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コモンズ投信の新しい挑戦

コモンズ投信の新しい挑戦

国内に長期投資の大きな柱を打ち立てたいと2009年から「コモンズ30ファンド」を運用してきたコモンズ投信が、国内公募ファンドとしては約12年ぶりの新規設定となる新ファンドを設定する。新ファンドはスコットランドの運用会社であるウォルター・スコット社を投資助言者として迎え運用を行うグローバル株式ファンドだ。同ファンドを設定するに至った経緯や新ファンドの魅力等についてコモンズ投信代表取締役社長の伊井哲朗氏、運用部ポートフォリオマネジャーの金子敬行氏、そして、ウォルター・スコット・アンド・パートナーズ クライアント・サービス部 日本ビジネス推進役の多次貴志氏に聞いた。

情報提供元:ウエルスアドバイザー株式会社

伊井氏、金子氏

12年ぶりとなる新ファンドのインパクト

――長期投資のメリットを訴えるコモンズ投信が12年ぶりとなる新ファンドを設定しますが、新ファンドはどのようなファンドなのでしょうか?

伊井氏 「コモンズ30ファンド」の設定が2009年1月で、その後、2013年12月に「ザ・2020ビジョン」の運用を開始しましたが、それ以来、約12年ぶりに設定・販売するファンドを立ち上げたことになります。その他に、tsumiki証券専用にインパクト投資ファンドの立ち上げや私募投信などはありましたが、公募投信を直販で提供するというモデルで新設するのは久しぶりのことになります。

私どもは「ベストセラーファンド」ではなく、「ロングセラーファンド」を提供するというポリシーでファンドを運用しています。長期的な資産形成を実現するためには、投資先企業が持続的に価値を創造し、その成果が投資する方々の資産形成に確実に結びつくことが大切です。私たちは、そのような投資を実現するために、これまで取り組んできました。

伊井氏

コモンズ投信 代表取締役社長 兼 最高運用責任者 伊井 哲朗氏

「コモンズ30ファンド」は「30年目線の長期投資」、「30銘柄程度への集中投資」、「対話による価値の共創」をコンセプトにしています。生活者の皆さまには、現役世代と次世代がより豊かに暮らせる社会を目指す長期投資を提供し、投資先企業には、永続的な成長と価値創造を応援する長期資本を提供することを目標にしてきました。設定から約17年目になりますが、数々のアワードをいただきましたし、投資家の方々にもご納得いただけるリターンをご提供できたと自負しています。「ザ・2020ビジョン」は長期の目線で企業を評価しつつ、足元5年くらいの間に大きな変化を遂げる企業にフォーカスしたファンドです。そして今回設定する新ファンドも、これまでの私たちの考えを具体化した商品の1つとして送り出すものです。これまでできなかった海外の株式に投資するファンドとして、スコットランドのエジンバラで発祥のウォルター・スコット社のアドバイスを受けて運用します。

新ファンドは、日本を除く世界の株式市場から、長期で投資できる30社程度に厳選して投資するファンドになります。「コモンズ30ファンド」の投資家の方々から、長年にわたって同じような考え方で投資する外国株式ファンドがほしいというご要望をいただいてきましたので、そのご要望に応えられるファンドを用意できたと考えています。

――外国株の運用においては常々、最適なパートナーとの連携を考えているという話をされてきましたが、ウォルター・スコット社をパートナーに選んだ理由は?

伊井氏 コモンズ投信を立ち上げた時、会長の渋澤健と一緒に上場企業に設立趣旨を説明して回りました。その際、ソニーのCEOであられた出井伸之さん、堀場製作所の社長であった堀場厚さんといったそうそうたる経営者の方々から、「海外には骨太の長期投資家が多く存在していて長期目線の経営に対して助言してくれるありがたい存在になっているが、日本にはそうした投資家が育っていないことが残念だ。だからこそ君たちが挑戦するのであれば大いに応援したい」と言われました。 そして、その長期投資家として経営者の方々がそろって名前を挙げておられた運用会社の1つが、エジンバラのウォルター・スコット社だったのです。

世界に運用会社は数多くあるのですが、独立系でしかも厳選した企業に長期に投資し続ける運用スタイルの会社は、それほど多くありません。実際に、コモンズ投信を立ち上げた頃に、ヨーロッパの大手運用会社の日本支社の社長の方から、「コモンズはウォルター・スコットに似ている」という話は聞いていました。その時は話に聞いただけだったのですが、2018年頃からウォルター・スコットの日本ビジネス推進役である多次貴志さんといろいろと話をしていくと、互いの考え方が非常に近いことに驚きました。銘柄を決める時に、投資委員会で全員が一致しないと投資先として決定しないとか、組み入れた銘柄は基本的に等金額で投資するなど、「コモンズ30ファンド」ととても似たスタイルで運用していることがわかりました。わたしたちは、誰と相談するでもなく、長期投資を推進するという目的を追求する中で独自の運用ルールを作っていったのですが、それがウォルター・スコット社の考え方と非常に近かったのです。

「Oneの原則」に貫かれた長期投資の真髄

――ウォルター・スコット社が資産運用において一番大事にしていることは何ですか?

