プロフィール

監修者:田嶋 ひかり
AFP、日本証券業協会認定 証券外務員一種/二種、一般社団法人 公的保険アドバイザー協会認定 公的保険アドバイザー
証券会社で富裕層の資産コンサルタントを経験。お金のアドバイザーとしてより幅広い年齢層のお金の悩みを解決し、身近な存在となるべく株式会社400Fに転職。「オカネコ」専属の金融オンライン・アドバイザーとして、全国にお住まいの方の資産形成をサポートしている。
つみたてNISA(ニーサ)は、毎年の非課税投資枠から得た分配金や譲渡益にかかる税金が非課税になる税制優遇制度です。NISA制度を活用しない場合、通常は運用益に20.315%(2023年6月時点)が課税されますが、つみたてNISAを活用すれば運用益をまるまる手元に残すことができます。(手数などは考慮せず) 2024年からは年間投資枠の拡大・非課税期間が無期限化された新しいNISA制度が始まります。現行のNISA制度で購入した金融商品は、新NISAの非課税投資枠とは別枠で非課税措置が適用されるため、今からつみたてNISAを始めても最大20年間は非課税での運用が可能です。今からつみたてNISAを始めることで、より多くの非課税枠を利用できるのです。 そこで本記事では、現行のつみたてNISAの制度を活用した運用シミュレーションを行い、毎月の積立額の決め方を詳しく解説します。 2024年からの新しいNISA制度とあわせて効率よく活用するために、ぜひ参考にしてください。(監修者:金融オンライン・アドバイザー 田嶋ひかり)
つみたてNISAの非課税期間をフル活用し、20年間の積立投資を行った場合、どのくらいの運用益を得られるのでしょうか。毎月の積立額・利回り別にシミュレーションしてみました。
※金融庁 資産運用シミュレーション(外部サイト)を使用
①の毎月の積立額5,000円のシミュレーション結果を見ると、少額の積立であっても十分につみたてNISAの恩恵を受けられるとわかります。利回り3%の場合でも、20年運用すれば元金120万円に対して約44万円の運用益が出る計算です。
②の毎月の積立額3万円・利回り8%の場合、20年後の運用益は元金720万円に対して約1,047万円です。もしNISA口座ではなく課税口座で運用した場合、運用益に約20%が課税されるため、約209万円が差し引かれることになります。
こうしてシミュレーションすると、NISAの非課税メリットの大きさを実感できますね。
積立投資のメリットは、長く続けるほどリスクが軽減され、複利効果で雪だるま式に運用益が増えていくこと。証券会社によっては月100円から積立できるので、少しでも早くつみたてNISAを始めるのがおすすめです。
※運用益には手数料などは考慮していません。
先述のつみたてNISAの運用シミュレーションでは、利回り3%・5%・8%を想定しましたが、これが妥当な値なのか気になった方もいるでしょう。
つみたてNISAで購入できる商品は、長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託です。投資信託の利回りは年3~10%程度が目安といわれています。
では、つみたてNISA銘柄がどのくらいの収益を出しているのか、直近のデータを見てみましょう。以下は、楽天証券のNISA銘柄の買付金額ランキングTOP10(2023年6月2日現在)の銘柄です。1年間のリターン(※)を見ると、6.23~9.72%となっています。
引用元:楽天証券 NISAランキング(買付金額)(外部サイト)
上記銘柄のいずれかを1万円分購入し、1年間運用したあとに売却したら、623~972円のリターンが得られたということです。ただし、投資信託の基準価額は変動するため、常にプラスの状態で推移するとは限りません。基準価額が購入単価を下回り、含み損が出る時期もあるでしょう。
しかしそれは多くの場合、一時的なものです。つみたてNISAを活用して長期間の積立投資を行うと、価格が高いときは少ない口数、価格が安いときには多くの口数を購入することができます。つまり、長期の積立投資なら平均購入単価が抑えられるということ。その結果として、全運用期間を通して見たときの利回りは年3~10%程度に落ち着く可能性が高いのです。
金融オンライン・アドバイザー 田嶋さん:
つみたてNISAでの投資は、長期投資かつ複利運用による効果が大きい運用手法です。したがって、短期的には相場変動によって含み損になるリスクがありますが、先述した投資効果により、長期的には預貯金よりも高い利回りが期待できます。価格変動が不安な場合は、まずは許容範囲内の金額から始めることをお勧めします。
つみたてNISA成功の秘訣は「長期の積立・分散投資」です。途中で積立をやめず、長い時間をかけて運用することが大切なので、自分にとって無理のない金額を積み立てましょう。
つみたてNISAの積立額の決め方を6つ紹介するので、迷った方は参考にしてください。
1. 目的から逆算する
