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つみたてNISAにポートフォリオは必要? おすすめの組み合わせも年代別に解説

※本記事は2023年までのNISA制度の記事です。記事中では新NISAについての記事も合わせてご紹介しています。

つみたてNISAでは、リスクやリターンが違う投資商品を組み合わせたポートフォリオ作りが重要です。ポートフォリオはリスク分散のために必要とはいわれるものの、いまいち作成する理由がわからないことも多いはず。いざ作ろうと思っても、作り方がわからないと悩む方もいるでしょう。

そこで本記事では、つみたてNISAにおけるポートフォリオの必要性や作り方を紹介します。銘柄の選び方や年代別に合わせた作り方なども解説しているので、ポートフォリオ作りに役立ててみてください。(監修者:ファイナンシャル・プランナー 伊藤亮太)

本記事は2023年までのNISA制度についての記事です。2024年から開始した新NISAについての記事は以下からご覧ください。

2024年からスタートした新NISAとは?

2023年までのNISA制度について知りたい方は引き続きこちらの記事をご覧ください。


つみたてNISAでポートフォリオを組むことが大切な理由

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つみたてNISAでポートフォリオを組むことが大切な理由は、リスク軽減につながるからです。作ったポートフォリオにのっとって 投資することで、複数の投資先に分散投資できるので、リスクを抑えた運用が可能です。

例えば、ポートフォリオを作らず1つの会社にのみ投資し続けた場合だと、その会社が倒産したら積み立てた資産をすべて失います。ポートフォリオを作成して、複数の投資先に分散投資をすれば、1つの資産価値が下がってもほかの資産の価値で損失をカバーできるため、総資産の減少を防ぐことが可能です。


つみたてNISAでポートフォリオを組む際のポイント

以下では、つみたてNISAでポートフォリオを組む際のポイントを紹介します。


投資の目的や目標金額を決めておく

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ポートフォリオを作る際は、投資の目的や目標金額を決めておくことが大切です。目的や目標の金額が決まっていれば、必要な元手や利回り、運用期間や許容できるリスクなどが明確にできます。老後資金やマイホームの購入、子どもの教育費など目的に合わせて目標金額を設定しましょう

例えば、20年後に老後資金として1,000万円を受け取りたい場合は、月3万円で年間36万円を積み立て、利回り3.2%での運用が必要です。最終的な目的や目標が決まっていると、月ごとに積み立てる金額や必要な利回りなどを明確にできます。

金融庁の資産運用シミュレーション(外部サイト) では、積立金額や 運用期間、利回りを設定すれば最終的な利益を簡単に算出することが可能です。目標金額などをシミュレーションしてみたい方は、ぜひ利用してみてください。


リスクとリターンのバランスを考慮して金融商品を選ぶ

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ポートフォリオを組む際は、リスクとリターンのバランスを考慮して金融商品を選びましょう。バランスを考えずにポートフォリオを組むと、想像以上に損失が出たり、まったく資産が増えなかったりする可能性があります。

例えば、新興国株などは利回りが高い傾向にありますが、同時に大幅な下落を起こすリスクも高いのが特徴です。購入する資産がハイリスクハイリターンのものばかりだと、保有している資産の価値が一気に下がったときに大きな損失を生んでしまいます

反対に、リスクを抑えようとしすぎて、ローリスクローリターンばかりの商品を選ぶのもおすすめできません。年利0.02%のようなほぼ値動きがない商品ばかり選んでしまうと、銀行預金とあまり差がなく投資の利点を活かしきれないからです。

金融商品を選ぶ際は、リスクとリターンを考慮したポートフォリオの作成を重視しましょう。


つみたてNISAで購入できる投資信託の種類

つみたてNISAのポートフォリオを作る際は、投資信託の種類を知っておくことが大切です。種類による値動きやリスクなどの特徴を抑えておくことで、より正確にポートフォリオを作成できます。つみたてNISAで購入できる投資信託の種類を参考にして、ポートフォリオ作成に役立てましょう。


特定の指数に連動するインデックス・ファンド

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つみたてNISAで購入できる投資信託のひとつに、インデックスファンドがあります。インデックスファンドとは、日経平均株価など、市場全体の動きを代表する指標の値動きに合わせて投資を行う投資信託です。

