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金高騰の裏に中国個人マネー 上海で売買急増-高山智也
2024/05/10 02:00 日経速報ニュース 1164文字

 金(ゴールド)が歴史的な高値圏にある。新たな買い手は中国の個人投資家だ。上海黄金交易所(SGE)の統計でも3〜4月の売買高が前年同期比で8割近く増えた。不動産不況など中国経済への不安が、金への資金逃避を招いている。
 「過去の上昇局面は大半が投機筋の買いが主導してきた。3〜4月の歴史的な高騰局面は中国の現物需要が相場を押し上げる珍しい構図だった」。マーケットエッジの小菅努代表は指摘する。

 もともと金ETFには欧米機関投資家の投機資金が流入しやすい。だが米国の長期金利が高止まりし、機関投資家は金利を生まない金から資金を引き揚げたとみられる。

WGCによると、中国の金地金やコインの需要は1〜3月、前年同期比で68%増の110.5トンだった。旺盛な個人の金需要がSGEでの買いを膨らませ、SGEで売る金地金を手当てしたい地金商などの買いが世界的に金価格を押し上げた。市場関係者はそう見る。
 マーケットアナリストの豊島逸夫氏は「不動産不況や、暗号資産(仮想通貨)やドル建て資産への規制を背景に運用先を見失ったマネーが流入している」とみる。
 中国人民銀行(中央銀行)は4月時点で、金の保有量を18カ月連続で増やした。中国をはじめ新興国は、発行体がない「無国籍通貨」の金を外貨準備として蓄えている。豊島氏は「中銀の買いも個人投資家に安心感を与えている」と語る。

森田アソシエイツの森田隆大氏は、中国の個人による金買いを「通貨の価値下落を懸念した資産の保全の動き」と分析。長期的な傾向となる可能性を指摘する。