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新NISAで証券会社を変更するための具体的な流れとは

2023年までの旧NISA制度の抜本的拡充および恒久化を目的として、2024年より新NISA制度が導入されました。

NISA口座は、証券会社や銀行・信託銀行、投信会社などで開設できます。

新NISA制度では、これまでの「一般NISA」と「つみたてNISA」の実質的な併用が可能となり、年間で合計360万円(保有限度額は最大1,800万円)までの金融商品を無期限、かつ非課税で運用できます。

さらに、NISA口座内の商品を売却すると、売却した商品の簿価分の非課税枠を再利用が可能です。

一方で、すでにNISAを活用している方々のなかには、新NISA制度の導入にともない、「現在のNISA口座をより効率良く資産運用ができる証券会社に変更したい」と考えている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、新NISA開始に伴い証券会社を変更するための具体的な方法について、注意点や必要書類も交えて解説していきます。(監修者:金融オンライン・アドバイザー 金谷理恵)

新NISAが始まるタイミングで証券会社を変更する方法

すでに一般NISA・つみたてNISAを利用している場合、2024年からの新NISA制度の開始時に、これまで利用していた金融機関で新しいNISA口座が自動的に設定されました。

NISA口座を管理する証券会社を変更したい方は、変更したい年の前年度10月1日から当年度9月末までに、証券会社の変更手続きをおこなう必要があります。
つまり、2024年の新NISA制度が始まったタイミングで証券会社を変更するには、2023年10月1日から2024年9月30日までに手続きを行わなければなりません。

証券会社を変更するための具体的な流れは、次のとおりです。

証券会社を変更するための具体的な流れ

<証券会社を変更するための具体的な流れ>
1.現在の証券会社に「金融商品取引業者変更届書」を請求する
2.「金融商品取引業者変更届書」を記入して現在の証券会社に送付する
3.現在の証券会社から「勘定廃止通知書」が発行される(大体1~2週間)
4.新しい証券会社でNISA口座の開設申し込みをする
5.新しい証券会社から「非課税口座開設届出書」が発行されるので作成する
6.「勘定廃止通知書」と「非課税口座開設届出書」を新しい証券会社に送付する

証券会社変更の申し込みから実際に口座変更が完了するまでは、各種書類の発行期間などを含めて、1ヶ月ほどかかる見込みです。
また、NISA口座を管理する証券会社の変更は、1年に1回までと決められているので、変更先の証券会社をよく吟味したうえで手続きをおこなってください。

金融オンライン・アドバイザー 金谷さん:
新NISA制度開始に合わせて証券会社を変えたい場合は、余裕をもって書類手続きをした方がよいでしょう。書類に不備がある場合、お申し込みが多く込み合っている場合には証券会社、税務署の審査に想定より時間がかかる場合もあります。



新NISA制度開始に合わせて証券会社を変更する際の注意点

新NISA制度開始に合わせて証券会社の変更を検討している方は、次の注意点を覚えておきましょう。

冒頭でもお伝えしたように、新NISAでは「成長投資枠」と「つみたて投資枠」の実質的な併用が可能です。
ただし、成長投資枠とつみたて投資枠は同一のNISA口座で管理されるため、それぞれを別々の証券会社で管理することはできません。あくまで、新NISA口座は「1人につき1口座まで」と決められているので注意しましょう。

また、その年にすでにNISA口座で金融商品を購入している場合、証券会社変更ができるのはその翌年分からとなります。
証券会社の変更手続きをおこなうと、変更前の証券会社で追加の金融商品を購入することもできなくなるので注意が必要です。

さらに、2023年までのNISA制度では0〜17歳を対象とした「ジュニアNISA」が利用できましたが、ジュニアNISAは2023年で制度そのものが終了となりました。
2024年以降も子どもの年齢が18歳になるまでは非課税で保有できますが、非課税期間が終了すると自動的に課税口座へと移管されてしまいますので、留意しましょう。

新NISA開始に合わせて証券会社を変更する際の注意点


新NISAで証券会社変更に必要な書類

新NISAで証券会社を変更する際は、次の書類が必要です。

<証券会社を変更する際に必要な書類>
・本人確認書類(運転免許証や各種健康保険証のコピー。変更前・変更後の証券会社へ送付する必要がある)
・金融商品取引業者変更届書(現在利用中の証券会社から取得可能)
・勘定廃止通知書(現在利用中の証券会社に金融商品取引業者変更届書を送付すると発行される)
・非課税口座開設届出書(新しい証券会社へ申し込むための書類。オンライン申し込みだと不要な場合もある)

「金融商品取引業者変更届書」は、新しい証券会社でNISA口座を開設する際に送付する「勘定廃止通知書」を取得するために必要な書類です。
現在利用中の証券会社から取得可能で、必要事項を記入して本人確認書類と合わせて返送すると、勘定廃止通知書が発行されます。