代表的な指標に合わせて売買を行うので、値動きがわかりやすく初心者にもおすすめです。また、株価などの平均を目指すため、さまざまな商品を手広く購入してリスク分散もできます

信託報酬や手数料も比較的低いため、これから資産運用をはじめてみたい方は、まずインデックスファンドから始めてみるといいでしょう

ただし、インデックスファンドはあくまでも市場の平均値を目指すため、大きな利益は期待できません。安全かつ堅実に資産を増やしたい方におすすめの投資信託といえるでしょう。

ファイナンシャル・プランナー 伊藤さん:
資産運用をこれからはじめる方なら、まずはインデックスファンドから検討をはじめましょう。

インデックスファンドは、日経平均株価やS&P500など、有名な指標に連動しながら値動きするものなので、経済ニュースで動向をつかみやすいのがメリットといえます。



積極的な投資を目指す方におすすめのアクティブファンド

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投資での利益を積極的に得たい方には、アクティブファンドの購入がおすすめです。アクティブファンドは、平均値を超える利益を目指した積極運用なので、うまく運用できれば大きな利益も期待できます

ただし、実際に利益が出るかは利用する投資信託によっても大きく変わるほか、損失が出るリスクも忘れてはいけません。平均値を超えるための分析などが徹底して行なわれるため、インデックスファンドに比べて信託報酬や手数料が高額である点も理解しておきましょう。


複数の資産を組み入れたバランスファンド

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よりリスクを抑えた運用を行いたい場合は、バランスファンドの活用もおすすめです。

バランスファンドは、さまざまな国の株式や債券、不動産などに分散投資してリスクを抑える投資信託のことをいいます。投資を始める段階で、運用会社側が購入する資産や割合を決めたうえでじっくりと運用するのが特徴です。

株式など1つの商品のみをバランスよく購入するインデックスファンドに比べて、債券や不動産など投資対象が多いためよりリスクを抑えて投資ができます

価格変動が起きた際には、リバランスも実施されるため保有資産が市場の変動に左右されにくく、安定した運用ができるのも特徴です。リバランスとは、市場の動きによって当初設定した資産配分がずれた場合に元に戻すことをいい、保有資産のバランスを保って値崩れのリスクに備える作業を指します。

例えば、総資産20万円で国内債権50%、外国株式50%の配分で10万円ずつ投資していると仮定しましょう。

上記の割合で運用していたものの、市場が変動して国内債券が20%上昇、外国株式が20%下落したとすると、保有している資産価値は国内債券12万円分、外国株式8万円分へと変化します。保有資産の合計は変わらないものの、比率は国内債券60%、外国株式40%となり国内債券のほうを多く保有している状態です。

国内債券の値動きが総資産に与える影響が大きくなることを避けるためにリバランスを行い、国内債券を10%売却し、外国株式を10%購入して当初の配分である50%ずつに戻るよう修正します。

リバランスは特定の資産のみを多く保有しないように調整し、できる限り市場変動のリスクに備える仕組みです。

ファイナンシャル・プランナー 伊藤さん:
インデックスファンドと並んで検討するとよいのがバランスファンド。自動で資産を分散してくれるので、ポートフォリオを細かく考える手間を省けます。初心者で安定した運用を優先したい方は、注目しましょう。



つみたてNISAで投資する銘柄の選び方

つみたてNISAでは、購入する銘柄を数百種類の投資信託のなかから選択するため、どれを購入するか迷ってしまうこともあるでしょう。以下で投資する銘柄の選び方を解説しているので、投資先を選ぶ際の参考にしてください。


長期的に成長が見込める資産を選ぶ

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つみたてNISAの投資銘柄を選ぶ際は、長期的に成長が見込める資産を選びましょう。つみたてNISAは20年間かけてじっくりと資産形成していく商品のため、長期的な視点が必要です。目先の利益ではなく、実際に資産を受け取るときに成長しているかを検討したうえで投資先を選びましょう。

例えば、30年や40年の長いスパンで価格変動を見た際に、右肩上がりになっている金融商品は、比較的安定して運用できる可能性が高いといえます。つみたてNISAを始める際は、長期的な視点で購入商品を選び、安全に資産運用しましょう。


純資産残高が高いか確認することも重要

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純資産残高が高いかも確認しておくことが重要です。純資産残高は投資信託の規模を表すもので、高ければ高いほど保有している資産が多く、安定した運用が行えている傾向があります

