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「Thinca VISION 2030」を推進 シンカ <149A>
投資情報サービスを提供するウエルスアドバイザー株式会社が作成したレポートです。株式会社シンカ<149A>の業績動向や財務状況、事業環境を分析し、今後の見通しを投資判断の参考情報としてレポートいたします。
※本記事は2026年8月31日時点で作成されたレポートをもとに構成しています。
業績ハイライト
ストック売上高は順調に成長
26年12月期第2四半期累計(1~6月)の業績(非連結)は、売上高が875百万円(前年同期比24.5%増)、営業損益が151百万円の赤字(前年同期は36百万円の黒字)だった。KPI(重要経営指数)について、アクティブユーザー拠点数は6,619拠点(前年同期末5,939拠点、前年同期比11.4%増)に増えた。それを背景に、ストック売上高は前年同期比20.2%増と順調に成長しており、第2四半期時点において年換算で約15億円となっている。
その一方で、今期は過去最大の成長投資(984百万円)を計画している。こうした中で、フィックスターズ<3687>と資本・業務提携し、「カイクラフォン」「AI受託開発」「AIコンサル」の新規事業を開始した。通期業績予想は売上高1,858百万円(前期比26.9%増)、営業損益579百万円の赤字(前期は60百万円の黒字)を据え置いた。
26年12月期は過去最大の成長投資を実施
「カイクラ」は固定電話や携帯電話、メール、SNSアプリといった様々なコミュニケーションチャネルを一元管理して顧客サービスの向上に結び付けるクラウド型SaaS。また、「カイクラ」を設置した拠点に顧客から電話がかかってきた場合、その顧客の情報をPC上に表示することができる。こうしたサービスは従来、コールセンターで導入されていたが、同社は機能を絞ることで一般企業向けに安価な利用料で提供できるようにした。
「カイクラ」は導入時に固定電話の環境を変える必要がないほか、AIによる通話のテキスト化や、通話音声の感情分析といった独自機能も評価され、ストック売上が順調に成長、月次解約率(26年12月期第2四半期平均0.35%)も低位で推移している。顧客は、高額の商品を取り扱い、商品の購入頻度が低い自動車や不動産の販売会社がメイン。個々の機能や展開領域ごとに競合するサービスはあるものの、「カイクラ」のように導入しやすい料金体系で汎用性の高いものは見当たらず、いわゆるブルー・オーシャン戦略による事業展開を進めている。
同社は現在、「Thinca VISION 2030」として、30年12月期の売上高6,500百万円以上、営業利益1,500百万円以上、PER15倍以上を目指している。それに向け、成長投資を強化し、26年12月期の投資額は現時点の推計で879百万円(元々の計画では984百万円)で過去最大になる見通しだ。投資は人材の採用・育成、広告宣伝、研究開発に加えて、AI関連投資に充当する予定。人材拡充からの営業強化と効率的な広告宣伝により、主に「カイクラ」の知名度向上とともに、アクティブユーザー拠点数の増加に注力し、ストックを中心とした売上拡大を図る。
また、同社は「カイクラ」を中心とした研究開発を進めるとともに、26年6月にはAI開発に強みを持つフィックスターズと資本・業務提携し、「カイクラ」のAI機能を強化する体制を整えた。今後、「カイクラ」に蓄積された豊富なコミュニケーションデータと生成AIの親和性を生かし、AI関連機能のリリースを継続していく計画だ。これまでのAI機能は無償提供だったが、今後は有償機能を提供し、それがARPA(1拠点あたりの平均売上)拡大につながると期待される。
一方、26年6月に改正保険業法が施行、10月にカスタマーハラスメント対策が企業の義務になる中、今年3月に資本・業務提携したSB C&Sと共同で、新しい規制に対応するツールとして、「カイクラ」の全国展開を本格化していく。現在の中心である自動車、不動産業界だけでも開拓余地は大きい。さらに、金融や自治体、病院など、他業界の開拓も推進する。
「Thinca VISION 2030」では同社業績は27年12月期に黒字転換し、その後は売上・利益とも成長を継続する計画。ウエルスアドバイザー(WA)はストック売上の成長およびストック比率向上から、「VISION」実現の可能性は十分にあると考え、投資判断は「Overweight」継続とする。想定株価レンジは算出基準を利益成長が軌道に乗るとみられる29年12月期とし、DCF(ディスカウント・キャッシュ・フロー)法を用いて算出した1,000~1,400円とする。(梅村 哲哉)
企業概要
