「一旦上がった原油価格が元に戻るまでには時間がかかります。
和平が成り立っても、物価高がしばらく続くことは織り込んでおく必要があります。
また、和平がまとまらなかった場合、トランプは直前まで言っていたように『軍事的な壊滅作戦』を再び口にする可能性が高いです。
そうなったときのことも考えて、情報には常に敏感になっておく必要があります」
「分かった。
軸足を両方に置いて、どちらにも動けるようにしておこうと思う」
「しかし、早く和平が訪れて欲しいものだのう、市場とは関係なく」
「まったくだ」 -
787
「先週は、米中関係に話題がシフトしていて、イラン関係はあまり問題にされなかった」
「そうだったな」
「しかし、まさか、PPIと言う形でイラン問題が迫って来るとは、思わなかった」
「確かに、すごい上げ方でしたよね。
PPI、すなわち生産者物価指数が上がったということは、卸売りを経てこれから小売価格が上がるということですからね」
「これから暗くなりそうよのお」
「まったくだ。
やはり、恐れていた原油価格高騰による物価高が、思った以上に早く現れて来た。
そのため、国債金利が上がり、ハイテク系が売られた。
今週のエヌビディアの決算を待たずしてハイテクが崩れ始めたのかも知れない。
日本の金融株などもな」
「肝心のイラン問題は、どうなるのでしょうか?」
「分からない。
ただ、イランもトランプも、両者が突っ張っているから、まだ解決は先になるのではないだろうか?」
「そうなると、セルインメイのアノマリーも存在することであるし、株などはかなりまずいことになるのやも知れぬな」
「そう、思えるな。
いきなり、暗雲が立ち込めて来たと言うか…」
「ですが、小売売上はかなり良かったです。
もう少し、様子を見てみてもよいのではないでしょうか?」
「それもそうであるな。
事態をよく見ず、早急に決めるのもよくないからな」
「十分用心しながら、様子を見ていくしかないのだろう。
今週は、日本でGDPやCPIが、アメリカでFOMC議事録などが発表される。
暗い気持ちながらも、それらを見て対応していくしかないのだろう」
「今週の方針、よくわかりました」 -
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「イラン情勢、収まりそうで良かったよね」
「そうですな。
それに、雇用統計もよかったですから、一安心と言うことになりそうですぞ」
「それは、甘いニャン。
イラン情勢が収まりそうとか言ってるのは、アメリカ、ニャン。
今まで『まとまりそう』とか言って、みんなひっくり返って来たニャン」
「だけど、今回はパキスタンもそう言ってるけど」
「それも、似たようなものニャン」
「だが、雇用統計の良さは、否定できまい」
「それも怪しいニャン。
まず、労働参加率が下がってたから、それに助けられた面があるニャン。
さらに、上がっていたのは政府部門や教育部門のおかげニャン。
それは、民間経済の良さを表さないニャン。
さらに、輸送や倉庫関係も上がっていたけど、これは、本当に景気がいいか、あるいは、イラン関係のための買いダメとかの『負の予想』を表すニャン。
ミシガン大学消費者態度指数とかは下がってたから、後者の可能性があるニャン」
「それは、あるかも知れんが…」
「でもさあ、テック関係の決算は、おおむね良かったよね。
おかげで株も上げたじゃん」
「テックが上がって株価が上がったってことは、いびつな上げ方なんで、テックがこけたらみんなこける構造をしてるってことニャン」
「でも、AIってこけそうに思えないんだけど。
自働車が発明された時みたいに、後になって『物凄く大きな産業が築かれた時期だった』とか、思うんじゃないかな?
ロボットとかも発達しそうだし」
「テック系企業の稼ぎも、年で何割も伸びていたはずですな。
と言うことは、PERが抑えられますから、妥当なラインで成長と投資が伸びていると言えましょうぞ」
「まあ、そういう面はあるけど、過信しないことニャン」
「テックが伸びたおかげで、日本株もすごく上げたよね」
「あれは、また、違う要因によるものニャン。
日本のSQが絡んでいる可能性が高いと思うニャン。
SQ前に日経225のオプションとか買っておいて、SQ直前に大きな割合を持つ日経225構成銘柄を買い上げれば、オプションがインザマネーになって買い上げ資金の何倍も面白いように儲かるニャン。
好材料があったときに、大手機関がそういうことをやってる可能性が高いニャン」
「だが、それは確定ではないだろう」
「確定でなくても、可能性は高いニャン###」
「う゛ぇねの思い込みの可能性もあるよね」
「だから、違うニャン。
このところ、毎回、SQ前にそういう風に動いてるニャン###」
「あの、そういう話より、今週はどんなふうになるの?」
「ああ、今週ね。
今週は、イラン関係さえなければ、割と穏便に行くんじゃないかな」
「指標として気をつけておくべきなのは、CPIとPPI、住宅関係、小売売上高、設備稼働率などになりましょうか」
「今週中ごろになって、また、イラン関係がご破算とか報道されて下げる可能性もかなりあるニャン。
そうなったら、また下げになるニャン」
「だけど、価格帯が上に移っちゃったから、よほどのことが無い限りサポートラインを割り込んで元に戻る可能性は低いと思うんだけど」
「それに、みな『イケイケ』の状態にありますしな」
「そういう時が、一番、危ないニャン!」
「わかったよ。
じゃあ、かなり気をつけながらやってくようにするよ。
それでいいんだよね?」
「かなり用心するなら、それでいいニャン。
ただし、揺れてる危ない時期だから、ホントに用心するニャン」
「分かってるって。
僕もそれほどお調子者じゃないからさ」
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a_f*****
昔からの疑問なんですが、実需筋じゃないのにドルを売って円を買っている人たちって、どうやって儲けを出しているのか、不思議に思っていました。
円高になれば思惑で株安になるし、さらに、輸出企業を中心とした企業業績もメタメタに悪くなるんだから、円を買ってそれを株に投資するのは、長期の反発を期待するのでなかったらできないことだと思います。
円を何千億円も借りて持っているようにすると、円はドルなどに比べて利率が安い通貨なので、何らかの形で毎日何億円も消えて行くことになる思います。
投機筋がドドドっと大量に円を買って円高にしたとき、彼らはその円をどうやって持っているのか、不思議でたまりません。
自国経済が極度に悪化している場面なら、大損するよりも減り方を少なくするという意味で日本国債に投資なんていうのは、ありかもしれません。
でも、自国経済が悪くなっていない(むしろいい)のに、自国の通貨を売って円を買う人たちは、どういう投資先を持っているのか、気になって仕方ないです。
他の掲示板で聞いてみても、納得のいく答えに行き当たりませんでした。
ということは、素人考えですが、単に円を買って円自体が上がることを待って持っているのを基本として、何千億円も円を買っているのではないかと思います。
必要もないのに円を買うということは、株の整理ポストで起こるようなマネーゲームの「博打札」代わりに円が使われているような気がしてなりません。
陶器の欠片でも木札でも草木の根でも何でもいいのですが、何か売買されていて賭けの対象になるものがあれば、いつでも「博打ゲーム」が始まると思います。
といっても、あんまり変なものでやると賭博罪になったりするので、株や通貨などの「当局のお墨付き」があるものを使えば、好きなだけ公に「博打」ができると思います。
日本の通貨である円は、そういうふうに使われている気はないでしょうか?
投資の参考になりましたか?