一方、純資産残高が低いファンドは経営が安定せず、早期償還される可能性が高まるので注意が必要です。早期償還とは、運用期間の満了を迎える前に預けた資産が返却されることを指します。

つみたてNISAの満期を迎える前に、額面金額が返却される可能性もあるため、投資信託を選ぶ際は避けたほうが無難です。途中で強制的に運用が止められてしまい、思ったように資産形成できない危険性もあります。

ただし、純資産額が高いからといって必ずしも利益が出るわけではありません。資産運用はあくまで市場の動向に左右されるので、運用コストなど純資産以外の指標も参考にして投資銘柄を選びましょう。


信託報酬などコスト面の安さにも注目しよう

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投資信託は、信託報酬などのコスト面も大切です。信託報酬は証券会社に投資信託を管理・運用してもらうために投資家側が支払う経費を指します。気にせずに投資先を決めてしまうと、思った以上に費用がかかるケースもあるため、投資信託を選ぶ際は確認しておきましょう。

特につみたてNISAは運用期間が長く、信託報酬の違いによって最終利益に大きな差が生まれるケースも多いため、注意が必要です。

信託報酬は利用する証券会社によって変わりますが、0.5~2.5%を目安にして投資信託選びの目安にしてください。

ただし、信託報酬が安いファンドが必ずしも良いファンドとは限りません。運用実績なども確認したうえで投資先を決めるのが安全です。


つみたてNISAのポートフォリオの作り方を年代別で紹介

つみたてNISAのポートフォリオは、年代に合わせて作ることが大切です。年代によって資産運用の目的が変わるので、状況にあった運用方法を目指しましょう。以下で年代別ポートフォリオの作り方を解説しているので、資産運用の計画を立てる際の参考にしてください。


20代はある程度リスクを取るポートフォリオを

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20代の方は、ある程度リスクを取った積極的なポートフォリオを作成しましょう。ほかの世代よりも長期的に投資ができるので、万が一損失が出たとしても運用方針の転換がしやすいのが特徴です。

特におすすめなのは、比較的大きな利益が見込める株式重視のポートフォリオです。安定資産が別にある場合は、成長が見込まれる世界株に多く投資して、大きな利益も目指せるでしょう。

世界株はある程度リスクもありますが、分散投資などでなるべくリスク回避を行いながらハイリターンをめざすのもひとつの手です。


ライフイベントが多い30代や40代は万が一への備えも重要

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30代や40代は、20代よりも長期分散投資を心がけ、安定した長期運用を目指すのがおすすめです。結婚や出産、子育てなどさまざまなライフイベントがあるので、万が一への備えも作りながら手堅く資産形成を目指しましょう。

おすすめなのは、国内を対象とした商品を中心にポートフォリオを作成することです。国外を対象とした商品は価格変動のリスクが高いため、保有資産内での比重を大きくしすぎないことが大切です。

30代や40代は、仕事や子育てなどで運用にかけられる時間が少ないケースもあります。インデックスファンドや、リバランスを自動で行ってくれるバランスファンドを利用して、手間暇をかけずに運用できる方法を選択しましょう。


老後に備えたい50代はリスク回避を優先する

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50代の方は、リスク回避を優先することが大切です。目先の利益を優先してリスクのある投資方法を選んでしまうと、必要な老後資金が貯められなかったり失ってしまったりする危険性もあります。

値動きが安定しやすく、格付けが高い債権などでポートフォリオを作成して、できる限り損失を減らせるように心がけましょう。値動きが比較的激しい株式の比率を減らして、堅実に資産を積み立てるのが大切です。


ポートフォリオを組むときの注意点

ポートフォリオを組むときは、注意点を守ることも大切です。注意点を守らないと、思わぬ形で非課税枠を浪費するなどトラブルに発展するケースもあります。以下の注意点を参考に、安全に資産形成していきましょう。


スイッチングは非課税投資枠を浪費する

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ポートフォリオを組む際は、スイッチングに注意が必要です。スイッチングをしてしまうと、意図せず非課税枠を無駄にしてしまう可能性があります。

スイッチングとは、今まで購入してきた商品を売却したうえで、別の商品を購入することです。つみたてNISAは年間40万円まで投資信託を購入できますが、保有中の資産を売却しても投資枠は復活しません

