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投稿コメント一覧 (10796コメント)

  • >>No. 6575

    欧州には2つの政治的な狙いがある。1つ目は民主主義陣営が安全保障政策で一枚岩であるというメッセージだ。

    7月に米ワシントンで北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議が開かれる。これに重なるタイミングで遠い太平洋に兵力を展開し、米欧が表裏一体だと印象づけたい。ロシアを意識するとともに、米国に対して「欧州の貢献」を目に見える形で示す思惑もある。

    2つ目は中国への警告だ。セルビアやモンテネグロなどのバルカン半島諸国に政治的な影響力を強めようとする中国への警戒心は強まっている。ドイツや英国など欧州政界のあちこちに潜入した中国のスパイ工作が相次ぎ露見し、不信感に拍車をかけている。

    ショルツ独首相は4月に独企業幹部を引き連れて訪中し、マクロン仏大統領も6日、パリを訪れた中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と経済交流を巡って会談した。一方で欧州は海軍と空軍を同時に太平洋に展開し、日韓印との関係も深めようとしている。

    欧州連合(EU)ではインド太平洋地域の安定こそ欧州の利益になるとの認識が浸透しつつある。台湾海峡などは海上輸送の要衝で、貿易ルートが寸断されれば欧州景気を支えるドイツ企業のサプライチェーン(供給網)に大きな混乱が生じる。

    英国は25年からインド太平洋で日米と定期的に合同演習することを明らかにした。今秋の米大統領選の結果にかかわらず、欧州のアジア安保への関与はますます深まりそうだ。

  • 欧州の海空軍、太平洋に集結へ 中国念頭、南シナ海も

    ドイツやフランスなど欧州諸国が多くの艦船と航空機を近く太平洋に展開する。日米などとの共同演習に臨み、一部艦船は南シナ海を航行する。中国の脅威への警戒心が急速に強まっているためで、欧州の海空軍が太平洋に集結する異例のケースとなる。

    ドイツ政府はフリゲート艦や補給艦で構成する艦隊を太平洋に派遣することを決めた。7日、独北部ウィルヘルムスハーフェンを出航し、大西洋を横断して太平洋に入る。今夏に米海軍主催の多国間海上訓練「環太平洋合同演習(リムパック)」に参加したのち、フィリピンと中国が領有権を争う南シナ海を通る。

    ベーアボック独外相は1月、フィリピンを訪問し、覇権主義に傾く中国を批判した。ドイツ海軍高官は「将来の紛争抑止のため、ドイツ海軍も重要な役割を果たす」と話す。

    欧州ではフランスやイタリアなどもリムパックに参加すると日本経済新聞の取材に明かした。フリゲート艦を派遣するオランダ海軍の報道官は「最新鋭兵器を使った演習で同盟国との協力を深めたい」と答えた。

    欧州諸国は同時に多くの航空機を太平洋に展開する。独仏スペインが戦闘機ユーロファイターと給油・輸送機などで構成する航空編隊をインド太平洋に送り、日米やオーストラリアとの演習に臨む。

    ここ数年、欧州勢がアジア安保に関与する動きが目立つ。2021年に英国が航空母艦、ドイツがフリゲート艦を日本に送った。ドイツは派遣規模を大きく広げ、歴史的にみてアジア外交に関心の薄かったスペインやイタリアまで加わる。

  • >>No. 6573

    政府支出は19.9%増となり、10〜12月期(2.8%増)から勢いが増した。2月14日に大統領選や国会議員選挙があり、開票作業で必要な人件費などの支出が増えた。

    一方、GDPの約2割を占める輸出は0.5%増と、10〜12月期(1.6%増)に比べて減速した。最大の貿易相手である中国の景気減速に加え、石炭やパーム油など主力輸出品の価格が弱含んだためだ。

    政府は24年通年のGDP伸び率を5.2%と見込むが、主力の家計消費の先行きには不透明感がある。

    コメなどの食料品の価格が上がり、3月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比3.05%と、7カ月ぶりの高水準となった。通貨ルピアがドルに対して下落し、輸入品を中心としたインフレが再燃するリスクも出ている。

