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主要事業の立て直しが進み、成長再加速の局面 フリークアウト・ホールディングス<6094>

主要事業の立て直しが進み、成長再加速の局面 フリークアウト・ホールディングス<6094>

投資情報サービスを提供するウエルスアドバイザー株式会社が作成したレポートです。フリークアウト・ホールディングス<6094>の業績動向や財務状況、事業環境を分析し、今後の見通しを投資判断の参考情報としてレポートいたします。


※本記事は2026年2月16日時点で作成されたレポートをもとに構成しています。

第1四半期は好業績、想定上回るも計画据え置き

チャート

26年9月期第1四半期(25年10-12月)の連結業績は、売上高15,087百万円(前年同期比9.8%増)、営業利益615百万円(同3.9倍)となった。海外事業で懸念事項となっていた北米が回復傾向を示したほか、25年初頭に子会社化したUUUMはマーケティング部門を新設分割するなどの構造改革が奏功し、増収増益となった。

特に北米事業は、一部人材投資の影響があり利益面での完全回復は今後第3四半期(26年4-6月)以降になる見通しだが、クライアントが増えており、売上面では想定を上回っている。このほか、国内ではタクシーサイネージやリテールサイネージも堅調だった。

26年9月期の連結業績予想は、売上高55,000百万円(前期比9.3%増)、営業利益700百万円(同7.3倍)。第1四半期時点における売上高の進捗率は27%と良好で、経常利益以下は通年の業績予想数値を超過しているが、例年業績が上期に偏重する傾向にあるため、現時点では期初計画を据え置いた。

北米の復調とUUUMの立て直し

フリークアウトHDでは、29年9月期にEBITDA6,000百万円の達成を目指している。25年9月期の実績が1,952百万円、26年9月期の予想が2,500百万円なので、容易ではないようにみえる。ただ、海外事業とUUUMが回復傾向にあることから、必ずしも無理な計画ではないだろう。

直近で苦戦していた北米事業はクライアントが戻ってきて業績も回復基調を示している。北米事業のEBITDAは一時期1,500百万円以上の実績があり、29年9月期に同水準までの回復を目指す方針だ。また、UUUMについては現在も上場廃止前の20,000百万円規模の売上を誇る。

利益面においてはオフィス統合やコーポレート機能の統合を通じたコスト削減でEBITDA1,500百万円前後を目指す。グループ全体では上記のほか、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)の導入などで資金効率の向上とコスト削減を図ることで各段階利益の改善も目指す。

このほか、タクシーサイネージは、ディー・エヌ・エー<2432>が出資する配車アプリ大手GO(東京都港区)との合弁事業として16年から事業を開始している。新型コロナウイルスの影響などで停滞したタイミングもあったが、足元はタクシーサイネージ媒体がメジャーな広告媒体の一つとして業界で認識されるなど、過去最高の利益を更新している。

GOは2月2日に東証への上場申請を行ったところで、今後の成長次第で合弁事業のタクシーサイネージにとっても追い風となるだろう。リテールサイネージも23年ごろから準備を進めてきたもので、足元で収益貢献が顕在化し始めている。売上の急拡大は見込みにくいものの、堅実な成長が期待される。

ウエルスアドバイザー(WA)では、今後3年間の売上高成長率を10%と予想。今期予想の営業利益率は1.3%(前期は0.2%)に改善する見通しだが、これは本社移転費用を織り込んだものである。

会社の決算説明資料にもあるとおり、第1四半期の営業利益などの進捗率が高いことから、業績予想の上方修正の可能性もあるほか、来期以降はさらに利益率が改善するとみて、今後3年間の営業利益率を3-4%とし、想定株価レンジを3年業績予想からDCF(ディスカウント・キャッシュ・フロー)法で算出した1,000円を軸に、900円-1,100円とする。足元の株価との乖離が大きいことから、投資判断は新規「Overweight」とする。(宮川 子平)

業績動向

会社概要

デジタル広告を中核とするマーケティングテクノロジー事業を展開する持株会社。グループ会社を通じて広告配信、媒体収益化、データ活用を軸とした複数の事業領域をカバーする。

主力はプログラマティック広告関連事業で、DSPやSSPといった広告取引プラットフォームを開発・運用し、広告主と媒体社をリアルタイム入札(RTB)で接続する仕組みを提供する。配信フォーマットはインフィード、動画、ネイティブ広告など多岐にわたり、広告効果の最適化や運用効率の向上を収益源とする。

