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長引く「円弱」時代 転機は秋の日米中銀会合か
2024/05/18 04:00 日経速報ニュース 2681文字

 日本経済の弱さを背景にした「円弱」の時代が長引いている。円相場は1ドル=150円の節目を抜けるなどの歴史的な円安・ドル高局面が3年連続で起きている。「円弱」はいつまで続くのか。新しい少額投資非課税制度(NISA)を使って外貨投資を始めた人にとっても気がかりな点だろう。
 日本の経済構造が弱く
 基本的に為替相場は、景気循環に合わせて上昇と下落を繰り返すことが多い。なぜ歴史的な円安局面からなかなか脱せないのか。背景には日本の経済構造自体が弱り、政府・日銀が人為的に円を下支えしないと歯止めをかけられなくなった現状がある。

もう1つの基本要因である需給差も、円安材料として働きやすい状況が定着している。財務省の貿易統計をみると、2023年度までの5年間のうち4年間は円買いを伴う輸出額よりも円売りを伴う輸入額が多い貿易赤字だった。とくに直近の3年間は、5兆円を超える大幅な赤字が続いている。
 日本はエネルギーや原材料を輸入し、高品質の製品に加工して輸出する貿易立国。赤字が常態化しているのは、生産拠点の海外移転が止まらず、日本経済の屋台骨である輸出産業が弱っている状況にほかならない。
 モノの貿易に限らず、サービス分野でも赤字が続いている。米巨大IT(情報技術)企業が日本でのサービス提供で得た利益を本国に戻すことに伴う円売りが急増している。インバウンド(訪日外国人)の拡大で外国人が日本での宿泊や食事に使うための円買いは増えているが、補いきれていない。


 円相場に大きな影響を与える経済の基本要因は2つある。日米間の金利差と需給差だ。金利差要因では、日本よりも米国の金利の方が高くなれば、投資家のお金は円からドルに流れやすくなる。高金利の通貨ほど、より高い収益を期待できるからだ。新NISAで個人マネーが外貨資産に向かうのも同じ理由だ。

バベルの塔 長引く「円弱」時代 転機は秋の日米中銀会合か 2024/05/18 04:00  日経速報ニュース    2681文字   日本経済の弱さを背景にした「円弱」の時代が長引いている。円相場は1ドル=150円の節目を抜けるなどの歴史的な円安・ドル高局面が3年連続で起きている。「円弱」はいつまで続くのか。新しい少額投資非課税制度(NISA)を使って外貨投資を始めた人にとっても気がかりな点だろう。  日本の経済構造が弱く  基本的に為替相場は、景気循環に合わせて上昇と下落を繰り返すことが多い。なぜ歴史的な円安局面からなかなか脱せないのか。背景には日本の経済構造自体が弱り、政府・日銀が人為的に円を下支えしないと歯止めをかけられなくなった現状がある。  もう1つの基本要因である需給差も、円安材料として働きやすい状況が定着している。財務省の貿易統計をみると、2023年度までの5年間のうち4年間は円買いを伴う輸出額よりも円売りを伴う輸入額が多い貿易赤字だった。とくに直近の3年間は、5兆円を超える大幅な赤字が続いている。  日本はエネルギーや原材料を輸入し、高品質の製品に加工して輸出する貿易立国。赤字が常態化しているのは、生産拠点の海外移転が止まらず、日本経済の屋台骨である輸出産業が弱っている状況にほかならない。  モノの貿易に限らず、サービス分野でも赤字が続いている。米巨大IT(情報技術)企業が日本でのサービス提供で得た利益を本国に戻すことに伴う円売りが急増している。インバウンド(訪日外国人)の拡大で外国人が日本での宿泊や食事に使うための円買いは増えているが、補いきれていない。    円相場に大きな影響を与える経済の基本要因は2つある。日米間の金利差と需給差だ。金利差要因では、日本よりも米国の金利の方が高くなれば、投資家のお金は円からドルに流れやすくなる。高金利の通貨ほど、より高い収益を期待できるからだ。新NISAで個人マネーが外貨資産に向かうのも同じ理由だ。

  • >>72047

    つづき・・

    「円安基調に本格的な歯止めがかかるとすれば、日米の金融政策が動き出す可能性のある今年秋以降ではないか」。野村総合研究所の木内登英氏はこう推測する。ポイントは金利差要因の変化だ。
     春闘で決まった大幅な賃金引き上げが夏以降のサービス価格などにも転嫁されれば、「日銀が9月の金融政策決定会合で、0.2%あるいは0.25%の追加利上げを実施する可能性を考えておく必要がある」という見立てだ。全体の賃金動向を確認できる6〜7月分の毎月勤労統計が発表されるのは8〜9月。内容次第では、9月会合での追加利上げの可能性が出てくる。

    個人の外貨投資にリスクも
     個人の外貨投資は過去に例を見ないペースで急増。財務省の対外証券投資状況によると、個人中心の投資信託による外国証券の買越額は新NISA開始後の1〜4月で4兆円を超え、23年の年間買越額に匹敵する規模に達した。
     長引く「円弱」が多くの個人マネーを足元で外貨投資へと引き寄せている。ただ現状の相場動向が歴史的な円安局面であることは間違いない。ひとたび円高方向に大きく振れれば、為替差損が膨らみ、外国株式や外国債券から得た利益を吹き飛ばしかねない。円高時も円安時も一定額をこつこつと積み上げていく投資方法が王道であることに変わりはない。

    バベルの塔 つづき・・  「円安基調に本格的な歯止めがかかるとすれば、日米の金融政策が動き出す可能性のある今年秋以降ではないか」。野村総合研究所の木内登英氏はこう推測する。ポイントは金利差要因の変化だ。  春闘で決まった大幅な賃金引き上げが夏以降のサービス価格などにも転嫁されれば、「日銀が9月の金融政策決定会合で、0.2%あるいは0.25%の追加利上げを実施する可能性を考えておく必要がある」という見立てだ。全体の賃金動向を確認できる6〜7月分の毎月勤労統計が発表されるのは8〜9月。内容次第では、9月会合での追加利上げの可能性が出てくる。  個人の外貨投資にリスクも  個人の外貨投資は過去に例を見ないペースで急増。財務省の対外証券投資状況によると、個人中心の投資信託による外国証券の買越額は新NISA開始後の1〜4月で4兆円を超え、23年の年間買越額に匹敵する規模に達した。  長引く「円弱」が多くの個人マネーを足元で外貨投資へと引き寄せている。ただ現状の相場動向が歴史的な円安局面であることは間違いない。ひとたび円高方向に大きく振れれば、為替差損が膨らみ、外国株式や外国債券から得た利益を吹き飛ばしかねない。円高時も円安時も一定額をこつこつと積み上げていく投資方法が王道であることに変わりはない。