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株の買い時・売り時はいつ? タイミングの見極め方や判断基準を初心者向けに解説

相場に絶対はないため、株の買い時・売り時を見極めるのはプロでも難しいといいます。とはいえ、根拠のない売買を繰り返すのはおすすめできません。
株式投資で勝つには、根拠を持って株の買い時・売り時を判断し、勝率を上げることが大切だからです。本記事では、株の買い時・売り時の見極め方や判断基準を初心者向けに解説します。(監修者:金融オンライン・アドバイザー 金谷理恵)

株の買い時はいつ? 基本の4パターン|見極め方を詳しく解説

株の買い時を見極める方法は1つではありません。ここでは、初心者の方も参考にしやすい以下の4つの基本パターンを解説します。

株の買い時

買い時1. 企業の今後の成長が期待できるとき

株価はさまざまな要因で上下しますが、基本的には企業価値に見合う株価に落ち着いていくと考えられています。そのため、今はまだ注目されていない銘柄でも、今後の成長が期待できるのであれば買い時と判断できます。企業の業績が伸びれば、株価も追いつくようにして上昇する可能性が高いからです。

今後の成長性を判断するには、企業の事業内容や経営計画、海外進出や設備投資の予定、これまでの業績の伸び方などを参考にするとよいでしょう。企業がホームページで出しているIRや四季報の掲載情報は、企業の成長性を予測する際に役立ちます。ぜひチェックしてみましょう。

金融オンライン・アドバイザー 金谷さん:
企業の成長が期待できるかどうかは、領域や分野にも注目すると良いでしょう。例えばIT、半導体、蓄電池、AIなど、今後伸びていくセクターは何か、またそこに関連している企業はどこなのかなど、より広い視点でリサーチすることも企業の成長性を確認する一つの手段です。



買い時2. 株価が上昇トレンドにあるとき

株価が上昇傾向にあるときに買い、下降傾向にあるときに売る投資手法を「順張り」といいます。順張りは株価の動きに逆らわず、上昇相場に乗って利益を伸ばしていくやり方なので、初心者の方でも買い時を見極めやすいでしょう。

株価のトレンドは、チャートの「移動平均線」を見るとわかります。移動平均線とは、一定期間の平均株価を折れ線グラフで表したものです。一般的に、移動平均線は短期・中期・長期の3線が引いてあります。各移動平均線から短期・中期・長期での株価のトレンドを捉え、上昇トレンドにある銘柄を検討しましょう。また、株価が移動平均線の上にあるときは、より上昇傾向が強い状況にあると判断できます。

移動平均線

そのほかチャートにラインを引く方法も、上昇トレンドを判断する方法としておすすめです。株価の谷になっているところ(安値)を3点以上結んでできるトレンドライン(下値支持線・サポートライン)が右肩上がりになっていれば、上昇トレンドにあると考えられます。

上昇相場のトレンドライン

一般的に上昇トレンド時は、株価が下値支持線から反発したタイミング、もしくは直近の高値を超えたタイミングが株の買い時です。買い注文を入れる場合は、いずれかのタイミングに指値を設定しておくとよいでしょう。


買い時3. 移動平均かい離率のマイナス値が高いとき

移動平均かい離 率とは、移動平均線と株価がどれだけ離れているかを表す指標です。移動平均かい離 率のマイナス値が高い場合、売られすぎて株価が適正価格以下になっている可能性があります。売られすぎた株はやがて反発し適正価格に戻ろうとするため、「移動平均かい離 率のマイナス値が高い=買い時」と考えることもできます。

移動平均線かい離率とは

ただし状況によっては、株価が反発しなかったり、さらに下落し続けたりする場合もあるため要注意です。例えば、企業の業績が悪化しているときや、経済の状況や業界動向が思わしくないときは、株価の上昇は見込めないかもしれません。判断に迷う場合は、買付を見送るほうがよいでしょう。

下落局面で買い時を見極めるには、株価の山になっているところ(高値)を3点以上結んでできるトレンドライン(上値抵抗線・レジスタンスライン)に注目してみてください。

下降相場のトレンドライン

株価が上値抵抗線を超えたタイミング、そこからさらに直近の高値を超えたタイミングは、下降相場から上昇相場にトレンド転換する可能性があるため買い時です。ただし、トレンド転換しなかった場合に備え、損切りラインを決める、資金に余力を持たせるなどの対策を怠らないようにしましょう。


