どうする巨大加速器計画、政府 意思表明の期限迫る
宇宙誕生の謎に迫る巨大加速器「国際リニアコライダー(ILC)」を日本に誘致する構想を巡り、科学者の国際組織が日本政府に求める意思表明の期限が1カ月後に迫った。巨額の費用負担に対する懸念が根強い一方、建設候補地の東北地方などでは国際的な研究拠点が生まれることへの期待が大きい。日本の将来にも影響を及ぼす計画だけに、政府には責任ある対応が求められる。
「国内の科学コミュニティーの理解や支持が得られることが必要だ」。柴山昌彦文部科学相は1月25日の閣議後の記者会見で、ILC誘致について慎重な姿勢を示した。発言の背景にあるのが、国内の研究者の代表機関である日本学術会議が2018年末にまとめた意見だ。
学術会議は宇宙の成り立ちなどを探る素粒子物理学の発展を高く評価しつつも、巨額の建設費などを懸念し、ILC誘致について「支持するには至らない」との立場を示した。政府による意思表明についても「判断は慎重になされるべきである」と注文をつけた。
つまり、現状では柴山文科相の言うような「科学コミュニティーの理解や支持」は得られていない。普通に考えれば誘致を断念してもおかしくなさそうだが、そう単純な話ではないのがこの計画の複雑なところだ。
ILCは地下にトンネルを掘ってつくる全長20キロメートルの直線状の巨大加速器だ。電子と陽電子を光速に近い猛スピードで衝突させ「ビッグバン」を人工的に再現。そこで起こる現象を観測し、宇宙誕生の謎を探る。宇宙に大量に存在する「暗黒物質」の正体などに迫れる可能性があるとされる。

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