    通貨防衛に向けてインドネシア中央銀行は4月24日、半年ぶりに利上げに踏み切った。政策金利(7日物リバースレポ金利)は過去最高水準にある。インフレを回避したとしても、金利上昇が自動車など耐久消費財の販売に影響を与える可能性がある。

  • インドネシアGDP、5.11%増 1〜3月 国内消費堅調

    インドネシア中央統計局が6日発表した2024年1〜3月の国内総生産(GDP)は、物価の変動を除いた実質で前年同期比5.11%増えた。伸び率は23年10〜12月(5.04%)から小幅に拡大した。GDPの約5割を占める家計消費が好調だった。

    家計消費は前年同期比4.9%増と、10〜12月期(4.5%増)から伸びが加速した。インドネシアは約2億7000万人の人口を抱える。中間所得層の拡大を背景に、飲食や交通などのサービス消費が活発だった。人口の9割近くを占めるイスラム教徒の断食月(ラマダン)が3月に始まり、日没後の飲食なども消費の押し上げにつながった。

  • >>No. 6570

    ――国内の砂糖需要は減少が続くのでしょうか。

    「人口減という、どうにもならない要因に直面しているのは事実です。日本の砂糖供給量は年間176万トンで100万トンは輸入です。1人あたり消費量は年間15キログラムで欧米の33キログラムの半分以下、世界平均の25キログラムに比べても少ないのです」

    「一方、菓子や飲料の需要が増える中国は11キログラム、インドは20キログラムで伸びる余地は大きくあります。当社は中国に合弁で工場を設立し、年間100万トンの現地生産を始めました。国内の落ち込みを海外で補うことは可能だとみています」

    ――国内景気に左右されにくい収益基盤となりますね。

    「海外に加え、シニア向けの栄養補助食品など、これからの日本で構造的に伸びる分野を強化しています。日本には65歳以上が3626万人おり、元気に働くシニアは912万人、働いていないが元気なシニアは1154万人います。この層は消費意欲が旺盛です。ケアや介護が必要なシニア向けの栄養療法食品、スポーツや美容におけるヘルスケア商品も合わせて、景気の影響が少ない部門を充実させれば、微減傾向が続く砂糖消費を補う、新たな収益基盤になるでしょう」

  • >>No. 6570

    ――値上げの影響はありましたか。

    「21年から8回の値上げで、国内卸値は43年ぶりの高値となっています。円安、原油高も加わり、卸売価格は30%ほど上がりましたが、小売価格も30%程度上昇しています。価格転嫁は順当に進んでいると言えるのではないでしょうか」

    ――なぜ値上げがすんなり浸透したのですか。

    「卸売りや大口取引先との価格交渉力が付いたためです。鉄鋼業界や石油業界と同じように、合従連衡によって規模のメリットが生まれました。22年に三菱商事系の大日本明治製糖と三井物産系の三井製糖が合併しDM三井製糖になりました。23年には住友商事系の日新製糖と伊藤忠製糖が合併、ウェルネオシュガーができました。系列を超えた合併がもたらした価格交渉力が、砂糖の安定供給や価格の安定につながります」

    ――健康志向の高まりなどから砂糖離れの動きはありませんか。

    「砂糖需要の8割は大手飲料メーカーや大手食品メーカー向けで、ここはそれほど変わっていません。2割の家庭用は微減が続いています。共働き家庭が増え、平日の夕食が内食から中食へ移行している影響が出ています。スーパーの店頭で以前は1キログラムのパックが売れ筋だったが、今は400グラム、ファスナー付きの商品が伸びています。健康志向もあって、白い砂糖より茶色など色の付いたものが人気になっています」

  • 毎日の生活に欠かせない調味料の一つが砂糖。原材料高や円安の影響で2021年から8回値上げしたが、需要は底堅く推移している。砂糖の消費からみた景気の現状と先行きを、DM三井製糖ホールディングスの森本卓社長に聞いた。

