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倒産3割増、建設会社にさらなる試練 残業規制・人件費増 2024/05/16 02:00 日経速報ニュース 1478文字 建設会社の倒産が止まらない。帝国データバンクによると、2023年の倒産は全国で約1700件。22年比38.8%増で、前年比ではリーマン・ショックに見舞われた08年(17.3%増)を上回った。 背景には人手不足と資材価格の高騰がある。工事の採算が大幅に悪化し、大手ゼネコンの清水建設でさえも24年3月期は上場以来初の営業赤字に転落する見通しだ。 この危機的状況に、2つの2024年問題が追い打ちをかける。 24年4月から、工事現場での時間外労働を上限年720時間以内とする規制が適用となる。人手不足の中、人件費にさらなる増加圧力がかかりそうだ。加えて、資材を運ぶトラックドライバーも時間外労働が年960時間までに制限される。これにより工事の人手と資材の運び手がさらに逼迫し、ただでさえ資材高騰で苦しい建設コストに、人件費増がのしかかる可能性が高い。 工事の人手と資材の運び手は、全国的に大型建設プロジェクトが目白押しの中、ますます逼迫するとの見方は多い。半導体関連では熊本県で台湾積体電路製造(TSMC)の工場建設が進み、北海道でも最先端半導体の国産を目指すラピダスの工事が本格化する。これに25年国際博覧会(大阪・関西万博)、1月の能登半島地震の復興需要が加わる。 しわ寄せは他の案件に及ぶ。「すでに資材不足や人手不足で工期が遅れている案件はある。4月からの規制もあり、より状況は厳しくなるだろう」。ある大手ゼネコン幹部は嘆息する。
イオンモール、26年ぶり新規出…
2024/06/07 00:11
イオンモール、26年ぶり新規出店ゼロ 人手不足や資材高 イオンが「イオンモール」の国内出店を取りやめる。予定していた案件を2025年度以降に先送りし、24年度の新規開業は26年ぶりにゼロとなる見通し。建設業界の人手が不足し、資材も高騰するなか、採算がとれないと判断した。 24年度は「イオンモール須坂」(長野県須坂市)を春に開業予定だったが、25年秋に延期した。24年3月に着工した「同仙台雨宮」(仙台市)も開業は25年秋にずれ込む。いずれも資材高騰や建設業界の人手不足を理由としている。 イオン子会社のイオンモールは、延べ床面積が10万平方メートル程度のショッピングセンター(SC)を中心に、3月末時点で国内165カ所を運営する。23年度は「同豊川」(愛知県豊川市)など4カ所を開業していた。 建設業界では、半導体世界大手の台湾積体電路製造(TSMC)の新工場(熊本県菊陽町)や25年国際博覧会(大阪・関西万博)など各地で大型プロジェクトが進む。24年4月からは残業時間の上限規制が適用され、人手不足が深刻になっている。 帝国データバンクによると、建設業で正社員が不足していると回答した企業は4月時点で68%に達した。労務費の指標となる公共工事設計労務単価は12年と比べ75%上昇した。 資材価格も高騰している。建設物価調査会(東京・中央)によると、東京地区の24年5月の建設資材物価指数(建設総合、2015年=100)は137.3と、21年平均の110.3よりも20ポイント以上高い。土地や建物の取得コストも上がった。 新型コロナウイルス禍を経て、かつてSCのみで1日中過ごしていた消費者の行動も変化した。来店客は買い物や食事など目的を済ませたらすぐに帰宅する傾向が強まった。足元はSCを新設しても割高な投資に見合う集客数と収益を稼げるかは不透明な情勢となっている。 イオンモールは当面、投資を改装に振り向け、既存施設の売り上げを底上げする。24年度の改装投資に200億円と前年度の2.5倍を投じる。3月に国内最大のSC「イオンレイクタウン」(埼玉県越谷市)、4月には「イオンモール太田」(群馬県太田市)に新棟を開いた。