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つみたてNISAは5,000円では意味ない? 20年後のシミュレーションやおすすめの運用法を解説

※本記事は2023年までのNISA制度の記事です。記事中では新NISAについての記事も合わせてご紹介しています。

5,000円など少額からでも始められるつみたてNISA。つみたてNISAを始めるか検討しているものの、あまり資金に余裕がなく、5,000円だけ投資しても意味がなさそうと懸念を感じている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、つみたてNISAで毎月5,000円投資することに意味はあるのかを解説します。10年後や20年後に資産がいくらまで増えるかのシミュレーションもしているので、つみたてNISAを少額で始める際の参考にしてみてください。(監修者:ファイナンシャル・プランナー 伊藤亮太)

本記事は2023年までのNISA制度についての記事です。2024年から開始した新NISAについての記事は以下からご覧ください。

2024年からスタートした新NISAとは?

2023年までのNISA制度について知りたい方は引き続きこちらの記事をご覧ください。


つみたてNISAは5,000円でも意味がある! その理由は?


結論からいうと、つみたてNISAは毎月5,000円の投資であっても十分意味があります。以下で理由を紹介 するので、少額投資を検討している方はチェックしてみてください。


少額でも長期運用で高リターンを得ることが可能

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つみたてNISAはできるだけ長く続ければ続けるほど、利益を大きく増やせる可能性のある投資制度です。

つみたてNISAでは、利益を元本に組み込んで再投資することで、資産を雪だるま式に増やしていく複利効果が得られます。複利効果は投資期間が長ければ長いほど高い効果を発揮するので、少額であっても長く続ければ十分にリターンを見込むことが可能です。

一般的な銀行で普通預金をしていても、年利は0.001%程度なので利息はほとんど得られません。定期預金でも0.002%程度でほとんど利息がつきませんが、つみたてNISAであれば3〜5%と高い利益が見込めます

もちろんより多くの資産を運用したほうが得られるリターンも大きいことは確かですが、5,000円の少額でも十分利益は見込めるため、意味はあるといえるでしょう。

ファイナンシャル・プランナー 伊藤さん:
積立は長期に渡ってコツコツ続けることが大切なので、5,000円でも運用をはじめることに大きな意味があります。とくにはじめての資産運用だと、値動きがこわいと感じることもあるはずなので、少額でスタートして慣れていくことも重要といえます。



積立で自動的にお金を貯められる

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つみたてNISAでは、設定さえしておけば自動的に毎月積み立てが行われるため、半強制的にお金を貯められます。銘柄と投資額をあらかじめ設定しておけば、毎月自分で振り込んだりする必要はありません

手元にお金があるとつい使ってしまう方でも、勝手に積み立てられていくため、意識せずとも着実に資産形成ができます


つみたてNISAを5,000円で積み立てた際のシミュレーション

つみたてNISAで毎月5,000円の積み立てを10年間続けた場合と、20年間続けた場合の資産の増え方をシミュレーションで紹介します。どのくらい貯められるのか気になる方は、確認しておきましょう。なお、自分でシミュレーションしてみたい方は、金融庁ホームページ(外部サイト)を利用してみてください。


月々5,000円を10年間積み立てた場合

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毎月5,000円を利回り3%で10年間運用した場合は、元本60万円に対して運用益が98,707円見込め、総額は698,707円に増えます。

利回り5%で運用できた場合は、元本60万円に対して運用益が17万6,411円、総額が77万6,411円まで増えることがわかりました。

つみたてNISAを利用せず銀行の普通預金に預けて年利0.001%だった場合は、元本60万円に対して30円しか増えません。つみたてNISAで運用した場合とでは、大きな差があります。

5,000円であっても、コツコツ長期的に積み立てることで十分意味がある資産運用を実現できることがわかるでしょう。


月々5,000円を20年間積み立てた場合

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次に、毎月5,000円を20年間積み立てた場合を見てみましょう。

毎月5,000円を利回り3%で20年間運用した場合は、元本120万円に対して運用益が44万1,510円、総額が164万1,510円に増えます。

同じ利回りで10年間運用すると利益は98,707円なので、より長く運用することの重要性がわかるはずです。

毎月5,000円の運用が利回り5%でできた場合だと、元本120万円に対して運用益が85万5,168円、総額が205万5,168円に増えます。同じ利回りで10年間運用した場合だと利益は17万6,411円なので、5倍程度も利益が増えることがわかりました。

10年の運用と同じく、5,000円の少額でもつみたてNISAを利用することは十分に意味があるといえます。


つみたてNISAを5,000円から始める場合に意識すべきことは?