    ――景気の現状をどうみていますか。

    「要求を上回る賃上げの効果もあり、景気は回復基調にあります。デフレを脱却し、緩やかなインフレに向けた良い循環が始まっている手応えを感じます」

    ――砂糖の消費からも景気回復はうかがえますか。

    「砂糖は景気の影響を受けにくい商品ですが、コロナ初年度の2020年は1年間で11万トン、率にして5〜6%と一気に落ち込みました。足元の需要は上向いています。外出の機会が増え、訪問先への手土産として、日持ちのする和菓子や焼き菓子の購入が増えているためです。訪日観光客の外食や企業の宴席も増えており、飲食店における砂糖需要も回復しています」

  • >>No. 6567

    一方、利益を大きく伸ばしたのが自動車だ。部品を含む282社の純利益は48%増の1315億元だった。電気自動車(EV)で米テスラと世界最大手を競う比亜迪(BYD)は、純利益が300億元と81%増えた。積極的な値下げを量産効果で補い、世界シェアを高めている。車載電池最大手、寧徳時代新能源科技(CATL)の純利益は44%増の441億元だった。

    個人消費関連は総じて底堅さを保っている。家電は14%増益、食品は17%増益だった。個人消費が失速する前に若年層の失業問題や不動産不況に伴う逆資産効果を解消することが課題となる。

    中国企業の資本効率は低迷している。自己資本利益率(ROE)は7.7%と0.7ポイント悪化した。9%台の日本や18%超の米国に見劣りする。習指導部は国有企業の優遇を強め、効率より規模を追求する姿勢が鮮明だ。大規模な設備投資や研究開発は国際競争力を強化する一方、それに見合った利益に結びついていない。国有企業を中心に市場の規律が働きにくく、低いROEが放置されている面もある。

    中国は22年秋以降、卸売物価のマイナスが続く。打開策として企業が注力するのが輸出だ。24年1〜3月期の鋼材輸出は前年同期比3割増えた。バイデン米大統領はダンピング(不当廉売)の疑いがあるとして、中国製の鉄鋼やアルミ製品への制裁関税を3倍に引き上げると表明した。

    欧州も中国EVメーカーが不当な補助金で支援されていないか調査を始めた。中国の内需伸び悩みと安値での輸出攻勢が強まれば、世界経済のリスクが高まることになる。

  • >>No. 6567

    不動産を巡る信用不安は国有、民間企業とも広がっている。政府系の緑地控股集団は95億元の最終赤字を計上し、ドル建て債の債務不履行を起こした。経営難にある中国恒大集団や碧桂園控股(カントリー・ガーデン・ホールディングス)は香港上場で、実態はより悪い可能性が高い。

    不動産は関連産業を含めると中国の国内総生産(GDP)の3割を占めるとされ、関係の深い業種にも不振が及んだ。鉄鋼は13%、建材は34%の最終減益だった。石油・化学も18%減った。

    機械(重機を含む)は純利益が0.2%減った。習近平(シー・ジンピン)指導部のゼロコロナ政策転換で23年は経済再開が期待された。だが地方を中心に不動産価格が下げ止まらず、企業は設備投資に慎重になった。23年後半に中国政府が経済対策を追加し、GDPの実質伸び率は目標の5%を達成したが、企業業績の押し上げ効果は限定的だ。

  • 中国企業5年ぶり減益 不動産が初の赤字、5000社集計

    中国の上場企業の業績が悪化している。約5200社の2023年12月期の純利益は前の期比3%減った。減益は5年ぶり。不況の続く不動産が赤字に転落し、鉄鋼や建材などに波及した。好調な業種は自動車など一部にとどまった。デフレ圧力が強まる中国経済を反映しており、米欧は鉄鋼や車などの安値輸出に神経をとがらせる。

    上海や深圳など中国本土市場に上場する企業を対象に集計し、金融は除いた。4月末で23年12月期決算が出そろい、純利益合計は2兆8500億元(約61兆円)と前の期を1000億元ほど下回った。24年1〜3月期も前年同期比5%減となり、回復が遅れている。

    23年12月期は不動産が135億元の最終赤字と、まとまったデータの取れる2000年以降で初めて赤字となった。中国政府が20年に導入した融資規制を機に不動産会社の破綻やマンションの引き渡し遅延が相次ぎ、消費者の買い控えが広がった。

