私が中国製ヒューマノイドの輸入規制を主張する理由は、極めて明確です。
中国製ヒューマノイドが日本国内で日本人の生命や身体に危害を加えた場合、それが意図的な攻撃であれ、事故であれ、その時点で問題は製品事故や民事責任を超え、国家の安全保障の領域に入るからです。
ヒューマノイドは、従来の家電やIT機器とは質的に異なります。人間の生活空間で活動し、自律的に判断し、物理的な力を行使できる存在です。通信を通じた遠隔操作やソフトウェア更新も可能であり、後から挙動を変えられる。この性質を持つ以上、防衛の観点では明確に軍民両用技術として評価されるべきものです。
この問題は、もはや仮定の話ではありません。日本国内ではすでに、GMOインターネットグループの一社であるGMO AI&ロボティクス商事が、中国のスタートアップ企業・宇樹科技(Unitree Robotics)が開発したヒト型ロボット「G1」を用いた事業を行っています。これは研究室の中の実験ではなく、民間ビジネスとして、中国製ヒューマノイドが日本社会に入り始めているという現実を示しています。
ここで強調しておきたいのは、特定の企業を非難することが目的ではない、という点です。問題の本質は、日本企業が扱っているかどうかではありません。ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、アップデート経路といった中枢が、どの国の法制度と統制の下にあるのか、という点にあります。
中国では、国家情報法や国防動員法により、企業は国家の要請に協力する義務を負っています。さらに軍民融合は国家戦略として明示されています。この法制度の下で製造・管理される「身体を持つAI」を、日本が無制限に輸入・流通させることが、本当に合理的なのかが問われています。
仮に、こうしたヒューマノイドが事故によって日本人に重大な危害を加えたとしても、それは単なる不具合では済みません。外国の統制下にある機械が、日本国内で日本人の身体を直接侵害したという事実は、国家が国民の安全をどう管理していたのかという、防衛上の責任問題に直結します。
日本政府はこれまで、通信機器、半導体、ドローンについては、安全保障上の観点から規制や排除を行ってきました。同じ論理を適用すれば、身体を持つAIであるヒューマノイドだけを無規制で受け入れるのは、明らかに政策の一貫性を欠いています。
重要なのは、「実際に攻撃が起きるかどうか」ではありません。起こせる能力が国内に存在するかどうかが、防衛の判断基準です。その能力が外国の法制度と統制の下にあるなら、輸入や流通を国家として管理するのは当然の責務です。
だからこそ、防衛費を増額する前に、まずやるべきことがあります。中国製ヒューマノイドについて、輸入規制や用途制限、レンタルや公共空間での使用に関する明確なルールを、安全保障の観点から整備することです。これは排外主義でも軍拡でもありません。最も安価で、最も現実的な防衛です。
国民の生命と安全を守るという国家の基本的責務から見て、中国製ヒューマノイドの輸入規制を検討することは、もはや避けて通れない政策課題だと考えます。