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ユロ板討論会の掲示板

EU予算成立は来年に持ち越す恐れ EUの重点政策や復興基金の稼働の遅れも

 年内最後となる10・11日の欧州首脳会議は、時間切れが迫る英EU間の将来関係協議とともに、EUの次期多年度予算と復興基金を巡る議論の行方に注目が集まる。ハンガリーやポーランドは法の支配とEU予算を結びつける新たな仕組みへの反対姿勢を崩しておらず、このまま次期多年度予算が成立できずに越年する可能性が高まりつつある。

 予算審議の決着が来年に持ち越される場合、暫定予算を編成することになるが、新たな予算計上はできず、EUの新執行部が掲げる気候変動対策やデジタル化などの重点政策への予算拠出が遅れることになる。多年度予算と紐づけられた復興基金の稼働も遅れるが、復興計画の提出期限が4月末のため、こちらは数ヵ月程度の猶予期間がある。

 問題は多年度予算の不成立が長期化した場合で、この場合、復興基金をEU予算から切り離す形の制度設計の変更が検討されよう。だが、債券発行の裏付けとなる資本金を各国が拠出することになり、国境炭素税やプラスチック税を返済原資に充当することもできなくなる。基金の配分見直しを求める声も浮上する可能性があり、加盟国間の意見対立が表面化することが避けられない。財政統合への第一歩と歓迎された復興基金の稼働が危ぶまれれば、EUの危機対応能力が改めて不安視されたり、債務問題が再燃する恐れもある。