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投稿コメント一覧 (294コメント)

  • 日本を含む世界的な株価下落の起点となったニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は、今月に入り下げ幅が2000ドル近くに達した。
    金利が上がると株価が下落する展開が続き、大きく乱高下する場面も目立つ。
    週明け以降は予算教書や消費者物価指数の発表など金利が上がりやすいイベントが控えていることから、引き続き不安定な動きが予想され、各国の市場にも影響しそうだ。

    ニューヨーク市場は9日、大幅に値上がりして取引が始まったものの、一時は前日終値比500ドル安に転じ、終盤には再び値上がりして330.44ドル高の2万4190.90ドルで取引を終えた。
    1日の変動幅は1000ドルを超え、依然として落ち着きを取り戻していない。

    週明け12日には、トランプ政権が2019会計年度(18年10月~19年9月)の予算教書を議会に提出する予定だ。
    大型減税による税収減に加え、9日には18、19年度にわたり国防費を中心に歳出上限を約3000億ドル(約32兆円)引き上げる法案が成立し、財政赤字の拡大を示す内容になるとみられる。
    米国では予算編成権は議会にあり、予算教書は政権の提案に過ぎないため、例年は市場への影響が少ないが、今回は市場が神経質になる中で金利に上昇圧力がかかる可能性がある。

    物価上昇(インフレ)指標のひとつ、消費者物価指数(CPI)の1月分の発表も14日に控えている。
    物価の動向は米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ判断に影響を及ぼすため、市場が注目している。

    一方、ダウはここのところ、金利の変動が小さい時でも大きく値動きしている。
    万4000ドルを割り込むと下落が急加速し、2万3000ドルに近づくと上昇に転じるパターンが多い。
    コンピューターによる自動取引がこうした動きを主導している可能性があるほか、市場関係者は「まだ株価がどの水準で落ち着くか見えない中、多くの投資家が市場の値動きに追随しようと一方向に動く傾向が強まっている」と分析する。

    日本でも9日までの1週間の日経平均株価の下落幅が1891円に達しており、今後も米市場の動向を反映して不安定な状況が続く可能性がある。

  • 新たな錦の御旗はなにか

    再上昇へ残された唯一の選択肢
    日経平均株価は、1月23日の2万4124円高値から僅か10日ほどで3000円も暴落する惨状となった。
    これまで騰げピッチが早かったから、という言い訳も虚しい。

    急激な円高、米国金利の想定外の上昇を起因とした米国株の暴落、そして海外勢の大幅売り越しなどが背景と指摘されている。
    結果として何が起きたのか。
    市場環境は何も変わっていない、という声もあるが、果たしてそうなのか。

    何よりも、これまでの株高の大義は“適温相場”であった。
    これを錦の御旗として掲げ、投資家は買い進んできた。
    この大義は金利上昇で崩壊した。
    低金利で、かつ景気拡大という、いいとこ取りは永続きはしない。

    ここでの懸念材料をどうみるのか。
    久しくカイ離していた円と株価の連動性が復活しつつあると言われる。
    この円高というよりドル安について、ICEドルインデックスをみる限り、罫線上は底入れしたかにみえる。
    だとすれば、108円処はドル下値の限界に近いのではないか。

    次に米株暴落の確信犯ともいうべき長期金利。
    16年の歴史的な大転換を考えると、一時的に収まることはあっても、基調は上昇に向かうと覚悟すべきであろう。

    仮に今後、再び株価の上昇局面を想定するとすれば、皆が納得する新たな大義、すなわち新たな錦の御旗が必要となろう。
    その選択肢はひとつしかない。
    ズバリ「業績相場」である。
    これまでは金融・業績混在相場の色合いが濃かったが、これからは純然たる業績相場一本となるしかない。

    底入れ局面入りか、主役交代も
    目先的な市場をどうみるか。
    2月第2週の2日間連続高、そして記録的な45%というカラ売り比率、さらに200日移動平均線への接近という事象を考慮すると、底入れ局面に入りつつあるといえる。

    13年5月の暴落局面では、高値から16日目に底値をつけている。
    今回に当てはめると2月第3週の14日頃となるが、果たしてどうか。

    さて、今後の物色対象をどうみるか。
    条件としては、市場環境が大きく変わることになるわけだから、少なくとも次のような条件を考慮すべきであろう。
    底入れ後、当座こそは深押ししたハイテク株が一時反動高をみせるが、その後は低PERで、これまでの上昇相場に乗れなかった業種、銘柄が脚光を浴びる。

    まずはメガバンク株、商社株辺りだろうか。

  • 日銀総裁、黒田氏が続投へ 大規模緩和を継続

    安倍首相は4月8日に任期満了となる日銀の黒田総裁を続投させる人事案を月内にも国会に提示する。
    大規模な金融緩和によって日本経済の回復をけん引した実績を評価。
    2%の物価目標を掲げた政府・日銀の政策協定も据え置く方針で、円安・株高基調を維持する。
    黒田氏は次の任期でデフレ脱却や金融正常化を見据えた出口戦略が求められる。
    衆参両院の同意が得られれば、人事案は正式に承認される。
    任期は2023年までの5年間。

