検索結果
-
一つ一つの材料の市場規模は小さいとはいえ、総じて日本企業が欠かせない存在になっているのはなぜか。「日本が本流の設計開発・製造で先行した時代に鍛えてもらった技術の蓄積がある」と業界関係者は口をそろえる。特に化学の分野は、特定の企業以外は作り方や性能の高め方が分からない「暗黙知」が大きいとされ、参入障壁が高い。 また、日本企業は顧客とのやりとりを通じて機能性やコストの要求にこたえるという「擦り合わせ」を得意とする。先端品向けになるほど、この能力が生きてくる。 ただ、日本の材料の優位が今後も盤石だとは言い切れない。富士経済によると半導体向け材料の市場規模は23年見込みで465億ドル(約7兆円)で、27年には586億ドル(約9兆円)になる見通し。海外勢が成長市場へ攻勢をかける事態が予想される。 国際的な競争激化を見据えた動きも出ている。材料大手のJSRは4月16日に成立したTOB(株式公開買い付け)で、政府系ファンドの産業革新投資機構(JIC)の傘下になった。競争力を確保するために業界再編で主導権を狙う構えだ。 半導体の戦略物資としての重要性は増し、日本は官民を挙げて本流の再興に乗り出している。台湾積体電路製造(TSMC)の熊本県の新工場やラピダスの最先端半導体の量産プロジェクトなどが始動。政府は予算を組み旗を振る。優れた材料をつくる企業が日本に集積する現状を堅持することで、強固な半導体サプライチェーン(供給網)が日本に構築される可能性もある。
-
日欧、経済安保で連携強化 半導体調達、脱中国依存 2024年4月28日 22時00分 (共同通信) 日本と欧州連合(EU)が半導体を含む戦略物資の調達などの経済安全保障を巡り、連携の強化で合意することが28日、政府関係者への取材で分かった。5月初旬にパリで開く閣僚級による「日・EUハイレベル経済対話」で、中国を念頭に特定国に調達を依存しないことなどを定め、共同声明を発表する方向で調整している。 経済対話には日本から上川陽子外相と斎藤健経済産業相、EUからはドムブロフスキス上級副委員長が出席する予定。共同声明には「透明、強靱かつ持続可能なサプライチェーンの構築」の推進などを盛り込む。米国や他の同志国を巻き込んで国際ルール作りを主導し、戦略物資の供給網を含めた経済安全保障の強化を図る狙いがある。 中国は安価な半導体や電気自動車(EV)、太陽光パネルなどで世界市場に攻勢をかけており、日本や欧米政府は危機感を強めている。 中国への半導体依存度が高まれば、中国が貿易の制限などで他国の政策に圧力をかける「経済的威圧」につながりかねない。日欧は懸念を共有し、連携して対処していくことを確認する方針だ。
-
日本と欧州連合(EU)は半導体を含む戦略物資の調達などの経済安全保障を巡り、連携の強化で合意することが28日、政府関係者への取材で分かった。 ARMには追い風?
-
日本と欧州連合(EU)は、経済安全保障の強化に向けた国際的な共同構想を打ち出す。半導体など戦略物資の調達で、特定国に依存しないことや、環境への配慮など共通の原則を策定していく。中国製など安価な製品が市場を席巻していることが念頭にある。米国を始め同志国にも賛同を呼びかけ、透明性の高いルールに基づく市場競争を目指す。 1%も影響ないとけど、アメリカとよりは良さそう
再エネで独走の中国に危機感…日…
2024/05/03 18:04
再エネで独走の中国に危機感…日欧など同志国で食い止めへ 日・EUハイレベル経済対話 5/2(木) 19:50配信 日本と欧州連合(EU)が、米国など他の同志国も巻き込み、戦略物資のサプライチェーン(供給網)構築を本格化する。想定するのは成長分野で攻勢を強める中国だ。特に今後も需要の増加が見込まれる太陽光パネルや風力発電の分野では高いシェアを誇っている。各国が脱炭素化を進めれば、その分だけ中国依存が高まり経済安全保障上のリスクとなるだけに、同志国が連携して脱中国依存を加速させる。 ■中国政府が再エネに巨額補助金 「透明、強靱(きょうじん)で持続可能な供給網の構築のための政策協調に向けた議論を行う」。斎藤健経済産業相は4月26日の閣議後の記者会見で、5月2日の閣僚級による「日・EUハイレベル経済対話」への意気込みを語っていた。 念頭にあるのは中国だ。中国勢は政府の巨額の補助金によって再エネ関連製品の価格を低く抑え、世界市場を席巻しているとの指摘がある。このまま中国を伸長させてしまうと「再エネで中国依存が強まり、日本のエネルギー安全保障が脅かされかねない」(日本政府関係者)現実がある。 中でも太陽光パネルは中国が群を抜いている。国際エネルギー機関(IEA)によると、2022年の世界市場で中国のシェアは首位の77・8%。2位のベトナム(6・4%)以下を大きく引き離している。 パネルの主要素材ではさらに中国の一極集中が進む。IEAのデータでは、22年のシェアはポリシリコンが85%、ウエハーは97%と圧倒的だ。 日本国内でも中国製品は多く採用されており、再エネ普及や脱炭素に向けた補助金が日本企業の支援に回っていないとの批判も根強い。中国に過度に依存しない供給網の構築は急務といえる。 ■風力も5割が中国メーカー 中国勢はこのほか、風力発電でも台頭が目覚ましい。国際団体の世界風力会議(GWEC)が公表した2022年の風車メーカーの世界ランキングによれば、上位15位に入った中国企業は10社で、シェアは計56・4%に達した。 中国製の風車は日本市場でも採用が広がりつつある。ある日本の電力会社の関係者は「中国勢が規模を生かして価格競争力を強めれば、中国製品がさらに日本に流入してくる可能性がある」と警鐘を鳴らす。四方を海に囲まれた日本では、風車を洋上に浮かべる「浮体式」の洋上風力も再エネ普及のカギとして期待が高まっている。 日本は中長期的なエネルギー政策の指針となる「エネルギー基本計画」でも、電源構成のうち再エネの比率を2019年度の18%から、30年度に36~38%にまで引き上げるとしている。ただ、省資源国の日本がエネルギーを特定の国に依存するリスクは大きく、同志国との連携強化により中国依存度を低減させることが求められる。(中村智隆)