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昨年11月にFDAが調査を行うとしたCAR-T細胞と悪性腫瘍の関係は、今のところ関連性や因果関係が明らかになっていませんが、その時点での米国のCAR-T細胞療法は別の複数の治療法を行った後での使用について許可されていたため、その対象はかなり進行が進んだがんということになります。このため治療と関係なく発生したがん転移なのか、先行する別の治療で生じた副作用のがんか、CAR-Tの投与で生じた副作用のがんか、その識別やリスク見積もりは規制機関として簡単に結論を出せるものではないでしょうが、FDA以外の調査としては今年の1月にペンシルバニア大学がCAR-T細胞治療を受けた患者449人に対して追跡調査を行って1人にT細胞リンパ腫の発生が確認されたものの、そのがん化したT細胞にはCAR-T療法の遺伝子改変部分が付いておらず、CAR-T細胞療法との関連性はなかったという報告を出しています(https://www.pennmedicine.org/news/news-releases/2024/january/secondary-cancers-following-car-t-cell-therapy-are-rare)。 同じ1月にFDAはCAR-T細胞の開発手順・品質管理・データ収集など推奨事項をまとめたにガイダンスを出して、その後は今までどおりCAR-T細胞療法の認可を続けており、3月には慢性リンパ性白血病などに対してBreyanziを適用拡大、4月には多発性骨髄腫に対するcilta-celとide-celの早期使用を承認といった感じで、FDAとしてはCAR-T細胞の許認可に影響が出るレベルの有害事象は今のところ確認できていないということなのでしょう。 とはいえ遺伝子の改変を含む全ての治療法には、多くの患者さんの命を救う一方で潜在的なリスクがあるのも確かで、各国で長期の臨床データを共有し、前臨床を含めた安全確認方法でも国際的な協調のもと共通のルールや手法を確立していくことが望ましいと思われます。新日本科学には日本を代表する前臨床CROとしてこの面での活躍も期待しています。
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武田薬品の睡眠障害薬、治験で症状改善 最終段階に移行 武田薬品工業は4日、開発中の睡眠障害の経口治療薬「TAK-861」について、中間段階の臨床試験(治験)結果を発表した。日中の過度の眠気や突然の脱力など、疾患の複数の症状について改善が確認されたという。不眠などの有害事象は出たものの、重い副作用や中止例は出なかった。2024年度上半期中に、最終段階の治験を始める。 薬の有効性や安全性、投与量を確かめる「フェーズ2」の結果を公表した。今後、最終的に有効性などを検証する「フェーズ3」に移行する。 TAK-861は日中に突然眠気に襲われる睡眠障害「ナルコレプシー」の治療薬候補として開発を進めている。ナルコレプシーは2種類のタイプがあり、このうち感情が高ぶったときに脱力する「情動脱力発作」の症状がある「1型」を対象とする。 ナルコレプシーは脳内の神経伝達物質「オレキシン」の欠乏によって起こるとされる。TAK-861は、オレキシンの欠乏を補うことで症状の改善を狙う。 治験はナルコレプシー1型の患者112人を対象に8週間実施した。その結果、同薬を投与した患者は、偽薬(プラセボ)の患者と比較して起きていられる度合いが改善した。脱力発作の発生数も抑えられた。有害事象については軽度から中等度の不眠などがみられたが、5日ほどで回復したという。有害事象による中止例はなかった。 武田薬品は23年、別のナルコレプシー治療薬候補「TAK-994」について、肝障害を引き起こす「肝毒性」があるとして開発を中止した。今回のTAK-861の治験については肝毒性は報告されなかった。
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週末のニュースですが、リリーのオロモラシブがメルクのキートルーダと併用することでKRAS変異癌の治療に有望なデータが得られたとのことです。 副作用も極めて軽度で、有害事象は1度のみ、下痢や疲労などでオロモラシブを中止した患者はわずか1%だったそうです。 まだフェーズ2ですし、減量薬ほどの市場ではないでしょうがこうやってポートフォリオが拡がる可能性があるのは良いことですね。 リリーの臨床試験成功率は10%程ですが、これは本当に凄い数値です。今後も期待したいですね。
t-sさん、こんばんは。情報、…
2024/06/18 19:39
t-sさん、こんばんは。情報、ありがとうございます。ざっと、比較してみました。 NX-5948 フェーズ1a部分 ・1日1回50mgから600mgまで6段階に増加。 ・2024年4月17日をデータカットオフ。 ・グレード3以上の副作用で多く認められたのは好中球減少症だった。 ・CLL患者で有効性の評価が可能だった26人において、完全寛解(CR)なし。部分寛解(PR)/PR-L)69.2%。 AS-1763 ・1日2回100mgから600mgまで6段階に増加。400mgまで投与段階。 ・2024年4月19日でデータカットオフ CLLでは、9名投与で7名が有効性評価可能。 ・用量制限毒性、有害事象投与中止及び薬剤と因果関係のある心房細動または出血関連事象なし。 ・100 − 300 mg BID群のCLL 7名で、部分奏功57%。 ・・・1763は、これから有効性が期待できる、400~600mgが含まれていないことを考えると、奏効率は、これからもっと上がると期待してしまいます。ひょっとすると、5948より良かったりして。