パランティアが賭ける「見過ごされた人々」──神経多様性人材がAI経済で優位に立てる理由
その数字は一見データの誤りにしか見えない。JPモルガン・チェースの「Autism at Work(オーティズム・アット・ワーク)」プログラムによると、特定のテック職種でニューロダイバーシティ(神経多様性)採用枠から入社した従業員は、同じ職務に5年から10年就いていた定型発達の同僚と比べて90%から140%高い生産性を示し、ミスはほぼゼロだった。
UiPath(ユーアイパス)はAutonomyWorks(オートノミーワークス)との試験的プログラムにおいて、ニューロダイバーシティ人材(神経多様性)がAIデータラベリング業務で、それ以外の従業員より150%高い生産性を記録したと報告した。ヒューレット・パッカード・エンタープライズは、オーストラリア人的サービス省のニューロダイバーシティ人材によるソフトウェアテストチームが、定型発達のチームより30%高い生産性を発揮したことを確認した。SAPでは、ニューロダイバーシティ人材がたった1人で考案した解決策が、推定4000万ドル(約64億円。1ドル=159円換算)のコスト削減をもたらした。
これらの社内プログラム指標は、世界最大級の企業4社から約10年にわたり一貫して報告されたものであり、ニューロダイバーシティ人材が明確な優位性を持つことを示している。
世界人口のおよそ15%から20%がニューロダイバージェント(神経学的に多様な特性を持つ人)であり、その範囲は自閉症、ADHD(注意欠如・多動症)、ディスレクシア(読字障害)、ディスプラクシア(発達性協調運動障害)、および関連する状態を含む。
英国では、National Autistic Society(ナショナル・オーティスティック・ソサエティ、全国自閉症協会)が公表した英国国家統計局のデータによると、自閉症の成人のうち有給の仕事に就いているのはわずか22%にとどまる。2024年の英国政府報告書「Buckland Review of Autism Employment(バックランド自閉症雇用レビュー)」では、就労年齢の自閉症者のうち雇用されているのは10人中わずか3人であり、障害のない成人の10人中8人と比較して著しく低い。2024年にZurich U
K(チューリッヒUK)が実施した調査では、ニューロダイバージェントの51%がスティグマ(社会的偏見)を理由に、雇用主に自身のニューロダイバーシティを開示できない、あるいは開示すべきでないと感じており、3分の2が雇用主はニューロダイバージェンスを警戒すべき兆候と見なしていると回答した。