次に、つみたてNISAを毎月5,000円で始める際に意識すべきことを解説します。


長期間資産運用することを意識する

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つみたてNISAは、長期にわたって運用することが重要です。毎月5,000円の少額でも、投資期間が10年や20年と長期にわたると、高い利益が見込めます

つみたてNISAは、元本に利益を組み込んで再投資することでより利益を大きくさせる複利効果が見込めるため、運用期間が長ければ長いほど利益は大きくなるのが魅力の制度です。

たとえば、10万円の元本を利回り3%で運用した場合、1年後には3,000円の利益が得られます。翌年は元本10万円に利益3,000円を足した10万3,000円を年利3%で運用し、3,090円の利益が得られて合計額は10万6,090円になる仕組みです。

上記のようにどんどん運用する額が増えていくため、期間が伸びれば伸びるほど高い複利効果が得られます。運用中は一時的に損失が出る場合もありますが、長期的に運用すれば回復して利益が発生する場合が多いのが特徴です。

つみたてNISAを始める際には、できるだけ長期間継続して行う計画性を持っておきましょう。


資金に余裕ができたら積立金額の増額を検討

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投資資金に余裕が生まれたら、積立金額の増額を検討してみましょう。投資資金を増やせば、より高い利益が見込めます

増額するタイミングは、預貯金に余裕が出たときがおすすめです。万が一のことが起きても対処できるくらいの資金が確保できたら、余剰資金をつみたてNISAの増額に使うとよいでしょう。

以下で毎月10,000円積み立てた場合と毎月30,000円積み立てた場合のシミュレーションを紹介するので、毎月5,000円投資する場合との差を確認してみてください。

毎月10,000円を積み 立てた場合のシミュレーション
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毎月10,000円を利回り3%で10年間運用した場合は、元本120万円に対して運用益が19万7,414円、総額が139万7,414円に増えます

毎月5,000円を10年間、利回り3%で運用した場合は、元本60万円に対して運用益が98,707円、総額が69万8,707円でした。毎月5,000円を上乗せして積み立てるだけで、運用益では98,707円、総額69万8,707円も増加していることがわかります。

毎月30,000円を積み立てた場合のシミュレーション
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毎月30,000円を利回り3%で10年間積み立てた場合は、元本360万円に対して運用益が59万2,243円、総額が419万2,243円に増えます。

毎月5,000円を10年間、利回り3%で運用した場合は、元本60万円に対して運用益が98,707円、総額が69万8,707円でした。毎月25,000円上積みすることで、運用益では49万3,536円、総額349万3,536円もの違いが生じています

5,000円の場合と比べると大きな差が生じるので、なるべく多くの資産を積み立てるのがベターであることがわかるはずです。

つみたてNISAの年間投資上限額は40万円なので、毎月33,333円まで投資できます。資産に余裕が出てきたら、上限額まで投資してみるといいでしょう。


手数料が安い金融機関を選択しよう

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つみたてNISAを始める際には、なるべく手数料が安い金融機関を選びましょう。金融機関によって手数料は異なり、手数料が高いとその分得られる金額が減ります

とくに、信託報酬が安い金融機関を選ぶことが重要です。信託報酬とは、投資信託ごとに設定されている手数料のことで、運用している限り支払い続けなければいけません。

同じ投資額・投資年数・年利であったとしても、信託報酬の差によって最終的な資産は変動します。たとえば、信託報酬が0.1%の銘柄と0.5%の銘柄で、毎月30,000円を20年間、利回り5%で運用したとしましょう。

信託報酬が0.1%の銘柄は最終的に1,218万9,636円に増えますが、信託報酬0.5%の銘柄は1,164万3,731円です。0.4%の差でも、最終的な資産には54万5,905円もの違いが生じます。信託報酬によって将来的な資産を減らさないために、なるべく手数料が安い金融機関を選ぶことが重要です。

どの金融機関でつみたてNISAを始めるか悩んでいる方は、以下のページを確認してみてください。各種手数料についても紹介しているので、参考にして自分に合った証券会社を見つけましょう。