    首相と黒田氏の金融政策には金融機関の収益悪化といった副作用の批判があり、野党から激しい批判が出ると予想。
    首相は丁寧な説明を心がけ、理解を求めていく。

    黒田氏は13年3月に就任、13年4月に「2年で2%」の物価上昇を目標に掲げた「異次元の金融緩和」に着手。
    14年10月の追加緩和や16年2月のマイナス金利政策など積極的な緩和路線を採り、首相の経済政策「アベノミクス」を主導。

    足元では高度成長期の「いざなぎ景気」を超える戦後2位の景気拡大局面を迎え、円安・株高や有効求人倍率の大幅な改善といった成果を生んでいる。
    内閣府は「長期の景気回復により、デフレ脱却に向けた局面変化が見られている」と指摘。

    黒田氏は18年1月の金融政策決定会合後の記者会見で「2%物価安定目標を変更する必要は考えていない」と言及し、大規模な金融緩和が続く見通し。

    政権側は金利を低く抑えて企業の積極的な投資を呼び込み、国内企業の輸出を後押ししている円安基調の維持を目指す。
    低金利が続けばアベノミクスの「第2の矢」である財政も出動しやすくなる。

    次期総裁任期で黒田氏が当初「2年で2%」と公言した物価安定目標の早期達成が焦点となる。
    生鮮食品をのぞく消費者物価指数の伸び率は足元で0.9%程度にとどまり、日銀も「19年度ごろ」に目標を先送り。
    首相が経済界に直接要請した賃上げにより、持続的な物価上昇につなげられるかが関心事だ。

    米国や欧州は金融緩和の正常化や金利引き上げに動いており、日銀が出口戦略をどう描くのか問われる。
    16年に導入したマイナス金利によって金融機関の収益は圧迫され、副作用への懸念が広がっている。
    低金利で弛緩した財政規律の立て直しも求められ、首相が20年度からの先送りを表明したプライマリーバランスの早期黒字化が急務。

  • 「NY666ドル安・日経600円安」で見えた日米株式市場が“向かう先”

    米長期金利上昇に振り回される株式市場
    前週末の米国ではダウが665ドル安と、リーマンショック直後の2008年12月1日以来の下げ幅。
    発表された1月の米雇用統計が前月比20万人増と事前のコンセンサスを上回っただけでなく、物価動向の先行指標となる平均時給も前年同月と比べ2.9%も上昇、これは09年6月以来8年半ぶりの上昇率で、FRBによる利上げペースが早まるのではないかとの思惑がマーケットに衝撃を与えた。

    雇用統計が強い数値となれば好調経済の証明として、時に上昇相場の原動力ともなり得るが、米長期金利の動向に神経質となっていた今の株式市場にとっては、紛れもないネガティブ材料。
    米10年債利回りが2.8%台半ばまで急上昇したことがリスク回避ムードに拍車をかけ、記録的な下げにつながった。

    金利と為替動向が映し出していたマネーフローの歪み
    1月下旬以降の東京市場は、外国為替市場でのドル安・円高の進行が、これまでの上昇相場の確固たる礎だった好調な企業業績への期待感に水をさす格好。
    本来ならドル買い要因となるはずの米長期金利の上昇だが、為替動向には影響を与えない形で米株安だけを誘発する要因として投資家心理の重荷となっていた。
    既にこの歪んだ相場形成がマネーフローの変調を示唆していた。
    これらを伏線に今回の雪崩を打ったような下げ相場に見舞われたことは、米国を中軸とする“ゴルディロックス相場(適温相場)”の構造に亀裂が生じた。

    強気が大勢を占めるうちは底が入らず?
    今回の米国発の世界株安に警鐘を鳴らす。
    今はまだ下落相場の初動で、強気な見方がマジョリティであるうちは底が入らない。
    米国株の下げはNYダウ666ドル安でアク抜けするほど簡単なものではない。
    米長期金利上昇により、これまでの適温相場のシナリオが崩れた以上、仮に一旦戻っても売り直され、ここからさらに下落圧力は強まる可能性がある。
    もちろん企業業績の好調や世界景気の拡大が急に向きを変えるわけではないが、米国株はあと1000ドルくらい下げるとみている。
    そして、ここからダウが1000ドル程度の下げに見舞われた場合はその後戻りに転じるとしても、最高値圏に再浮上することは困難を要するとし、1月26日の2万6616ドルが今年の天井となる可能性があり得る。

  • 退職金を一時金で受け取った場合と、年金で受け取った場合、どちらが有利になるのか?③

    ■退職金を年金で受け取ると、国民健康保険税が高くなる!?
    一般的な国民健康保険税は、所得割(所得に応じて課税される)、均等割(加入する世帯の人数に対して課税される)、平等割(世帯ごとに課税される)によって構成されています。
    所得割を計算するときの所得には、不動産所得・事業所得・給与所得・雑所得・一時所得などが含まれます。

    退職金を年金で貰う場合、雑所得に該当するので、雑所得が増えた分だけ、国民健康保険税も高くなる。
    所得税・住民税だけではなく、国民健康保険税も考慮に入れて、一時金か年金にするのか選択しなければなりません。
    尚、退職金を一時金で貰う場合の退職所得は、所得割には影響しません。

    ■年金受取を希望する人が多いと聞くけれども
    退職金を一時金で受け取る場合、退職所得控除の範囲内の場合は、非課税となり、退職所得控除を超える場合でも、退職所得は、通常の所得に対して2分の1となります。
    一方、年金で受け取る場合は、公的年金等控除はありますが、2分の1ほど優遇されていません。
    また、国民健康保険税の所得割の金額が増えます。
    少子高齢化による医療費の増加を踏まえると、将来的に、国民健康保険税の税率が上がることが十分考えられます。