「非課税口座開設届出書」は、新しい証券会社でNISA口座を開設するための申込書です。申し込みを行う際に、勘定廃止通知書・本人確認書類と合わせて非課税口座開設届出書を提出すると、NISA口座を管理する証券会社変更が完了します。

なお、これらの書類は証券会社によって名称が異なる場合があります。証券会社の変更を検討中の方は、現在利用している証券会社までお問い合わせください。


新NISAの証券会社の選び方

新NISA制度に合わせて証券会社変更を検討している方のなかには、次の証券会社を決めきれていない方も多いことでしょう。

証券会社を選ぶ際は、「証券会社変更を検討し始めた理由」を振り返るのがおすすめです。現在の証券会社の使いづらい部分や不満な点を書き出すことで、新しい証券会社を決める際の選択肢を絞ることができます。
たとえば、次のような不満点が書き出せた場合、新NISAの開始で選ぶべき証券会社の探し方の一例は、次のとおりです。

新NISAで利用する証券会社の探し方の一例

証券会社によって、手数料や取り扱っている金融商品の数は大きく異なります。
たとえば、投資家ごとに担当営業が付く「総合証券」に比べて、オンラインですべての手続きが完結する「ネット証券」のほうが手数料は安めに設定されています。

また、証券会社によってはdポイントや楽天ポイントなどのポイントサービスが利用できることもあるので、新NISA制度の開始に合わせて、自分にぴったりの証券会社を探してみてください。

金融オンライン・アドバイザー 金谷さん:
新NISAは非課税で運用できる期間が無期限となり、証券会社とのお付き合いはこれまで以上に長期的になります。投資効率をよくするためには、運用にかかるコストはできるだけ低く抑えるのが有利です。同じ運用ができるならできるだけコストが安い証券会社、運用商品を選ぶことをお勧めします。


証券会社選びに迷った時は、以下のページをチェックしましょう。各証券会社のサービス内容を手数料順や取扱商品の充実度順などのランキング形式でまとめているので、金融機関を選ぶ際に役立つはずです。

証券会社取扱投資商品ランキングで【取り扱っている商品数が多い証券会社】を探す
手数料ランキングで【手数料の安い証券会社】を探す
総合ランキングで【初心者にもおすすめの証券会社】を探す


まとめ

2024年から始まった新NISA制度に合わせて証券会社変更をするには、2024年9月30日までに各種書類を取得したうえで、変更手続きを行う必要があります。

証券会社変更の際には、新NISAの変更点なども理解しておくことが大切です。すでにNISA口座内で金融商品を購入している場合は、証券会社の変更は翌年の投資分からの変更となったり、変更後は変更前の証券会社で金融商品の追加購入ができなくなるなどの注意点もあるので、本記事を参考に効率良くNISA制度をご利用いただければ幸いです。

金融オンライン・アドバイザー 金谷さん:
証券会社選びを迷っておられる方に最近よく聞かれる質問として、投信積立てによりもらえる「ポイント」があります。ポイントの付与制度はキャンペーン時期のみの期間限定のものや、ポイント付与の条件が複雑なものがあり、またルールは頻繁に改定されます。ポイントに躍起になりすぎるのはおすすめできませんが、もらえるポイントは上手に受取、活用していきたいところ。新NISAではつみたて投資枠と成長投資枠と併用ができますので、どのような商品を取り扱っているのか、スムーズにご資金の移動(入金や引落)が可能か、積立設定や注文方法は簡単か、手数料やポイントなどを確認して、ご自身にとってお付き合いのしやすい証券会社を選びましょう。


証券会社や新NISAについてさらに詳しい情報が知りたい場合は以下のページもチェックしてみてください。

証券会社をランキングから探す
新NISAについてお金のプロが解説
新NISAへの切り替えは必要?
新NISAでシミュレーション

本記事に掲載されている情報は2023年12月15日時点のものです。NISA制度に関する最新の情報は、金融庁ホームページ(外部サイト)をご確認ください。

情報提供元:400F
オカネコ_3分でかんたん家計診断(外部サイト)
オカネコマガジン_お金のことが分かるマガジン(外部サイト)

  • プロフィール

    監修者:金谷 理恵のプロフィール画像

    監修者:金谷 理恵

    日本FP協会認定 2級FP技能士、日本証券業協会認定 証券外務員一種、一般社団法人 公的保険アドバイザー協会認定 公的保険アドバイザー

    保険会社で経験を積み、提案の幅を広げるため保険だけでなく証券も扱う保険代理店に転職。豊富な金融業界経験を活かし、保険を手厚くするより資産形成を促すことをモットーに、株式会社400Fが運営する「オカネコ」専属の金融オンライン・アドバイザーとして活動している。

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