ファイナンシャル・プランナー 伊藤さん:
長期運用するにあたって、コストを抑える意識は大切です 。数%だとわずかな手数料に思えますが、利益が出るほどコストもあがっていくので、あなどってはいけません。

とくに、運用している間は継続的に発生する信託報酬に注目して、できるだけ低いコストで投資するようにしましょう。


自分にぴったりなNISA口座開設先を探す


つみたてNISAの少額運用が向かない方の特徴

最後に、つみたてNISAの少額運用が向かない方の特徴も紹介します。


短期間で成果が出ると考えている

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短期間の投資で成果が出ると考えている方は、つみたてNISAに向いていません。つみたてNISAは10年や20年など長期間にわたって投資することが前提であり、長期間投資することで利益が見込める制度です。

FXのように短期間で利益が何倍にも増加する投資もありますが、高いリターンが得られる投資はその分リスクも高く、高度な知識や経験が必要であるため初心者にはおすすめできません。

つみたてNISAは、初心者でもリスクを抑えてなるべく安全性が高い状態で始められる制度である反面、利益を得るには時間がかかります。着実に資産形成していくためには、長期間必要だと理解しておきましょう。


日々の生活費が苦しく生活に余裕がない

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毎月の生活費が苦しくて生活に余裕がない方は、つみたてNISAを始めないほうが無難です。生活費に余裕がなければ、投資を始めても途中で積み立てた資産を切り崩す可能性があり、つみたてNISAのメリットを享受できません

つみたてNISAは、長期間投資を継続することで複利効果が発揮され、資産を増やせる投資です。生活に余裕がなくなりすぐに辞めてしまうと、複利効果が発揮されず利益が見込めないほか、損失リスクも高まります

まずは当面の生活に必要なお金を確保し、余剰資金ができてからつみたてNISAを始めましょう。


元本割れで資産を減らしたくない

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元本割れによって自分の資産を減らしたくない方は、つみたてNISAに向いていません。つみたてNISAは比較的安全性の高い投資ですが、投資である以上は損失が出る可能性もあります

絶対に元本割れを起こしたくない方は、元本が保証される預貯金を利用するしかありません。ほかに元本保証型の個人向け国債や貯蓄型保険もありますが、リターンはかなり低いと考えておきましょう。

元本割れのリスクがあるとはいえ、つみたてNISAは安全性の高い資産運用方法です。長期的に継続すれば、元本割れのリスクは抑えられます。預貯金をしていても資産はほとんど増やせないので、うまく資産形成をしたいなら多少の元本割れのリスクを許容することも重要といえるでしょう。


つみたてNISAを始める際には証券口座選びが大切!

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つみたてNISAは1人1口座しか作れず、証券会社によって手数料や商品ラインアップが異なるので、慎重に選ぶことが重要です。

おすすめの証券会社について知りたい方は、以下のページをチェックしてみてください。各証券会社の口座開設数ランキングやクチコミを紹介しているほか、手数料や取扱商品数も記載しています。証券口座を選ぶ際に役立ててみてください。

自分にぴったりなNISA口座開設先を探す

【NISA口座開設におすすめ】証券会社NISA取引手数料ランキング

また、2024年から始まる新NISAについて知りたい方は、以下の記事をチェックしてみましょう。

2024年から始まる新NISAを知りたい
新NISAへの切り替えは必要?
新NISAで証券会社を変更するには
新NISAでシミュレーション
新NISAの成長投資枠 銘柄選びのポイント

※本記事に掲載されている情報は2023年5月23日時点のものです。NISA制度に関する最新の情報は、金融庁ホームページ(外部サイト)をご確認ください。

情報提供元:mybest
画像出典元:Getty Images

  • プロフィール

    伊藤 亮太のプロフィール画像

    伊藤 亮太

    ファイナンシャル・プランナー/伊藤亮太FP事務所代表

    伊藤亮太FP事務所代表、スキラージャパン株式会社代表取締役。ファイナンシャル・プランナーとして、年間平均約100~200件の相談(資産運用、相続、保険の見直し、住宅ローンなどのローン相談等)を行うほか、証券外務員やFP資格取得講師、金融経済情勢、富裕層顧客開拓スキル、ドクターマーケット開拓、年金、四季報活用講座などの研修講師を行う。

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