媒体社向けの収益最大化支援や広告運用基盤の提供を行うほか、近年は小売事業者の購買データを活用したリテールメディア分野にも注力。デジタルサイネージやデータマーケティング関連事業など周辺領域にも展開し、オンライン・オフラインを横断した広告エコシステムの構築を進めている。25年にYouTuber(インフルエンサー)を広告媒体として企業に提供するUUUMがグループ入りした。

事業環境と展望

フリークアウトHDによると、国内のインターネット広告市場(広告費ベース)は、19年にテレビ広告市場を追い抜いて以降、一貫して拡大基調を維持し、23年時点で3兆3,330億円に達しており、広告主の予算配分が従来型メディアからデジタル領域へと構造的にシフトしている状況だ。

スマートフォンの普及を背景に消費者がメディアに触れる機会が変容しているほか、検索連動型広告、SNS広告、動画広告といった成果測定が可能な広告フォーマットへの需要拡大がある。中長期的な見通しとしては、国内インターネット広告市場は今後も安定した成長が続くとされており、28年には市場規模が3兆9,759億円に達する見通し。成熟市場とされる日本においても、動画広告やコネクテッドTV(CTV)広告の拡大、データ活用高度化を背景に、デジタル広告への投資余地はなお大きいとみられる。

一方、米国のインターネット広告市場は、OTT(動画配信サービス)やCTVの急速な普及に加え、動画コンテキスト広告やAIを活用したターゲティング技術の進展を追い風に、年率約10%の成長が見込まれている。

27年までに市場規模は約4,800億ドルに達する見通しであり、フリークアウトHDにとっては、国内市場の安定成長を基盤としつつ、成長余地の大きい米国市場での事業拡大が中長期的な成長ドライバーとなる構図であり、プログラマティック広告および動画広告領域での競争力強化が今後の収益成長を左右する局面にある。

アナリストピックアップ情報

29年9月期で時価総額900億円を目指す
米国のネット広告市場は年間10%の成長を見込んでいる
株主還元

リスク要因

主力とするDSP・プログラマティック広告が、巨大プラットフォーマーの広告仕様変更やポリシーに強く依存している点が挙げられる。

特にサードパーティCookie規制やOS側のトラッキング制限は、配信精度や広告効果の低下につながる可能性がある。また、北米事業は回復基調にあるものの、競争環境は厳しく、収益化の遅れや為替変動による業績振れも中期的な不確実要因となる。

競合他社比較

比較企業は、広告・マーケティング支援のAppier GroupI<4180>と、AnyMind Group<5027>、インフルエンサーの活用等でUUUMと競合するANYCOLOR<5032>の3社を選定した。

競合他社比較

成長性

フリークアウトHDは26年9月期で売上高成長率9.3%、営業利益成長率625.3%(7.3倍)と大幅な伸びを見込んでいる。海外事業(米国)の回復、UUUMの立て直しなどが業績に貢献する見通し。第1四半期(25年10-12月)の時点では営業利益以下が計画を上回っており、上期に偏重する傾向にあるとはいえ、想定以上の推移となっているが、予想を見直すのは時期尚早として見送っている。

収益性

フリークアウトHDの26年9月期の売上高営業利益率は1.3%(前期は0.2%)に改善する見通し。本社移転を予定しており、費用も織り込み済み。27年9月期以降はさらなる改善が見込まれる。

25年9月期の自己資本当期利益率(ROE)は2.4%(24年9月期は赤字)、総資産経常利益率(ROA)は1.4%(同0.8%)と、いずれも前期から改善した。24年9月期はUUUMの子会社化に伴う償却費の計上のほか、為替差損も発生し、最終赤字となっていた。なお、AnyMind Groupは25年12月期のROEとROAを開示していない。

財務安定性

フリークアウトHDは、目先の金利上昇を見込んで借入を優先させたため、有利子負債が増えており、25年9月期の自己資本比率は26.1%(前期は30.4%)、流動比率は156.7%(同183.9%)とそれぞれ低下、デット・エクイティ・レシオは168.4%(同143.9%)に上昇した。

比較企業よりも見劣りするものの、特に懸念すべき水準ではない。また、AnyMind GroupとAppier GroupはM&A(企業の合併・買収)の実施などを理由に25年12月期に有利子負債が増えているが、財政面での不安は小さい。

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