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西日本鉄道は5月1日乗車分から、福岡―東京間の夜行バス「はかた号」の価格上限を2000〜3000円引き上げた。「コロナ禍から需要が回復傾向にある一方で、繁忙期でも以前ほど増便できなくなった。収益確保のため、需要が高まる日には単価を上げる」という。 バス事業者へのコンサルティングを手がける高速バスマーケティング研究所(横浜市)の成定竜一代表は「予約に合わせて柔軟に増便していた企業で、運転手が足りずこれまでのように増やせない例が増えている」と指摘する。 西日本ジェイアールバス(大阪市)では「貸し切りバスの需要が高まっている」という。インバウンド(訪日外国人)向けのツアーや修学旅行が回復し、注文を受けきれない他社から流れてきている可能性がある。「運転手が限られる中、路線バスと貸し切りバスの切り盛りが重要だ」という。 燃料や車両などの費用も上がっている。長距離を走る高速バスはエンジンへの負荷が大きい。耐用年数は5〜10年と街中を走る路線バスよりも短い。更新頻度が高い分、車両単価上昇の影響を受けやすい。 利用者の変化もある。西日本JRバスでは、音楽ライブなどに参加した後の乗客が目立つようになった。「今までは参加後に1泊して翌日に新幹線で帰っていた人が、宿泊費の高騰で夜行バスを選んでいる面があるかもしれない」と分析する。 インバウンドに人気の観光地は宿泊費の高騰が著しい。京都市観光協会(京都市)によると、京都市内の主要ホテルの平均客室単価は3月時点で2万2925円と、コロナ前の19年3月より33%高い。
コロナ禍からの経済回復と円安で…
2024/05/29 17:33
コロナ禍からの経済回復と円安で、インバウンドは増え続けている。日本人の国内旅行も伸びており、主要都市や観光地では宿泊予約が取りづらくなっている。夜行バス代は宿泊費込みと考えれば、値上がりしてもお得感がある。 成定氏によると、高速バス利用者は、東京―長野など中距離以下の路線も含めると「7割は地方在住者や地方出身者で、帰省などの需要が中心だった」。近年は富士五湖や上高地、白川郷や温泉地などに向かうバスでインバウンドの利用が増えるなど、観光需要も広がっている。 ホテル代わりなら、高くても快適に過ごしたい。そんな要望に応えた高速バスも増えている。西日本JRバスとジェイアールバス関東(東京・江東)が共同運行する「ドリームルリエ号」は、1台につき4席の「プレシャスクラス」を設けている。1席ごとにカーテンとパーティションで仕切られ、座席は156度までリクライニングできる。