プロフィール
総合保険代理店で個人を対象とした家計相談やライフプランニングを約10年経験。2021年以降は金融専門ライターとして複数メディアで活動しており、大手証券会社・保険会社や大手金融メディアでの豊富な執筆実績をもつ。 暗号資産や投資信託、国内株式などによる資産運用も積極的に行っている。
FXに興味があっても「難しそう」と踏み出せずにいる方もいるのではないでしょうか。FXは通貨の交換によって利益を得る投資方法ですが、考え方は海外旅行のときに行う外貨両替と同じです。本記事ではFXとは何か、FXの特徴やリスクについて初心者の方にもわかりやすく解説します。ぜひ最後まで目を通して、FX投資の参考にしてください。
FXとは「Foreign Exchange」の略で外国為替証拠金取引のことです。例えば、日本の「円」とアメリカの「ドル」など、異なる国の通貨を売買したときに生じる差額によって、利益を狙います。海外旅行のときの外貨両替と同じような仕組みと考えるとわかりやすいでしょう。
FXは、世界中の金融機関や投資家が取引する「外国為替市場」を通じて行います。証券取引所のような取引場所が存在するわけではなく、電話やインターネットから取引をします。
FXで利益を得る方法は「通貨を売買して利益を出す方法」と「金利差で利益を出す方法」の2つです。以下で詳しく見ていきましょう。
FX取引は、2か国間の通貨を売買したときに生じる「為替の差額」で利益を狙う投資方法です。通貨の交換比率(為替レート)が安いときに買って、高いときに売ることで利益を出す仕組みです。
例えば、1ドル=100円のときに購入し、1ドル=110円になったときにドルを円に交換すれば、10円の利益を得られます。しかし、1ドル=90円になったときに交換すれば、10円の損失です。
このように、為替レートの変動によって生じる利益を「為替差益」、損失を「為替差損」といいます。
FX取引で行うのは、通貨の交換だけではありません。金利の交換も行われ、そのときに生じる金利差でも利益を狙えます。この金利の差が「スワップポイント(金利差調整分)」です。低金利の国の通貨を売り、高金利の国の通貨を買うことでスワップポイントがプラスになり、利益を得られるでしょう。
例えば、日本円を売り、豪ドル(オーストラリアドル)を購入するケースを考えてみましょう。豪ドルの金利が4.35%、日本の金利が0.25%の場合は、金利差の4.1%分に相当するスワップポイントを利益として受け取れます(2024年9月末時点)。
スワップポイントは毎日発生するため、金利の高い通貨を保有することで長期的に利益を積み重ねられるでしょう。ただし、低金利の通貨を買い、高金利の国の通貨を売るときには、スワップポイントがマイナスになり、損失が生じる可能性もあるので注意しましょう。
FXには、主に以下の特徴があります。
・少額投資から始められる
・円高と円安のどちらでも利益を狙うことができる
・平日24時間いつでも取引が可能
以下で詳しく説明していきましょう。
FX取引は、口座に預け入れる額(証拠金)の最大25倍の額まで取引できるため、100円ほどの少額の資金から始められるのが特徴です。証拠金を元手にして証拠金以上の取引を行うことを「レバレッジ取引」といいます。例えば、証拠金として10万円預け入れた場合、最大25倍の250万円の取引が可能です。
ただし、取引額が大きくなる分、損失も大きくなる可能性があることを念頭に置いておきましょう。
FX取引は、円高(外国の通貨に対して円の価値が高い場合)でも円安(海外の通貨に対して円の価値が低い場合)でも利益を狙えます。従って、買い(円高のときに外貨を買うこと)からでも、売り(円安のときに外貨を売ること)からでも利益を得られる可能性があるのです。
以下で、円とドルを取引する場合を例に見ていきましょう。
・円高のとき
円高のとき(買いから始める取引)は、円安になることを予想してドルを買います。90円で買ったドルを、100円に動いたタイミング(円安)で売ることで、10円の利益を得られます。
・円安のとき
円安のとき(売りから始める取引)は、円高になることを予想してドルを売る取引から始まります。このとき、通貨の売買は行わずFX会社に証拠金を入れることでドルを借りて売る取引を行います。そして、後日、円を買い戻すことで利益を得られます。
この場合、110円のドルを売って、100円に動いたタイミング(円高)で円を買うことで、10円の利益を得られるでしょう。決済は、売買による差額の受け渡しで行います。
FX取引を行う外国為替市場では、さまざまな国の通貨が売買されています。世界各国の外国為替市場では、現地時間の平日午前から午後にかけて取引が行われており、世界中のどこかで必ず取引が行われています。そのため、投資家は24時間取引が可能です。
FX取引のリスクは、主に「為替変動リスク」と「金利変動リスク」があります。
・為替変動リスク
為替変動リスクとは、為替相場の変動によって損失が生じるリスクです。為替の予想が当たれば利益(為替差益)を得られますが、予想が外れると損失(為替差損)が発生します。
・金利変動リスク
もうひとつのリスクとして、金利変動リスクがあります。金利の変動により金利が低い通貨と高い通貨が逆転した場合は、反対に金利差調整分(スワップポイント)を支払わなければなりません。
為替変動や金利変動は、収益や損失に直接影響を与えるため、為替や金利変動に影響を与える各国の金利政策や重要な経済指標を注視することが重要です。具体的には、以下のような経済指標を押さえておくといいでしょう。
<重要な経済指標>
・雇用統計
・消費者物価指数(CPI)
・国内総生産(GDP)
・小売売上高
・貿易収支(BOT)
・ISM製造業景況感指数・ISM非製造業景況感指数
・購買担当者景況感指数(PMI)
・失業率など
前述のとおり、レバレッジは最大25倍までかけられます。レバレッジを高くすると、その分だけ取引量が増えて利益が大きくなる反面、損失も拡大します。
例えば、証拠金として100万円を預け入れ、ドルが1円値下がりした場合のレバレッジによる損失額は、以下のようになります。
1ドル=100円のときに100万円を10倍のレバレッジで取引した場合、取引金額は1,000万円となり、1円値下がりすることで10万円の損失が発生します。
また、1ドル=100円のときに100万円を25倍のレバレッジで取引した場合なら、2,500万円の取引金額となり、1円値下がりすると25万円の損失が発生します。
レバレッジ取引は資金効率が高く、初心者の方も参入しやすい取引ですが、このようなリスクが伴うため注意が必要です。
ロスカットとは、一定水準以上の損失が生じたときに、FX会社が強制的に決済を行うことです。投資家の損失拡大を防ぐために導入されています。
ロスカットが起きる基準は、証拠金維持率と呼ばれる、取引に必要な証拠金に対する有効証拠金(確定していない利益や損失を踏まえた証拠金の残高)の割合です。FX会社によって、ロスカットが発動する証拠金維持率は異なります。
FXは、まとまった資金がなくても少額から始められることから、初心者の方でも始めやすい取引です。レバレッジを高くすることで大きな利益を狙えますが、大きな損失を被るリスクもあるので、計画的に行いましょう。本記事を参考にして、投資金額や期間など、自分に適したFX取引を行ってみてください。