翻訳業100社の業績動向、利益が3年で7割減、AI翻訳の台頭で収益環境厳しく
■2025年度は3期連続の減収減益、休廃業・解散も50件と高止まり
東京商工リサーチ(TSRデータインサイト)は9月21日、翻訳業100社の業績動向をまとめ、2025年度(4月-翌3月)の売上高合計が392億5700万円、最終利益が9億200万円だったと発表した。業績のピークだった2022年度と比べ、売上高は9.7%減、利益は70.7%減と大幅に縮小。2023年度から2025年度まで3期連続の減収減益となった。AI翻訳や機械翻訳の精度向上で言語間の壁が低くなり、翻訳会社は従来の受注構造や価格体系の見直しを迫られている。
調査は2021年度から5期連続で業績を比較できる100社を対象とした。2022年度は売上高434億7800万円、利益30億8200万円でピークを付けたが、その後は機械翻訳の高度化や無料サービスの普及が進展。簡易文書だけでなく複雑な長文にも短時間で対応できる領域が広がり、翻訳の利用障壁が低下する一方、従来型サービスでは価格競争が強まった。2025年度は減収50社、横ばい18社、増収32社。利益も減益47社、横ばい18社、増益35社と、半数近くが減益だった。
■2026年は倒産増勢、専門性と人による品質管理が生き残りの鍵に
倒産以外で事業を停止した休廃業・解散も高水準が続く。2019年に33件と初めて30件台に乗り、2024年は53件、2025年も50件となった。倒産は年間5件未満の年が多かったが、コロナ禍の2020年に6件へ増加。2021年と2022年はコロナ関連支援もありゼロだったものの、2026年は1~8月で3件が判明し、前年同期の1件を上回った。休廃業が高止まりする中、倒産も再び増勢の兆しをみせている。
2026年に倒産した首都圏の翻訳サービス会社では、関係者が東京商工リサーチに対し、従来から業況が振るわない中でAI翻訳の台頭が経営悪化を決定づけたとの趣旨を説明し、最終的に破産を選択した。一方、複雑な契約書や専門分野、微妙なニュアンスの表現では、人による翻訳や最終チェックがなお欠かせない。今後はAIとの単純な競合を避け、専門知識や表現力、品質管理を生かした付加価値をどこまで高められるかが課題となる。AIとの共生を含め、翻訳会社は事業モデルの再構築を迫られている。
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