  • >>No. 6564

    中国人民銀行(中央銀行)による追加利下げのハードルは高くなっている。人民元安が進んでおり、人民銀行は4月の最優遇貸出金利(LPR、ローンプライムレート)を据え置いた。中国が金融緩和を急ぐと資金流出が加速しかねない。一方で資金調達の厳しさを訴える民間企業は多い。調査対象に民間企業が多い長江商学院の景況調査で資金繰り環境を示す指数は23年6月から50を下回ったままだ。

    供給過剰分は国外で安く売る動きにつながっている。米国や欧州では電気自動車(EV)や太陽光パネルなどの貿易で新たな摩擦が生じている。欧州の港では中国からの輸入車が滞留する現象が見られる。欧州連合(EU)は中国政府から補助金を受けた中国製EVが競争を阻害していないか調査を始めた。過剰生産が進めば問題は拡大する恐れがある。

    中国景気の底入れを先取りした動きを見せているのが銅相場だ。中国が最大の消費国で、製造業で広く使われる銅が4月下旬、英ロンドン金属取引所(LME)で2年ぶりとなる高値をつけた。銅は実需に加えて投機対象としても取引されている。市場関係者には世界の銅需要の5〜6割を占める中国の景気に明るい兆しが出始めたと捉える人もいる。

    みずほリサーチ&テクノロジーズの月岡直樹主任エコノミストは「引き続き内需は力強さを欠く展開になるとみている。(銅などの)相場は期待先行となっている可能性もある」と分析する。不動産不況は少なくとも年内は改善の見込みはないと指摘する。中国経済の先行きは楽観視できない状況にある。

  • >>No. 6564

    4月のPMIの内訳をみると生産が前月より0.7ポイント高い52.9となり全体を押し上げた。自動車や通信機器などが伸びた。中国では2024年に入って以降、生産活動が経済をけん引している。1〜3月の工業生産は前年同期比6.1%増え、23年通年の伸び(4.6%増)を上回った。

    生産増の寄与もあり1〜3月の中国の実質国内総生産(GDP)は前年同期比5.3%増えた。成長率は23年10〜12月(5.2%)を上回った。中国政府は24年の成長率目標を「5%前後」と定めている。現時点では目標水準を上回って推移する。

    生産が好調な一方で需要は勢いを欠いている。PMIの柱である新規受注は4月は50を上回ったものの、前月から1.9ポイント低下した。海外からの新規受注を示す指数も50を超えたが前月から0.7ポイント下がった。PMI統計の回答企業の6割近くが「需要が不足している」と答えた。

    特に不動産市況の悪化は深刻だ。1〜3月の新築住宅の販売面積は23.4%減で23年通年の減少率(8.2%)を上回って推移する。3月の新築の在庫面積は23.9%増となっており販売不振による在庫が積み上がっている。不動産企業による新たな投資が生まれにくくなるほか、家具や家電といった耐久財の買い替え需要の不振にもつながる。

  • 中国、生産拡大も内需不足続く 「貿易摩擦」の火種に

    中国の景況感が持ち直している。4月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.4だった。前月より0.4ポイント低下したが2カ月連続で好調・不調の境目である50を上回った。生産拡大が景気を下支えする構図が続き、不動産不況を中心に内需が不足する状況は変わらない。国内であふれた過剰供給分は国外で安く売られており、米欧との貿易摩擦の火種となっている。

    PMIは製造業3200社を対象に調べる。新規受注や生産、従業員数など項目ごとに調査する。50を上回れば前月より拡大、下回れば縮小を示す。3月は50.8で前月より1.7ポイント高く、6カ月ぶりに50を上回っていた。

  • >>No. 6561

    日本経済は30年続いた長期停滞からの脱却を見据える。賃上げが消費を刺激し、一段の賃上げや投資に回る「内需の好循環」が起動するかの分岐点だ。いまは物価高に所得増が追いつかないが、今年の春季労使交渉での大幅な賃上げが給与に反映されれば「物価を超える所得増」が見込める。

    円安が続いて物価高が長引くと実質の所得は増えにくくなる。仮に中東情勢の緊迫で原油高などが重なれば、企業は輸入コストが膨らみ、賃上げ余力がむしばまれる。好循環は十分に動かず、所得の目減りと企業収益の低迷が折り重なる「悪循環」に転じる。当局はそんな事態を防ぎたいとみているはずだ。