    最近の低金利下では、退職金を年金で受け取る場合の利回りも、あまり期待できません。
    年金で受け取った方が、なんとなく安心ということで、年金受取を選択しようとしている人は、改めて退職金の受取方法を見直してみる必要がある。

  • 退職金を一時金で受け取った場合と、年金で受け取った場合、どちらが有利になるのか?②

    ■退職所得控除の範囲内は非課税、超えても1/2課税で有利
    退職金を一時金で受け取る場合のメリットは、退職所得控除の範囲内であれば、税金はかからない。
    勤続35年の人の場合、800万円+70万円×(35年-20年)=1850万円までは、所得税・住民税は非課税。
    仮に、退職所得控除の範囲を超えた場合でも、退職所得は、通常の所得の1/2として扱われるため有利。

    ◆退職金を年金として受け取る時にかかる税金
    退職金を年金で受け取った場合の税金は、どうなるのか?

    ■退職年金は、公的年金等控除の特典がある
    国民年金や厚生年金などの公的年金に限らず、一般的に年金は、雑所得という所得の種類に分類されます。
    雑所得の金額は、収入金額から必要経費を差し引いて計算するのが原則ですが、国民年金や厚生年金、確定給付型年金、確定拠出年金の年金受取分など、公的年金等を受け取った場合は、収入金額から公的年金等控除額を差し引いて計算する特典があります。

    ■厚生年金などの他の年金の受給見込み額を確認する
    退職金を年金として受け取る場合(公的年金等に該当するものとする)国民年金や厚生年金などの公的年金と合算して公的年金等控除を計算するため、まずは、他の公的年金の受給見込み額を確認しておく必要があります。
    定年退職前に、年金事務所または、年金相談センターへ行くと、その場で確認することができます。

    ■退職年金にかかる税金は?
    公的年金等に係る雑所得の金額が計算できたら、次に所得税・住民税の計算です。
    所得から税額を求める場合、さまざまな所得控除、税額控除を加味しなければなりません。
    所得税・住民税を計算する場合に、事前に国民健康保険税・介護保険料などの社会保険料を計算する必要があります。
    国民健康保険税の計算方法は、市町村のHPに詳しく書かれています。
    ※退職後2年間は、従前の健康保険制度に加入できる任意継続制度があります。

  • 退職金を一時金で受け取った場合と、年金で受け取った場合、どちらが有利になるのか?①

    ◆一時金か年金か、税金面で考えると?どっちが有利?
    60歳定年で、退職一時金2500万円
    退職金制度には
    退職一時金制度(退職時に退職金を一括で受け取る)
    企業年金制度(年金、一時金、あるいは併用するか選択する)
    確定拠出年金制度(自身で運用管理したものを、一時金や年金で受け取る)
    これらを組み合わせて運用しているなど、会社によってさまざまです。

    退職金にかかる税金は、一時金として受け取るか、年金として受け取るかによって、大きく異なります。

    ◆退職金を一時金で受け取る時にかかる税金
    ■退職金を一時金で受け取ると、非課税枠など税制上の優遇が大きい
    退職金を一時金として受け取った場合、退職所得として税金が計算されます。

    ●退職所得の計算
    (退職一時金等の収入金額 - 退職所得控除額)×1/2 = 退職所得の金額

    ●退職所得控除額
    ・20年以下の場合 40万円 × 勤続年数
    ・20年超の場合  800万円 + 70万円 × (勤続年数 - 20年)
    ※勤続年数は、1年未満は切り上げ。

    ●所得税額の計算
    退職所得は、原則として他の所得と分離して、所得ごとの税率に基づいて、所得税額を計算します。
    尚、復興特別所得税が別途課税されます。
    退職手当等の支払の際に「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出している人については、退職手当等の支払者が所得税額を計算し、その退職手当等の支払の際、正規の所得税の額が源泉徴収されるため、原則として確定申告は必要ありません。

    ●住民税額の計算
    退職所得(所得税と同様の計算方法)に対して、一律10%です。
    退職手当にかかる所得税の源泉徴収と同時に、住民税にかかる特別徴収を勤務先で手続きしてもらえます。
    一方「退職所得の受給に関する申告書」の提出がなかった人については、退職手当等の支払金額の20.42%が源泉徴収されますが、退職所得の受給者本人が確定申告を行うことにより所得税額の精算をします。

  • 金融株が新局面を迎えている

    上値が重かった銀行株 や生保株 は、上昇基調を強めつつある。
    金利の長期低迷には終止符が打たれ、長期上昇局面を迎えたとみる声は多い。

    世界の投資家の関心が、銀行株を中心とする金融セクターに向かっている。
    銀行株上昇をもたらしているのが、米国を中心とする金利上昇。
    FRBによる利上げ観測が強まるなか「米長期金利は3%乗せも視野に入っている」
    米長期金利上昇は銀行の利ザヤ改善を促し、業績の改善に結びつく。
    三菱UFJを中心に米国など海外での事業強化を進めるメガバンクにも、収益拡大の機会が膨らむ。

