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一時開設の掲示板

 米大統領選で勝利宣言をした民主党バイデン氏に向けて、欧州主要国や日本が祝意を示すなか、米国のポンペオ国務長官の10日の記者会見が話題になっている。同長官が、これまでの選挙結果を現時点では認めない姿勢を示したからだ。米国務長官は、「トランプ政権の2期目に向けて円滑に移行する」とまで語った。
 ポンペオ国務長官は8月の共和党大会でビデオ演説を行い、トランプ大統領の外交政策を褒め称えていただけに、今回のトランプ氏の負けをなかなか受け入れられないのだろう。

 さてポンペオ氏の発言で他にも注目されたのが、アラブ首長国連邦(UAE)に約70機の米・最新戦闘機を含む総額233.7億ドルの武器販売パッケージを国務省が承認したことだろう。販売内容は中距離空対空ミサイルや大量の爆弾も含まれ、いかにも戦争の準備を進めているというような内容だ。
 トランプ政権下では中国をけん制するため、台湾に大量の武器を売却したのが印象に残っている。調べてみると、17年の迎撃ミサイルから今年10月の巡航ミサイルまで、台湾と米国の武器取引額の合計は約144億ドルに達した。巨額ではあるが、今回のUAEの購入規模とは90億ドル程度の開きがある。
 中東では更にサウジアラビアの米・武器購入が際立っており、米武器輸出の5分の1がサウジ向けという報道もみられた。そして日本も最新戦闘機を爆買いしている。いずれにせよ、トランプ政権が米軍事産業のセールスマンとして、この4年間良く働いてきたのは確かだろう。
 
 (トランプ大統領側は選挙結果に駄々をこねているが)バイデン氏が順当に大統領に就任した場合、INF(中距離核戦略全廃条約)への復帰が見込まれているだけに軍縮が進むのだろうか。ただ米の武器輸出が減少するのかといえば、そうでもなさそうだ。というのも民主党は国防に対し、以前から同盟国に公平な負担を求めているからだ。
 米経済の重要なパートでもある軍需産業をバイデン政権が見捨てるわけもなく、これまで以上の武器売り込みを他国にかけるかもしれない。取引金額が巨額になることも多く、それに絡んだドル需要がドル相場の下値を支えることが今後4年間にもあるかもしれない。