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つみたてNISAの売却方法! 覚えておこう、損を避けるための注意点

将来を見据えた資産形成のために、「つみたてNISA」を活用している方は多いのではないでしょうか。つみたてNISAは毎月決まった金額を定期的に積み立てるので、比較的手間がかからず続けやすい資産運用方法といえます。一方で、もし突然まとまった額のお金が必要となった場合、銀行の普通預金であればすぐに引き出すことができますが、つみたてNISAで積み立てていた資産は、一度売却して現金化する必要があります。そこで本記事では、つみたてNISA保有銘柄の売却方法や売却時の注意点、損をせず売却するポイントについてわかりやすく解説していきます。また、2024年から始まる新NISAに向けて、積み立てている資産を売却すべきかについても解説しているので、つみたてNISAを活用している方や、これから始めようと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

つみたてNISAの保有銘柄を売却する方法・手順

一般的なつみたてNISAの保有銘柄を売却する方法は、次のとおりです。

<つみたてNISAの保有銘柄を売却する方法>
1. 利用中の証券会社の会員ページにログイン
2. ログイン後、自分の保有資産の管理画面に移動する
3. 売却したい投資信託を選択する
4. 全額売却または売却口数を指定する
5. 画面の指示に沿って 手続きを進める

つみたてNISAの保有銘柄の管理画面から売却数を指定して、画面の指示に沿って操作すれば簡単に売却の申し込みができます。

なお、売却注文が確定する約定日から、実際に売却額を引き出せるようになるまで1週間〜10日ほどかかります
また、つみたてNISAの口座を開設している証券会社によって、売却手順の詳細が異なる場合があるのでご注意ください。


つみたてNISAの保有銘柄を損せず売却するためのポイント

つみたてNISAの保有銘柄は、何も考えずにただ売却してしまうと場合によっては損失が発生してしまう可能性があります。
そこで、つみたてNISAの保有銘柄を損せず売却するためのポイントについてご紹介します。

<つみたてNISAの保有銘柄を損せず売却するためのポイント>
1. 非課税期間が終了した銘柄を売却
2. 非課税期間の残りが短いものから売却
3. 複数回に分割して売却する


ポイント1. 非課税期間が終了した銘柄を売却する


つみたてNISAの売却タイミング

つみたてNISAは、1年間で最高40万円の資産を、最長20年間非課税で運用が可能な制度です。基本的には、20年間の非課税期間をうまく活用し、非課税期間が終了したタイミングで銘柄を売却しましょう
長期的に運用することで、よりリスクを抑えた資産運用が実現します。

金融オンライン・アドバイザー 金谷さん:
積立投資の投資成績は、「量(口数)×売却時のファンドの価額」で決まりますが、可能であればファンドの価格推移の調子が良いときに売却したいですよね。つみたてNISAの運用期間は20年ですが、ピッタリ20年の時点が下落相場にあたってしまう可能性があります。特に投資対象の資産が株式など、価格変動リスクが高いファンドの場合は、非課税期間が終了する少し前から売却のタイミングを狙うと良いでしょう。



ポイント2. 非課税期間の残りが短いものから売却する

つみたてNISAは最長20年間非課税で運用ができるとはいえ、必ずしも20年間資産を保有し続けなければいけないわけではありません。
資金が必要になったタイミング、例えば「結婚や出産などのライフイベントでお金が必要なとき」や「目標金額に達したとき」など、資産運用の目的にあわせて売却のタイミングを検討しましょう。

その際、もしつみたてNISAで複数の銘柄を保有していた場合は、先述の通り長期運用をすることでより大きな利益が期待できますので、非課税期間の残りが短いものから売却するのがおすすめです。


ポイント3. 複数回に分割して売却する

つみたてNISAの保有銘柄を売却する際は、複数回に分割して売却することが望ましいといえます。

つみたてNISAを購入するときは、積み立てた金額の範囲内で投資を行うため、価格が下がったときは多く、価格が上がったときはより少なく投資を行なうことで、市場の価格変動リスクを分散させる効果が期待できます(これをドルコスト平均法と言います)。

常に売買価格は変動しているため、一度の売却で最大の利益を得るのはなかなか難しいこと。保有銘柄を売却するときも購入時と同様に、複数回に分けて売却することで平均売却単価を安定させることが期待できます


つみたてNISAを売却する際の注意点

つみたてNISAを売却する際には、次の5つの注意点があります。

<つみたてNISAを売却する際の注意点>
● 売却した時点で厳密な売却価格が確定するわけではない
● 複数年にわたって買付した銘柄は年を指定して売却できない
● 保有銘柄を売却しても非課税枠は復活しない
● 損失が出ていても損益通算や繰越控除はできない
● 2024年からの新NISAに備えて売却を急ぐ必要はない

それぞれの注意点について解説するので、つみたてNISAの売却を検討する前に必ず目を通しておきましょう。


売却した時点で厳密な売却価格が確定するわけではない

つみたてNISAで購入可能な「投資信託」は、売却した時点で厳密な売却価格が確定されるわけではありません。売却の申込日 や売却の成立日、売却金額が返還される日、それぞれ異なります。

