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株初心者が投資するならいくらから? 取引の種類や少額で始める方法を解説

株主優待や大きなリターンも期待できる株式投資。始めてみたいとは思っているものの、大きな金額を用意できないと始められないのかなど、気になることがたくさんありますよね。

本記事では、株式投資の初心者はいくらから始められるかについて解説します。少額で取引する方法や、その際のメリット・デメリットについても解説するので、ぜひ参考にしてみてください。(監修者:ファイナンシャル・プランナー 内山貴博)

株を始めるにはいくら必要?

株の購入方法には現物取引と信用取引の2つがありますが、以下では一般的な方法である現物取引をもとに、必要資金の目安について解説します。

なお、自分の手元資金で株を購入する方法が現物取引、手元の資金に加え証券会社から資金を借りて大きな額で株を購入する方法が信用取引です。


最低投資金額は数十万円から数百万円が基本

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株式投資の最低投資金額は、数十万円から数百万円になるのが基本です。日本株は原則として100株からの取引となります。一方、表示されている株価は1株当たりの価格であることが一般的です。つまり、必要資金を見積もるには、気になっている会社の株価を100倍にする必要があります。

株式の購入価格の計算式は「株価×株数+手数料」です。次に挙げる条件を例に、簡単にシミュレーションしてみましょう。

● 株価:5,000円
● 株数:100株
● 手数料:100円
● 必要資金:500,100円(5,000円×100株+100円)

最低投資金額は株価によって大きく異なるので、必要資金は数十万円から数百万円となります。自分の手元資金とよく照らし合わせて投資先を選びましょう。


数万円以下の初期投資で始められる商品もある

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最低投資金額は数十万円から数百万円が基本ですが、銘柄によっては数万円から購入することも可能です。株価が1,000円未満であれば、10万円以内で100株購入できます。

知名度の高い企業でも1株あたり数百円で買えることがあるので、株式投資には必ずしも高額な資金を用意する必要はありません。参考に、株価が1,000円未満の有名企業をいくつか紹介します。(※記事制作における取材時、2023年1月6日時点の情報です。)

● 楽天グループ:624円
● ENEOSホールディングス:444円
● ヤマダホールディングス:464円

株式投資では、知っている企業に投資するのも方法のひとつです。上記の会社のように、生活に身近な1,000円未満の銘柄を買ってみるのもいいでしょう。

ただし、低位株には注意が必要です。低位株とは、業績不振などの理由で株価水準が低い銘柄のこと。低位株は株価の上昇が見込めないばかりでなく、最悪の場合は倒産のリスクもあります。低位株と判断できる明確な基準はないため、割安だと感じる銘柄は業績をよくチェックするようにしましょう。


株初心者におすすめ! 少額で株式投資する方法

株価が1,000円以上の銘柄を少額で購入する方法も存在します。以下で、少額での株式投資を可能にする方法を見てみましょう。


単元未満株

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単元未満株なら、株価の高い銘柄でも少額で購入が可能です。単元未満株とは、1単元(100株)に満たない株式のこと。通常の株式は100株単位での取引ですが、単元未満株は1株から購入できるため、通常の100分の1の資金で株を購入することができます。

単元未満株を利用すれば、株価が高い有名企業の株も購入できるのが魅力です。2023年1月6日時点でユニクロを運営するファーストリテイリングの株価は約8万円、ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドの株価は約2万円しますが、1株なら手の届く範囲といえます。

また、単元未満株は少ない資金で分散投資ができる点も魅力のひとつ。単元未満株を利用して複数の銘柄に手広く投資すれば、リスクを分散させられます。


株式ミニ投資(ミニ株)

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少額で投資したいなら、株式ミニ投資(ミニ株)を活用するのもおすすめです。 ミニ株とは、通常の10分の1である10株単位で取引する制度をいいます。

例えば、トヨタ自動車を例に計算してみましょう。2023年1月6日の終値は1,825円なので、100株購入するには182,500円が必要です。しかし、ミニ株であれば10株での取引でいいため、18,250円で購入できます。