多次氏

ウォルター・スコット・アンド・パートナーズ クライアント・サービス部 日本ビジネス推進役 多次 貴志氏

多次氏 わたしたちは、全ての業務に「One(一つ)の原則」を貫いてきました。最初に来るのは「一つの目標」です。お客様のためにベストを尽くすことを目指しています。これは世代を超えて社内に受け継がれてきた文化であり、顧客との関係性やパートナーシップに心を配り、成果を出すべく努めてきました。次に「一つのアプローチ」です。当社では、高い利益成長率を持続し、収益性に優れ、堅固な財務基盤を有する銘柄を発掘し、投資対象としています。このような企業は非常に高い自律性を有しています。当社が他社と一線を画す成果を実現してきた背景には、この「一つのアプローチ」への注力があると考えています。最後に「一つのチーム」です。投資先企業について検討する際、多様なメンバーを結集させることで、様々な視点からの議論、討議が可能になります。より多くの頭脳が集まることで、一人がすべての決断を下す場合よりも、結果として顧客が受け取る恩恵は大きくなります。

ウォルター・スコット本社

スコットランド・エジンバラのウォルター・スコット本社

――新ファンドは、日本を除く世界の株式の中から30銘柄程度に絞り込んで運用ポートフォリオを作るということですが、投資銘柄を絞り込むにあたって重視するポイントとは?

多次氏 「株式市場ではなく、企業こそが、富(価値)を創出する原動力となる」という信念があります。従って我々は、国やセクター、投資テーマなどで企業を選定するのではなく、長期にわたり、持続的に極めて高い富を創出する能力を持つ銘柄を発掘することを目指しています。そうした企業は非常に数が少ないことから、ごく少数の確信度の高い銘柄を選んで投資を行います。一つの銘柄は、複数年にわたって保有するのが通常です。揺るぎない競争優位性、優れた利益率、低水準の負債、高いキャッシュフロー創出力、明確かつ優れた成長見通しといった強みを合わせ持つ、業界屈指の企業です。できるかぎり広範な投資機会を捉えて銘柄を発掘したいと考えています。

ウォルター・スコットの投資哲学と運用アプローチ

出所:ウォルター・スコット資料より

――コモンズ投信と連携する新ファンドで日本国内の投資家に届けたいことは?

多次氏 当社は1983年の設立ですから、長期投資家としては少し先輩になります。社長のジェーン・ヘンダーソンは1995年に当社に入り、2010年から運用の責任者を務めていますが、その彼女がコモンズのオフィスを初めて訪問した後、「入社したころのウォルター・スコットを思い出す」と話したのが印象的でした。それくらい長期投資家としての投資哲学だけでなく、価値観まで共有できると感じたのです。
わたしから見て、日本では長期投資の考え方がまだ十分に広がっているとは言えません。だからこそ、考え方の近いコモンズ投信と協力し、日本に長期投資を根付かせていこうという結論になりました。
企業の成長の果実を複利的に投資家が受け取れるのが長期投資です。投資家は将来の年金等のために長い目線で資産形成されるのですから、長期投資はぴったりの運用だと思います。

平均保有期間13年の長期投資を投資家とともに

――ポートフォリオマネージャーとして新ファンドに対する思いは?

金子氏

コモンズ投信 運用部/ポートフォリオマネジャー 金子 敬行氏

金子氏 設定前からウォルター・スコット社のスタッフの方々と交流を深めていますが、企業を見る目、企業との対話の方法など、投資信託発祥の地であるスコットランドで脈々と受け継がれている投資哲学に触れる機会があり、ワクワクしています。私どもと同じように長期投資を行うウォルター・スコット社の考え方は、「コモンズ30ファンド」を通じて行っている長期投資の考え方と非常に似ていますが、個々の取り組みの中には学びも多くあります。それらがコモンズ投信の運用そのものをブラッシュアップする機会になると思っています。

――コモンズ投信は、「コモンズ30ファンド」の運用説明会に投資先企業の方を迎えて、投資家に直接投資先の実情を知ってもらう交流セミナーなどの取り組みを続けてきました。投資家には、これまでにない投資体験となり、長期投資を促す取り組みの1つとして評価されていると思いますが、新ファンドの場合は、このような取り組みはどうする予定ですか?

