シェア

株の配当金とは? 仕組みや受取方法、税金、高配当・連続増配銘柄の探し方を徹底解説

配当金は株式投資の醍醐味の1つです。投資家のなかには、安定した利益を得るために、配当金を出している企業の株をコツコツ買い集める人もいます。本記事では、株の配当金を受け取るにはどうすればいいのか、どのような銘柄を買えばいいのかを初心者の方向けに解説します。(監修者:金融オンライン・アドバイザー 松井大輔)

株の配当金とは? 仕組みを解説

配当金のしくみ

株の配当金とは、株式会社が株主に対し行う利益還元策の1つです。配当金は持株数に応じて支払われ、例えば10円の配当金が出る場合、1株の株主は10円を、100株の株主は1,000円を、300株の株主は3,000円を受け取れます。企業が配当金を出すのは、きちんと株主還元を行っていることを投資家にアピールするためです。その結果として投資家から人気が集まれば、株価の安定や上昇につながりやすくなります。

基本的に配当金の原資となるのは、企業が事業を営み得た利益(当期純利益)です。そのため、企業がその年に得た利益次第で増配・減配が行われたり、著しく業績が悪い場合は無配(配当金なし)になったりすることもあります。現在配当金が出ている銘柄でも、将来にわたって配当金が維持される保証はないため注意しましょう。

また、企業は得た利益のすべてを配当金として還元するわけではありません。利益の一部は、事業を拡大していくための設備投資や、資金繰りが苦しくなったときの補填費用として蓄えられます。これを「内部留保」といいます。

金融オンライン・アドバイザー 松井さん:
株の配当金は預貯金の利息とは異なり、毎年安定して受け取ることが約束されている訳ではありません。企業の業績によって突然減配されたり、無配となってしまうことも当然あります。その場合、影響を受けるのは配当金だけでなく、株価も下落してしまうことが多いです。これらはリスク管理のうえで、頭にいれておくと良いでしょう。



配当金を受け取るには「権利付最終日」に注意

配当金を受け取るには、「権利付最終日」の時点で株を保有している必要があります。権利付最終日は、権利確定日の2営業日前です。例えば、8月31日(火)が権利確定日の場合、2営業日前の8月27日(金)に保有している株数に応じた配当金が支払われます。権利付最終日は、企業のホームページや証券会社のサイトなどで確認可能です。

「権利付最終日」に注意

ちなみに権利付最終日の翌営業日を「権利落ち日」といいます。権利落ち日以降に株式を売却しても、配当金をもらう権利はなくなりません。配当金の権利取得後、株式を売却したい場合は、権利落ち日以降に取引を行いましょう。


配当金はいつ振り込まれる?

配当金は、権利確定日の2~3か月後に支払われるのが一般的です。詳しい支払予定日を知りたい場合は、各企業が発行する決算短信に載っている「配当金支払開始予定日」を確認しましょう。決算短信は、企業のホームページや証券会社のサイトなどで閲覧できます。


配当金の受取方法は4種類

株の配当金の受取方式は、以下の4種類があります。

株式数比例配分方式
・登録配当金受領口座方式
・個別銘柄指定方式
・配当金領収証方式

各受取方式の特徴を簡単に解説します。


株式数比例配分方式

持株数に応じた配当金を証券口座で受け取る方法です。複数の証券会社で株を保有している場合は、各証券会社の口座に配当金が入金されます。


登録配当金受領口座方式

あらかじめ配当金受領口座として登録した1つの金融機関口座で配当金を受け取る方法です。一度届出をすれば、複数の証券会社で株式を保有している場合も、すべての銘柄の配当金が配当金受領口座へ入金されます。


個別銘柄指定方式

銘柄ごとに配当金を受け取る金融機関口座を指定し、その口座で配当金を受け取る方法です。個別銘柄指定方式は登録配当金受領口座方式と違い、届出をしていない銘柄の配当金が口座へ入金されることはありません。


配当金領収証方式

発行会社から送られてくる「配当金領収証」や「郵便振替支払通知書」といった配当金の引換証を取扱金融機関に持ち込み、配当金と引き換える方法です。


配当金にかかる税金

株の配当金には、20.315%の税金がかかります。配当金にかかる税金は支払時に源泉徴収されるので、実際に受け取れるのは税引き後の金額です。そのため、原則確定申告は必要ありません。

ただし、配当控除を受けたい場合や売却損との損益通算を行いたい場合は、確定申告が必要です。配当控除を受けたいときは総合課税を、売却損との損益通算を行いたい場合は分離課税を選択のうえ申告しましょう。(※)