単元未満株と混同されやすい制度ですが、単元未満株とミニ株は別物です。単元未満株は1〜99株、ミニ株は10株単位と区別して覚えておきましょう。

ただし、すべての銘柄が単元未満株やミニ株の対象というわけではありません。証券会社によっても取扱銘柄が異なるので注意しましょう。


株式累積投資(るいとう)

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株式累積投資(通称 るいとう)も、少額投資を行う方法のひとつです。るいとうとは、株式を毎月一定額で継続的に購入していく方法のこと。株式を積立方式で購入するイメージです。

毎月の購入金額は、1万円以上の1,000円単位で設定します。毎月定額で購入することで、安いときに多く買い、高いときはあまり買わない対応が可能に。

この購入方法は「ドルコスト平均法」と呼ばれ、効率的な投資方法のひとつとして知られています。毎月購入時の株価にはバラつきがありますが、安いときに多く買い、高いときに少なく買うことで平均購入価格を下げることが可能です。長期的な資産形成を行ううえで優れた手法といえるでしょう。


米国株

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米国株の購入も、少額投資方法のひとつとして挙げられます。100株単位というのは、あくまで日本株を取引する場合のルールです。米国株は1株からの取り扱いが一般的なので、少額投資先の候補になりえます。

米国株は世界的大企業が多いので、少額で株式を持てるのは大きな魅力です。例として、いくつかアメリカの企業の株価を見てみましょう。(※記事制作における取材時、2023年1月6日時点の情報。1USD=134.74円で計算しています。)

● アップル:約17,536円
● マイクロソフト:約130,602円
● アマゾン:約11,770円

上記を見ても、銘柄によっては決して手が届かない金額ではないことがわかります。ただし、米国株を購入する際は、為替変動リスクとカントリーリスクに注意が必要です。

ドル円の為替相場により、金額が大きく変動する可能性があることを為替変動リスクといいます。1ドル=100円のときに100ドル=1万円分の投資をしたとしましょう。株価が変動しなかったとしても、為替相場が1ドル=90円に変動するだけで100ドル=9,000円になってしまうため、売却した金額を円で受け取ると損失が発生します。

アメリカ国内での政治・経済・社会情勢などの影響を受ける可能性があるのが、カントリーリスクです。アメリカ国内で株価に影響するような事態が起きた場合、日本株にはほとんど影響しなくても米国株全体が下落する可能性があります。米国株を買った方は、海外のニュースにも注視するといいでしょう。


株式投資を少額で始めるメリット

株初心者は、少額から株式投資を始めるのがおすすめです。以下で、少額投資のメリットを2つ紹介します。


損失のリスクを抑えて気軽に始められる

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少額投資は、リスクを抑えつつ気軽に始められるのが最大のメリットです。投入資金が少ないぶん損失が大きくなりづらいので、初心者でもお試し感覚で投資を始められます。

投資においてリスクを抑えるには資産と時間の分散が重要で、少額投資ではこの2つのリスクヘッジを実践することが可能です。

少額で複数の銘柄を購入すると、資産の分散を実現できます。保有している銘柄のひとつが急落しても、ほかの銘柄が健全な状況であれば致命的なダメージは避けられるので、大きな損失は防ぎやすくなるでしょう。

前述のるいとうを実践すれば、時間の分散に有効です。安いときに多く買い、高いときに少なく買うドルコスト平均法を行うことで、平均購入価格を下げる効果が期待できます。

株式投資は長期保有が基本なので、気持ちの面で焦らないことも重要です。少額から始めて知識と経験を積み重ね、段階的に投資規模を大きくしていくと将来的なリターンにつながるでしょう。


NISAを活用すれば節税効果も期待できる

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少額投資ができるNISAを活用すれば、節税効果も期待できます。NISAは「少額投資非課税制度」と呼ばれ、株式投資で得た利益が一定期間は非課税になる制度です。1人1口座限定でNISA口座を作り、そこで株式を運用を行います。