    だが米国のインフレが収束しない限り、介入は時間稼ぎにすぎない。日本が自らの手で状況を打開するには、円安メリットを最大限生かす経済構造の改革しかない。

    かつて日本が輸出立国だったころ、円安は強い追い風だった。この30年で空洞化が進み、輸出増が内需を潤す経路は細った。輸出も含め日本で稼げる産業の再集積をめざす成長戦略が急務だ。

    経済協力開発機構(OECD)によると、海外から国内への対内直接投資のGDP比は日本が5%と38カ国中最下位。海外企業の投資を促す取り組みも欠かせない。

  • >>No. 6561

    4月29日につけた160円24銭は1990年4月以来の安値だ。当時は日経平均株価が89年末の高値を境に急落に転じ、債券、通貨とともに売られる「トリプル安」が頻繁に市場を襲っていた。

    いまは株価は高値圏にあり、名目国内総生産(GDP)は節目の600兆円をうかがうなど経済は上向きの流れにある。

    だが円安に歯止めがかからないようなら話は別だ。LSEGのデータによると、160円35銭を割り込めば、86年12月以来の安値となる。85年のドル高是正の国際協調「プラザ合意」をきっかけに、日本が急激な円高に直面していたころだ。

    もし円相場が当時の経路をさかのぼって下がるなら、260円近辺まで底値のない「フリーフォール」状態になる。

  • 沈む円、悪循環回避へ発動
    2度目の介入観測、計8兆円か 成長戦略急務に

    政府・日銀が4月末に続き2日早朝にも円買い・ドル売り介入に動いたとの観測が出ている。介入規模は2日間で計8兆円強との見方がある。際限ない円安は物価高に拍車をかけ、個人消費を冷やしかねない。賃上げが消費や投資を促す好循環をうかがうなか、消費減でそれが「悪循環」に転じるのを防ぐ狙いが考えられる。円安を経済の強さに変える成長戦略が急務だ。

    1日夕(日本時間2日早朝)のニューヨーク市場。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で利下げ時期の先送りを示唆した半面、「利上げの再開」の可能性を否定したあとだった。

    想定以上に日米金利差が開く状況にはならず、円売りの勢いが弱まっていた。そこに巨額の円買い注文が持ち込まれ、円の売り手は虚を突かれる。市場では介入との見方が強まった。

    岸田文雄首相は2日、訪問先のパリで、円が一時急騰したことに関して「為替相場の動向や介入の有無を含めてコメントは差し控える」と語った。財務省の神田真人財務官は同日、介入の有無について「ノーコメント」と述べたうえで「24時間適切な対応はとっていく」と話した。

    これに先立つ4月29日も円が1ドル=160円台に急落した直後、大量の円買い注文で急反転した。市場では2022年10月以来の実弾介入だったとみられている。

    日銀の統計と事前の市場予想を突き合わせると介入で政府が市場から円資金を吸い上げた可能性がある金額は1回目が5兆円強、2回目が3兆円強。一連の介入としては22年9~10月(計3回)の9兆円程度に次ぐ。

    最初は「日銀が円安対応に消極的」との受け止めで膨らんだ円売り圧力に対抗し、次は円売りが緩んだところでの追撃。投機マネーとの攻防のなかで、巨額の資金投入を迫られた可能性がある。

  • 円、一時1ドル151円台に上昇 米雇用統計が予想下回る

    3日のニューヨーク外国為替市場で円が対ドルで上昇し、一時1ドル=151円台と、4月10日以来の円高・ドル安水準を付けた。米労働省が3日発表した4月の雇用統計で、市場の注目が高い非農業部門の就業者数が前月比17万5000人増と市場予想(24万人程度)を大きく下回り、米連邦準備理事会(FRB)が早期利下げに動く可能性を意識したドル売りが幅広い通貨で膨らんだ。

    円は3日のアジア市場では1ドル=153円前後を中心に取引されていた。政府・日銀が日本時間2日早朝に円買い為替介入に動いたとの見方が広がり、投機筋による円売り持ち高解消の円買いが円高圧力になっている。