伊井氏 「コモンズ30ファンド」の交流セミナーは、投資家の方々に投資先企業についてよりよく知っていただく機会としてのみならず、長期投資を促す機会としても効果が高いです。交流セミナーに参加していただいている投資家の方々は、コモンズ投信のサービスを受けているお客さんというより、自分たちが主体的に運用しているという気持ちで参加していただいているように感じます。

「コモンズ30ファンド」の投資企業の平均保有期間は約13年※です。運用期間が17年間程度のファンドで、平均保有期間が12年を超えているという話をするとウォルター・スコットの方々も驚かれます。世界的に、これほど長期に銘柄を保有しているファンドというのは珍しい存在なのです。
※2025年8月末時点で12.9年

交流セミナーも含めてコモンズ投信が作り上げてきた長期投資の文化は、ウォルター・スコットと一緒に行うファンドでも何らかの形で生かしていきたいと思っています。やはり、投資先企業について深く理解し、投資家の方々にその内容を伝えていくという活動においては、コモンズ投信には他の運用会社にはないノウハウがあると思っています。

――新ファンドの活用法についてイメージはありますか? 

伊井氏 今、多くの投資家の方々が「全世界株式(オール・カントリー)」のインデックスファンドを持っておられますが、実際に、2500銘柄からなるファンドの中身を理解されている方が、どのくらいいらっしゃるでしょう。もっとも、「全世界株式」といっても7割が米国株ですし、米国株の3割は「マグニフィセント・セブン」といわれる大型ハイテク株です。インデックスは時価総額の大きな銘柄で構成されていますから、ウクライナやイスラエルで使われているような兵器を作っている会社も投資対象に入っています。インデックスファンドとは投資対象を選別することなく、全世界の株式に幅広く投資することを目的にしています。

今回、私どもが提供するのは、日本を除くグローバルな市場から選んだ30銘柄程度のポートフォリオです。それぞれの企業が何をしている会社なのか、なぜ、その会社を組み入れているのか、ひとつひとつの会社について全て理由を説明できます。同じグローバル株式ファンドでも明らかに性格が異なるファンドですので、全世界株型のインデックスファンドに投資してきた投資家の方々にも、別の視点で投資するグローバル株として保有していただけるファンドになると思っています。
そして、日本株が中心の方や、「コモンズ30ファンド」をお持ちの方にとってもメリットがあると思っています。
私たちは「自分にも、社会にも、いい投資」を掲げ、経済的なリターンだけでなく投資先企業が生み出す社会的価値をもリターンと捉え、その両方のリターンと楽しさをファンドを通じてお届けしたいと考えてきました。すでに「コモンズ30ファンド」をお持ちの方には、新ファンドも保有いただくことで、世界の企業からも同様のリターンを受け取っていただけると思っています。
新ファンドは、私ども直販のみで独占的に取り扱うファンドではありません。「コモンズ30ファンド」が全国50社を超える販売会社を通じて販売していただいているように、私どもの考え方に共鳴していただける販売会社の方々と共に、順次全国で同ファンドの魅力を伝えていきたいと考えています。

ファンド詳細はこちら(外部サイト)

伊井 哲朗

代表取締役社長 兼 最高運用責任者

山一證券で営業企画部に約10年間在籍し、マーケティングなど担当。その後、機関投資家向け債券営業。メリルリンチ日本証券、三菱UFJメリルリンチPB証券で法人・個人向け営業を約10年。コモンズ投信創業と共に現職。2012年7月からCIO兼務。

金子 敬行

運用部/ポートフォリオマネジャー

ボストン・コンサルティング・グループで戦略策定、M&A、経済/産業分析などに従事。金融機関で経営企画、商品開発、投資運用などに従事。2025年3月にコモンズ投信に入社。

多次 貴志

ウォルター・スコット・アンド・パートナーズ クライアント・サービス部 日本ビジネス推進役

日本と英国において長年にわたり、資産運用ビジネスに従事した後、同社に2018年に入社。同社入社の直前はスタンダード・ライフ・インベストメンツに7年在籍し、日本進出、英国における日本企業との取引推進をリードした。関西学院大学経済学部卒業。日本証券アナリスト協会検定会員。

コモンズ投信株式会社 ロゴ
商号 コモンズ投信株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第2061号
加入協会 一般社団法人 投資信託協会
  • ※投資信託は、値動きのある有価証券等に投資するため、その基準価額は変動します。
    したがって、お客さま(受益者)の投資元本は保証されているものではなく、基準価額の下落により損失を被り、投資元本を割込むことがあります。
    委託会社の運用により生じるこうした基準価額の変動による損益は、すべてお客さま(受益者)に帰属します。なお、投資信託は預貯金と異なります。
  • ※文中に記載の内容は特定銘柄の売買などの推奨、または価格などの上昇や下落を示唆するものではありません。

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