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エコノミストの間では「自動車不正の影響で消費や輸出が下振れする」(ソニーフィナンシャルグループの宮嶋貴之氏)との見方が多い。インバウンド(訪日外国人)の増加による堅調なサービス輸出があっても補い切れないとの分析だ。 個人消費と設備投資は予測平均でそれぞれ前期比0.1%減、1.0%減だった。自動車不正の影響のほか「インフレによる購買力の低下で消費余力が失われた」(みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井才介氏)。設備投資は人手不足による供給制約も押し下げ要因になったという。 GDPでみたインフレ率であるGDPデフレーターは前年比3%台の上昇が続くなど、物価上昇が名目値を押し上げている。家計や設備投資で使う見かけ上の金額が増えても、数量は増えていない状態といえる。 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎氏は「家計は物価高で十分に物を買えず、企業はコスト高で予定通りの設備投資を進められない状態だ」と指摘する。実質GDPが下がり名目GDPとの差が広がり続けば、経済の実態は悪化したと判断される。 為替は1〜3月期の時点よりも円安・ドル高が進んでいる。SMBC日興証券の丸山義正氏は「インバウンドの拡大などで外需中心にプラスに働く半面、輸入物価上昇に賃金上昇が追いつかなければ消費が復調せず日本経済の低迷が続くリスクがある」と話した。
輸出は5.0%減と4四半期ぶり…
2024/05/16 13:58
輸出は5.0%減と4四半期ぶりに減少した。自動車の出荷が減ったことがマイナスに響いた。23年10〜12月期に大手製薬会社が提携する米国企業から知的財産関連の使用料を受け取って一時的にサービス輸出が増えた反動もあった。 計算上は輸出に分類するインバウンド(訪日外国人)の日本国内での消費は前期比で11.6%増えた。年換算した実額は実質で6.5兆円と過去最高となった。 輸入は前期比3.4%減で3四半期ぶりのマイナスだった。原油や液化天然ガス(LNG)といった鉱物性燃料の輸入が減った。中東アジアの近海で武装組織による商船襲撃などを受けた物流の混乱が響いた。輸入はGDPの計算から差し引く項目のため、減少は全体の押し上げにつながる。 24年1〜3月期の名目GDPは前期比0.1%増、年率換算で0.4%増と2四半期連続でプラスとなった。国内の総合的な物価動向を示すGDPデフレーターは前年同期比で3.6%上昇と6四半期連続でプラスだった。23年度の実質GDPは前年度比で1.2%増えた。