  • 日本は「外国人嫌い」 米大統領、移民を称賛

    バイデン米大統領は1日、好調な米経済を支えているのは移民だと称賛した上で、日本や中国などの経済が低調なのは「彼らが外国人嫌いで、移民を望んでいないためだ」と発言した。ワシントンでの選挙資金集めイベントで述べたと、ロイター通信が報じた。

    11月の大統領選で対決するトランプ前大統領の移民受け入れに消極的な姿勢を念頭に、バイデン氏は集会で「移民こそが私たちを強くしてくれている」と強調。一方で「中国が経済面で停滞し、日本が問題を抱えているのは、ロシアやインドも同じで、外国人嫌いだからだ」との見方を示した。

    国際通貨基金(IMF)が4月に発表した今年の経済成長率の見通しでは、米国は2.7%で日本は0.9%。一方、中国は4.6%、インドは6.8%となっている。

  • 日銀の黒田前総裁「円安は一時的」 NYで講演

    日銀の黒田東彦前総裁は2日、ニューヨークで講演し、「円安は一時的だと思う」と述べた。黒田氏は歴史的な円安が通常よりも企業業績を押し上げている面がある一方、実体経済の力強さを踏まえれば株式市場の活況はバブル期とは異なると指摘した。

    「日本経済の展望と金融政策の正常化」と題し、日米交流機関「ジャパン・ソサエティー」で講演した。

    黒田前総裁は1970年代や80年代の円安局面と現在の産業構造の違いを踏まえ、為替が経済に及ぼす影響を分析した。以前の円安局面では日本企業がドル建て価格を見直し輸出を伸ばした一方、工場の海外進出が進んだ結果、現状は円安が進んでも販売価格に織り込めず、輸出はほとんど増えていないとした。

    一方、円安の進展で企業の換算上の収益は増加したと指摘。いずれのケースでも「円安が輸出企業の利益に著しいインパクトを及ぼすだろう」と述べた。足元の企業業績が円安で誇張されているの見方を示した上で、「異なる見解を持つ人もいるかもしれないが、円安の進展は一時的だと思う」とも語った。

    日銀総裁を務めていた2013年4月〜23年4月の金融政策も振り返った。13年4月に始めた異次元緩和について「当初の結果は非常に良かった」と述べた。もっともその後、原油価格が急落したことでインフレ率が低迷。物価は上がらないものだと考える人々のノルム(規範)も強く、マイナス金利やイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)などの非伝統的な政策を動員しても2%物価目標は達成できなかったとした。

    3月に日銀が金融政策の正常化に踏み切ったことは「経済が非常に好調で、インフレ率が3%に達し、賃金が上昇していることを踏まえれば自然なことだ」と評価した。「金融政策の正常化が注意深く行われることに自信を持っている」とも述べた。

    黒田前総裁は2%物価目標を定めた13年1月の政府・日銀の共同声明の重要性にも触れた。黒田前総裁は「日銀にとって最も重要な決定は前任の白川方明元総裁の時代に下されていた」との考えを明らかにした。

  • 3月のメキシコ送金額7700億円 約4年ぶり減も高水準

    メキシコ銀行(中央銀行)が2日発表した3月の海外からの送金額は約50億2100万ドル(約7700億円)と、前年同月比3.3%減少した。単月のマイナスは2020年4月以来、3年11カ月ぶり。米国、メキシコの金融政策にも関連してドル安・ペソ高が定着し、送金額の水準は高い。

    3月の送金回数は約1313万回(0.3%減)、1回あたりの送金額は382ドル(3%減)といずれも減少した。1〜3月の累計では、送金額が約141億ドル(1%増)、送金回数も3664万回(0.1%増)とプラスが続いている。

    24年の年明け以降、1ドル=17ペソをはさんで為替はもみ合いが続き、ドル安・ペソ高も長期化している。メキシコ人の出稼ぎ労働者は米国に多く、対ドルでのペソ高局面では送金時の目減り分を見越し、留守家族への送金額を増やす傾向がある。

    メキシコ中銀は3月に政策金利を11.00%と0.25%引き下げながらも、継続的な金融緩和サイクル入りは否定した。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ見通しが後退しても、米国とメキシコの金利差が急激に縮小する環境にはないとの見方は強い。

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