    日本の銀行株には、投資機会が膨らんできている。
    18年3月期業績もメガバンクの進捗率は高く、最終的な上振れも見込める。
    5月の銀行の本決算発表では「19年3月期業績を保守的に試算し、減益予想が打ち出される可能性もある」
    5月リスクを踏まえ、銀行など金融株が本格的に見直されるのは年後半からとの見方。
    米国の金利上昇ピッチが早まれば、米銀行株の高騰と歩調を合わせる格好で、日本のメガバンクを中心に銀行株は本格上昇に入る。

    3メガバンクのPBRは0.7倍以下で、配当利回りは、みずほ3.6%台と魅力的な水準。
    あおぞら銀行も4%台と高いほか、地元が好景気状態にある地銀にも投資妙味が膨らむ。
    横浜銀を傘下に持つコンコルディアや千葉銀行、ふくおかFGなど。
    来期以降の業績の伸びが期待されるセブン銀行や三井住友トラストも注目。

    生保には追い風、業態により明暗分かれる結果に
    金利上昇の銀行以外の業態への影響はどうか。
    金利上昇は運用環境の改善につながるため、第一生命やT&D、かんぽ、ソニーFGなど生保株には追い風となる。
    損保株やリース株にとっては、資産運用面で金利上昇のメリットが見込め、マイナス影響は限定的とみられる。
    東京海上やSOMPO、MS&AD、オリックス、東京センチュリー、芙蓉総合リースなど。

    懸念されるのは、消費者金融業界への影響。
    個人向け無担保ローンの貸出金利の上限が決まっている一方、銀行などからの調達金利が上昇した場合、利ザヤの縮小による業績の圧迫要因となる。
    このため金利上昇は、アイフルやアコムなどにとっての業績悪化要因となる可能性がある。
    金利上昇は業態により明暗を分けながらも金融セクターの株価に大変動をもたらす。

  • NY株大幅安、米債券利回り上昇や冴えない決算で

    2月2日金曜日-米国株式市場は、米債券利回りが上昇したことや冴えない決算で大幅安。
    注目の1月雇用統計は、景気動向を敏感に映す非農業部門の雇用者数が前月比20万人増と、市場予想の18万人増を上回った。
    賃金は前年比で2.9%増2009年6月以来の大幅な伸びとなった。
    今年は労働市場が最大雇用状態に達する見込みで、賃金の伸びは、物価上昇のペースが上がるとの見方を後押ししている。
    失業率は前月から横ばいの4.1%で、17年ぶりの低水準のまま。
    米連邦準備理事会(FRB)は昨年は3回の利上げを実施。
    今年も利上げ回数は3回になるとの見通しを示しているが、今回の雇用統計が好調だったことで、FRBがやや積極的になる可能性も示された。
    堅調な雇用統計を受けてこの日も米国債券利回りは上昇し、株式市場は下落した。

  • 円高より大切なこと

    円高襲来で適温相場に綻び
    東京株式市場は、2万4000円大台乗せが精一杯。
    突如、遠雷が響き、黒雲が湧き起こった。
    円高の襲来だ。
    円高はマイナス材料であるが、一方で米国株は依然、史上最高値を更新している。
    これはプラス材料だ。
    こうなると、株価との向き合い方は難しくなってきた。
    円高については、いろいろな理由が市場で言われているが、しょせん、後講釈であり、要は事実を直視すれば、1ドル=109円台と輸出企業の想定レートを下回ったということ。
    米トランプ大統領が“強いドルを望む”と言っても、米国の財政事情を考えれば、そう言わざるを得ないであろう。
    いずれにしても、この円高は、ドル安である。

    ICEドルインデックスをみる限り、当分、ドルは安値圏でのもみ合いが予想される。
    それよりもっと警戒すべきは、これまで低金利のもと景気が回復するという、市場にとって最も都合のよい、いわゆる適温相場と言われてきたそのシナリオに“崩れる”兆しがうかがえる。

    いいとこ取り相場は長くは続かないのが世の常。
    米国金利の上昇は本物であり、ようやく米国ではインフレ期待が高まってきた。
    すなわち適温相場は通じなくなってきた。

    これには反論もある。
    景気拡大のもと金利が上昇し、株価が高くなる。
    業績相場がこれから始まるという見立て。

    個別材料株物色が支えとなるか?
    これまで金融、業績混在相場が業績相場にシフトするには、それなりのけじめが必要。
    金融相場の色彩が強い相場であればこそ、アマゾンのPER235倍が許された。

    やはりけじめが必要だ。
    どういう展開になるのか。

    次の事実を考えてみたい。
    主体別売買動向をみると、1月第2、3週と、個人信用は2週連続で買い越しとなったが、一方で、海外投資家は逆に2週連続で売り越し。

    今にして思えば、海外勢にうまく乗せられた格好。
    海外勢が買わない限り株価が騰がらない。
    今後、好決算発表が続くことや、景気回復が本格化することを前提にすれば、今後、調整があるとしても、当面は一気に下げることなく、ジグザグ的展開が予想されよう。

    この間は個別物色、材料株物色が案外、市場を支える。
    安川電機が大きな期待をかけられながら好決算発表を機に株価が失速したのか考えてみたい。

    今回は、千代田化工建設、ネクステージ、ウィルグループに注目したい。

  • 株続落、高値警戒感が阻んだ2万4000円台乗せ

    終値でも26年ぶりの高値水準を回復するかどうかに注目が集まったこの日の東京株式市場。
    終わってみれば大台の回復がお預けになっただけでなく、前日に比べ100円以上安くなって取引を終えた。
    前日にダウが史上初めて2万6000ドル台に乗せたのを受け、東京市場でも朝方から日経平均への寄与度が大きい値がさのハイテク株を中心に買われたが、高値警戒感と短期的な過熱感を覆い隠すほどの力強さはなかった。

