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ビットコインはコロナを経て、インフレヘッジ資産として劇的に成長した

<世界がインフレに怯える中、ビットコインをはじめ仮想通貨の価値が見直されている>

今日、世界的にインフレ懸念が高まっています。背景にあるのは、新型コロナウイルスによる経済失速への対応策として世界中で実施された大規模な景気刺激策があります。未曾有のマネー膨張と言われる中央銀行による金融政策の末路としてインフレが加速し、米ドルや日本円の価値が減少すると考える投資家は少なくないでしょう。

記事の前編でも述べた通り、インフレは立場によって敵にも味方にもなります。一部の人々にとっては経済的な追い風になる一方、他の人々にとっては無慈悲な富の破壊者に変わります。

インフレの暴走は多くの一般市民を貧困層に追いやる一方で、政府の借金を帳消しにします。政府がインフレをコントロールできずむしろインフレを歓迎するという動機がある中、あなたは自身の資産を守るためにどうするべきか考えるべきでしょう。

■資産を守るためにあなたができること

では、インフレが発生したら理論的に上昇すると考えられる「インフレヘッジ」資産は何でしょうか?伝統的には金や株、不動産があげられていましたが、最近ではビットコインが仲間入りを果たしました。

金(ゴールド)
金は、歴史的に景気後退時に安定した価格推移を見せてきました。金は希少性が高く、供給量を増やすことが困難で、持続性が高い一方で分割可能つまり同量での交換が可能な点が特色です。このため金は魅力的な価値保存手段、もしくは「安全資産」として認知されています。

例えば、アメリカのニクソン大統領とカーター大統領時代のインフレが高まった時、金は全ての資産のパフォーマンスを上回りました。

第37代ニクソン大統領(1969年~1974年)は、米ドルと金の交換を停止する一方、賃金と価格をコントロールすることでインフレの解消を試みました。これにより、米経済はほとんど破壊しかけたと批判的にみる専門家も少なくありません。ニクソン大統領の就任期間中、米国のインフレ率は二桁上昇を見せて、金の価格は350%も上昇しました。

また、第39代ジミー・カーター大統領(1977年~1981年)は、連邦準備理事会(FRB)の議長にポール・ボルカー氏を指名し、インフレ率が最大18%まで上がりました。ボルカー氏は、前例のないレベルまで利上げをして二桁のインフレ率に対応しようとしました。

この時期の高い金利は「ボルカー・ショック」として知られており、1981年の景気後退の主な要因とみられています。カーター大統領の就任期間中、金の価格は148%も上がりました。

株、債券、不動産の強みと弱み
株と債券
インフレと株価の関係は一概には話せませんが、一般的には「バリュー株」と言われるファンダメンタルズに比べて株価が安いと見られる株の方が、「グロース株」と言われるマーケット全体のパフォーマンスを上回ると見込まれる株よりインフレ時に保有した方が良いと言われています。

なぜならグロース株の評価は、一般的には将来見込まれる利益の現在価値に基づいて行われるからです。もしインフレ上昇率が予想を越えれば、将来的なキャッシュフローの現在価値は下がります。

また、高い配当を維持できる株もインフレ耐性があるといえるでしょう。さらに、インフレにより雇用が生まれたり現金から株への投資の増加が見込まれたりすることも、一般的には株にとっての追い風要因となります。

インフレ率が歴史的に高かった20の年(1902, 1909, 1941-42, 1947, 1950-51, 1968-70, 1973, 1975-78, 1981, 1987-90年)において、株と債券がどのように推移したかを示したグラフを見てみましょう。

20の年のうち債券がプラスのリターンを得た年は6回のみですが、株は11回でした。しかし、インフレ率の平均が6.4%で株価の平均リターンが2.5%であることは注目に値します。インフレ率が高い時期に株は債券や法定通貨よりパフォーマンスは良いものの、インフレから資産を完全に守ることはできていないことを意味します。

不動産
不動産や不動産投資信託(REIT)は、人気のあるインフレヘッジ投資先です。不動産の価格は、家賃の増加とともに上昇する傾向があります。

また、インフレによって建築資材などコストが上昇したり、建設会社が金利上昇による借入コストの増加を高い不動産価格で相殺するように求めたりすることもあります。これらは、不動産の所有者にとっては朗報でしょう。

しかし、必ずしもインフレとともに不動産価格が上がるわけではありません。もし政府によるインフレ対策として金利が上昇し、その結果としてキャップレート(還元利回り)が上がったら、不動産の価値は実質的に上がらないことになります。

なぜなら、不動産価格の算出方法は「年間の予想収益/キャップレート」であり、家賃の上昇率は一般的にインフレ率より低いことから、インフレによる家賃収入増などによる年間の予想収益の増加幅がキャップレートの上昇幅を相殺できない可能性があるからです。

キャップレート=(家賃収入-管理費や修繕費など)/不動産価格

マサチューセッツ工科大学の研究によりますと、歴史的にインフレ率を上回る上昇幅で収益が上がった不動産は商業施設だけであり、工業所有地やアパートはインフレによる価格上昇を部分的に相殺したのみであり、オフィスに至ってはインフレによって価値が著しく減少しました。

ビットコインのインフレヘッジ特性
インフレ連動債
米国10年物インフレ連動債(TIPS)などインフレ連動債は、インフレと連動する形で価値が上昇する債券です。利率は固定されたままですが、消費者物価指数(CPI)に連動して元本部分(額面)が調整される仕組みになっています。

TIPSは、満期で少なくとも元本は受け取れることからしばしば「リスクのない」投資とみられます。予期せぬ高いインフレが発生した時、米国の債券より高いパフォーマンスを出す傾向にあります。

例えば、2008年の金融危機後にインフレ率が上がった時、iシェアーズTIPS ETFは、2012年末までに33%のプラスを記録しました。

ビットコイン
ビットコインは、プログラミングのコードによって金と同じ性質を持つように設計されており、しばしば「デジタルゴールド」と呼ばれます。ビットコインは、金と同じように、希少性が高く、供給量を意図的に増やすことが不可能で、耐久性があり、分割可能です。中央銀行の金融政策がもたらす不確実性に振り回される心配がない資産と考えられます。

ビットコイン創設者のサトシ・ナカモトは、創設時にビットコインの供給スケジュールを固定しました。このスケジュールを変更するためには、中央の管理者による独断ではなく、コミュニティーによる投票が必要になります。

こうしたビットコインの「インフレヘッジ」の特性に目をつけた「スマートマネー」は年々増加しています。

例えば、伝説のマクロ投資家と言われるポール・チューダー・ジョーンズ氏やナスダック上場マイクロストラテジー社のマイケル・セイラー氏、テスラのイーロン・マスク氏などは、ビットコインのインフレ耐性に注目してファンドや会社全体の保有資産としてビットコインを持つことを決定しました。

新型コロナ発生以前、ビットコインはインフレ資産としては未熟とみられていました。しかし、上記のようなスマートマネーの流入に加えて、新型コロナ後の価格高騰から評価を上げています。近い将来、インフレヘッジ目的の資産としての地位を確立するかもしれません。

千野剛司