(※)引用元:国税庁 No.1330 配当金を受け取ったとき(配当所得)(外部サイト)

金融オンライン・アドバイザー 松井さん:
配当金は支払われる際に税金が源泉徴収されるので原則確定申告は不要ですが、場合によっては申告した方が有利になる場合もあります。申告方法は「総合課税」と「申告分離課税」の2つがあり、株式の譲渡損失がある場合は多くの場合で損益通算ができる申告分離課税、一定の所得以下であれば配当控除による総合課税がおすすめです。ただし、2022年度の税制改正によって所得税と住民税の申告方法を統一しなくてはならなくなり、それにより総合課税を選択した場合のメリットはより限定的となってしまいました。詳しく知りたい方は、お近くの税務署や税理士に相談してみると良いでしょう。



NISAを活用すれば配当金が非課税になる

NISA口座で保有している株の配当金は非課税になるため、源泉徴収されることなく配当金を全額受け取れます。ただし、配当金の受取方法が「株式数比例配分方式」以外の場合は、NISA口座で保有している株の配当金も課税対象です。NISAを活用し非課税で配当金を受け取るには、配当金の受取方法が<方式>になっていることを確認しておきましょう。

また、2024年から始まった新NISAのつみたて投資枠では株を購入できないため、NISA口座で株を買いたい場合は成長投資枠で購入する必要があります。なお、つみたて投資枠と成長投資枠は併用が可能です。2023年までつみたてNISAを選択していた方も、2024年からはNISAの非課税枠を使って株を買えるようになったので、ぜひ有効に活用してください。

証券会社・ネット証券 総合ランキングから証券会社を選ぶ

2023年までのNISAと2024年以降の新NISA
(※)引用元:金融庁 NISAとは?(外部サイト)をもとに作成

金融オンライン・アドバイザー 松井さん:
2024年から始まった新NISAでは、2023年までのつみたてNISAと一般NISAが併用できるようになりました。そのため、新NISAの「つみたて投資枠」で積立投資をしながら、「成長投資枠」で高配当株に投資をし、配当金を非課税で受け取るという投資戦略の実施も可能です。より幅広い投資方法の選択が可能になりますので、上手に活用しましょう。



高配当・連続増配銘柄の探し方

配当利回りの高い銘柄は「高配当株」と呼ばれ、根強い人気があります。どのくらいの配当利回りを高配当とするかは人によりますが、一般的には3%以上をボーダーラインとする場合が多いようです。また、連続増配を繰り返している株も、中長期の投資先として注目を集めています。

高配当株を探すには、証券会社のスクリーニング機能を活用すると便利です。配当利回りを指定して絞り込むと、高配当株が簡単に見つかります。そのほか、Yahoo!ファイナンス配当利回りランキングを参考にするのもよいでしょう。

連続増配株を探すには、2023年6月に公表された日経平均プロフィル(外部サイト)に構成銘柄一覧が載っているので、ぜひ一度チェックしてみてください。

注意点として、現在の配当利回りや連続増配が将来にわたって維持されるとは限りません。また、今後の業績によっては、受け取れる配当金以上に株価が下がってしまう可能性もあります。配当金だけを見るのではなく、業績や財務などほかの材料も加味したうえで投資先を決めることが大切です。


まとめ

配当金を出している企業の株に投資すれば、安定的な利益の獲得が期待できます。特に高配当・連続増配銘柄は投資家からの人気が高いため、株価も安定傾向です。また、NISAを活用すれば、非課税で配当金を受け取ることができます。株式投資を行う際は、配当金にも注目しながら銘柄選びをしてみてはいかがでしょうか。

株式や投資信託についてもっと知りたい方は、以下の記事をチェックしてみましょう。

株式とは?
投資信託とは?

本記事に掲載されている情報は2023年8月30日時点のものです。NISA制度に関する最新の情報は、金融庁ホームページ(外部サイト)をご確認ください。

  • プロフィール

    監修者:松井 大輔のプロフィール画像

    監修者:松井 大輔

    1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP、日本証券業協会認定 証券外務員一種

    エンジニアを経て保険業界へ転身。保険営業に携わりながらセミナーや社内勉強会、金融コラムの執筆と活動の場を広げ、2023年に株式会社400Fに入社。エンジニア時代に培った論理的思考を用いてお金の話をわかりやすく伝えることをモットーに、住宅・教育・老後資金など総合的なライフプランニングをご提案している。

注意事項

© LY Corporation