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投稿コメント一覧 (18コメント)

  • それだけに、2017年10月に東証市場第二部上場が決定した時の社内での喜びはひとしおだった。創業当時の苦労を知っている社員は、特に感慨深い様子だったという。

    「上場して良かったのは、社員の仕事に対する姿勢が大きく変化したことです。『社会のために』とか、『上場会社にふさわしくあるにはどうすればいいか』といったことを皆が口にするようになり、これまで以上に社内の意識が高まりました。また、アライアンスの選択肢が広がり、業種を超えた様々な企業と接することが増えたことも上場の大きなメリットだと感じました。採用面でも優秀な人材が多数応募してくれるようになりました」

     宮地さんは自社の社風がアットホームで結束力が強いと考えているが、それは時に自分たち本位になりかねないというリスクもあると考えている。そのため上場以降、キャリア採用を積極的に行うようにもした。

     不動産業界の仕組みや慣習にとらわれず、思考やカルチャーが違う人たちの意見により、刺激を受けて良いところを取り入れていこうという方針からだ。入社した社員には最初から「遠慮せず、どんどん意見を言ってください!」と伝え、意識的に社内の風通しを良くすることに努めた。

     市場第二部上場から1年後の2018年10月には、市場第一部指定を果たした。社員は喜びに沸く一方で、さらに気を引き締め、社会における自社の立ち位置や自身の役割を意識するようになった。

    近江商人の経営哲学「三方よし」を目指して

     宮地さんにオフタイムの過ごし方を聞くと、「土日も朝4時には起きて、つい仕事をしてしまうんです」と笑う。不動産業界を変革したいという思いから、常に次なる一手を頭に思い浮かべている。

    「現在の不動産マーケットは、空き家問題や多様化する顧客ニーズへの対応など、問題が山積みです。これらを解決するには、今の不動産モデルでは厳しい。家主と入居者をマッチングする不動産プラットフォームをはじめ、私たちのポジションだからこそ改善・改革できるサービスを提供し、不動産を活性化して世の中の景気を盛り上げていきたい。貸し手と借り手、そして社会も良くなる『三方よし』を実現していきたいと思います」

    宮地さんは、Casaの社員たちと共に、この壮大な目標に向かって歩き続けている。

  • 家賃を遅延する人にはその状況の解決に役立つ情報や制度を紹介したり、食事に困っている人には特定非営利活動法人(NPO法人)のフードバンクと提携して食料支援をしたり……。そうしているうちに、多くの顧客から「ありがとう」と言われるようになり、お客様から会社に感謝の手紙がたくさん届くようになった。

    「社員の表情が日に日に明るくなっていくのが目に見えて分かりました。人から感謝されることが、社員のモチベーションアップにつながったのです」

     開始当初は、一時的に立替金が大幅に増加し、業績にも影響を与えた。しかし次第に社員たちにノウハウが蓄積していき、顧客に適切な対応を取れるようになり業績も回復した。
     
     宮地さんは当時を振り返り、「損失は20億円ほど出ましたが、私たちにとっては貴重な投資。すばらしい人材教育になりました」と語る。株式会社Casaのオフィスの入り口には、ここ数年で多くの顧客から寄せられた社員への「ありがとう」の感謝の手紙と写真がたくさん飾られており、全社員のやりがいと励みになっている。


    オフィスの入り口に飾られた感謝の手紙や写真の数々

    試行錯誤し上場を実現、上場後に社員の意識は大きく変化

     2013年、東証への上場を目指して、経営陣によるMBO(マネジメント・バイアウト)を実行。不動産マーケットを再構築するためには、社会に対する影響力を持たなくてはならない。そのためには自社をパブリックカンパニーにするしかない、宮地さんはそう考えていた。

     上場準備にあたっては、上場経験者を採用することも多いが、株式会社Casaではそれをせず、宮地さんの陣頭指揮のもと、苦しい時期を共にした社員たちで上場準備に取り組み、上場に向けての情報と意識を皆で共有して社内体制の整備などを進めた。市場は上場基準がより厳しい本則市場を目指すことにした。幼少から人に難しいと言われるとやりたくなる性分からであった。