    日経平均は寄り付きから2万4000円を突破。
    午前中の動きを「米株高を起点とした順回転の買い」と分析。
    大型減税をきっかけに米国が世界景気のリード役になるなら、世界の景気敏感株とみなされることが多い日本株は「米国株の上昇に連動して素直に買い上げてもいい」という理屈。

    特に、買いが目立ったのは景気敏感株の代表格であるハイテク銘柄。
    前日に半導体露光装置世界最大手、オランダASMLが大幅な増収増益決算を発表したほか、米アップルもデータセンター増設などの大型投資を表明したことが追い風となり、東京エレクトロンやアドバンテスト、信越化学工業などがにぎわった。

    2万4000円を挟んで一進一退だった日経平均の潮目が変わったのは午後2時すぎ。
    日経平均は急速に伸び悩み始め、2時18分には前日終値を下回った。
    市場では「国内の年金が売った」といった観測が流れたが、株価が上昇すれば年金が持ち高調整の売りを出すのは当然。
    見方を変えれば、この程度の材料をきっかけに地合いが一変するほど、脆弱な上げだったということができそう。

    脆弱さの裏にあるのは短期的な過熱感。
    日経平均の200日移動平均に対する上方乖離率は18日の終値ベースでも15%超。
    経験則上、過熱ゾーンとされる領域に入っている。
    過去に乖離率が15%を超えた局面では、短期的に調整局面入りすることが多かった。
    割高感も意識され始めた。
    日経平均のPERは上限として意識されることが多い16倍に迫っている。
    14~16倍台に収まることが多かった近年の値動きを踏まえれば「今のPER水準は居心地が良くない」との指摘。

    業績拡大期待は変わりなく、買い意欲は依然強い。
    さらに上値を追えるのかどうかは、来週から本格化する3月期企業の決算発表で、市場の期待を上回る上方修正があるかどうかにかかっている。

  • 18日、日経平均は一時、2万4000円を上回った。
    上昇基調はどこまで続くのか。

    ◆大和証券
    米国株が牽引する形で世界的な株高が進んでいる。
    海外投資家の積極的な買いが続き、3月末に2万5000円まで上昇。
    東証1部PERは17倍と2年5カ月ぶりの高水準だが、米S&P500PERは19倍。
    日本も投資尺度の切り上げが起き、割高感を警戒する必要はない。
    米減税で長期的に企業収益が押し上げられるとの期待は完全に織り込んでおらず、米国は上昇が続く。
    リスク要因があるとすれば米長期金利の急伸。
    減税による個人消費の活性化や原油高で米国の物価指標が想定以上に上ぶれする可能性。
    FRBの利上げペースが加速するとの思惑が高まれば、米国株の調整につながる。

    ◆しんきんアセットマネジメント
    業績期待は織り込む
    2万4000円を一時上回り、当面の高値を付けた可能性がある。
    この水準が年度末までの上値メドになる。
    主要企業の2018年3月期業績予想の上方修正は織り込んだ。
    日経平均は昨年と同様に夏までBOX相場に入る。
    米減税の恩恵が大きいとはいえ米国株の上昇ピッチは速すぎ、調整を迎える局面が来る。
    米国株が下落すれば日経平均も調整局面に入りやすい。
    下落幅はそれほど大きくない。
    日銀のETF買いは続き、国内機関投資家の押し目買い意欲は強い。
    小幅な下押し局面で業績改善が見込める銘柄中心に丹念に買いを入れていかないと、運用収益がなかなか上がらない展開が夏まで続く。

    ◆あおぞら銀行
    世界的に運用リスクを積極的にとるリスクオンの流れが継続。
    通常、リスクオフの局面では安全資産の円が買われ、リスクオンでは円が売られやすい。
    足元でリスクオンの円安・ドル高が進行しないのは米長期金利上昇が頭打ちになるとの見方からドル売り圧力が大きいため。
    日本が金融緩和の縮小に向かうとの思惑が広がっているのも円安への動きを妨げている。
    ドル売りの流れが変わるには米国で明確なインフレ進行が必要。
    米国の景気拡大とインフレ、米長期金利の上昇が起きればドルが買い戻されて為替相場では円安・ドル高の流れが起きる。
    世界景気の回復により各国の中銀は金融正常化に向かっているが、日銀は大規模な金融緩和を維持。
    日米の金利差は緩やかながらも拡大方向に向かい、2018年の春まで110~115円の範囲で円安方向に推移する。

  • 先取り! 不祥事銘柄“復活の果実”

    投資直後に株価が急騰したら
    SEMITECがどうなったかご存じだろうか。
    9日の寄り付きは8170円、11日には1万0800円の高値があって、この原稿を書いている時点で1万0140円。
    投資した方はどう対応されただろうか。
    基本は「吹き値は売り」なので、実行を促したい。

