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週休3日、欧日で広がる ドイツ鉄道は「実質賃上げ」 週休3日の働き方が欧州と日本で広がってきた。ドイツでは50社が参加する大規模な実証実験が始まり、ドイツ鉄道は段階的な導入を決めた。日本でも伊予鉄グループが採用し、日立製作所も制度を整備する。働き方改革の焦点はテレワークから休み方の工夫に移りつつある。 所定労働時間、週35時間に 「労働時間の短縮を望む者にも、多くの賃金を望む者にも応える内容だ」。ドイツ鉄道で働く運転士は満足そうに語る。ドイツ鉄道は3月下旬、部分的な週休3日が可能となる週35時間労働を2029年までに実施することで、労働組合と妥結した。 運転士など約1万人を対象に、現在の所定労働時間である週38時間を段階的に引き下げる。完全週休3日に相当する週32時間の労使合意には至らなかったが、例えば、隔週などでの週休3日が可能となる。 新合意のポイントは、労働時間が減っても賃金が維持される点だ。段階的に週の最低労働時間を短くして、その都度、従業員らが選択できるようにする方針で、運転士は「より柔軟に働けるようになるだろう」と期待を寄せる。 ドイツ鉄道は運転士を中心とした熟練技能者の人手不足に陥っている。全国的な路線拡張工事も重なり、電車の遅延が深刻化している。ドイツ経済研究所は、運休や減便が起こらない水準を維持するには新規に1万人の雇用が必要と試算する。 人が集まらない理由のひとつが、運行計画に合わせて働く不規則な勤務体系にある。 一人ひとりの労働時間が減れば、人手はさらに不足する。ただ、現状が続けば働き手は今後、ますます減ることが想定される。労働環境の改善や柔軟な働き方をアピールして外部の人材を新たに採用しようと、会社は苦肉の策に踏み切った。 ドイツ鉄道の人事担当役員は「全従業員に一律的な労働時間を求めるのは時代に合わない。(合意内容は)企業の成長機会を得られるとともに、熟練技能者不足という特殊な状況にも対応できる」とする。
半年の実証に50社が参加 …
2024/06/17 16:21
半年の実証に50社が参加 ドイツでは2月、約50社が参加して週休3日を6カ月間試行する大規模な実証が始まった。ドイツ鉄道と同様、給与は週休2日と変わらず、全額支給する。鉄鋼業界でも週休3日が可能となる制度を導入することで、23年末に労働組合と企業が合意した。 イタリアでも、高級スポーツ車のランボルギーニが23年末、工場勤務者に週休3日を適用することを決めた。 欧州の動きの背景には、労使のパワーバランスの変化がある。 新型コロナウイルスの流行以降、労働市場に働き手が戻らず、人手不足が常態化した。少子化も進む中で、いかにして働いてもらうか。焦点となってきたのが週休3日の導入だ。 企業には、従業員の総労働時間が減ることで収益が低下する懸念がある。だが、英国で22年に行われた大規模な実証では、そんな心配を覆す結果が出ている。 参加した約60社の売上高は、週休3日を採用した22年6〜12月に前年同期比1.4%増となり、収益も維持した。時間内に仕事を終わらせるため、休憩を繰り返すといった勤務姿勢が改善されたためとみられる。 参加企業の社員約2900人のうち、7割がストレスの軽減を実感し、働き手の満足度も高まったという。 週休3日は日本でも、導入事例が見られるようになってきた。