通常株式投資の利益には約20%の税金がかかりますが、NISAなら税金がかからず0円です。仮に株式投資で5万円の利益が出た場合、一般口座なら約1万円の税金が引かれて手元には4万円ほどしか残りませんが、NISA口座なら5万円がそのまま手元に残ります

資産形成をしながら節税ができるお得な制度なので、ぜひNISAの活用を検討してみてください。
NISAとあわせて耳にすることのあるつみたてNISA(NISAのつみたて投資枠)は、投資信託のみを対象とした非課税制度です。積立方式の投資に興味がある方は、つみたてNISA (NISAのつみたて投資枠)の利用も検討するといいでしょう。

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少額の株式投資で注意すべきデメリット

少額の株式投資には、デメリットもあります。次に紹介する3点に注意しましょう。


まとまった利益を狙うためには時間がかかる

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少額の株式投資では、まとまった利益が出るまでに時間がかかります。リスクが抑えられる反面、リターンも小さくなりやすいのが少額投資の特徴です。

少額の株式投資は、短期的に大きくもうけたい方には不向きといえます。少額投資でまとまった利益を狙うには、慣れてきたタイミングや余裕資金が生まれたタイミングで資金を追加していくのがおすすめ。段階的に増やした資金を長期間運用することで、利益を生み出しやすくなるでしょう。


通常の株式投資よりも手数料が割高になりやすい

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少額投資では、通常の取引よりも株式の売買手数料が割高になる傾向にあります。

10万円の株式を購入する場合の売買手数料は100円程度が相場で、購入資金の約0.1%にあたります。100万円の株式を購入する場合の売買手数料は500円程度が相場なので、購入資金の約0.05%です。つまり、手数料が占める割合が高くなるので、投資で利益を上げてもリターンを最大化しづらくなるといえます。

また、少額投資の取引を繰り返すと、手数料がかさんで損をする可能性も。10万円以下の取引に100円の手数料がかかる場合、1万円分の株を10回買うと1,000円の売買手数料がかかります。

しかし、1回で10万円分の株を買う場合には、売買手数料は100円しかかかりません。株式投資では取引のたびに手数料が発生するので、取引回数があまり多くならないように気をつけましょう。


少額での株式投資は自由度が低め

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少額投資の方法として紹介した単元未満株・ミニ株・るいとうには、さまざまな制限があることを覚えておきましょう。

単元未満株・ミニ株・るいとうでは、対象の銘柄が限られており、取扱銘柄も証券会社によって異なります。また、株主優待は100株以上の保有を条件としている企業が多いので、株主優待を受けられないケースがほとんどです。

株式投資によって株主になると、その企業の運営方針に対して一定の議決権を持つことになりますが、単元未満株・ミニ株・るいとうでは議決権が得られないことも覚えておきましょう。ただし、るいとうは持分が単元株式数に達したときに、議決権などの株主としての権利を行使できるようになります。

また、いずれもリアルタイムでの取引に対応していない証券会社が多い点も覚えておきましょう。自由度が低いことを理解したうえで、少額で投資するかどうかを検討してみてください。


証券会社を比較検討するならランキングを参考に

証券会社の利用を検討している方は、以下のページをチェックしましょう。各証券会社をランキング形式で紹介しています。特徴ごとに絞り込む機能もあるので、比較検討する際にご参考ください。

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※本記事に掲載されている情報は2023年1月26日時点のものです。NISA制度に関する最新の情報は、金融庁ホームページ(外部サイト)をご確認ください。

情報提供元:mybest
画像出典元:Getty Images

  • プロフィール

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    内山 貴博

    1級FP技能士/内山FP総合事務所代表

    証券会社勤務を経て2006年に独立。現在はライフプラン作成業務を中心に、セミナー・執筆・FP資格対策など幅広い活動を行っている。また、「FPとしてできることは何でも挑戦」することをモットーに、企業の経営サポートやグローバル展開など得意分野は多岐に渡る。

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