    投資してしばらく経った銘柄が急騰した場合には「吹き値売り」を実行できる人でも、投資したばかりの銘柄が早ければその当日、遅くとも数日以内に急騰した場合、それができなくなる。
    こうなってしまう人がほとんどになる。
    理由としては「買ったばかりだから」ということになるのだが、私に言わせるとそれは良策とはいえない。
    デイトレや目先投資をやっているのではなく、中長期投資であっても、投資してすぐの思いがけない急騰は売って利益を確保する。
    これを優先するのが好ましい。

    なぜなら、それは高価な拾い物をしたようなものだから。
    それをしなければ折角の利益がたちまち失われてしまう。

    短期の評価益は確実に実現益に
    速攻に売ったあと、さらに上昇することもある。
    そうなるケースは稀であり、多くは間もなく反落する。
    投資してすぐの急騰は、すぐに売り準備に入り、実際に反落の気配を見せたらあれこれ考えずに売り逃げる。
    こうするやり方をお勧めしたい。
    要するに短期で得た評価益は、確実に実現益に換えておく。

    そこで、ここでの注目銘柄。
    昨年不祥事を起こして株価が下げた銘柄を拾いたい。
    具体的には、日産自動車、SUBARU、東レ、神戸製鋼所、三菱マテリアルなどになる。
    リニア新幹線工事で談合問題を起こした大林組、鹿島建設、清水建設、大成建設のスーパーゼネコン4社はどうか。
    これらは大きく売り込まれたところから、少し戻していて、今後はさらに回復力を強める可能性が高いものの、日産、三菱マテリアルなどと異なり、回復のスピードは遅くなる。
    まだ事件発覚後2ヵ月ほどしか経っておらず、少し上げると戻り売りが出やすい。
    この点を計算に入れて、少し時間はかかってもよいので利益を安全に得たい。
    こういう投資を目指すなら目的が達成される可能性は高い。
    要するに、今回は昨年不祥事発覚で株価が急落したものの、今年は大分ほとぼりが冷めると見てよいため、敢えてそれに期待しよう。

  • 資源素材など物色範囲広がる

    意外な伏兵が「株高」を足止め
    新年相場は大発会から3日間連続高となった。
    これは実に2010年以来のこと。
    こうした3日間の連続高をみれば、さぞかしその後も高いだろう、と推測しがちである。
    だが、2010年は1月も、2月も月足は陰線で終わっている。
    これをみると、なにか嫌な予感がしなくもない。
    とはいえ、材料的には大発会以降、特に不安材料はみられず、市場では不安材料がないことが逆にリスクとまで言い切って、余裕をみせている。
    だが、ここにきて初めてドル安・円高という伏兵がいることに気がつかされた。
    これまでドルインデックスはトレンドでドル安であったが、円については、これにあまり連動し難い状況にあった。
    しかし、ここへきてドルインデックスを意識し始めたようだ。
    一気に2円近くも円高になった。
    市場では、世界景気の拡大、企業業績の好調、史上最高値更新を続ける米国株高と好材料が闊歩していただけに不意を突かれた格好。
    1月10日以降、小幅とはいえ3日連続安となった。

    では、今後をどうみればよいか。
    米国株の行く手に潜む2つの懸念
    株価の足を引っ張った円高は、ドルインデックスに左右されそう。
    この指数はレンジのほぼ下限に達しているところをみると、この先、大きく低下するとは思われない。
    であれば、円高も多少ブレてもたかがしれているとみたい。
    問題は米国株価。
    今や2万5000ドル台も中半にあり、絶好調といった状況。
    それこそ不安材料がないようにみえる。
    だが、気にかかる材料がなくもない。
    ひとつは、カネ余りを背景に株式、債券、原油などの国際商品、さらに仮想通貨と手当たり次第に相場を押し上げてきた構造の中で、債券が急落し始めたこと。
    まだ米10年国債をみても本格的に崩れていないが、すでに16年に天井打ちをしているだけに、今後さらに崩れれば、他の商品に波及、連鎖安をみせることは容易に想像されよう。
    今ひとつは、史上最高値を更新し続けるアマゾンの株価。
    すでにPERは250倍である。
    平成バブルのときは100倍が限界という教訓を身につけた。
    いくら成長性が高いとしても、250倍は行き過ぎ。
    仮にアマゾンが調整に入れば、他への影響は生半可ではない。
    注視したい。
    ともあれ、日本株は米国株次第。
    円高から円安に振れるときまで米国株が上昇を続けているかどうか。

  • 鉄道王・根津嘉一郎 ②

    明治32年(1899)には、東京電燈(現在の東京電力の前身)の取締役に推挙されました。
    若尾が示唆した「灯り」事業です。
    しかし、当時の東京電燈は経営不振にあえいでいました。
    嘉一郎は会社再建に取り組み、堅実な経営体質に変えていきます。
    この頃から嘉一郎自身も、奔放な暴れん坊から、一回り大きな事業家、経営者へと変貌を遂げていったようです。
    以後、嘉一郎は経営に行き詰まった会社を買収し、経営を再建させていきました。
    そんな彼を「ボロ買い一郎」「火中の栗を拾う男」などと揶揄する向きもありましたが、嘉一郎は「社会から得た利益は、社会に還元する義務がある」という信念のもと、黙々と再建事業に取り組みます。

    明治38年(1905)に嘉一郎が46歳で社長に就任した東武鉄道もそうでした。
    当時の東武鉄道は北千住から久喜まででしたが、併行する利根川水運との競争に勝てません。
    そこで嘉一郎は利根川に架橋し、路線を北に延ばします。
    その結果、日光や鬼怒川温泉と結んだことで旅客は倍増しました。
    他にも嘉一郎は東京地下鉄、南海鉄道など、関係した鉄道会社は24社に及び、「鉄道王」の異名をとることになるのです。