例えば、2023年1月から毎月3万円を積み立てて、8月に一部の24万円分を売却したと仮定した場合、2023年の残りの投資枠は16万円です。

24万円分を売却したからといって、24万円分の枠を利用して再購入できるわけではないので注意してください。本来なら毎年40万円分の資産を非課税で運用できるのが、売却した年は16万円分の資産しか運用ができず損をします。

スイッチングするとその分の非課税枠がもったいないため、なるべく行わないのが懸命です。ポートフォリオの方針を途中で変えたい場合は、スイッチングを選択して売却するのではなく、変更前の資産はそのままに保有しておき、投資する銘柄を変更すると良いでしょう。

積み立てていた投資信託をストップして、新たに別の投資信託に積み立てて行くことで非課税投資枠を無駄にせず運用を続けられます。


投資先の重複に注意

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ポートフォリオを組む際には、投資先の重複にも注意が必要です。投資先が重複している場合は、保有銘柄のバランスが悪くなり分散投資がうまくいかないことがあります

例えば、米国株50%と先進国株50%を購入する場合は、先進国株の約半分は米国株であることを忘れてはいけません。つまり、米国株と先進国株を半々で買ったと思っていても、内訳が米国株75%、先進国株25%である場合もあります。

分散投資をしたつもりでも、米国株を多く持っていることを意味するので、万が一米国株の価格が下がった場合は保有資産全体に大きなダメージを受けるでしょう。せっかくポートフォリオを作成して分散投資を心がけても、意味がなくなってしまいます。

ポートフォリオを作成する際は、実際の投資比率を確認し、購入資産が重複しないようにしましょう。


ポートフォリオは定期的に見直そう

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つみたてNISAのポートフォリオは、定期的に見直しましょう。年齢や取り巻く状況などライフステージに合わせて、最適なポートフォリオも変わります

20代などの若いうちはリスクのある運用でも問題ありませんが、30代以降はライフイベントに備えた堅実な運用が必要です。より価格変動がしにくい安定的な資産に切り替えるなどして、年齢に合わせたポートフォリオに変更しましょう。

長く運用を行ってきた場合は、市場変動によって保有資産の比率が崩れていることもあります。保有資産の比率が崩れると、過剰にリスクが大きくなったり、反対にリスクが下がりすぎて利益が出にくくなったりするため調整が必要です。

例えば、総資産200万円で国内株と米国株を50%ずつ購入していたとして、国内株の価値が20%下がり、米国株の価値が20%上がったと仮定しましょう。

総資産は200万円のまま変わりありませんが、内訳は国内株の資産価値が80万円、米国株の資産価値が120万円に変わり、米国株のほうが全体の資産に対する比重が重くなります

米国株の値動きが総資産に与える影響が大きくなるため、ポートフォリオを修正して米国株の一部を売却し、日本株を購入するなどの対策が必要です。

年齢や市場の動きに応じてポートフォリオを見直しながら、適切にリスクを回避しましょう。


これからつみたてNISAを始める方は証券会社選びも大切!

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つみたてNISAのポートフォリオが完成したら、証券会社で取引を始めましょう。証券会社によって取扱商品や手数料が異なるため、運用開始の際は、自分に合う証券会社を選ぶことが大切です。

下記でさまざまな証券会社を紹介しているので、自分にとって最適な証券会社選びに役立ててください。

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2024年から始まる新NISAについて知りたい方は、以下の記事をチェックしてみましょう。

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※本記事に掲載されている情報は2023年5月23日時点のものです。NISA制度に関する最新の情報は、金融庁ホームページ(外部サイト)をご確認ください。

情報提供元:mybest
画像出典元:Getty Images

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    伊藤 亮太

    ファイナンシャル・プランナー/伊藤亮太FP事務所代表

    伊藤亮太FP事務所代表、スキラージャパン株式会社代表取締役。ファイナンシャル・プランナーとして、年間平均約100~200件の相談(資産運用、相続、保険の見直し、住宅ローンなどのローン相談等)を行うほか、証券外務員やFP資格取得講師、金融経済情勢、富裕層顧客開拓スキル、ドクターマーケット開拓、年金、四季報活用講座などの研修講師を行う。

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