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南アフリカ ランド / 日本 円【zarjpy】の掲示板 2018/02/04〜2018/02/15

この記事の意味が分かる日が来る。
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広がるきしみ(2)金融政策と財政、ずれる歯車―止まらぬ大盤振る舞い(モネータ女神の警告)
2018/02/14 日本経済新聞 朝刊 1ページ

 米ダウ工業株30種平均が史上最大の下げを記録した翌日の6日。余波はギリシャに及び、この日予定していた7年国債の発行をいったん延期した。リスク回避が投資家の間で強まり、信用力の低い同国債の利回りが跳ね上がったからだ。
ギリシャに逆風
 財政危機に陥ったギリシャが国債市場に復帰したのは2017年夏。カネ余りを背にした国債発行で財政を再建し、国際支援から脱する腹づもりだった。だが、そのシナリオは米国発の市場動揺で揺らぐ。ギリシャへの逆風は、緩和マネーをあてにした各国財政政策への不安と重なり合う。
 国際通貨基金(IMF)のまとめでは、191カ国のうち174カ国が財政規模を拡大中だ。財政悪化への懸念をものともせず、投資に前のめりな国は多い。
 「ビルド・ビルド・ビルド(造って、造って、造ろう)」。17年末、フィリピン・マニラの北西約80キロメートルの米軍基地跡地に関係者が集まり、熱気に包まれた。パリ市並みの敷地にビジネス街や住宅地を整える巨大プロジェクトが動き出す。
 仕掛けたのは、過激な発言で民衆の人気を集め、「フィリピンのトランプ氏」と呼ばれるドゥテルテ大統領だ。22年までに8兆ペソ(約17兆円)を投じる計画を掲げ「インフラ黄金時代を迎えた」と叫ぶ。一連の投資で年200万人の雇用を生みだし、国民所得を押し上げると宣伝する。
 金融危機後の景気テコ入れを狙い、各国政府は財政のアクセルを強く踏んだ。お金をため込むばかりの企業・家計に代わる最大の使い手として振る舞い、マネーの奔流を勢いづかせた。
 減税や財政出動へ借金を重ねられた底流には中央銀行の金融緩和がある。中銀が大量の国債を買って金利を低く抑え、政府は資金繰りの心配から解放された。
 国際金融協会によると世界の政府部門が抱える負債は昨年9月末時点で63兆ドル(約6800兆円)とこの10年で倍増した。政府部門の負債は金融機関を上回る。世界全体の国内総生産(GDP)に対する政府債務の比率は、金融危機前の6割から9割に上昇した。
米の株安で露呈
 そんな図式は米連邦準備理事会を先頭にした緩和縮小で幕引きに近づく。だが政府は大盤振る舞いをそう簡単にやめられない。自国中心の大衆迎合主義(ポピュリズム)が広がり、国民に不人気な政策を取りにくいからだ。
 「我々の輝く土地に新たな道路や橋、鉄道をつくる」。米国ではトランプ大統領が1月末の演説で1・5兆ドルを投じる「インフラ再興」を宣言した。米与野党幹部は連邦予算の歳出上限引き上げで合意。過去最大の約20兆ドルと、GDP比で100%超に膨らんだ連邦債務はさらに重くなる。
 米金利の先高観を引き金とした世界同時株安は、大盤振る舞いの方程式が崩れる恐れをのぞかせた。大衆人気を追って政府がどんどんカネを使うひずみは限界に近づきつつある。