    その一方で、大正11年(1922)にはわが国初の旧制7年制の武蔵高等学校、現在の武蔵学園(武蔵大学、武蔵高等学校、武蔵中学校)を設立。
    「国家の繁栄は、育英の道に淵源する」という思いからでした。
    さらに昭和11年(1936)には武蔵高等学校に根津化学研究所を創設し、物理化学の高度な研究を推進します。

    嘉一郎は明治37年(1904)以降、衆議院議員を4期務め、大正9年(1920)より勅選貴族院議員として、政界でも活躍しました。
    昭和15年(1940)没。享年81。
    傑出した実業家でありながら政治家、教育者の顔も備え、「社会から得た利益をどう社会に還元するか」を追求した嘉一郎。
    当時の実業家のスケールの大きさと、志の高さが伝わってくるように思います。

  • 鉄道王・根津嘉一郎 ①

    万延元年6月15日(1860年8月1日)、根津嘉一郎が生まれました。
    東武鉄道をはじめ、多くの鉄道の再建に関わって「鉄道王」と呼ばれ、また武蔵学園の創始者としても知られます。

    嘉一郎は現在の山梨県山梨市に生まれました。
    父親の嘉市郎は雑穀を商う裕福な商人です。
    幼名を栄次郎といった次男の嘉一郎は、ガキ大将として有名でした。
    やがて明治10年(1877)には18歳で郡書記となりますが、21歳の時に東京へ出奔。陸軍士官学校入学を目指したものの、年齢超過のため資格なしとされます。

    3年後、郷里に戻った嘉一郎は自由民権運動に関心を持ちますが、30歳で家業を相続。商売はうまく、父親が残した家産を増やしました。
    家業のかたわら郡会議員、県会議員となり、自由民権運動の集会への警官の過剰な妨害に抗議して、新聞でその名を上げます。

    嘉一郎には「売られた喧嘩は買う」といったところがあり、後に彼が関与するいくつもの会社でも、必ず喧嘩をしています。
    村長を務めていた頃、郷里出身の実業家・若尾逸平と出会い、また郷里の先輩・雨宮敬次郎とも知り合いました。
    彼らは後に「甲州財閥」と呼ばれることになります。
    若尾から実業は経済の動向、特に将来性を見抜くことが大切であることを学び、今後、「乗り物」と「灯り」が有望であることを示唆されます。

    若尾の示唆の影響からか明治29年(1896)、37歳で再び東京に出た嘉一郎は、日本郵船をはじめ海運株を大量に買って、一時は大儲けしますが、株の暴落とともに大借金を負う痛い目を見ました。
    しかしこの嘉一郎の大胆な動きは実業界の注目を集め、徴兵保険株式会社の設立発起人に推されることになります。

  • 北海道ガス:経常利益↑、純利益↓
    広島ガス:経常利益・純利益とも↓
    PER=純利益÷株数
    銘柄選択で大切な利益とは?

    「利益」は何を差し引くかによって異なる
    企業活動を行う上で、会社にはさまざまなお金が出入りします。
    会社の経営状態の実態は1つの指標では表せないため、利益には複数の種類があり、それぞれが意味することも異なります。
    以下、3つの利益について解説してみましょう。

    ■営業利益
    売上高からコスト(人件費や材料費、広告宣伝費など)を差し引いたもの。
    本業で稼いだ利益を表す。
    売上高が良くても、経費がかさむと営業利益は少なくなる。

    ■経常利益
    営業利益に受取利息などの営業外収益を足し、銀行に支払う借入利息などの営業外費用を差し引いたもの。
    会社の事業全体の利益を表す。
    本業が順調でも、借入金の返済や利息負担が多いと少なくなる。

    ■当期純利益(最終利益)
    経常利益に、本業とは関係のない土地の売買などで発生した特別利益や特別損失を足したり引いたりし、そこからさらに税金を差し引いたもの。
    臨時の損益を含めた最終的に会社に残るお金を表す。

    ◆業績の良し悪しは、どの「利益」でわかる?
    会社の業績を見る上で、特に注目したいのが「経常利益」です。
    「経常」という言葉が表すように、経常利益は会社活動の総決算。
    営業利益は本業の業績のみに左右されますが、経常利益は会社の資産運用や借金など、事業全体にかかわる数字だからです。
    会社の収益性を把握する判断材料として、金融機関や取引先が最も重視しているポイントといっても過言ではありません。

    例えば、経常利益が赤字なのに、当期純利益が黒字となるケース。
    これは、事業は不調だったものの、それ以外の臨時収益で黒字となった状態です。
    つまり、最終的には黒字となったものの、それはたまたま臨時収益があったおかげで、経常利益がマイナス=会社の経営は危険信号が灯っているということになります。
    逆に見れば、最終利益が赤字でも経常利益が黒字であれば、今後その企業の業績が回復する可能性を秘めているわけです。

  • 世界株高どこまで 投資指標に割高感 ②

    実体経済の規模と比較した株価の割高感も目立ってきた。
    世界株の時価総額は過去最高の86兆5300億ドル(約9800兆円)と世界の名目GDPの78兆ドル(17年推計値)の約110%の水準。
    昨年7月に世界株の時価総額はGDPの規模を超え、その差は広がり続けている。

