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日経平均株価【998407】の掲示板 2024/04/30

>>399


>一般に高圧送電線って交流だそうで、遠距離への送電には「交流の方が向いている」とず~っと思い込んでいた。
>
>ネットみてたら「遠くへ運ぶのは、本来は直流の方が向いてる」という事実を知った。

なるほど、一長一短。

直流の長所
・同実効電圧の交流よりも、最高電圧が小さく、絶縁が容易である。逆に言えば、同じ耐電圧の設備でもより大容量の電力を送れる。
・表皮効果を生じないため導体利用率がよく、電力あたりの電流が小さいため電圧降下・電力損失が小さい。
・2条の導体で送電できる(大地を帰路とした場合は1条でも可能であるが、電蝕や通信への影響が大きいのでその対策が必要)。
・帰路の線路を設けた場合、交流に比較して電波障害が小さい。
・正負2回線にした場合、帰路を共用できるため、3条で2条に比較して2倍の電力を送れる(交流は1.73倍)。
・交流の電力系統を周波数的・電圧的に分離できる。周波数動揺などの影響を遮断できて潮流調整が容易。
・電線路のリアクタンスによる電圧降下やフェランチ効果(電圧上昇)を考慮する必要がなく、また調相設備が不要である。
・静電容量による充電電流が存在しないため、特にケーブル送電の場合、容量性リアクタンスによる送電容量の制限がない。


直流の短所
・交流送電に比べて変圧設備が高価であり、過負荷容量が小さい。短距離の送電では、同距離の交流送電に比べて、変圧設備でのロスが大きくなる。この変圧の難しさは、大容量送電の効率が決定的に違ってしまうという、かつて直流送電が交流送電に敗れた最大の要因であり、現在でも高圧の直流と直流とで変圧することはまず無い。
・大容量の直流遮断は難しい。交流は電流零点を有するため、この点で電流を遮断する事が可能である。電力系統で使われる遮断器は容量が大きいため、遮断する段階での細工は不要である。一方直流は零点がないため、大容量の遮断器では零点を作る細工が必要である。通常は外部に蓄えたエネルギーを逆電流として挿入するか、直流に自励振動の電流を重畳させて零点を作る工夫が必要である。この方法は一部低電圧、高電圧大電流用に開発がなされ、実用化の検証が終了している。ただし交直変換器で交流→直流や交流→直流→交流という回路になっている場合は、変換器の停止や交流側に遮断器を設けることで、この点は大幅に緩和もしくは無視できる。
・交直変換の際の高調波に対する対策が必要である。3相の全波整流(6アーム構成)では6n±1の高調波が交流系統側に、6nの高調波が直流系統側に流出する(nは自然数)。交流系統と連系する変圧器(変換用変圧器)2台を位相を30度ずらして接続すると交流系統への流出高調波は12n±1に、直流系統への流出高調波12nになる。これらの高調波が系統に与える影響を抑えるために変換所には高調波フィルタを設置する必要がある。影響は交流、直流の系統構成によって異なるため、事前の解析が重要である。
・交流送電に比べて(直流 - 交流変換の設備が必要な分だけ)初期投資が高価である。