買い時4. 出来高が増加傾向のとき

出来高とは、売買取引が成立した株数のことです。「出来高が高い=活発に取引が行われている」ということなので、出来高が急増しているときは良くも悪くも投資家からの注目度が上がってきている状況にあります。株価が上昇トレンドにあり、出来高が増えてきているときは、さらなる株価上昇が期待できるため買い時です。

注意点として、出来高が増加傾向でも買い時とはいえない場合もあります。例えば、出来高の急増とともに株価が下落したときは、何らかの理由で売りが殺到している可能性が高いです。投げ売りで株価が急落することもあるため、安易に買わないようにしましょう。

金融オンライン・アドバイザー 金谷さん:
企業の決算発表の時期は株価が激しく動きやすく、出来高が増える傾向にあります。知らない間に株価の乱高下に巻き込まれないよう、投資をしている企業の決算発表がいつなのかも確認しておくと良いでしょう。



株の売り時の見極め方|買い時と逆のタイミングが基本

基本的に、株の売り時は買い時と逆のタイミングになります。

株の売り時の例

ただし、株の売り時は、なぜその株を買ったのかによっても変わってきます。

例えば、数年後の成長を見込んで買った株であれば、目先の株価を理由に売るべきではないでしょう。期待どおりの成長を果たして株価が上昇したとき、もしくは想定した成長を見込めないと判断したときが売り時です。

上昇トレンドでさらなる株価上昇に期待して買った株であれば、目標株価に達したとき、もしくは下降トレンドに転換したときが売り時と考えられます。

また株式投資をする際は、「どれだけ慎重に買い時を見極めても、失敗することはある」と肝に銘じておくことが大切です。売り時を逃すと大きな損失につながる恐れがあるので、自分の思い描いていたシナリオと違う値動きをした際は、早めの損切りを心がけましょう。

金融オンライン・アドバイザー 金谷さん:
ご自身の投資目的に合わせた銘柄選びが大切なのと同時に、あらかじめ売り時のルールも決めておくと良いでしょう。目先の利益を求めて短期的な売買をするのではなく、事前に決めておいた「どうなったら売却するのか」を踏まえて、売り時を判断することが大切です。



株の買い時・売り時の見極めに役立つ初心者向けの指標

チャートをもとに株の買い時・売り時を見極める手法を「テクニカル分析」といいます。テクニカル分析に活用される指標はたくさんあるので、初心者の方は何を参考にすればいいのか迷ってしまうかもしれません。

ここまでに登場した「移動平均線」「トレンドライン」「移動平均かい離 率」「出来高」は、テクニカル指標のなかでも人気が高く、よく使われる指標です。初心者の方でも活用しやすいので、まずはこの4つから覚えるとよいでしょう。

また移動平均線を見る際は、「ゴールデンクロス」の出現にも注目してみてください。ゴールデンクロスとは、短期の移動平均線が長期の移動平均線を下から上へ交差することをいいます。ゴールデンクロスは下降トレンドから上昇トレンドへの転換を表す「買いシグナル」として有名です。

ゴールデンクロス

特に、短期・長期の移動平均線がともに上向きのときに現れたゴールデンクロスは、信頼性が高いといわれています。株の買い時を見極める指標として、ぜひ活用してみましょう。


まとめ

株の買い時・売り時を見極める方法はたくさんあります。まずは、本記事で解説した基本パターンから押さえてみてください。
慣れてきたタイミングで新しい指標や考え方を少しずつ取り入れ、買い時・売り時の判断方法のバリエーションを増やしていくのがおすすめです。

投資についてもっと知りたい方は、以下の記事をチェックしてみましょう。

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本記事に掲載されている情報は2023年8月9日時点のものです。

  • プロフィール

    監修者:金谷 理恵のプロフィール画像

    監修者:金谷 理恵

    日本FP協会認定 2級FP技能士、日本証券業協会認定 証券外務員一種、一般社団法人 公的保険アドバイザー協会認定 公的保険アドバイザー

    保険会社で経験を積み、提案の幅を広げるため保険だけでなく証券も扱う保険代理店に転職。豊富な金融業界経験を活かし、保険を手厚くするより資産形成を促すことをモットーに、株式会社400Fが運営する「オカネコ」専属の金融オンライン・アドバイザーとして活動している。

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