    市場全体の時価総額をGDPで割った指標は米著名投資家バフェット氏が重視する投資尺度として知られ、100%を超えると株価は割高とされる。
    08年秋のリーマン危機や15年夏の中国・人民元ショックの直前に同指標は100%を突破し、程なくして株価は大きく下落。
    将来の経済成長を大きく先回りする形で株にマネーが流入しており、いつ調整してもおかしくない。

    株価が企業の1株利益の何倍まで買われているのかを示すPERにも警戒信号がともっている。
    S&P500の予想PERは約21倍に達し、04年以来の高水準にある。
    日本やドイツに比べると米国の割高は突出。
    現在の米国株の高PERを投資家が許容しているのは、企業業績の成長が続いているから。
    ただ金利が上がれば企業の利払いや新たな資金調達のコストが増し、業績の重荷になる。
    株高をけん引してきた高PERのハイテク株への売り圧力が増すとの指摘も出ている。

    物価の動向も世界株の行方を左右しそうだ。
    昨年までは物価の伸びが鈍く、欧米の中央銀行は緩やかなペースで従来の金融緩和策の修正に動くことができた。
    この結果、低金利と株高が共存する投資家にとっては心地がよい「適温相場」が維持されてきた。
    しかし景気が予想以上に過熱して急激な物価上昇が起これば欧米中銀は引き締め姿勢を強めざるを得ず、その場合は株式市場から資金が流出。

    3日に公表した昨年12月開催のFOMCの議事要旨によると「財政刺激などで景気が過熱した場合は急激なインフレ圧力を生むリスクがある」との議論があり、複数の委員は利上げ加速が適当と主張していた。

    将来のインフレの可能性をにらみ、物価上昇に応じて元本が増える「インフレ連動債」に投資する世界のファンドには11週連続で資金が流入。
    世界株高に変調をきたしかねない物価上昇のリスクに、投資家の一部は備え始めている。

  • 世界株高どこまで 投資指標に割高感 ①

    世界の株式市場への資金流入が加速している。
    4日のダウが初めて2万5000ドル台に乗せ、5日は日経平均株価が連日で昨年来高値を更新。
    米減税の効果もあり、世界景気が一段と拡大するとの見方が株高を後押し。
    急ピッチな上昇で割高感を示す投資指標も目立ち始めた。
    物価や金利の動向が今後の株価のカギを握る。
    大きなバリアーを突破した。
    次の節目は3万ドルだ。
    トランプ大統領は4日、機嫌良く話した。
    ここにきてダウの上昇ピッチは加速している。
    2013年5月に1万5000ドルを超えたダウ平均が2万ドルまで上昇するには3年半以上の時間がかかったが、2万ドルから2万5000ドルの達成までは約1年しか時間がかからなかった。

    上昇ピッチを速めたのは、企業の景況感の改善を示す指標が世界で相次いだため。
    投資家からは「昨年と同様の市場環境が続くとみて、買い注文を入れた」との声が出ている。
    米税制改革法が成立したのも追い風。
    減税を通じて米景気回復が続けば、世界経済にもプラスに働く。
    世界同時好況を背景に米S&P500種株価指数の構成企業の1株利益は18年に12%増える見通しで、減税効果を加えれば伸び率は20%を超えるとの予想も多く「成長期待を踏まえると株価は1年前より割安だ」との見方を示す。

    米国の株高は世界に波及した。
    5日の日経平均は前日比208円高の2万3714円で取引を終了し、前日の大発会と合わせた上昇幅は949円(4.2%)に達した。

    同日のアジア株もインドやタイが最高値を更新し、台湾も1990年以来の水準に上昇。
    出遅れていたロシアも3年半ぶりの高値圏で推移。

  • 大発会として26年ぶり高値水準

    4日の東京株式市場の日経平均株価は、741円39銭高の2万3506円33銭で取引を終えた。
    東京証券取引所では4日朝、大発会の式典があり、東証を傘下に持つ日本取引所グループの清田瞭最高経営責任者が「企業の稼ぐ力は向上している。環境が大きく変わらない限り日本のマーケットの見通しは明るい」とあいさつした。

    昨年末の日経平均株価の終値は2万2764円94銭と、前年末の終値に比べ約20%上昇した。
    市場では世界的な景気拡大を背景に、2018年も日本を含めた世界的な株高が続くとの強気の見方が大勢を占める。
    ただ、大規模な金融緩和で景気拡大を下支えしてきた各国の中央銀行は政策を引き締め方向に転換し始めており、新興国から資金が流出するなど世界経済が不安定化する要因になる可能性があるほか、中東や北朝鮮情勢を巡るリスクもくすぶる。

    年末年始の海外株式市場は総じて堅調だった。
    ダウやナスダックなど主要指数が最高値を更新し「東京市場は相対的に出遅れ感が生じていた」とされる。
    日本株は寄り付きから大きく買われ、日経平均は心理的な節目とされる2万3000円台をあっさり回復、大発会としては1992年(2万3801円)以来26年ぶりの高値水準となった。

    市場からは「出来過ぎ」や「意外高」を指摘する声が上がる一方「年末の半導体関連株は大きく売られていたため、過熱感はない」との分析もあり、大発会の東京市場は相場格言に言う「戌(いぬ)笑う」好スタートとなった。

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