    「2016年の上場を計画したのですが、『お客様本位の徹底』による立替金の発生などで、利益計画の見通しが甘くなっていることを感じ、改めて、利益計画の策定体制などを徹底的に見直しました。営業部門だけが頑張れば利益が達成できるわけではなく、全ての部門が関わってくるため、部門間の連携は非常に苦心しました」

  • 「会社を立ち上げ以降、私自身が資金繰りに奔走しており1ヵ月先も見えない日々を過ごし、会社の成長ストーリーを描く余裕がありませんでした。社員に希望を持たせるためにはビジョンが必要だと、必死になって会社の未来を考えました。会社の強みと弱み、競合などの事業環境、ビジネスモデルについて、自宅の壁に400枚以上は繰り返し書き連ねていました」

     

     当時、不動産プラットフォーム構想を実現するには、①IT技術、②新たな業界ルール、③経営基盤の3つが必要になると考え、実現を逆算して、まずは会社の基盤となる理念を作り、経営の土台づくりから始めた。

     理念を社員一人一人に浸透させるべく、まずはトップダウンで管理職に研修を毎月行い、現場社員にも理念の研修会を開き、体制や社内制度も整えていった。

     2010年12月には、「社員みんなの家のような会社でありたい」という願いを込め、ラテン語で『みんなの家』という意味を持つ「Casa」に商号変更。

     株式会社Casaとして、社員一丸となり、再び新たなスタートラインに立った。こうした取り組みを経るうちに、いつの間にか離職率は40%から4%へと、大幅に改善されていった。

    社長室に並ぶ社員のご家族から贈られた宮地さんの似顔絵

    お客様からの「ありがとう」が、社員のモチベーションを高めた
    株式会社Casaの転機となったのは、2016年からスタートした「お客様本位の徹底」だ。家賃を遅延する人たちに対して、これまでは単に家賃を支払ってもらうための交渉をしていたが、まずは話を聞き、具体的な相談に乗ることにしたのだ。この取り組みのヒントになったのが、宮地さんが急病で駆け込んだ病院での、医師や看護師たちスタッフの対応だった。

    「その病院では『病気を診ずして病人を診よ』との方針のもと、病気そのものではなく患者である私自身を見て、親身になって対応してくれたのです。感銘を受けた私は、自社でもお客様本位を徹底することにしました。家賃を支払えない人の背景には仕事上の事情によるもの、病気やケガなどによるものなど、何らかの原因があります。この原因を理解し、生活の立て直しのために、福祉制度などの勉強やマナー研修を徹底しました」

  • 「当時、地方で支店部門の責任者をしていましたが、本社から呼び戻され、現場の立て直しに奔走していました。そんな中、会社が資金ショートしてしまい、支払い遅延を起こしました。顧客からのクレーム電話が鳴り止まず、急きょ会議室にコールセンターを作って、部下とともに朝から晩まで対応に追われました。

     役職員の数も少なくなる中で、残ったメンバーで自分たちにできる限りの誠実な対応をしようと、電話の相手に必死で頭を下げ続けたのを覚えています。最終的に会社の継続ができなくなりましたが、家賃債務保証事業を承継する形で新たな会社を作ることになりました」

     こうして2008年10月、新会社「レントゴー保証株式会社」を設立した。宮地さんは、新会社の経営に携わるつもりは全くなかったが、スポンサーや部下などから請われる形で社長に就任した。賃貸住宅の家賃保証事業として再スタートしたが、倒産によって損ねられた信用はすぐには戻らず、初月の売上はほんのわずか。

     なかなか取引に結びつかず、宮地さんは毎月の資金繰りに奔走する地獄のような日々を送ったという。しかし断られても諦めずに何度でも1社1社足を運び、契約を交わす地道な努力が少しずつ実を結び、だんだんと取引が増え始めた。2009年には同業3社の株式をM&Aにより子会社化し、グループ全体の業容を拡大。事業を軌道に乗せることができた。

    会社の長期的なビジョンを提示し、理念を共有

     2009年11月、宮地さんは一般社団法人賃貸保証機構を立ち上げて代表に就任した。当時、保証会社が乱立し、悪質な会社もあり業界の評判を下げるばかりでなく、むやみな競争で倒産も相次いでいた。