売却価格は売却成立日に確定するため、売却の申し込み時点と価格が異なる場合がある点に気をつけましょう。


複数年にわたって買付した銘柄は年を指定して売却できない

投資信託の売却は年度指定ができません。たとえば、「●●年に購入した投資信託だけを売却する」などの指定ができないケースがほとんどです。
年度指定で投資信託を売却したい場合は、自身の年別取引履歴を確認し、各年で投資した商品の口数や元本を確認したうえで、金額・口数を指定して売却を行う必要があります

多くの証券会社は「先入先出法式」を採用しており、特に売却指定がない場合は購入年度の古いものから順に売却されてしまう点にはご注意ください。


保有銘柄を売却しても非課税枠は復活しない

つみたてNISAでは、年間40万円までの非課税投資枠が設けられていますが、保有銘柄を売却しても、非課税投資枠は復活しません。
たとえば、2023年に10万円分の投資信託を購入した場合、その投資信託を売却しても、つみたてNISAで2023年内に投資可能な枠は残りの30万円のみです。

年度が変わる以外に非課税投資枠が復活することはありませんので、本当に必要なときだけ最低限の資金を売却をし、基本的にはなるべく売らずに保有を続けましょう


損失が出ていても損益通算や繰越控除はできない

つみたてNISAでは、仮に損失が出ていたとしても、損益通算や繰越控除はできません。
損益通算とは、特定口座や一般口座で発生した損失を、 別の口座の利益と相殺することを指します。もう一方の繰越控除は、翌年以降に損失を繰り越して、税計算を持ち越せる仕組みのことです。

これらは節税対策の方法として知られていますが、つみたてNISAではこれらの方法を利用できないので気をつけましょう。


2024年からの新NISAに備えて売却を急ぐ必要はない


現行NISAと新NISAの概要

2024年からは、制度の抜本的拡充及び恒久化を目的として、一般NISAとつみたてNISAの両方が「新NISA」として生まれ変わります。
従来のNISA制度は2023年で新規買付が終了し、2024年以降は新NISAの非課税投資枠での投資がスタートします。

ただし、従来のNISA制度で購入した資産は、非課税期間が終了するまで、そのまま非課税で継続保有が可能です。たとえば、2023年につみたてNISAで40万円を投資した場合、2042年(最長20年間)までは非課税で保有できます。(新NISAの口座への資金移動はできません)新NISAでは年間最大360万円の資産を無期限で非課税運用が可能ですが、新NISAの非課税枠とは別で非課税期間が継続されるため 、つみたてNISAの保有銘柄を急いで売却する必要はありません。

金融オンライン・アドバイザー 金谷さん:
現行のつみたてNISAを活用されている方は、2024年1月に別で非課税枠が設けられます。今年の非課税枠は今のものでしかなく、資金の繰り越しはできません。せっかく20年間非課税で運用できる貴重な枠ですから、新NISAとあわせて上手に投資枠を活用しましょう。


新NISAについて詳しく知りたい場合には、以下の記事をチェックしてみましょう。

2024年から始まる新NISAを知りたい


まとめ

つみたてNISAの売却は、基本的に証券会社の会員ページからオンラインで簡単に手続きを行うことができます。

ただし、つみたてNISAの売却時には、次の5つの注意点を覚えておくことが大切です。

<つみたてNISAを売却する際の注意点>
● 売却した時点で厳密な売却価格が確定されるわけではない
● 投資信託の売却は年度指定ができない
● 保有銘柄を売却しても非課税枠は復活しない
● 損失が出ていても損益通算や繰越控除はできない
● 2024年からの新NISAに備えて売却を急ぐ必要はない

これらの注意点に留意したうえで、なるべくリスクを減らした最適なタイミングで売却手続きを行いましょう。

金融オンライン・アドバイザー 金谷さん:
つみたてNISAで保有している銘柄の売却はいつでも可能です。しかしせっかくであれば、ご自身でしっかりコントロールして、評価額が高いタイミングで売却したいところ。いざ「お金が必要!」となったときに下落相場だった場合、泣く泣く売却することにもなりかねません。ぜひキャッシュフローにあった投資プランで、売却のタイミングも前倒しで計画的に行っていきましょう。


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つみたてNISAについては以下の記事でも解説しています。あわせてチェックしてみましょう。

つみたてNISAの解約方法
つみたてNISA運用シミュレーション
つみたてNISAの銘柄の選び方
つみたてNISAから新NISAへの切り替えは必要?


本記事に掲載されている情報は2023年7月7日時点のものです。NISA制度に関する最新の情報は、金融庁ホームページ(外部サイト)をご確認ください。

  • プロフィール

    監修者:金谷 理恵のプロフィール画像

    監修者:金谷 理恵

    日本FP協会認定 2級FP技能士、日本証券業協会認定 証券外務員一種、一般社団法人 公的保険アドバイザー協会認定 公的保険アドバイザー

    保険会社で経験を積み、提案の幅を広げるため保険だけでなく証券も扱う保険代理店に転職。豊富な金融業界経験を活かし、保険を手厚くするより資産形成を促すことをモットーに、株式会社400Fが運営する「オカネコ」専属の金融オンライン・アドバイザーとして活動している。

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