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世界の債務、過去最大の315兆ドル 3月末時点で 世界の債務増加が続いている。国際金融協会(IIF)の集計によると、3月末時点の残高は315兆ドル(約4京8000兆円)と過去最大を更新した。新興国や米国、日本における債務増加が全体を押し上げた。 IIFは四半期ごとに報告書「グローバル債務モニター」を公表。世界の国々の家計や企業、政府、金融機関が抱える債務を集計・分析している。3月末の債務残高は2023年12月末から1兆3000億ドル増加。国内総生産(GDP)比率も333%と1ポイント上昇した。 新興国では中国やインド、メキシコで債務増加が目立った。24年1〜3月期は米利下げ観測が強く、ドル高基調が落ち着いていた。第一生命経済研究所の西浜徹主席エコノミストは「イールドハンティング(利回り狩り)目的で相対的に高金利の新興国への資金流入が活発だった可能性がある」とみる。 一方、当面は「米国の頑固なインフレは引き続き大きなリスクで、資金調達コストに上昇圧力がかかる」と強調。ドル高に加え、貿易摩擦や地域経済の分断が進めば、新興国を中心に対外債務の返済能力が低下する可能性があるという。 報告書は日本の債務負担の重さや円安にも言及した。金融機関や政府が大量の外国資産を保有しており、大幅な円安は日本の債務問題にとってプラスだと指摘。半面、円安が購買力低下を招き、「中長期的には家計の債務動向に悪影響を及ぼす可能性がある」と加えた。
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米2年債利回りは一時5%台に浮上し、05年以降で初めて株式の益回りを上回った。クレディ・アグリコル証券の大藤新マクロストラテジストは「当面はリスクの低い国債や格付けの高い社債に資金が集まりやすい」と指摘する。 米金利高は世界の市場から米国への資金流出を招きかねない。特に影響が大きいのは新興国だ。6カ月ぶりに利上げしたインドネシアのほか、ブラジルや韓国で株価が下落した。これらの国は通貨が対米ドルで下落している。第一生命経済研究所の西浜徹主席エコノミストは「通貨安で物価上昇の懸念が高まりやすい国では株式も総じて売られた」と話す。 「世界の株式はなぜこんなに下がっているのだ」。4月中旬、野村証券の須田吉貴クロスアセット・ストラテジストが香港やシンガポールで計100人の海外投資家と会った際に常に聞かれた内容だ。「米金利の上昇が売り材料視され、ヘッジファンドが4月に売りを膨らませた」と回答すると潮目の変化に高い関心が集まったという。 世界の株式市場の調整にどれくらい時間がかかるかは見方が分かれる。 日米の株式と債券を組み込んだファンドを運用する三菱UFJアセットマネジメントの石金淳チーフファンドマネジャーは「低リスクで安定して5%程度の利回りを確保できる米国債は魅力だ。直近半年程度は海外投資家には米国債の方が投資妙味がある」と指摘する。 一方、BofA証券の圷正嗣チーフ日本株ストラテジストは「米利下げが遅れたとしても、方向性は変わっていない。企業決算の好調と合わせて株価もいずれ上向いてくるだろう」と話した。
南ア・ランド4カ月ぶり高値、対…
2024/05/14 19:42
南ア・ランド4カ月ぶり高値、対ドル 遠のく利下げ観測 南アフリカの通貨ランドは13日、対ドルで1ドル=18.2ランド台とおよそ4カ月ぶりの高値をつけた。14日の東京市場も高値圏で推移。米国で利下げ観測が再燃する一方、南アフリカの利下げは遠いとの見方が広がり、ランド買い・ドル売りの動きが強まっている。 南アフリカ準備銀行(中央銀行)は3月末、政策金利を5会合連続で8.25%に据え置いた。4月発表の3月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比5.3%上昇と、いまだに中銀目標の4.5%(中央値)を上回る。「インフレへの警戒がくすぶっており、利下げは当分先になる」(第一生命経済研究所の西浜徹主席エコノミスト)との見方から、5月末の次回会合でも政策金利を据え置くとの声がもっぱらだ。 米連邦準備理事会(FRB)の金融政策を巡っては、5月1日の米連邦公開市場委員会(FOMC)や市場予想を下回った4月の米雇用統計をうけて、年内の米利下げ観測が足元で再浮上している。米国と南アフリカの金利差が開くとの見通しから、ランド買い・ドル売りの動きに波及した。 ランド高基調は長く続かないとの見方もある。5月末の総選挙では、ネルソン・マンデラ氏の政党である与党のアフリカ民族会議(ANC)が単独過半数の議席を失うと予想する声が目立つ。「政治不安が生じる可能性は高く、通貨安要因になりうる」(西浜氏)との警戒感がある。