     また、失職などで生活が不安定になった入居者を締め出す動きも見られていた。宮地さんは「業界の透明化と質の向上」「社会的弱者の保護」を図るために、国への働きかけが絶対に必要だと感じ、機構代表として関係省庁に法整備を強く訴えるため、議員会館にも足しげく通い、2010年の法律の立案に強く働きかけた。

     宮地さんが業界の健全化のために奮闘する一方で、会社では社員が一人、また一人と会社を去っていき、当時の離職率は40%に達していた。その主な理由は、現場の社員はひたすら目の前の業務に追われるばかりで、会社の長期的なビジョンが見えず疲弊してしまっていた。

  • No.1796 強く買いたい

    上場日:2017/10/31 …

    2020/12/03 16:35

    上場日:2017/10/31
    宮地 正剛

    倒産した会社の事業を引き継ぎ、苦境からの再生を遂げる

     核家族化や高齢化が進み、賃貸物件を契約する際に連帯保証人を頼む人がなかなか見つかりにくい現代、借り手が家賃債務保証を依頼するニーズが増している。貸し手側としても、供給過多で借り手がつかない「空き家問題」が深刻化しており、なるべく空き家のリスクや不要な諸経費を減らしたいという思いが強くなっている。
    家賃債務保証事業を展開する株式会社Casaはそういった社会的背景を受けて、単なる家賃債務保証にとどまらず、家主や入居者への手厚いサービスを提供して差別化を図り、幅広い支持を獲得してきた。

     例えば不動産オーナー向けアプリ『大家カフェ』では、全国2万店以上の代理店ネットワークを利用して、大家と入居者のマッチング支援を行うほか、煩わしい賃貸管理や退去時のリフォーム依頼がアプリ上で簡単にできるサービスを提供している。

     入居者向けには、アプリ『入居者カフェ』を通じて、引越しや日々の暮らしに役立つ情報を提供している。

     業界トップクラスのシェアを獲得する株式会社Casaだが、ここに至るまでには多くの困難があった。そのヒストリーを振り返ってみよう。

     株式会社Casa代表取締役社長 宮地正剛さんは、1972年に香川県高松市に生まれた。住宅建築業を営む両親は、宮地さんに小学生の時から文武両道の教育を徹底していたという。

    「親の苦労を間近で見てきたので、子どもの頃は経営への興味は全くありませんでした。板前や美容師など職人の世界に憧れていましたが、祖母の進めもあり大学まで進学するうちに次第に建築の仕事に興味を持ち、大学卒業後はカナダに3年間留学して様々な知識を学びました」
    宮地 正剛(株式会社Casa)インタビュー写真
     帰国後に住宅業界の世界へ飛び込み、経験を積んだ。2004年に入社したのは家賃債務保証事業とアセットマネジメントを行う、新興の上場企業だった。

     創業からわずか2年で上場を果たした勢いのある会社に営業として身を置くことで、宮地さんは様々な学びを得ることができた。しかし精力的に働き続けて4年が経った頃、会社に倒産の危機が訪れた。

  • 夢遺産だってよ!
    あれだけ自殺者を出させた三菱電機社長が従業員の幸福を語るとは
    恥知らずもいいとこ

  • 山一證券
    北海道拓殖銀行
    千代田生命保険
    リーマン・ブラザーズ
    歴史に名を刻んだ錚々たる企業だったが、
    いずれも株安の焦りで墓穴を掘った
    資産売りの自社株買い、上場取り辞めなど醜態を晒した
    ソフトバンクも例外とならないようだね
    ジーエンドは意外と速いかも

  • そろそろみずほも経営責任が問われそうだね
    リーマン社長だから辞めれば済むことかね

  • なんか山一證券と長銀も倒産の半年前あたりから経営陣が必死だったことを思い出したよ
    孫さんと似たような雰囲気だね

  • >>No. 2882

    今、紐育往ったら間違いなく感染ダッピ

  • 刃牙さん
    刃牙祭りッッ!1〜41巻無料で読めちゃうッッ!!!
    https://news.mynavi.jp/article/20200228-984408/

  • アパ京都駅前で1泊25000円で泊まったことはある
    一昨年の11月の話
    いくら低金利とはいえ、アパの経営は火の車と思うよ
    いつつぶれるか見ているところ

  • こんばんわ
    クジラが動くといいですね

  • 本当なら
    お気の毒です

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