2. 手取り月収を基準に決める
3. 貯金の一部をつみたてNISAにまわす
4. 平均積立額を参考にする
5. ごく少額から始めてみる
6. 専門家に相談する
まず考えられるのは、投資の目的から積立額を逆算する方法です。例えば、老後資金2,000万円を30年後までに用意したい場合、毎月の積立額を2万5,000円に設定し、利回り年5%で運用すれば達成できます。
教育資金500万円を15年後までに用意したい場合、毎月の積立額を1万9,000円に設定し、利回り年5%で運用できれば達成可能です。
毎月の積立額は金融庁の資産運用シミュレーション「毎月いくら積立てる?」(外部サイト)で計算できるので、ぜひお試しください。
金融オンライン・アドバイザー 田嶋さん:
まずは、「何のために」「いつまでに」「いくら」など、具体的な目標を設定しましょう。例えば、将来の教育資金のために運用を始める場合、その資金を目標とするように考えます。目標までの期間を考慮し、何年後に目標を達成したいかを決定すると、現在の状況からその差を埋めるために必要な利回りや月々の投資額を逆算して求めることができます。
「手取りの○%をつみたてNISAにまわす」と決めるのもよい方法です。家計状況にもよりますが、手取りの3~5%程度なら無理なくつみたてNISAにまわせるかと思います。
例えば、手取り20万円の3%は6,000円、5%は1万円です。少し家計を見直せば、十分に捻出できる金額ではないでしょうか。
毎月一定額を貯金している方は、その一部をつみたてNISAにまわしてみましょう。例えば、月3万円を貯金にまわしているのなら、そのうち1万5,000円を今までどおり貯金し、残りの1万5,000円をつみたてNISAで積み立てるのです。
もちろん、貯金とつみたてNISAの割合は半々でなくても構いません。最初は貯金の割合を多めにすると、抵抗なく始められるでしょう。毎月の貯蓄額は変えずにお金の置き場を変えるだけなので、家計への負担が少ない方法です。
『オカネコ』がユーザーを対象に、つみたてNISAの毎月の積立額を調査したところ、平均2万3,416円でした。この平均積立額を参考に、2万3,000円前後からつみたてNISAを始めてみるのもよいでしょう。
参考記事:新NISAで積立額は2倍! みんなのつみたてNISAの積立額を調査(外部サイト)
2.金融オンライン・アドバイザー 田嶋さん:
預貯金で生活防衛費を準備できている場合には、毎月の貯金を積み立て投資の資金に充当することも選択肢の1つです。投資が初めての場合は、リスクを最小限に抑えるために、ご自身が許容できる範囲で始めてみて、後から投資金額を増やすことも可能です。ストレスにならない範囲で計画性を持ち、運用を行うことも大切です。
つみたてNISAの積立額は、証券会社によっては月100円から設定できます。最初から数万円単位のお金を積み立てるのが不安な方は、ごく少額からでもよいので、とにかくつみたてNISAを始めてみるのもおすすめです。
先述のつみたてNISAの運用シミュレーションのとおり、月5,000円の積立でも、20年間運用すれば約44万円の運用益を得られる可能性があります(利回り年3%の場合)。
きちんとした根拠をもとに毎月の積立額を決めたい方は、FP(ファイナンシャルプランナー)やIFA(資産アドバイザー)といったお金の専門家に相談してみてください。家計の現状やライフプランを踏まえたうえで、適切な積立額を一緒に考えてもらえます。
また、資産運用に関する疑問をすぐに解決できるのも、専門家に相談するメリットです。
つみたてNISAは、長期間にわたり積立を続けることでメリットを発揮します。そのため、短期の運用成績に一喜一憂しないこと、できるだけ早く積立を始めることが大切です。
自分にとって無理のない金額をつみたてNISAにまわし、長期の積立・分散投資で将来に備えましょう。
つみたてNISAについてさらに詳しい情報が知りたい場合は以下のページもチェックしてみてください。
つみたてNISAの始め方
つみたてNISAのメリットとデメリット
NISAとつみたてNISAの違いを知る
つみたてNISAの銘柄の選び方
つみたてNISAから新NISAへの切り替えは必要?
本記事に掲載されている情報は2023年6月15日時点のものです。NISA制度に関する最新の情報は、金融庁ホームページ(外部サイト)をご確認ください。
情報提供元:400F
オカネコ_3分でかんたん家計診断(外部サイト)
オカネコマガジン_お金のことが分かるマガジン(外部サイト)
監修者:田嶋 ひかり
AFP、日本証券業協会認定 証券外務員一種/二種、一般社団法人 公的保険アドバイザー協会認定 公的保険アドバイザー
証券会社で富裕層の資産コンサルタントを経験。お金のアドバイザーとしてより幅広い年齢層のお金の悩みを解決し、身近な存在となるべく株式会社400Fに転職。「オカネコ」専属の金融オンライン・アドバイザーとして、全国にお住まいの方の資産形成をサポートしている。