固定電話や携帯電話、メール、SNSアプリといった様々なコミュニケーションチャネルの一元管理を可能にするクラウドサービス「カイクラ」を展開。ビジネスモデルはストック型で、導入時の初期費用と月額利用料に加え、SMSなどの従量課金がかかる。「カイクラ」を使うことで、顧客情報とその顧客との過去のコミュニケーション履歴を紐づけて自動で一元管理・参照することができ、また固定電話への入電時にはこれをPC画面へポップアップ表示することもできる。
業務経験やスキルに依存せず、担当外であってもそれまでの経緯を把握できるため、質の高いカスタマー対応を可能にする。自動車や不動産の販売会社のほか、医療・介護業界や士業向けが中心で、メインターゲットは中規模企業。直販と代理店経由での販売に加え、OEMでも展開している。今後は金融や自治体の開拓も進めていく方向。
事業環境と成長戦略
企業向けのコミュニケーションプラットフォームの中でも、同社が展開する「カイクラ」は汎用性に優れ、手軽な運用コストで導入できる。AIを駆使した独自機能も顧客のカスタマーサービス向上に寄与しており、極めて低い解約率を維持している。DX市場の成長スピードを上回る勢いでのアクティブユーザー拠点数の拡大ペースを当面維持できると考えられる。
市場規模は同社がこれまで注力してきた自動車小売、金融・保険業、不動産賃貸・管理業、宿泊業、飲食店、医療・福祉業ベースで2,900億円、これらの業界に「カイクラ」のニーズがあると考えられ、導入実績のある生活関連サービスや娯楽業などを加えたマーケットが6,000億円、さらに「カイクラ」が参入できる可能性のある製造業や建設業、情報通信業、教育・学習支援業なども含めた場合は1兆6,000億円と試算される。
投資判断のポイント
アナリストピックアップ情報
リスク要因
「カイクラ」は顧客との様々なコミュニケーション手段での会話の履歴とその属性を一元管理することに加え、通話録音機能や音声テキスト化機能、SMS送信機能などによって顧客ニーズの分析や応答品質の向上を支援する。個々の機能や展開領域には競合他社が存在する。そうした競合による技術面や価格面での攻勢が強まったり、新規参入勢の台頭に伴う競争環境の激化が起きれば、同社の経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性がある。
競合他社比較
類似企業として、ビジネスチャットのkubell<4448>を選んだ。※kubellの26年12月期予想はレンジ中央値
成長性・収益性・財務安定性
成長性
26年12月期の会社計画は、売上高を前期比26.9%増、営業損益を赤字としている。現在は「カイクラ」のストック基盤の拡大を推進するフェーズにあり、特に26年は過去最大規模の成長投資を実施する計画。しかし、27年12月期以降は投資を継続しつつ、利益成長も重視し、その後は30年12月期の目標(売上高6,500百万円、営業利益1,500百万円)に向かって力強い成長が継続する見通しだ。一方、売上の伸びに結び付くアクティブユーザー拠点数は順調に増加しており、今後もトップラインの高成長が見込まれる。
収益性
売上高営業利益率は24年12月期が6.3%で、25年12月期は4.1%に低下した。26年12月期は赤字予想だが、これは将来の成長基盤を確立するため、過去最大規模の投資を行うことが影響する。ストック型収益モデルとして売上高成長が継続することで、来期には黒字を回復し、その後の利益率は急速な改善が予想される。
財務安定性
自己資本比率は23年12月期73.0%、24年12月期79.6%、25年12月期81.9%で、着実に上昇している。25年12月期の有利子負債は60百万円と、24年12月期の90百万円から大幅に減少した。また、流動比率は100%を大きく上回っており、財務面の不安は乏しい。全体的に財務は健全かつ安定的な状態にある。
ウエルスアドバイザー・エクイティ・リサーチレポートの用語説明・読み方(外部サイト)
本資料は投資判断の参考としての情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的とするものではありません。銘柄の選択、投資判断の最終決定はお客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。本資料に掲載された意見は作成日における判断であり、予告なしに変更される場合があります。本資料に掲載された意見・データは、当社が信頼できると判断したデータ等により作成いたしましたが、その正確性、安全性等について保障するものではありません。著作権、知的所有権等一切の権利はウエルスアドバイザー株式会社に帰属しますので、許可なく複製、転写、引用等を行うことを禁じます。
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2026/09/10更新